クロストーク成分の相互相関に 着目した音場再生システム 高知工科大学大学院 工学研究科 基盤工学専攻 情報システム工学コース 福本研究室 濵﨑 真二
背景 ヴァーチャルリアリティ技術への注目 仮想コンサートホール,遠隔会議, ホームシアター 音響分野において臨場感ある音を提供 ホームシアター 音響分野において臨場感ある音を提供 ex: 5.1chサラウンドSP 音像定位や距離感の再現が不十分
音場再現技術 バイノーラル系 トランスオーラル系 原音場でステレオ録音された音をヘッドホンを用いて再生 ヘッドホンによる装着負荷 音像の頭内定位 トランスオーラル系 原音場でステレオ録音された音を2個以上のスピーカにより再生 空間伝達特性の影響を考慮
トランスオーラルシステム MINT(Multi-input / output Inverse Theorem)理論に基づく多チャネル-多点制御 制御点(受聴点)数 M 2次音源(ラウドスピーカ)数 M + 1 クロストークを除去するスピーカ 制御方法:伝達特性の逆特性を近似する 補正フィルタ(適応フィルタ)を使用 制御系の複雑化 残響時間が長い場合,演算量が膨大
2チャネル-2点制御系 を得るために 補正フィルタの機能: に強い相関が存在することに着目 と ステレオ再生ではクロストークが存在 G12 G21 左右の観測信号: を得るために 補正フィルタの機能: 伝達特性の逆特性に近似 クロストークの影響を軽減 に強い相関が存在することに着目 と 余分なスピーカを用いない制御系(多入力信号補正)
多入力信号補正システム フィルタ係数の合成 は重み付けパラメータ
多入力信号補正システム H21 フィルタ係数の合成 は重み付けパラメータ
多入力信号補正法 補正フィルタ係数の更新手順 手順1: 4つの適応フィルタの出力誤差をそれぞれ算出 手順1: 4つの適応フィルタの出力誤差をそれぞれ算出 手順2: 各適応フィルタの係数ベクトルを更新 手順3: 補正フィルタの係数ベクトルを更新
計算機シミュレーション 空間伝達特性の測定 環境1 環境2 環境3 伝達特性のインパルス応答長: N = 512
計算機シミュレーション 評価 シミュレーション条件 入力信号: 成人男性の声を8kHzでサンプリングした音声信号 適応フィルタおよび補正フィルタのインパルス応答長: L = 512 評価 ステップゲイン,左右の重み付けパラメータの違いによる 収束特性を比較 評価方法: 原音に対する再現音の再現精度
収束特性と改善量 多入力信号補正法
評価基準 ステップゲイン,重み付けパラメータの設定 左側の収束特性(環境1) 右側の収束特性(環境1) それぞれの点における左右の平均値 改善量 [dB] 改善量 [dB] 左側の収束特性(環境1) 右側の収束特性(環境1) それぞれの点における左右の平均値 最大になるパラメータを用いる
パラメータ変動に対する収束特性 環境1 環境2 環境3 α = 0.04 α = 0.05 α = 0.06 改善量 [dB]
計算機シミュレーション 環境1において改善量が最大となるパラメータ α 改善量 [dB]
計算機シミュレーション 環境1~3において改善量が最大となるパラメータ 5.13 5.40 6.23 クロストーク成分の相互相関係数
まとめ 今後の課題 クロストーク成分の相互相関に着目した新たな 多入力信号補正法を提案 相互相関係数が大きい程,良好な結果が得られる 多入力信号補正法を提案 相互相関係数が大きい程,良好な結果が得られる ことを確認 今後の課題 様々な環境下で適切な重み付けパラメータ 設定基準の明確化
研究方針 2チャネル-2点制御系 シンプルな構成により,演算量を軽減 リアルタイム性 適応フィルタの収束速度向上
聴覚特性に基づく出力誤差の算出 リアルタイム性 収束速度の向上 出力誤差に対して 人に不必要となる周波数帯の音圧レベル軽減化 聴覚特性に合わせた出力誤差の重み付け
聴覚特性に基づく出力誤差の算出 JIS C 1502 普通騒音計 A特性音圧レベル → 重み付け関数 入力信号: 出力信号: 出力誤差:
環境1における収束特性(右) 改善量 [dB] 約0.63秒 重み付け有り 重み付け無し 時間 [秒]
環境1における収束特性(左) 改善量 [dB] 約0.63秒 重み付け有り 重み付け無し 時間 [秒]
計算機シミュレーション 改善量 [dB] 6.0[dB] 5.0[dB] 4.7[dB] 左側観測信号に対する収束特性(α=0.05)
収束特性(左) 6.2[dB] 改善量 [dB] 6.8[dB] 6.0[dB] 右側観測信号に対する収束特性(α=0.05)