イスラム国を考える 遡ってみよう.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
難民問題の 背景にある もの 千葉大学 法政経学部 酒井啓子 1. 今世界で起きている危 機: 世界に拡散する紛争、対 立 年 6 月 ~ IS のイラ ク制圧 月~ ロシア、 ウクライ ナ侵攻 月 チュニジ アで観光 客襲撃 月 サウジア ラビア、
Advertisements

イラクにおける政党支持構造とその変容 山尾大(九州大学) 浜中新吾(山形大学).
第9回(11/20)  立憲制度と戦争.
21世紀の東アジアと日本 柿澤弘治 大阪市立大学国際シンポジウム 
迫害の現実 2,123 人のクリスチャンが信仰を理由に殺された(2013年一年間で) 2012年には1,201 人だった(76%倍増加)
国際システム理論によるイラン問題へのアプローチ
Web.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/shakainote.htm.
モンロー主義からの脱却 Manifest Destiny 戦後のアメリカ外交
第8回 記憶研究とテレビ 1.集合的記憶とは 2.社会的出来事に関する集合的記憶 3.外国の社会的出来事に関する集合的記憶
トルコ及び中欧からの人の移動とそのEU加盟問題に与える影響
宗教 ~イスラム教~  法学部法学科    北浦 愛.
反米、米国式教育、ダーウィンの進 化論を教えない 女子、子供を拉致、多数の死傷者
アンゴラ内戦 ~武装解除の具体例.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
Zone End Polio Now Coordinater 坂本 俊雄 (第2ゾーン・東京八王子南)
第12章 現在のグローバル化を考える.
現代のグローバル化を考える 冷戦体制解体 民主主義とグローバル化.
二度のアフガン戦争 ソ連からアメリカへ.
イラク戦争2 イラク-アメリカの絡み合い.
世界に広がるフランス語: 5大陸で話されるフランス語ーその経緯と現実
  世界の地域           05210163.
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
失われた10年 日本経済の現状と課題 日本の平和への貢献
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
戦争と平和 戦争は不可避か 正義の戦争はあるか.
フォレストガンプにみる世紀末のアメリカ人像
地政学2 「新しい地政学」の登場 政治地理学の理論と方法論 第3週.
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
浜中 新吾(山形大学) イスラーム地域研究 東京大学拠点グループ2 パレスチナ研究班 研究会
公共政策大学院 鈴木一人 第10回 各国比較:アメリカ 公共政策大学院 鈴木一人
イラク戦争への道 イラク-アメリカの絡み合い.
対北朝鮮「最大限の圧力へ」.
トランプ政権の 一年を「評価」する 情報パック2月号.
Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 【 社会科 】 小中一貫教育系統図 地理的分野 歴史的分野 公民的分野 13 【小学3年】 【小学4年】 【小学5年】
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
国際社会論 授業のやり方.
難民問題.
国際的な情報セキュリティへの取り組み 各国の対応とサイバー犯罪条約 インターネット時代のセキュリティ管理.
教育行政組織(1) 指導助言と監督命令.
アフリカにおける主な紛争 マノ河流域諸国 アフリカの角 大湖地域
§7. 平和主義 2007年7月3日・10日 社会科学部 憲法.
§5. 平和主義 人間科学部 憲法.
第9条改正について考える c 谷央輔 2012年1月23日.
ベトナム戦争 戦争の正義・勝者の苦悩.
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
ベトナム戦争 戦争の正義・勝者の苦悩.
世界の食糧問題 ~国際社会という視点から慢性的飢餓に どう立ち向かうか~
国家.
グローバリゼーションと 人の移動 移民・難民問題.
安全対策セミナー (テロ補足資料編) 平成28年4月21日 在ベルギー日本国大使館.
世界から見たら? サンフランシスコ講和条約 敵国条項 日米地位協定 日米安保条約 日米原子力協定 憲法改正 基地問題 経済問題 原発問題
民主主義は輸出可能か アラブの春・シリア・ウクライナ.
二度のアフガン戦争 ソ連からアメリカへ.
宗教の問題 宗教的対立をどう克服するか.
グローバリゼーションは 国際的画一化なのか
国際社会論 授業のやり方.
最近のニュース?.
日韓関係の「危機」 韓国大法院判決 情報パック11月号.
比較政治学における パレスチナ研究 ~交渉ゲーム理論を中心に~
アメリカのプロパテント政策 2002.10.11.
2017 現代文明論 第5回 1492年 世界システムの始まり.
生物多様性条約とは何か 森林を取り巻く様々な国際的取り決めと生物多様性条約 生物多様性条約の課題 藤原敬
戦争と平和 正義の戦争は 戦争で利益を得る者は.
国際教育論1 オリエンテーション.
戦争と平和1 何故戦争が起きるのか 戦争と正統性.
c 仲野謙心 エネルギー安定供給.
教育行政・財政 導入説明.
討議テーマ② 現行憲法9条に自衛隊について 明記すべきという意見がありますが どう思いますか?
新しい日本の安全保障戦略ー多層協調的安全保障戦略
公共政策大学院 鈴木一人 第9回 各国比較:アメリカ 公共政策大学院 鈴木一人
Presentation transcript:

イスラム国を考える 遡ってみよう

ベトナム戦争 映像 ドミノ理論 米ソ対立が背景 世界の警察意識 傀儡政府 アメリカの世界支配の常套手段 虚偽による戦争開始 民衆の離反

ベトナム戦争とは何だったか 民族独立と植民地大国の争い(仏→米) 超大国の代理戦争(米ソ対立) 正規軍とゲリラ メディアと戦争(双方がメディアを利用) アメリカにとっての最初の敗北(PTSD)         ↓ イラク戦争との共通点と相違点は何か

日本人人質事件の推移(朝日新聞のまとめ) ◇2014年  <8月16日> 湯川遥菜さんがシリアで拘束され、日本政府が 現地対策本部をヨルダン・アンマンに設置  <10月下旬> 後藤健二さんがシリアで行方不明に  <11月下旬> IS関係者から後藤さんの妻に「夫を拘束」という 最初のメール ◇2015年  <1月17日> 安倍首相がカイロで2億ドルの人道支援を表明  <20日> ISが邦人2人の殺害予告と身代金2億ドルを要求す る映像を日本政府が確認  <24日> ISが湯川さんを殺害したとする画像を公開  <2月1日> 後藤さんが殺害されたとみられる映像をISが公開  <4日> カサースベ中尉が殺害される映像をISが公開。ヨルダ ン政府がリシャウィ死刑囚の死刑を執行

基礎知識 スンニ派 シーア派 ジハード カリフ イスラム教の多数派で、優れたものがカリフを継ぐ サウジアラビアが中心 ムハンマドの血統(とくにアリ)のみがカリフをつげる イランが中心 ジハード 神のための聖なる戦い 出征は任意だが、侵略されたときは義務 カリフ イスラム教国家の最高権威者・指導者

名称問題(国家承認?イスラム教徒配慮?) ◆各国政府 日本・米国・英国政府 ISIL(イラク・レバント・イスラム国の略)  日本・米国・英国政府 ISIL(イラク・レバント・イスラム国の略)  中国政府 “伊斯蘭国“(イスラム国の意味)  ◆メディア  ニューヨーク・タイムズ ワシントンポスト Islamic State  ワシ CNN         ISIS(イラク・シリア・イスラム国の略)  新華社、人民日報など  “伊斯蘭国”  ◆日本メディア  NHK  IS=イスラミックステート 2回目以降はIS  朝日新聞 「イスラム国」(IS) 2回目以降はIS  毎日新聞 「イスラム国」(IS=Islamic State) 2回目以降はIS  読売新聞 「イスラム国」 2回目以降も「イスラム国」

4月1 朝日新聞の検証記事4.23 後藤さん妻がISからのメールに気づいた。12.3 11月のメールは迷惑メールで気づかず。 妻が身代金交渉、政府は関与せず 政府がISによる後藤さん拘束確信1.20 複数の政府関係者が1.16(中東出発)前に認識していた 1.17 エジプトでISILと闘う国に2億ドルの支援表明 ISIL 2億ドルの身代金要求 ハサン・アルハニヤ「ヨルダンでなくトルコに依頼し、身 代金を支払うべきだった」

4月2 4.21 欧州押し寄せる難民船 4.20 IS、リビアでキリスト教徒30人殺害映像公開 4.19 アフガニスタンのシャララバードで自爆テロ37 人死亡 4.19 IS イラク最大精油所に迫る 4.16(朝日記事 政府は直接身代金交渉せず・交渉 は間違い、すべきは情報収集) 4.10 仏国際放送がISが連携してハッキング受ける 4.9 イラク北部で拘束したヤジディ教徒200名解放

4月3 4.7 イラク北部ハトラ遺跡破壊の映像 4.3 イスラム国、シリア首都ダマスカス南部ヤル ムークに侵攻 4.3 国連、ISに100カ国以上から25000人戦闘員 4.2 イラク軍ティクリート奪還 4.1 シリア北部イドリブを「ヌスラ戦線」が制圧

3月-2月 3.22 イエメンでフーシ派への自爆テロ(IS声明) 3.20 チュミジアで博物館襲撃事件 3.9 ナイジェリアのボコ・ハラム、イスラム国に忠誠 2.28 イラク北部博物館で石像破壊映像 2.26 英少女3人、イスラム国へ、キリスト教徒90名 拉致か(シリア北東部) 2.24 岸田外相中東への無償資金協力600万ドル 2.21 シリア反体制派の訓練で米とトルコ協力 2.20 ワシントンで対テロサミット 60カ国参加

2月 22.17 エジプト、リビアのイスラム国系拠点で空爆 2.15 イラクアンバル州、アサド空軍基地でイスラム 国による自爆テロ 2.13 オバマ大統領、イスラム国への武力行使の 承認を議会に求める。国連安保理、イスラム国の 資金遮断のための原油密売監視・身代金支払い 反対の決議。外務省シリア渡航計画のフリーカメ ラマンに旅券返納命令。イスラム国、人質殺害は 日本を辱めるためと主張。 2.11 アメリカ人女性人質死亡を確認

100年目の分水嶺 1914 第一次世界大戦 → オスマントルコ崩壊 1952 ナセル(エジプト)のクーデタ アラブの再編 1979 ソ連のアフガン侵攻→ ジハード(アルカイダ) 1991 湾岸戦争 → アメリカの中東支配 2001 911 → 対テロ戦争(ブッシュ) 2006 イラク・イスラム国構想(ザルカーウィー) 2011 アラブの春 独裁政権の崩壊→ 支配の空白 地域の出現 2014 イスラム国宣言 クルド人の興隆・米の凋落?

湾岸戦争 ソ連のアフガン敗北→ソ連崩壊→冷戦終了 平和が訪れるという期待→× 「ハンチントン文明 の衝突」 湾岸戦争 イラク(フセインのクウェート侵攻) イラン・イラク戦争による経済的打撃を奪還する目的 アフガニスタンの混乱からタリバン支配 アルカイダの活動活発化

911同時多発テロ(2001年)からイラク戦争へ 911をめぐる様々な憶測(陰謀説・放置説) アメリカでは、ブッシュの人気高騰・愛国法(適正手 続によらない逮捕)航空利用の監視強化 欧米におけるイスラム教徒への暴力 年内にアフガニスタン侵攻 2003年イラク侵攻→フセイン政権崩壊 フセイン政権のバース党排除→イスラム国中核に ジハードの必要性・正当性をイスラム教徒が感じる

国家なのか 植民地化され、西洋に恣意的に敷かれた国境線 を以前に戻したイスラム国家をめざしている。 統治機構をもち、政治を行っている。 インフラ整備・価格統制・医療制度 刑法は古いイスラム法 Cf パレスチナ解放機構(PLO) 南ベトナム解放戦線 領土は流動的で、飛び地 国家としての承認した国はない。

アラブの春(2011) 中東・アフリカのイスラムの長期独裁政権への抵 抗活動が一斉におきた。(SNSの利用) チュニジア・エジプトが早期に倒れるが、エジプト は、選挙で成立した政権(イスラム同胞団)が軍部 のクーデタで転覆される リビア・イエメンでは、混乱。リビアのカダフィが殺 害 シリアのアサドは、踏みとどまり、内乱状態に 多くの国で安定政権が崩れたままになった

2014年イスラム国の宣言 イラクのアルカイダ系組織が分離して独自組織 イラク新政権はシーア派が主体で、スンニ派は疎 外→スンニ派地域を支配下に カリフを名乗るアブ・バクル・アル・バグダディは、 元イスラム学の専門家、投獄されたなかで、人脈 形成→イスラム国の指導層を形成 シリアの反政府勢力の一部と統合して、両国にま たがる支配

何故勃興してきたのか アメリカによるイラク戦争の副産物(多数説) 「アラブの春」がシリアに伝搬→アサドの抵抗→内 乱状態→反アサド派からイスラム国勢力が分離 (多数説) 反アサド派をアメリカが応援・援助説 反アサド・反イラク(シーア派政府)から、サウジアラビア が支援説 反イランの立場からイスラエルが援助しているとする説 も 西欧列強による中東混乱政策への反感から、支 援者が増大説

資金や人材は 資金 潤沢にあるという説と苦しいという説 ? 人材 原油・外国人誘拐の身代金・遺跡の売却・寄付・租税 中核は旧イラクフセイン政権の中枢にいた人 先進国出身→メディア戦略等 戦闘員は数十カ国からの義勇兵(有給) 以前のイスラム帝国的な占領地での捕虜(奴隷)

対応に関する議論 国際社会は 日本は 壊滅させる必要があるという立場 Cf 他の対抗国家との対立を煽る ? クルド人に闘わせる 他の国際社会のなかで活動している国家になるように 働きかける(国家と宗教・近代的人権の容認・現代的人 権の容認等課題が多くある) 日本は 欧米列強とイスラムの相剋なので、外にいるべき テロを認めない立場に合流すべき