自動車用電池, キャパシタ技術に関して 堀・藤本研究室 M1 渡辺早紀矢
アウトライン はじめに 研究背景 EDLCとNi-mH電池 今後の展望 論文紹介(1) 論文紹介(2)
はじめに 自己紹介 ロンダ!! 氏名:渡辺 早紀矢 卒業:大阪大学 工学部 電子情報工学科 システム・制御・電力コース 氏名:渡辺 早紀矢 卒業:大阪大学 工学部 電子情報工学科 システム・制御・電力コース 現在:東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 所属:堀・藤本研究室 堀 洋一教授 居村 岳広助教 ロンダ!! 藤本 博志准教授 堀・藤本研究室 電気自動車 パワーエレクトロニクス ナノスケールサーボ ワイヤレス電力送電 を主に研究している. 原子間力顕微鏡がおもしろそう!
はじめに 本発表の目標 なるべく,研究室内では聞かないような テーマ!! 電気自動車工学受講者は, 堀・藤本研究室所属の学生が多い・・・。 研究室内発表会や,研究チーム別ミーティングですでにいろいろ知っている人も・・・!? 本発表の目標 なるべく,研究室内では聞かないような テーマ!!
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背景 電気自動車 原油価格の高騰 レアメタルの乱高下 環境問題 が注目されている!! 地球温暖化 Point of No Return ガソリン 鉄鋼部材etc…
電気自動車の種類 蓄電 HEV PEV ハイブリッド車 エンジン+モーター 電気自動車 モーター (Hybrid Electric Vehicle) ハイブリッド車 エンジン+モーター PEV (Pure Electric Vehicle) 電気自動車 モーター 蓄電 電池 キャパシタ プリウス(トヨタ) i-MiEV(三菱)
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Pb系は重く,Cd系は公害で萎縮/生産中止 蓄電素子の概要 最近の動向 蓄電素子 電池 一次電池 マンガン電池 アルカリマンガン電池 リチウム一次電池 ML型コイン電池 二次電池 鉛電池 Ni-Cd電池 Ni-mH電池 リチウムイオン二次電池 燃料電池(FC) メタノールFC ヒドラジンFC 溶解塩型FC リン酸型FC 固体高分子型FC 電気化学キャパシタ 電気二重層キャパシタ(EDLC) C-C型EDLC Mn O 2 だけでなくNi化合物を添加し,高性能化を図る. EDLCコイン型に代替化が促進 Pb系は重く,Cd系は公害で萎縮/生産中止 自動車/回生用はNi-mH電池化が加速 Li系は不安定だが低価格化と高性能化の改善中 2005年以降,貴金属が高騰し,FC用媒体の価格が高騰したことから自動車への搭載を断念・・・ 自動車/回生制動には価格や耐震でいから不適 C-C(活性炭-活性炭電極)型EDLCが世界の主流
HEV,PEVには... EDLC(キャパシタ),Ni-Cd電池 が適している!!
電気二重層キャパシタ(EDLC) 高効率での蓄電が可能!! 電荷が層状に配置される 電子が自由に動ける 2つの活性炭電極と電解液から構成され,充電すると陽極と陰極それぞれの電極にマイナスとプラスの電気が蓄積される. 両極の表面付近で起きる物理現象(電気二重層)を利用することで蓄電効率が著しく高められる 電荷が層状に配置される 電子が自由に動ける 高効率での蓄電が可能!!
ニッケル水素電池(Ni-mH電池) NiOOH+ H 2 O+ e − → Ni OH 2 +O H − 正極: 負極: MH +O H − →M+ H 2 O+ e − eneloop 正極に水酸化ニッケル,負極に水素吸蔵合金,電解液に濃水酸化カリウム水溶液を用いた二次電池
EDLC 二次電池 EDLCと二次電池の比較 界面電気二重層で,陽陰イオンの旧脱着でエネルギーを出し入れ. 半永久的使用が可能(10~100万回以上) 使用温度が広い(+85 ~ -40℃) 炭素材料仕様で環境に優しく資源が無尽蔵で低価格 急速/瞬時充放電に対応 炭素材料使用で環境にやさしい 出力密度(kW/kg)に優れ,回生制動応用に最適 二次電池 酸化還元反応でエネルギーを出し入れ. 100~300回の充放電で電池の交換が必要 使用温度範囲が狭い(+50 ~ -15℃) 短絡で破壊 充放電条件が制約される 重金属仕様で耐環境性の課題 エネルギー密度(Wh/kg)に優れる
EDLCと二次電池の比較 エネルギー密度の比較 ハイブリッド・キャパシタ [編集] 2つの電極のいずれか1つが電気二重層を使用し、もう一方の電極がレドックス反応(酸化還元反応)を使用したハイブリッド・キャパシタ(Hybrid capacitor)というものもある
EDLCと二次電池の比較 エネルギー密度 (Wh / kg) × サイクル寿命 (回) エネルギー合計 (Wh)
以上の点から, EDLCの有用性は高い!!!
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当面はPEVではなく,HEVが売れるのでは・・・? 動力源と冷暖房機能比較 動力源 正常走行 冷暖房 車種 ガソリン 二次電池 EDLC -21℃ 常温 夏期 暖房 冷房 従来のガソリン車 ◎ HEV ○ PEV ✕ ◎:主動力,○:可能,○:併用動力,✕:困難 PEVは・・・ 当面はPEVではなく,HEVが売れるのでは・・・? 冷暖房が使えない 冷暖房にエネルギーを回すと,走行エネルギーが確保できなくなる. 高温,低温下での走行が困難 二次電池使用による弊害
EVの展望 に貢献!! が目標!? EDLCにより・・・ 今後の課題・・・ 自動車での省エネ性 急速充電 CO2環境対策 安全性 非接触充電 二次電池の長寿命化 に貢献!! が目標!?
道路勾配などを考慮した電気自動車の 最適経路問題 論文紹介(1) 道路勾配などを考慮した電気自動車の 最適経路問題 清水 太郎,國府方 久史,松本 修一,川嶋 弘尚 社会技術研究論文集 8(0) 53-59, 2011 社会技術研究会
充電施設情報を一元的に集約し,確実に情報を流通させる仕組みが必要 モチベーション 電気自動車のこれからの課題 走行距離が短い 本格的市場参入を前に,充電施設が少ない 充電施設情報を一元的に集約し,確実に情報を流通させる仕組みが必要
研究背景 環境問題 効率改善 しかし,現在の研究では・・・ キャパシタによる急速充電の特性を活かすためにも・・・ EV導入によるCO2削減 効率改善 EV内部の機械的な改善 キャパシタによる急速充電の特性を活かすためにも・・・ 道路状況や走行方法に関する研究!!
消費電力モデル 道路勾配の認識が 重要に!! EVの回生ブレーキ のためにも 4つのGPSにより,緯度・経度・標高を計測 ディジタル道路地図を任意の間隔で区切り,当てはめる(5m,10m,50m,100m)
消費電力モデル 仮定 走行抵抗 自動車の走行抵抗,走行距離,勾配,に応じて消費電力[Wh]が変化 速度40[km/h] 回生ブレーキの負荷0.5[m/s2] 負荷の75%の回収率
ワーシャルフロイト法 重み付き有向グラフにおいて, 全ての2点間の最短経路を求める手法 重み付き有向グラフにおいて, 全ての2点間の最短経路を求める手法 点iからjに向かう枝があるとき,その距離を d 𝑖𝑗 を,ない場合は∞とした直接距離行列を作る. 次に,iからjに別の1点を経由した場合の最短路を求め,距離行列を更新する.その際,次に経由する点を 𝑝 𝑖𝑗 として記憶しておく. 更新された距離行列を用いてこれを再度行うことで,枝4本まで使った最短路が得られる. これを, 2 ℎ ≧𝑛−1となるまでh回繰り返すことで,最終的な最短路が得られる
ワーシャルフロイト法 アルゴリズム 例
ワーシャルフロイト法 例
計算手法 シュミレーテッド・アニーリング法 (SA法,焼きなまし法) により,走行中 x : 初期解(スタート地点) E : 評価すべき関数(これを最小にする) T : 温度変数(確率的に解を許容する)
計算手法 SA法の直感的イメージ 物質 SA法 状態 → 解候補 エネルギー → 評価値 物質の分子結晶はいろいろな状態へと遷移 状態 → 解候補 エネルギー → 評価値 物質の分子結晶はいろいろな状態へと遷移 エネルギーの低い状態へと遷移しやすい傾向 温度を下げると極小状態へ 温度を一気に上げると,局所的極小状態へ 温度をゆっくり上げると,大域的極小状態へ 特徴 時間をかけるほど,最適解が改善される. 十分に時間をかければ,最適解の発見が保障される. 連続関数最適化,および組み合わせ問題最適化の両方に適用できる.
計算実験 実験環境 乗車人数2人(55kg×2) 全ての教会をまわる,最適経路探索問題 実際の走行には三菱i-MiEVを使用 ノードからノードへの経路はワーシャルフロイト法を用いて計算 実験場所 実験に用いたネットワーク
余談 五島列島 奈良・平安時代には遣唐使船最後の寄港地 中世以降は海外貿易の拠点として栄え、カトリック教会や神社仏閣、城跡や武家屋敷など数多くの歴史遺産が残る 天然記念物・アコウの大樹 堂崎天主堂 九州でも第一級クラスの巨樹 キリシタン迫害の際の物品を展示
細かく勾配をとったほうが,誤差が大きい!!! 計算結果,走行実験 計算結果,実走行結果 計算により得られたルート 理論上は,勾配の間隔を細かく取れば取るほど精度が上がるのでは・・・? 細かく勾配をとったほうが,誤差が大きい!!!
計算結果,走行実験 間隔が小さすぎると,標高の変化が激しくなり,誤差として現れる. 間隔が広すぎると,実際の勾配が反映されづらい. 50mの算出データが最も妥当!!
論文のまとめ 道路勾配がEVの消費電力に大きな影響を与える. 適切な間隔の設定 勾配に設定する間隔によって,算出される消費電力が大きく変化する 適切な間隔の設定
充電設備に立ち寄りキャパシタによる急速充電を行いつつ,最短経路で 論文のまとめ 最終的には… 充電設備に立ち寄りキャパシタによる急速充電を行いつつ,最短経路で 目的地につく手法の開発 充電設備の場所 充電時間 等の組み込み 充電が必要な長距離走行においても,効率の良い走行が可能に! 自動走行においても,コース決めにおける重要な指標になる!? もちろん,電気自動車の制御による走行距離延長, 大容量のバッテリー開発も重要だが… 充電が必要ないに越したことはない!! キャパシタの充電時間,走行経路,回生エネルギーを考慮した研究も必要!!
電気二重層キャパシタシステムの 燃料電池自動車への応用 論文紹介(2) 電気二重層キャパシタシステムの 燃料電池自動車への応用 佐藤 健児 電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 104(576) 65-70, 2005-01-14 電子情報通信学会
モチベーション 環境問題,地球温暖化 排出ガス低減 燃料電池(Fuel Cell,FC) 水素を燃料し,有害物質を全く排出しない キャパシタ 重金属を含まないため,環境にやさしい!! 排出ガス低減 キャパシタ 二次電池 燃料電池(Fuel Cell,FC) 水素を燃料し,有害物質を全く排出しない 究極のクリーンエネルギー 自動車用キャパシタ,二次電池
Honda FCX Hondaが生産していた燃料電池自動車 よ固体高分子形燃料電池とウルトラキャパシタを電源とするハイブリッド車 2002年よりアメリカ合衆国、日本で約20台がリース販売された.
FC用電気エネルギー保存 瞬時応答 FCの不得意な瞬時応答性を補助できる 高効率 蓄電システム放電時に,効率が高い システム全体 必要なもの 瞬時応答 FCの不得意な瞬時応答性を補助できる 高効率 蓄電システム放電時に,効率が高い システム全体 FCシステム全体の損失が最小限になる
キャパシタのほうが2倍の出力密度を持つ!! キャパシタ,二次電池の適合性 略図 キャパシタのほうが2倍の出力密度を持つ!! さらに,高効率!! 内部抵抗 キャパシタ Ni-mH イオンの物理的な吸着 化学反応
キャパシタ,二次電池の適合性 並列直結が可能で,損失が少ない FCとの電圧差を調整する,電圧調整器が必要なため, 損失が生まれる. FCとCのI-V特性が等しい. 並列直結が可能で,損失が少ない Hi-mHの電圧は一定 FCとの電圧差を調整する,電圧調整器が必要なため, 損失が生まれる. FC用蓄電システムとして,キャパシタの方が適している さらに,寿命による劣化 を考えて・・・
キャパシタセル 低抵抗化のために・・・ 接続抵抗:電極集電帯-集電板の 接合面積 確実に接触を行うため,U字状の溝に食い込ませる形で接合 接続抵抗:電極集電帯-集電板の 接合面積 確実に接触を行うため,U字状の溝に食い込ませる形で接合 さらに集電構造部を短縮することで, 充填率(ケース長 / 電極幅) の向上に成功!! 構造設計による,コンパクト化,高性能化
キャパシタセル 電極 電解液 接着剤 静電容量 伝導度 耐電圧 材料選択による,コンパクト化,高性能化 電気二重層を形成する活性炭 特に,静電容量密度の高い,フェノール樹脂系の粒状活性炭 電解液 電解液:4級アンモニウム塩 溶媒 :プロピレンカーボネート(安全性,作動温度範囲より) 接着剤 残留物のキャパシタ性能への影響を考慮 静電容量 伝導度 耐電圧 材料選択による,コンパクト化,高性能化
キャパシタモジュール 80本 それぞれのキャパシタを 直列に接続
キャパシタと排熱のバランスがとれている! キャパシタモジュール エアフローも考慮 走行時の温度上昇 走行時の電流に 依存 内部抵抗,接続抵抗 の低減 45℃を上限として推移 キャパシタと排熱のバランスがとれている!
試験終了後も90%以上のエネルギー容量を維持 キャパシタの耐久性 市場での走行を想定した耐久モード条件として,発熱が在題となるモードパターンを想定した耐久テスト 試験終了後も90%以上のエネルギー容量を維持 大きな性能劣化は見られない
キャパシタに関する考察 キャパシタ 加速時の瞬時出力応答 減速時には即座に回生へ FCの苦手な瞬時応答をキャパシタが補い,発進時・加速時の魅力的な動作性能実現に貢献 キャパシタは,出力・耐久面だけでなく,Ni-mH電池など他の蓄電システムに比べても,FC用として信頼性の高い蓄電システムであるといえる
信号の待ち時間とかに,道路からの非接触充電とか・・・? 論文のまとめ 二次電池 燃料電池 キャパシタ 互いの長所を生かしながら,組み合わせて使うことが重要なのでは・・・? 個人的には頑張って欲しい (急速充電は魅力的!!) 普及させるには,低コスト化も とても重要!? (大型の燃料電池は高価) 信号の待ち時間とかに,道路からの非接触充電とか・・・?
おまけ・・・ 現在 Honda FCX Honda FCXクラリティ より詳細には固体高分子形燃料電池とウルトラキャパシタを電源とするハイブリッド車である。 2002年よりアメリカ合衆国、日本で約20台がリース販売された。 Honda FCXクラリティ FCXクラリティ(FCX Clarity)とは、本田技研工業が2008年に発売(リース販売)した燃料電池自動車。 FCXクラリティは電気自動車と同水準のゼロエミッションであり、5分間で水素を再充填することができ、大型セダンとして長距離の走行が可能である。 _____From wikipedia
参考文献 電気二重層キャパシタを応用したHEVの現状と展望--HEV(ハイブリッド車)が最適,PEV(電気自動車)は疑問 (特集 リチウムイオン電池革命--電気自動車の普及に必要な特性) 西野 敦 化学(雑誌) 65(5), 44-51, 2010-05 化学同人 道路勾配などを考慮した電気自動車の最適経路問題 清水 太郎,國府方 久史,松本 修一,川嶋 弘尚 社会技術研究論文集 8(0) 53-59, 2011 社会技術研究会 電気二重層キャパシタシステムの燃料電池自動車への応用 清水 太郎,國府方 久史,松本 修一,川嶋 弘尚 社会技術研究論文集 8(0) 53-59, 2011 社会技術研究会