初代星起源連星ブラックホール合体による重力波の観測可能性

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初代星起源連星ブラックホール合体による重力波の観測可能性 衣川 智弥 (京都大学) 共同研究者:稲吉恒平(コロンビア大)、仏坂健太(ヘブライ大)、仲内大翼、           松本達矢、中村卓史(京都大)

重力波のメインターゲット 連星中性子星 (NS-NS) 中性子星ブラックホール連星 (NS-BH) 連星ブラックホール (BH-BH) ・コンパクト連星合体   連星中性子星 (NS-NS)   中性子星ブラックホール連星 (NS-BH)   連星ブラックホール (BH-BH) ©KAGRA コンパクト連星合体はどのくらい観測できるのか?  NS-NS ~10 /yr

重力波のイベントレート計算方法 NS-NS NS-BH、BH-BH パルサー連星の観測結果があるため以下の二通り  パルサー連星の観測結果があるため以下の二通り  ・パルサー連星の観測結果からの予想 (Kalogera et al. 2004,etc)  ・連星進化の理論計算(Belczynski et al. 2002, 2004, Dominik et al.2012,etc) NS-BH、BH-BH  ・連星進化の理論計算  観測がないため理論計算でしか予測ができない

初代星からの重力波 主な先行研究:Pop I起源コンパクト連星 しかし、連星合体のタイムスケールは 数10億年から宇宙年齢以上   数10億年から宇宙年齢以上  →宇宙初期からの重力波の累積  初代星起源の重力波について考える    初代星の特徴     ・金属量が0     ・半径が小さい     ・恒星風による質量損失がない ・大質量星 (10-100 M) ⇒NS, BHになりやすい Big Bang 初代星連星 合体 合体 time Djorgovski et al.&Degital Media Center

連星進化の理論計算 計算停止 上記の連星計算をモンテカルロシミュレーションすることで 連星の合体確率を計算する 1.初期値(M1,M2,a,e) 決定 2. 単独星の進化 3. 連星相互作用 M1,M2,a,e change 連星合体、解体 NS-NS,NS-BH, BH-BH 計算停止 それ以外 4. 合体時間の 計算 上記の連星計算をモンテカルロシミュレーションすることで 連星の合体確率を計算する

連星相互作用 Tidal friction Common envelope Mass transfer Supernova effect SN Tidal friction Common envelope Mass transfer Supernova effect Gravitational Waves Tidal friction Common envelope Mass transfer Supernova effect Gravitational radiation Change M1,M2,a, e 連星進化のパラメータはPop I連星と同様の値を仮定

初代星連星進化計算 106個の初代星連星について進化計算 初代星の進化はMarigo et al. (2001)を使用 初期分布関数(Standard model) M1 : P(M1)=const. (10 M<M<100 M) q=M2/M1 : P(q)=const. (10/M1<q<1) a : P(a)∝1/a (amin<a<106R) e : P(e)∝e (0<e<1) Star formation rate (de Souza et al. 2011) 𝑆𝐹𝑅 𝑝𝑒𝑎𝑘 ~ 10 −2.5 [M yr-1 Mpc-3]

計算結果(Standard model) 宇宙年齢以内に合体するコンパクト連星数 106個中一割が連星ブラックホールとして合体 Kinugawa et al. 2014 106個中一割が連星ブラックホールとして合体

The difference of mass between Pop III and Pop I The relative number distribution of the mass IMF: Flat Typical total mass Mtotal~60M Typical chirp mass M~30 M Chirp mass dN/dMchirp/Ntotal Total mass/2 Pop I Chirp mass Pop I (Z=Z) BH-BH Chirp mass M~6M (See also Dominik et al. 2012) Chirp mass, total mass/2 [M]

The history of intrinsic Pop III merger rates 現在での初代星起源のBH-BH merger rate R~2.5×10-2 ( 𝑺𝑭𝑹 𝒑𝒆𝒂𝒌 𝟏𝟎 −𝟐.𝟓 ) [Myr-1 Mpc-3] ⇒galactic merger rate R~2.5 ( 𝑺𝑭𝑹 𝒑𝒆𝒂𝒌 𝟏𝟎 −𝟐.𝟓 ) [Myr-1 galaxy-1] Kinugawa et al. 2014

Redshift dependence of cumulative merger rate Detection rate of 2nd generation N(z=0.28)~140 ×( 𝑺𝑭𝑹 𝒑𝒆𝒂𝒌 𝟏𝟎 −𝟐.𝟓 )Errsys [yr-1] Errsys :初期条件および連星進化パラメータに起因するエラーファクター 観測されたmerger rateのZ分布と 計算結果の一致 Range of 3rd generation Range of 2nd generation PopIII starの証拠になりうる Kinugawa et al. 2014

Pop III binary population synthesisの不定性 初期条件    IMF    q分布    a分布    e分布 連星進化   Common envelope   Mass transfer   Supernova kick

IMF ・Pop I Salpeter Pop III Flat? Log Flat? ∝M-2.35 Log N Log M Stacy & Bromm 2013 ∝M-2.35 0 2 Log M Hirano et al.2014      Susa et al. 2014

例:IMFによる形成数及び合体数の変化

Errsysの変化 IMF Flat,M-1,Salpeter 0.45 (Salpeter) 1 (Flat) e分布 下限値 上限値 IMF Flat,M-1,Salpeter 0.45 (Salpeter) 1 (Flat) e分布 f(e)∝e,const.,e-0.5 0.979 (e-0.5) 1.04 (const.) SN kick V=0,100,300 km/s 0.279 (300 km/s) (0 km/s) Common envelope αλ=0.01,0.1,1,10 0.207 (αλ=0.01) (αλ=1) Mass transfer β=0,0.5,1 0.721 (β=1) 1.4 (β=0.5) Worst 0.0786 一方、Chirp MassはM~30Mで特に変化なし

初代星起源BH連星合体が観測される可能性 初代星起源BH-BH Errsys=0.0786~1.4  ⇒Detection rate R~11-196 ( 𝑺𝑭𝑹 𝒑𝒆𝒂𝒌 𝟏𝟎 −𝟐.𝟓 ) [yr-1 ] Chirp mass M~30 M 重力波の観測可能距離はM5/6に比例するので観測に有利 30MsunではQNMも観測可能 初代星起源BH連星合体が観測される可能性

e分布 一般的な連星のe分布  P(e)∝e (Standard) (Heggie 1975) CygnusOB2内の連星の観測(Kobulnicky et al. 2014) P(e)=const. O型星(M>15Msun)の連星の観測 (Sana et al.2012) P(e)∝e-0.5

e分布による形成数、合体数の変化

Mass transfer Standard(Hurley et al. 2002) M 2 = − M 1 β=0:conservative 1>β>0:non conservative βが大きいと質量は降着できない、さらにMass transferは安定になりやすい β=0,0.5,1の場合と を計算 星2がMS, He-burning Standard(Hurley et al. 2002) M 2 = − M 1 星2がgiant

MTによる形成数、合体数の変化

Common envelope 軌道エネルギーは伴星と外層との摩擦で散逸 その際に、外層はエネルギーを受け取り、連星系外に吹き飛ぶ For given Mcore1, Menv1 M2,     initial separation ai ai af Assuming efficiency of mass ejection α,λ Final separation af 軌道エネルギーの喪失 吹き飛ぶ外層の束縛エネルギー α: the efficiency of energy transfer from orbit to envelope λ: the binding energy parameter これらのパラメーターは不定 αλによって結果がどれだけ変わるか?

CEによる形成数、合体数の変化

Supernova kick Pulsar kick ~200-500km/s Pulsarの観測よりSN時にNSは非球対称なKickを受けることが   示唆されている BHについてもXRB(BH)の分布よりKickがあったのではないか という  示唆がある(Repetto,Davis&Sigurdsson2012) ⇒BH形成時にもKickを入れて計算してみる   σ=0km/s (Standard)、σ=100km/s、σ=300km/s

SN kick による形成数、合体数の変化

Worst 各パラメータで最低のものを選択