協調型システムアーキテクチャモデルの研究

Slides:



Advertisements
Similar presentations
どくた合宿 99 今年中に取る手法とその … 杉浦 一徳 1999 年 03 月 10 日 本研究の目的.
Advertisements

位置情報履歴を利用した サービス提供機構の構築 慶応大学環境情報学部 4 年 徳田研究室 土田泰徳
Linuxを組み込んだマイコンによる 遠隔監視システムの開発
MANETを用いた車車間マルチホップ通信環境の構築
Webプロキシサーバにおける 動的資源管理方式の提案と実装
Chapter11-4(前半) 加藤健.
セキュリティ機構のオフロードを考慮した仮想マシンへの動的メモリ割当
ポゼッションシステム: Javaによる 適応的アプリケーション環境
入 出 力 管 理 オペレーティングシステム 6/26/09.
1.コンピュータと情報処理 p.20 第1章第1節 3.ソフトウェア ソフトウェア 基本ソフトウェア
片岡広太郎 Modem Watch Dog 片岡広太郎
電子社会設計論 第11回 Electronic social design theory
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
TCP (Transmission Control Protocol)
相原玲二 広島大学情報メディア教育研究センター
オペレーティングシステム (OSの機能と構造)
TCPデータ通信との公平性を考慮した 輻輳適応能力を有する MPEG動画像通信のための品質調整機構
画像情報特論 (10) - シグナリング - インターネット電話の実際 (1) ITU-T H
TranSwitch:ネットワークフロー毎における最適な TCP への動的切替機構
ユーザの機器利用状況に基づく 家庭内電力管理機構
ユビキタス環境における コミュニケーション・ツール選択支援機構の提案
携帯端末による 海洋情報グラフ表示システム
視覚的な分散アプリケーション 構築ツールuBlockの開発
第3回 CPUの管理と例外処理 OSによるハードウェアの管理 CPUの構成、動作 CPUの管理 例外処理、割り込み処理 コンテキストスイッチ
第5回 CPUの役割と仕組み3 割り込み、パイプライン、並列処理
Telnet, rlogin などの仮想端末 ftp などのファイル転送 rpc, nfs
コンテンツ配信 エンコード (符号化) CBR (Constant Bit Rate) VBR (Variable Bit Rate)
認証と負荷分散を考慮した ストリーミングシステムに関する研究
卒論中間発表 Electronic signal over IP
帯域外リモート管理の継続を 実現可能なVMマイグレーション手法
MANETを用いた車車間マルチホップ通信環境の構築
専門演習Ⅰ 国際経済学部 国際産業情報学科 2年 石川 愛
伝送特性に応じた 適応型映像・音声配信機構の構築
サーバ負荷分散におけるOpenFlowを用いた省電力法
明星大学 情報学科 2010年度後期     コンピュータ設計論  
IPv6 ネットワークにおける エニーキャスト通信実現のための プロトコル設計と実装
大阪大学 大学院情報科学研究科 博士前期課程2年 宮原研究室 土居 聡
All IP Computer Architecture
インターネットの基礎知識 その3 ~TCP・UDP層編~
マルチメディア・コンテンツの 配送・フィルタリング機構
Xenによる ゲストOSの監視に基づく パケットフィルタリング
第9章 Error and Control Messages (ICMP)
Wake-on-LAN 神戸大学 理学部 地球惑星科学科          島津 通.
前坂 たけし (北大院・理) 其の壱 はじめての BIOS 前坂 たけし (北大院・理)
OSの仕組みとその機能 1E16M001-1 秋田 梨紗 1E16M010-2 梅山 桃香 1E16M013-3 大津 智紗子
KMSF-CODEアーキテクチャ における動的QOS制御
Vector 4 = [Vector 3, packet_size]
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
第7回 授業計画の修正 中間テストの解説・復習 前回の補足(クロックアルゴリズム・PFF) 仮想記憶方式のまとめ 特別課題について
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
東京工業大学 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 千葉研究室 栗田 亮
1.情報機器について知ろう(p.8-9) 第1章 第1節
ユビコン環境構築のためのソフトウェアプラットフォーム ユビコン環境における化身話利用の可能性
SN比を考慮した 無線スケジューリング方式
DNSクエリーパターンを用いたOSの推定
片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装
ネットワークをシンプルにする エンタープライズ NFV
P2P ネットワーク上で 実時間ストリーミングを実現するための 分散制御プロトコルの提案
仮想環境を用いた 侵入検知システムの安全な構成法
tranService Next Generation
オペレーティングシステム (OSの機能と構造)
福岡工業大学 情報工学部 情報工学科 種田研究室 于 聡
仮想マシンに対する 高いサービス可用性を実現する パケットフィルタリング
ユビキタスコンピューティング環境 を構築するための 小型無線ネットワークコンピュータの開発
CO-Client Opeartion 1.1 利用履歴データベースの設計 (スキーマ バージョン 対応)
2007 D0活動予定 D0 kazuhisa.
異種セグメント端末による 分散型仮想LAN構築機構の設計と実装
オペレーティングシステム (OSの機能と構造)
特定ユーザーのみが利用可能な仮想プライベート・ネットワーク
情報ネットワーク 岡村耕二.
Presentation transcript:

協調型システムアーキテクチャモデルの研究 後期博士課程 セミナー発表 生活支援型インターネットを実現させる 協調型システムアーキテクチャモデルの研究 杉浦 一徳 uhyo@mag.keio.ac.jp 1999年03月10日 本研究の目的

本研究の目的 オペレーティングシステムとアプリケーションの協調動作 Application Aware なオペレーティングシステムの実現 デバイス、ネットワークの状態情報を抽象化 APM:HDD、CPUやPCMCIAと電源管理に関する情報 ネットワーク:輻輳、遅延や切断などの状態に関する情報 統一的な手法でアプリケーション、ユーザに提供 ネットワーク及び,計算機環境の動的な変化に対してアプリケーションおよびユーザが適応処理を行う

発表内容 現在のインターネットアーキテクチャ Application Awarenessという視点から見た現在のアーキテクチャの問題点 オペレーティングシステムの役割とアプリケーション Application Awarenessという視点から見た現在のアーキテクチャの問題点 Application Aware Operating Systemの開発 次:App aware な OS

Application Aware なオペレーティングシステム Internet ルータ ルータ PC PC

アプリケーションの動作 コンピュータの持つ資源を利用 ハードディスク メモリ CPU ディスプレイ キーボード マウス 次:OSの役割

オペレーティングシステム の役割 資源の管理と提供 プロセス管理・スケジューリング デバイス管理(簡素化した入出力インターフェースの提供) イベントロギング(ハンドリング) アプリケーション(ユーザ)に対して抽象化、隠蔽

時代の変化とともに 利用形態 状況に応じて変化する環境 APM PCMCIA カード 1394 ネットワーク

APM APMで提供する機能 電池の残量 APMによって管理されるデバイスの状態(state) 動作速度 動作状態 ON Power Managed Low Power Off

PCMCIA PCMCIAで提供する機能 PCMCIAデバイスの種類(ネットワークなのか,ストレージなのか...) デバイスのIoport IRQ device state

IEEE1394 高速シルアルインターフェース Isochronous 転送のサポート 抜き差しに動的に適応する Bus Reset メカニズム IEEE1394を用いたホームネットワーク HAVi HWW

ネットワーク・インターネット Best effort 型のネットワーク アプリケーションとの協調を前提としたい新しいプロトコル体系 アプリケーションにとっては,ネットワークに転送する情報は宅急便… どのように扱われるかは,分からない アプリケーションとの協調を前提としたい新しいプロトコル体系 RED RED+ECN RTP + RTSP

これらの共通する点: 利用する環境の状態を知る必要性 動作状態が絶えず変化する. 状態の変化 ネットワークの輻輳 節電機能による処理変化 動作できない状況になりうる. ネットワークの切断 動作する必要のない時がある. 利用する環境の状態を知る必要性 デバイス,ネットワークから見ると,ユーザ(アプリケーション)からの対応が必要になってきた.

これらの必要性に対する 現状の問題点 ユーザ(アプリケーション)からカーネル内部の状態情報の取得が困難 ユーザの積極的な対処 シグナリング 取得できる情報は限定されている ポーリング 動的な状態取得ができない ユーザの積極的な対処 OSのApplication Unawareness 結果として

シグナリング OSからユーザにシステムイベント情報を通達する機能 オペレーティングシステムが機能する上でのアプリケーション側が行った違反の通達 アプリケーションの停止,再会,中断,終了

ポーリング 一定期間毎の情報収集 kmemから得られる情報のポーリング レジストリから得られる情報のポーリング 統一されたインターフェースが提供できない 変化の動的な検知は不可能. イベントハンドリングではない. 結局,効率的な方法は,ユーザの認識

ユーザの積極的な確認手法 user-aware なインターフェース ユーザが状態の変化を認識し,その管理を行う 状況を判断する能力が問われる. 状況を常に認識できれば,問題はない…

現在のオペレーティングシステムの問題点 Application Unawareness ユーザ(アプリケーション)はOSの管理する資源の状態情報を利用できない 計算機環境の状態変化に適応したアプリケーションサービスの提供ができない Application Unawareness = Programmer Unawareness アプリケーション開発にも支障が生じる.

アプリケーション開発環境から見た問題点 アプリケーションを開発する視点 開発者は: 状況に対応したアプリケーションの作成がしたい. 状況の変化に応じたライブラリの作成 電池残量に応じたアプリケーションの動作変化 ネットワークスループットに応じたデータストリームの変更 状況(State)をどのような形で抽象化するかが,問題: 状況の持つ多様性

本研究での解決策 オペレーティングシステムとアプリケーションの協調機構を実現(Application Aware Operating System) デバイス,ネットワークの変化する状況を統一的な手法でアプリケーションに通達 OSからの通達に応じた対応にアプリケーションは協力 携帯型計算機の有効な資源利用 ネットワークの輻輳制御 OSからアプリへ状態変化の通達

状態変化の通達(設計) アプリケーションに対して メッセージパッシング システムコールによる状態の取得 変化した状態情報を提供・未来の状態を想定し提供 メッセージパッシング メタな情報の提供方法としてメッセージパッシングを行う. 具体例: シグナル 「状況変化」という事象のみの報告 システムコールによる状態の取得 getstate → メタ関数 アプリケーション、ユーザによる対応動作 次:全体の構成図

Application Aware OS State handling Library State Handler Daemon ユーザー空間 メッセージパッシング カーネル空間 State Handler Scheduler TCP/IP APM Device 次:state handlerの役割

State Handler オペレーティングシステムの持つ をアプリケーションに統一した形でメッセージパッシングとして,通達する. 資源 をアプリケーションに統一した形でメッセージパッシングとして,通達する. デバイス,モジュールからの状況情報をメタデータベースとして保持する. 次:メッセージパッシング

メッセージパッシング State Handlerからアプリケーションへの メッセージパッシング Signalの利用. 単一メッセージの報告(状況変化) アプリケーションは必要に応じて問い合わせ State handling Library State Handler Daemon Application Application State Handler 次:daemon

State Handler Daemon カーネル空間のState Handlerの持つ情報をアプリケーションに通達するためのデーモン 柔軟性を確保 state oriented Application Libraryの作成 State handling Library State Handler Daemon Application Application State Handler

Stateの抽象化 ある程度,統一されたカテゴライズが必要 電源の状態 ○○の状態 状態の種類の多様性の対処方法 ネットワークの状態: データストリームのバースト転送力 平均データ転送能力 Congestion Notification(ECN) 電源の状態 ○○の状態 状態の種類の多様性の対処方法

状態の追加 アプリケーションには統一されたメッセージパッシングのみが行われる. アプリケーション側からは, メッセージパッシングを無視 メッセージの詳細をState handler daemonに聞く 状態の追加に対するアプリケーションの対応は不変

応用例1: APM 変化する事象: APM のSMI(System Management Interrupt)の制御 節電機能によるシステムの動作変化 電力消費によって抽象化したアーキテクチャの開発 バッテリー容量を把握

応用例2:インターネットによる DV映像の送信 IEEE1394 IEEE1394 Internet IP IP

状況に応じたデータストリームの処理機能の実現 Full rate digital video stream Half rate digital video stream 1/3 rate digital video stream Frame Video data in frame audio data in frame DV Packet with Audio DV Packet without Audio 次:アプリケーション開発の例

アプリケーション開発の例: APM: ネットワーク: 電池容量警告シグナルのためのライブラリー開発 通常モードとGreenモード ネットワーク: ECN検知によるデータストリームの容量変更

応用例② ホームネットワーク インターフェース技術 インターネットチップ ホームネットワーク 応用例② ホームネットワーク インターフェース技術 USB(Universal Serial Bus), IEEE1394 HomePNA(Phoneline networking Appliance) CDMA(無線LAN) = HomeRF AC-LAN = PLANET インターネットチップ iReady Internet Tuner Chip ホームネットワーク HAPI(Home API) HAVi(Home A/V Interoperability)

ホームネットワーク機器から取得できる状態情報 何がつながるのかは未知数 提供される情報としては, デバイスタイプ データストリームのパケット数(量) 次:関連研究

関連研究 APMの応用,Application awareness Application aware Operating System Scheduling for Reduced CPU Energy(USENIX) Application-Aware Adaptation for Mobil Computing(ACM) Application aware Operating System System Support for Mobile Multimedia Applications(John Inouye NOSSDAV 97) System Support for Mobility(John Inouye ACM SIGOPS 96) Network and Application Oriented Network Support for Application Oriented OS( Peter Steenkiste(ICNP 98)

本研究の特徴 本研究の着目点 Application Awareness アプリケーションが利用するネットワーク,資源に対して: アプリケーションが能動的になるべき もっとアプリケーション側から制御するべき メッセージパッシングの方法 統一的な方法で状況をアプリケーションに伝える

本研究の評価方針 state driven と, 従来の方式による Object Oriented OS・Module OSとの比較 ネットワークの効率的な利用 電力の効率的な利用 Object Oriented OS・Module OSとの比較 Apertos Inferno RTMach with QoS Server オーバーヘッド massive alert(signal)の対応 Race Condition(Alert loop)

Massive Alert 状態変化の粒度. 状態の抽象度のレベル 細かくしすぎると,常に状態の報告を行うようになる. オーバーヘッドとの兼ね合い State の抽象度 アプリケーション開発における視点 alertを積極的に受け入れるか 徹底的に無視するか

現在までの研究 APMとオペレーティングシステム DV Over IP Power Management for Portable Computers(RT-Mach Workshop) Abstract of demand based Operating Systems 携帯型計算機の有効な資源利用(情報処理学会 コンピュータシステムシンポジウム) DV Over IP Design and Implementation of DV Stream over Internet (IWS)

研究プロセス IEEE Mascots(5/1) ACM MultiMedia Transferring DV Stream Over Internet Using Application Aware Operating Systems ACM MultiMedia Design of Universal Translation Gateway

おしまい