宇宙線と粒子加速 大平 豊  高エネルギー加速器研究機構(KEK) 内容 宇宙線の観測 超新星残骸の観測 加速理論と観測の矛盾 まとめ.

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宇宙線と粒子加速 大平 豊  高エネルギー加速器研究機構(KEK) 内容 宇宙線の観測 超新星残骸の観測 加速理論と観測の矛盾 まとめ

地球に降り注ぐ宇宙線スペクトル 宇宙線:宇宙から地球に降り注ぐ 高エネルギー粒子 宇宙線スペクトル       高エネルギー粒子 宇宙線の発見以来100年が経つ 未だ宇宙線の起源と加速機構は謎 宇宙線のエネルギー密度は、 1eV/cm3。銀河の構成要素の1つ 宇宙線はガスの電離度を決めたり、 10Bなどの軽元素の起源である。 Eknee=1015.5eV 1015.5 eV までは、銀河系内の SNRが起源と考えられている (1particle /m2/yr) Type Ia or II ? Gaisser 2006 宇宙線スペクトル dN/dE ∝ E-2.7 (E<1015.5eV)

太陽圏内の非熱的粒子 Typical energy spectra of energetic oxygen nuclei resulting from the various particle populations in the heliosphere. (Stone et al., SSR, 1998)

太陽風の非熱的粒子 The spectrum of particles accelerated at and immediately downstream of a shock observed by the SWICS and ULEIS instrments on ACE. (Figure courtesy of L. Fisk)

低エネルギー宇宙線の組成 Lingenfelter & Higdon(2007) ⇒ダストになりやすいも のは太陽組成より多く、 Aによらない。   揮発性はA、Zによる。 ダストの加速   Ellison et al.(1997) 22Ne/20Ne は 太陽の5倍     ⇓ WR Origin ? Binns et al.(2007)

最近の宇宙線組成の観測 500-3980 GeV/n Refractory Volatile < 30 GeV/n Ahn et al. (2010)

CRはEjecta起源? ISM起源 ? C + p  Be ( spallation ) Beは宇宙線が起源。CR p ? or CR C ? ISMの組成は、時間とともに重元素が多くなる。Be/Fe=const.と矛盾。 Ejectaは常に同じ組成。Be/Fe=const.と矛盾しない Ramaty et al., Physics Today, 1998

Diffusive Shock Acceleration(DSA) rgyro,p~1010cm (B~3mG, vsh~0.01c) rgyro,e-~107cm lDebye~104cm Ldiff ~ 1014 cm (B~3mG, E~1GeV) Scholer 宇宙線は電磁場 の波に散乱される u1/u2 + 2 dN/dE ∝ E-s s = = 2 宇宙線は電磁場を 励起する。 u1/u2 - 1 Axford 1977, Krymsky 1977, Blandford&Ostriker 1978, Bell 1978

粒子加速の研究 Scholer rgyro,p~1010cm (B~3mG, vsh~0.01c) rgyro,e-~107cm lDebye~104cm Ldiff ~ 1014 cm (B~3mG, E~1GeV) Scholer Lgalaxy ~ 10kpc Escape R~10-100pc Radiation 無衝突衝撃波 衝撃波構造 宇宙線反作用 電子加熱・加速 磁場の増幅、散乱過程 銀河内伝搬 宇宙線の逃走 放射過程

ベキ型分布 u1/u2 + 2 s = 2 u1/u2 - 1 粒子と壁の1次元的散乱 u 散乱後 Δp = 2 p v , p v u shock Shock の場合 u1 u2 壁に相当する散乱体は電磁場の波 (プラズマ波動、MHD wave) 4(u1- u2) n回往復 Δp pn = p0(1+d)n ~ exp(nd) = d = p 3v 上流から拡散的(等方的)に下流に入るCR flux: nCRv/4 十分下流に流れるCR flux: nCRu2 下流に流れる確率:Pesc = 4u2/v、 上流に戻る確率:Pret = 1 - Pesc N(>pn) ∝ (1 - Pesc)n ~ exp(-nPesc) ∝ pn-3u2/(u1-u2) u1/u2 + 2 f(p)dp ∝ dN(>p)/dp ∝ p-s u1/u2=4 s = 2 u1/u2 - 1 スペクトルは、粒子の種類によらない

銀河内の宇宙線の拡散 NCR(E) ∝ E-(s+g) 加速源で加速された宇宙線は、銀河内を拡散しながら地球に届く 銀河内の平均的な宇宙線スペクトル  (Leaky box model) d NCR NCR 定常 = + Qsour(E) NCR = tesc(E) Qsour(E) d t tesc(E) tesc(E) = Lsize2 / Ddiff(E) ,  Ddiff(E) ∝ Eg ,  Qsour(E) ∝ E-s B/C観測 ⇒ g = 0.3 - 0.6 NCR(E) ∝ E-(s+g) 宇宙線観測 ⇒ s + g = 2.7 s = 2.1 - 2.4 衝撃波加速の理論 ( s = 1.5 - 2 ) と矛盾?

B/Cの観測結果 Obermeier et al., ApJ, 2011 本当だったら、 。。。。 CR B の起源は、CR C。        。。。。 CR B の起源は、CR C。 さまざまなエネルギー のCR Cが、 同じような領域で作ら れた場合。

B/C による拡散係数の観測と研究 B/C AMS-02 : 今年結果を公開? Ddiff(E) ∝ E0.45 で Bernardo et al. (2010) Pato et al. (2010) Kinetic energy [GeV/nucleon] AMS-02 : 今年結果を公開? Ddiff(E) ∝ E0.45 で VA = 0, 10, 15, 0, 30 km/s と再加速効率による違い TeV領域でも十分な統計が得ら れ、有効数字1桁目が決まる! g = 0.3 - 0.6

最近の宇宙線原子核の観測 p より He の方がハードなスペクトル 全組成が 200GeV/n でスペクトルが ハードになっている。 Ahn et al. ApJL, 2010, 714, L89 p より He の方がハードなスペクトル 全組成が 200GeV/n でスペクトルが ハードになっている。 Ahn et al. ApJL, 2010, 714, L89 (CREAM, ATIC-2, PAMELA) DSAは粒子の種類によらない単一スペクトル  矛 盾? 2成分?

Vladimirov et al. arXiv:1108.1023

Vladimirov et al. arXiv:1108.1023

Vladimirov et al. arXiv:1108.1023 非等方性 p / He 反陽子 反陽子/ 陽子

最近の宇宙線電子陽電子の観測 CR e- spectrum dN/dE∝E-3.1 折れ曲がり カットオフ Eb ~ TeV. Aharonian et al. A&A, 2009, 508, 561 CR e- spectrum dN/dE∝E-3.1 折れ曲がり カットオフ Eb ~ TeV. CR p spectrum dN/dE∝E-2.75 折れ曲がり カットオフ Eb ~ PeV.

陽電子のスペクトル Ackermann et al., PRL, 2012 Dark Matter? Nearby SNRs? Pulsar Wind Nebula (Pulsar)?

宇宙線電子陽電子の間接観測(~GeV) 低エネルギー側でハード 銀河面のシンクロトロン電波を合わせるためには、 E-1.6 ( E < 4 GeV ) 低エネルギー側でハード dN/dE∝ E-2.5 ( E > 4 GeV ) Strong et al., A&A 2011

Galactic CR e- のスペクトル ∂ ∂ ・ f - ∇D∇f + (E f) = qsour(E,x,y,z,t) = qsour(E)d(z) ∂t ∂E 銀河面内に広がっている源 CR nuclei とは違い、CR e- は銀河から逃げる前に冷える  銀河からの逃走でスペクトルが決まるわけではない。 d f(E) f(E) 定常 = + Qsour(E) f(E) = tcool(E) Qsour(E) d t tcool(E) 定義:地球に寄与する源 Rd ∝{Ddiff(E) tcool(E) }1/2, Ddiff(E)∝E-g, tcool(E)∝E-1, qsour(E)∝E-s qsour(E) Qsour(E) ∝ Rd2 × ∝E-{s+0.5(g-1)}  fe(E)∝E-{s+0.5(g+1)} Rd3 B/C観測 g = 0.3-0.6, s + 0.5(g+1) = 3.1  s = 2.3-2.45 s<3 より、SNRで冷却が効いてはだめ  長時間の閉じ込めはだめ

Galactic CR p のスペクトル  fCR(E) ∝ E-(s+g) CR e- とは違い、CR p は銀河から冷える前に逃げる  銀河からの逃走でスペクトルが決まる (Leaky box model) d fCR fCR 定常 = + Qsour(E) fCR = tesc(E) Qsour(E) d t tesc(E) tesc(E) = Lsize2 / Ddiff(E) ,  Ddiff(E) ∝ Eg ,  Qsour(E) ∝ E-s (Rd=LsizeQsour∝qsour)  fCR(E) ∝ E-(s+g) 源のベキが p と e- で同じとすると  ( 必ずしもその必要はない!) Proton : s + g = 2.75  s = 2.45 , g = 0.3 Electron : s + 0.5 ( g + 1 ) = 3.1 s<3 より、SNRで冷却が効いてはだめ  長時間の閉じ込めはだめ

宇宙線の非等方性 非一様なCR源 なら、問題ない? 観測値は一様なCR源 の理論予想より小さい Blasi & Amato, JCAP, 2012

銀河宇宙線 (原子核、電子、陽電子) の起源は超新星残骸? ⇓ 超新星残骸の観測 (光子、ニュートリノ) 銀河宇宙線 (原子核、電子、陽電子) の起源は超新星残骸? ⇓ 超新星残骸の観測 (光子、ニュートリノ)

超新星残骸(SuperNova Remnant) 超新星残骸(SNR) : 星の大爆発の残骸 電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、GeV- g線、TeV-g線で観測 Cas A X線写真 Kepler http://chandra.harvard.edu/photo/2007/kepler/ Stage et al, Nature Physics 2, 614 - 619 (2006)

若い(~103yr)超新星残骸の典型的な値 Tycho 温度が数keVの熱的電子 が存在 1014eVの非熱的電子 物理機構は未解決 典型的な若い超新星残骸の物理量の値 大きさ           L 〜 1019cm 衝撃波速度       Vsh〜 0.01c 衝撃波近傍の磁場   B 〜 3-100μG 衝撃波上流の数密度   n 〜 0.1-1cm-3 衝撃波上流の温度     T 〜1eV 衝撃波下流の電子温度 Te〜0.2-2keV http://chandra.harvard.edu Tycho

超新星残骸からの放射 Continuum Line Synchrotron radiation Atomic lines Inverse Compton scattering Hα e- e+ Electron bremsstrahlung O, Si, Fe, etc. Jitter radiation (IC of plasmon) 阪大の寺木さん        の講演 Nuclear lines p0 decay gamma ray C, N, O, etc. p Ion Proton bremsstrahlung Annihilation line of positronium Recombination Two photon transition 511keV Positron annihilation in flight e+ Molecular lines Positronium annihilation to 3 photons CO dust Thermal emission from dust H3+, H2+

超新星残骸からの多波長スペクトル nFn 輝線は他にも沢山ある Fe Hα H2+ 511keV C,N,O CO Radio IR Solid line:primly CR e- nFn 輝線は他にも沢山ある Dashed line:CR proton Fe Dash-doted line:secondary e+- Hα H2+ IC 511keV C,N,O p02g CO dust e- Bremss 2nd e+- IC synchrotron p Bremss 2nd e-+ Bremss 2nd e-+ synch Radio IR Opt. X ray MeV g ray GeV g ray TeV g ray n

多波長スペクトルから分かる物理量(入門編) nFn nFnsyn,max∝NCR,eEe,max2 UB dNCR/dE∝E-s IC nFnIC,max∝NCR,eEe,max2 Usoft n(3-s)/2 nFnp0∝NCR,pngas n2-s synchrotron p02g n(3-s)/2 TeV g ray X ray n np0,max= 0.1Ep,max nsyn,max∝Ee,max2 B nIC,max∝Ee,max2 nsoft 連続成分のベキからCRの分布関数のベキ s を求める。 nFnp0 よりNCR,pngasを求める。 lmfp=hgrg tacc=tsyn,cool  Ee,max∝hg-1/2ushB-1/2  nsyn,max∝hg-1ush2よりhgを求める。 nFnsyn/nFnIC = UB/UCMB よりBを求める。 nsyn,maxよりEe,maxを求める。  nFnsyn,maxよりNCR,eを求める。

超新星残骸(SNR)の観測 radio X-ray TeV g-ray 1015.5 eV?, 1050 erg/SN ? Ha Cassam-Chenai et al. 2008 Acero et al. 2010 電波:電子の GeV までの加速 (~300 SNRs) X線:電子の TeV までの加速 (~10 SNRs) GeV-g:陽子の TeV までの加速 (~10 SNRs) TeV-g:電子 or 陽子の 10TeV までの加速(~10 SNRs) Ha 1015.5 eV?, 1050 erg/SN ?

これまでのモデル 異なるエネルギーを持った宇宙線は同時に解放される。 宇宙線は衝撃波で加速 dN/dE∝E-s Emax Emaxは時間とともに増加 ( t < tSedov ) Emaxはほぼ定数       ( t > tSedov ) tacc (E) ∝D/ush2∝E/(ush2B) 衝撃波が弱くなり、マッハ数が1 になると、SNR内の宇宙線が 解放される tSedov ~ 200yr t Qsour(E) ∝ E-s 銀河内を伝搬して、地球にたどり着く スペクトルは粒子の種類によらない Ddiff(E) ∝ Eg , dNobs/dE∝E-(s+g) 異なるエネルギーを持った宇宙線は同時に解放される。

超新星残骸からのTeV ガンマ線 UCR,p n d ~ 0.1 eV/cm2/s 1050erg 1/cm3 10kpc hnobs Energy flux of TeV g-ray (p0 decay) from CR p ( N(E)∝E-2 ) -2 UCR,p n d ~ 0.1 eV/cm2/s 1050erg 1/cm3 10kpc n~0.01? Superbubble? Energy flux of TeV g-ray (IC with CMB) from CR e- ( N(E)∝E-2 ) -2 hnobs 0.5 Kep d ~ 1 eV/cm2/s 10-2 1 TeV 10kpc HESS sensitivity ~ 0.1eV/cm2/s. 全てのSNRsで観測されるはず? 現在、電波では 300 個のSNRが観測されている。 HESSは ~10 個のSNRからのみTeV g-ray を観測。 Kep < 10-2 ?, TeV SNR の寿命が短い?  早期にSNRから逃走?

Spectral index at the shock, s Spectral index of radio synchrotron flux, fn∝n-p Reynolds et al., 2011, SSR Not universal? p = (s-1)/2 dN/dE∝E-s p

Spectral index at the shock, s Cas A Abdo et al., 2010, ApJ Cas A 斜め衝撃波中の 加速での非等方 Bell, Schure, Reville (2011) Tycho s = 2.1 - 2.3 中性粒子の効果 Ohira,Terasawa,Takahara ApJL, 2009 Ohira&Takahara, ApJL, 2010 Ohira, arXiv:1202.4620 Giordano et al., 2011 s > 2

マッハ数とベキ指数 dN/dE∝E-s s~2.3  M~4 ISM: Cs ~ 10 km/s SNR: Vsh ~ 3000 km/s

Middle-aged(104yr) SNRs の観測 Break SNR W44 Color : 2-10GeV Contour : 4.5μm IR (shocked H2) Very steep Broken power law Very steep spectrum (N(E)∝E-3) Abdo et al., 2010, Science, 327, 1103 加速理論 (N(E)∝E-2) 宇宙線観測(N(E)∝E-2.1-2.4) と矛盾 SNRは分子雲とぶつかっている

SNR、CR観測と加速理論の矛盾 銀河宇宙線の源として期待されるスペクトルはE-2.1-2.4 衝撃波加速理論はE-2 陽子とヘリウムで異なる宇宙線スペクトル 衝撃波加速理論は、イオンの種類によらない 最高エネルギーが1015.5 eVに達していない? Radio SNRsは300個、 TeV g 線では10個程度 現在のTeV g 線望遠鏡(Hess)の感度なら、全てのSNRに1050erg のCRが存在すれば300個のSNRからTeV g 線が観測されるはず Middle-aged SNRs の g 線スペクトルから期待される CR spectrumは、Broken power law で steep (dN/dE∝ E-2.7-3) 個々の矛盾は理論的説明は沢山ある。 SNRからのCRの逃走過程を考慮するとこれら全てが説明できる Young SNRs の g 線スペクトルから期待されるCR spectrumは、 DSAの予言よりsteep (dN/dE∝E-2.3)理論的説明はたくさんある

加速領域からの宇宙線の逃走 ush 衝撃波静止系 衝撃波面 密度 Low energy CR high energy CR x Lesc ~ Rsh 宇宙線の拡散長 : Ldiff = D(p) / ush Escape boundary Ldiff = Lesc となると、SNRから逃げ出す D=vLmfp / 3 ushが減速しだすと、高エネルギー粒子から先に逃げ出す

宇宙線の加速源からの逃走 SNR (tage / tSedov) ( t < tSedov ) Rsh = RSedov × Rdiff ∝ (Dt)1/2 Dは拡散係数 自由膨張段階 ( t < 200yr ): Emax は年齢で決まる Emax = Eknee ( t / tSedov ) (磁場の増幅が必要) Sedov 段階 ( t < 105 yr ) : Emax は閉じ込め条件で決まる Emax Em,esc は tesc = tacc で決める Eknee D Rsh2 cE tacc = hacc , tesc = hesc , D = hg ush2 3eB D B(t)t-1/5 Em,esc ∝ = Eknee (t / tSedov)-a hg(t) tSedov t Em,esc は時間とともに減少する

SNRから逃げた宇宙線のスペクトル E = mc2 のCRの数 N(mc2) ∝ tβ , β 0 < > 最高エネルギーEmax ∝ t-α , α > 0 Nesc SNR内全部のCRスペクトル fSNR ∝ tβ E-s E-s SNRから逃げたCRスペクトル N ∝ tβ dEmax Nesc(E) dE = tβ E-s dt dt E-s esc Nesc ∝ E-s esc β 一般に  s ≠ sesc sesc = s + α Emax ∝ t-α E 逃走過程でスペクトルが変わる Y. Ohira, K. Murase, R. Yamazaki, 2010, A&A, 513, A17

宇宙線スペクトルと 加速領域でのスペクトルの関係 Leaky box model Steady state dNCR(E) NCR(E) = + Qsour(E) NCR = tesc(E) Qsour(E) d t tesc(E) tesc(E) = Lsize2 / Ddiff(E) ,  Ddiff(E) ∝ Eγ ,  Qsour(E) ∝ E-s -sesc Qsour(E) ∝ E β NCR(E) ∝ E-(s+ +g) α β CR obs. : s + + g = 2.7 α s ~ 1.9 - 2.2 β g = 0.3 - 0.6, ~ 0.23 α

CR helium と CR proton と違い CR proton と CR helium のスペクトルの違いを考える。 加速領域内のスペクトルは成分によらない → 逃走宇宙線を考える スペクトルの違いΔs = 0.08 は   1014eVの宇宙線の He/p が 109eVの宇宙線のHe/pの3倍 宇宙の平均的なHeの量は、ビッグバン元素合成以降変わらない。 非一様なアバンダンス分布中を伝搬するSNRを考える。 Superbubble の中心付近や Red giant wind など p と He の密度プロファイル が異なるとする。

非一様な陽子とヘリウムの密度比 Ohira, Y. & Ioka, K., 2011, ApJL, 729, L13

T = 106K 理論モデルと観測との比較 Φ = 450MV np = const. He nHe ∝ r-0.715 p D ∝ p0.43 T = 106 K CR He hardening T = 106K 200GeV付近で hardening Superbubble! Ohira, Y. & Ioka, K., 2011, ApJL, 729, L13    22Ne/20Ne も superbubbleを支持

Superbubble ~700pc ISM ISM Rsh(tend)~200pc ~30pc Rsh(tSedov) ISM ISM Superbubble size ~ 700pc Star cluster size ~ 30pc ISM ISM SNR size at tSedov ~ 20pc Rsh(tend)~200pc SNR size at tend ~ 200pc SN ejecta dominate within 1/3 of 700pc ~ 230pc Higdon et al. (1998) ~30pc Rsh(tSedov) Weaver et al.(1997) ISM ISM

Middle-aged(104yr) SNRs の観測 Break SNR W44 Color : 2-10GeV Contour : 4.5μm IR (shocked H2) Very steep Broken power law Very steep spectrum (N(E)∝E-3) Abdo et al., 2010, Science, 327, 1103 加速理論 (N(E)∝E-2) 宇宙線観測(N(E)∝E-2.1-2.4) と矛盾 SNRは分子雲とぶつかっている

SNRからの宇宙線の逃走 fesc(E) はQs(E)よりソフトになる。 Aharonian & Atoyan(1996) 高いエネルギーの宇宙線は、 より早く広がる Rd(E) = [ 4D(E) t ]1/2 ∝ E0.5g g SNR E D(E) = c cm2 s-1 Rd,(Elow) 10GeV g > 0 (Galactic mean value g=0.3-0.6) r fesc (E,r) ∝ Qs (E) / Rd(E)3×exp[-(r/Rd)2] Rd,(Ehigh) ∝ Qs(E) E-1.5g fesc(E) はQs(E)よりソフトになる。 Aharonian & Atoyan(1996)

10GeV 付近の折れ曲がり 分子雲 L1 ~ 10pc Weaver et al.(1977) SNの前のstellar wind を考えると、 分子雲 L1 ~ 10pc Weaver et al.(1977) Rsh = L1のとき、宇宙線は一瞬で逃げる SNR その時の SNR 内の Emax~10GeV L1 Emax = t-α , α → ∞ fesc (E,r) ∝ Qs (E) E-1.5g ∝ E- ( s + b / a + 1.5g ) IC 443 W51C W28 W44 Ohira, Y., Murase, K., Yamazaki, R., 2011, MNRAS, 410, 1577

Hα (その1) Review paper: Heng, 2010 X ray 衝撃波上流は完全電離とは限らない(fi~0.1-0.5) (Ghavamian et al. ApJ 2000,2002) 無衝突衝撃波 電化交換反応 Cold neutral Hot plasma Hot neutral 上流 下流 Cold plasma 1015-16cm Cold plasma Cassam-Chenai et al. ApJ 2008 Hα 荷電粒子は無衝突衝撃波で減速、加熱 中性粒子は無衝突衝撃波を通過 Chevalier&Raymond(1978) Cold neutral Winkler et al. ApJ 2003 Hot neutral Ghavamian et al. ApJ 2002

Hαの観測(その2) Raymond et al., ApJ 2010 Non-Gaussian ? Superposition?

Hαの観測(その3) 衝撃波上流からも狭いHα (Lee et al.,2010) 狭い方と広い方の強度比  Te / Tp Lee et al.,2010, ApJ, 715, L146 衝撃波上流からも狭いHα (Lee et al.,2010) 狭い方と広い方の強度比  Te / Tp (ただし、CRの影響が無視できるときだけ) 狭い方の幅  上流の温度 広い方の幅  下流の温度 Tycho RCW86の場合、固有運動から衝撃波速度 ush ~6000±2800 km/s が観測されている。 Helder et al.,Science, 2009 Tp = 3mpush2/16 = 70 keV RCW 86 広い方の幅は、2.2 keVの温度に対応  CRがエネルギーを持ち去った? 狭い方の幅も広い  Tup ~ 30-100eV  CRが上流を加熱? 中性の水素の効果でも、上記を説明可能 Ohira et al.(2009), Ohira & Takahara (2010), Ohira(2012)

部分電離プラズマ中の衝撃波構造 上流で高温の Pickup Ion 下流から中性水素が染み出す イオン化 Cold neutral Hot plasma Hot neutral 上流 下流 Cold plasma Cold plasma 上流で高温の Pickup Ion イオン化 下流から中性水素が染み出す 上流でできたPickup ions は、無限上流で0.衝撃波面近くで多くなる Pickup ions の圧力勾配により、衝撃波上流でプラズマ流が減速 全圧縮率は4 衝撃波圧縮率は4以下になるs<2 Ohira(2012)

H3+ CR + H2  CR + H2+ + e- Ionization = recombination Indriolo et al., 2010 Tavani et al., 2010 Galactic CR によるイオン化 IC443 IC443 GeV-TeV g ray Indriolo et al., 2009 H3+ による吸収線の観測  H3+ の量からCR ionization rate を求める。 CR + H2  CR + H2+ + e- Ionization = recombination H2 + H2+  CR + H3+ + H z2n(H2) = kenen(H3+) H3+ + e- H2 + H or H + H + H  z2 ~ 10-15 s-1 > 10-16 s-1

H2+ 低エネルギー CRによって イオン化率が 大きくなり、 H2+, H3+の輝線 も観測できる H3+の輝線 H2+の輝線 ガンマ線で観測 できない 低エネルギーCR の観測に重要 Becker et al, arXiv:1106.4740

Nuclear lines Cas A Fermiの観測から dNCR/dp ∝ p-2.3 MeV 領域の CRの情報、 アバンダンス などが分かる Summa et al., arXiv:1107.4331

511keV, proton Bremss, radiation from 2nd e± Ohira et al., MNRAS Letter, 2012 t = 3×104 yr R=30pc n=300cm-3 B=30mG 電子の冷却時間 陽子の冷却時間 対消滅時間 拡散逃走時間 e+-Brems. pBrems. e+-Annihilation Total pp→p+- からの100MeVの2次e+- は 3×104 yr で冷える Fermi F>100MeV = 10-6 ph cm-2 s-1 F511keV ~ 10-7 ph cm-2 s-1 511keV line が Advanced Compton Telescope で観測可能! 陽子の制動放射が ASTRO-H で観測可能! 場合によっては2nd e±のシンクロトロンも ASTRO-H で観測可能!

まとめ 銀河宇宙線の源として期待されるスペクトルはE-2.1-2.4 標準的衝撃波加速理論はE-2 陽子とヘリウムで異なる宇宙線スペクトル 標準衝撃波加速理論は、イオンの種類によらない Radio SNRsは~300個、 g 線では~数10個 Middle-aged SNRs の g 線スペクトルから期待される CR spectrumは、Broken power law で steep (dN/dE∝ E-2.7-3) SNRからのCRの逃走過程を考慮するとこれら全てが説明できる Young SNRs の g 線スペクトルから期待されるCR spectrumは、 DSAの予言よりsteep (dN/dE∝E-2.3)理論的説明はたくさんある AMS-02, CALET, Astro-H, CTA, LHAASO と新しい観測は沢山

SN1006  B~100mG X線の半径方向の分布 下流で暗くなっている シンクロトロン冷却 下流 上流 Berezhko et al.,2003, A&A, 412, L11 Leptonic の問題: Small B、TeVが広がりすぎ、TeV specrum Hadronicの問題: sproton = 2.0 < selectron ~ 2.2 どちらがよいとは言えない Acero et al.,2010, A&A, 516, A62

RXJ1713 GeV-TeVのスペクトルはICを示唆  nFnsyn/ nFnIC より B~10mG Abdo et al., 2011, ApJ, 734, 28 Uchiyama et al., 2007, Nature ~1yr の変動加速、冷却が~1yr B~1mG GeV-TeVのスペクトルはICを示唆  nFnsyn/ nFnIC より B~10mG Wp < 0.3×1051(n/0.1cm3)-1erg

Tycho X線フィラメントの厚み  B~100mG 接触不連続面と 先進衝撃波の間が狭い  圧縮率 r > 4 Giordano et al, arXiv:1008.0265 X線フィラメントの厚み  B~100mG 接触不連続面と 先進衝撃波の間が狭い  圧縮率 r > 4 s = (r+2)/(r-1) s < 2 dN/dE∝E-s 電波、ガンマ線スペクトルは s = 2.3 < 2 ( Cas A も s > 2 ) 加速された電子が少ない

Nonthermal e- bremsstralhung Synchrotron Synchrotron X線より高いエネルギー では、nonthermal e- の制動放射 加速されはじめの e-の量が分かる Nonthermal e- bremss. ~10keV Cas A Tycho すでに観測されている? すでに観測されている? Vink, 2008, A&A

Fe satellite lines wは6.7keV 以上の e-が寄与 j は4.69keV d13 は5.81keV のe-だけが寄与 Kaastra et al., A&A, 2009 Nonthermal e- があると、 wが多く出る 銀河団の場合、ASTRO-H や IXO で nonthermal e- の存在を確認できる。 SNRでもできる? Gabriel & Philips, MNRAS, 1979