三原建弘(宇宙放射線) 山形大学 郡司修一、門叶冬樹、大阪大学 林田清 イメージング硬X線偏光計 三原建弘(宇宙放射線) 山形大学 郡司修一、門叶冬樹、大阪大学 林田清 X線偏光と検出方法 散乱型偏光計 イメージング硬X線偏光計 大面積硬X線偏光計
1. X線偏光 偏光X線は、今までに4例しか 有意な観測がない (例) カニ星雲全体 19±1% @2.6keV 宇宙X線観測は、 画像 スペクトル 時間変動 偏光X線は、今までに4例しか 有意な観測がない (例) カニ星雲全体 19±1% @2.6keV 眠っている偏光情報を利用したい 偏光 Chandraによるカニ星雲(イメージ) 偏光は新たな観測量→理研でも、偏光検出器の開発→散乱型X線偏光計の試作器として、 八角シンチレータ偏光計を作った。
カニ星雲の可視光偏光マップ ゆくゆくはX線偏光もこのくらい観測したい。
X線と物質の相互作用 (1~100keV) 光電効果 トムソン散乱 光電子の放出方向 コンプトン散乱 散乱X線の放出方向 ブラッグ反射 光電効果 トムソン散乱 コンプトン散乱 ブラッグ反射 光電子の放出方向 散乱X線の放出方向 散乱X線・電子の放出方向 45度反射で完全偏光 σ E
偏光検出感度 Mh1/2を大きくすることが重要 系統誤差を考えるとMが大きいことも重要 N 180 360 φ 偏光検出感度: Minimum Detectable Polarization degree (MDP) Mh1/2を大きくすることが重要 系統誤差を考えるとMが大きいことも重要
光電子追跡型 イメージングガス検出器 CCD イタリアグループ Arガス 4atm, 3cmでMh1/2~0.07@20keV (Mは0.3) 山形グループ 京都グループ CCD 12mmピクセルCCDで M=0.16, η=5x10-4 @27keV 空乏層厚10倍100mmのCCDを使えればMh1/2~0.01 22keV 山形大学
散乱型 回転 E 検出器B 散乱体 容易にM>0.9が実現できる。ビームラインの偏光度較正に利用している。 この配置ではηは小さい。 検出器A 検出器B 散乱体 回転 容易にM>0.9が実現できる。ビームラインの偏光度較正に利用している。 この配置ではηは小さい。 散乱スペクトル SPring-8 偏光度測定 PF 偏光度測定 19.3 keV Compton 20.0 keV Thomson 93% @ 20 keV X-ray 横偏光 77% @ 20 keV X-ray 縦偏光
散乱型の M, h, Mh1/2 Be散乱体 周りをCdTe検出器で覆う Mh1/2=0.4 光電子追跡型より1桁良い 観測時間1/100で済む 20keV以上は散乱型が良い
散乱光の強度はφに対してサインカーブを描く 2. 散乱型硬X線偏光計 散乱体の周囲を16枚のCdTe素子が取り巻く 散乱体 CdTe素子 CdTeヘッド 散乱光の強度 強い 弱い 散乱光の強度はφに対してサインカーブを描く φ X-ray φ 180 360 入射X線の 電場ベクトル 散乱が弱い方向が偏光方向
CdTeヘッド 信号読み出し回路 1イベント毎に散乱X線のエネルギーをPCで読み出すことが出来る y 5 プリアンプ 1 9 x 装置内部 13 x y 電荷→電圧 減衰補正 4×30×0.5mm プリアンプ 装置内部 装置内部とch設定 信号読み出し回路 1イベント毎に散乱X線のエネルギーをPCで読み出すことが出来る CdTe素子部
測定結果 回転0度の時の16chのカウント数分布 ch 1, 9 (x軸方向)が散乱光が強く、ch 5, 13 (y軸方向)が弱い 偏光方向 10 15 CH ch 1, 9 (x軸方向)が散乱光が強く、ch 5, 13 (y軸方向)が弱い 1 5 9 13 x y 16 4 8 12 偏光方向 22.5度回転するごとに1chずつ ずれてサインカーブを描いている 入射X線の偏光方向はy方向(垂直方向) カーブフィットより装置のM因子は0.6と高い値であることが実証された。
3. 散乱型イメージング偏光計の概観図 散乱体はプラスチックシンチレータ 2mm角、40mm長の棒状シンチを54本束ねて円形に 全体はBGOで アクティブ シールド 18mm X-ray 8x8マルチパッド PMT 吸収体はCdTe 2mm幅、40mm長、0.5mm厚の短冊型を32素子
セグメントプラシンチ プラシンチ 64padPMT 理研小型プリアンプ マルチプレクサ読み出し
4. 大面積硬X線偏光計 散乱体をセグメント化して大きくする 散乱位置と吸収位置を把握し、Mの劣化を防ぐ 読み出しには大面積Multi Anode PMTを使用 C s I ( T l ) p a t i c n o r 5 2 m 6 40mm MAPMT 28mm
プロトタイプの気球実験 ガンマ線バーストからの偏光検出を目指す 視野内にカニ星雲を入れて観測 64chはVA/TAで読み出し 検出器が納め られた気密箱 磁場センサ 太陽センサ この検出器を搭載した気球システムについてですが、 これが今回打ち上げたゴンドラです。 中央に気密箱に納めた検出器を配置します。 このようにエレベーション方向に60度に固定しています。 先ほどのコリメータの話でもありましたが、 もしカニ星雲が南中すると73度になります。 コリメータのエレベーション方向の視野角が22.5度であるため、 南中時でも観測可能になります。 続きまして、これが磁場センサーです。 この磁場センサーで検出器のおおまかなアジマス方向をモニターし、 よりもどしモーターで、検出器のアジマス方向を制御します。 地上でこの磁場センサーによるキャリブレーションは行っていますが、 地上と上空で磁場の状態が異なります。 そこで、この太陽センサーを搭載することで、上空でも検出器の方向を精度良く知る事ができます。 また、前回の失敗をふまえ、気密箱内部の状態を知るために 温度と気圧モニターを気密箱内部に搭載することで、地上からでも上空の気密箱内部の状態を知ることができます。 これらのシステムの内、何か異常があったときに備え、各部分の電源のON/oFFするためのコマンドを地上から送ることができます。 また、上空で検出器のゲインが変わってしまった場合に備え、4段階にPMTのゲイン変更コマンドを地上から送ることができます。 今回の気球実験では、バックグランドに対する検出器の性能を見積もることが目的ですが、 できれば、カニ星雲を見たいということで、 このようなカニ星雲を観測可能なシステムを設計しました。 まず、検出器の方向制御を行えるようにしました。 カニ星雲は南中時にエレベーションが73度程度になるコリメーターのエレーベーション方向は±23度程度であることから、 検出できることが可能である。 磁場センサーは、地上でキャリブレーションしていますが、 上空での磁場の状態は、地上と異なります。 よって、太陽センサーを搭載し、 太陽の方向を知ることで上空でアジマス方向に対するキャリブレーションを行います。 前回の気球実験の反省を踏まえ、気密箱内部の温度と気圧をモニターすることで、 地上でも情報を得ることができます。 また、上空での予期しない検出器の状態にそなえ、 4段階にPMTのゲインを調整するためのコマンドを実装します。 このようにして、 地上からでも上空での気球及び、検出器の状態を知ることができ、制御することができます。 ガンマ線バーストからの偏光検出を目指す 視野内にカニ星雲を入れて観測 64chはVA/TAで読み出し 10モジュール製作し 2006年5月の実用気球実験を目指す
まとめ X線偏光と検出方法 散乱型偏光計 イメージング硬X線偏光計 大面積硬X線偏光計 硬X線では散乱型が良い Beなどの散乱体の周りをCsIやCdTeで囲む 16chはディスクリートアンプで組んだ イメージング硬X線偏光計 散乱体をプラスチックシンチレータにしてコンプトンロスの場所を知る 大面積硬X線偏光計 64chはVA/TAで読み出し 10モジュール製作 2006年5月の実用気球実験を目指す
おまけ
かに星雲 (SN1054) 撮像能力は可視光なみ 偏光は全体で19±1% パルサーからの高エネルギー電子 シンクロトロン放射 磁場に垂直方向に偏光している
活動銀河のジェット 磁場の方向 通常プラズマ (陽子ー電子)か? ペアプラズマ (陽電子ー電子)か? 通常プラズマ (陽子ー電子)か? ペアプラズマ (陽電子ー電子)か? 電波の偏光観測Faraday conversionペアプラズマの方が好ましい。
OSO-8 (1978) の偏光観測 偏光度 [%] 2.6keV 5.2keV カニ星雲 19.2 ± 1.0 19.5 ± 2.8 Sco X-1 0.3 ± 0.2 1.3 ± 0.4 Cyg X-1 2.4 ± 1.1 5.3 ± 2.5 Cen X-3 < 18 < 27 NGC 6624 < 4.7 < 10.8 Per Cluster < 12.6 < 34.5 パルサー星雲型SNR 中性子星連星 BH連星 連星パルサー 銀河団
ガンマ線バースト ファイヤーボールモデルが正しいのなら、ガンマ線はシンクロ トロン放射で放出される。偏光が期待されるが。。。 GRB021206のRHESSI(太陽観測衛星)による突然の観測結果 Cobum, 2003, Nature 150keV-2MeVで80%±20%という偏光が受かった! -RHESSI衛星チームは疑問視している- 偏光観測は始まったばかり
80%という高い偏光度 バーストの各ピークは別の場所での衝突に対応しているはずなのに何故80%もの高い偏光度が得られたのか? 決着つけるためにはGRBの統計的偏光観測が必要 偏光観測によりGRBの発生メカニズムに迫る