遺伝情報を利用した 楽観的な選択と悲観的な選択 日本遺伝子診療学会 2016/10 山田 亮, Wang Juan
状況設定 複数の選択肢 決断する
状況設定 複数の選択肢 決断する 疾患X : 治療法 A と B
状況設定 複数の選択肢 決断する 疾患X : 治療法 A と B 臨床試験
状況設定 複数の選択肢 決断する 疾患X : 治療法 A と B 臨床試験
状況設定 複数の選択肢 決断する 疾患X : 治療法 A と B 臨床試験 希少疾患 試験 対象クライテリア外の患者(年齢、合併症…)
状況設定 複数の選択肢 決断する 疾患X : 治療法 A と B 臨床試験 希少疾患 試験 対象クライテリア外の患者(年齢、合併症…) 試験 対象クライテリア外の患者(年齢、合併症…) 個別化医療
状況設定 複数の選択肢 決断する どの選択肢がよいかの情報は限られているときにどうするか?
例 疾患X 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6
例 疾患X 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 どちらを選びますか!
例 疾患X 標本成功率 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 A : 2/(2+3) = 0.4
どちらを選びますか! 例 疾患X 標本成功率 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6
例 疾患X ベイズ流 期待値 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 ベイズ流 期待値 A : (2+1)/(2+3+2) = 3/7 = 0.43 B : (6+1)/(6+6+2) = 7/14 = 0.5
どちらを選びますか! 例 疾患X ベイズ流 期待値 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 ベイズ流 期待値 A : (2+1)/(2+3+2) = 3/7 = 0.43 B : (6+1)/(6+6+2) = 7/14 = 0.5 どちらを選びますか!
そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 この後、何人が治療選択をするかわからないけれど、その人たちが迷わなくてよいように、統計家が動的計画法を使って教えてくれる数値。大きい方を選べ。 そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 例 疾患X 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 Gittins Index A : 0.6726 B : 0.6504
そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 この後、何人が治療選択をするかわからないけれど、その人たちが迷わなくてよいように、統計家が動的計画法を使って教えてくれる数値。大きい方を選べ。 そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 例 難しいことはさておき 疾患X 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 Gittins Index A : 0.6726 B : 0.6504
そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 この後、何人が治療選択をするかわからないけれど、その人たちが迷わなくてよいように、統計家が動的計画法を使って教えてくれる数値。大きい方を選べ。 そうすると、治療を受ける人たち全体での成功率は最大になる。 例 難しいことはさておき 疾患X 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 Gittins Index A : 0.6726 B : 0.6504 どちらを選びますか!
例 疾患X ジレンマ 『自分のために選ぶ vs. みんなのために選ぶ』 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 ジレンマ 『自分のために選ぶ vs. みんなのために選ぶ』
例 疾患X ジレンマ 『自分のために選ぶ vs. みんなのために選ぶ』 治療法 A : 成功 2 失敗 3 治療法 B : 成功 6 失敗 6 ジレンマ 『自分のために選ぶ vs. みんなのために選ぶ』 自己決定権は 大事にしたい
期待値 は 本当に正しいのか?
期待値 は 本当に正しいのか? さきほどの『期待値』は、成否情報がないときに、成功率が0-1の一 様分布であると仮定していたけれど、本当にそうか… もし、そうなら、 既存治療法 P : 成功 120 失敗 40 新規治療法 Q : 成功 0 失敗 0
期待値 は 本当に正しいのか? さきほどの『期待値』は、成否情報がないときに、成功率が0-1の一 様分布であると仮定していたけれど、本当にそうか… もし、そうなら、 既存治療法 P : 成功 120 失敗 40 新規治療法 Q : 成功 0 失敗 0 臨床試験にエントリーする?
Yes! 期待値 は 本当に正しいのか? だって、Qの方が 良いかもしれないじゃないですか 期待値 は 本当に正しいのか? さきほどの『期待値』は、成否情報がないときに、成功率が0-1の一 様分布であると仮定していたけれど、本当にそうか… もし、そうなら、 既存治療法 P : 成功 120 失敗 40 新規治療法 Q : 成功 0 失敗 0 臨床試験にエントリーする? Yes! だって、Qの方が 良いかもしれないじゃないですか
方法
2つの戦略 期待値の高い治療法を選ぶ (期待値戦略) 期待値の高い治療法を選ぶ (期待値戦略) 期待値よりやや高めの目標値を設定し、それより成功率が高い確率 を比べて、高い治療法を選ぶ (標的戦略 ~ 楽天的戦略)
100人が順次、選んで行ったときに、結果として、 治療法A,Bのどちらを選ぶか 100人全体の成功率はいくつになるか 期待値戦略 楽天的戦略 Figure 1 panel A_1 and panel A_2 shows the result of homogeneous 𝑬.𝒔𝒕 and homogeneous 𝑻.𝒔𝒕 with 𝑤 = 0.5, for 𝑎 = 0.8, 𝑏 = 0.6 and 𝑁 ≤100. 100人が順次、選んで行ったときに、結果として、 治療法A,Bのどちらを選ぶか 100人全体の成功率はいくつになるか
期待値戦略だと、良い治療法を集中的に選択することもあるが、悪い治療法に集中してしまうことがあり、結果として、全体の成績は落ちる 楽天的戦略 Figure 1 panel A_1 and panel A_2 shows the result of homogeneous 𝑬.𝒔𝒕 and homogeneous 𝑻.𝒔𝒕 with 𝑤 = 0.5, for 𝑎 = 0.8, 𝑏 = 0.6 and 𝑁 ≤100. 期待値戦略だと、良い治療法を集中的に選択することもあるが、悪い治療法に集中してしまうことがあり、結果として、全体の成績は落ちる
楽天的ならいつでもよいのか? 成功率 (1,1) (0.5,0.5) (0.5,0) 人数 (1,0) 悲観的 楽天的 楽観・悲観戦略がよい 期待値戦略がよい
2治療法の成功率による 楽観・悲観の程度にもよる 人数にもよる 楽天的ならいつでもよいのか? 成功率 (1,1) (0.5,0.5) (0.5,0) 人数 2治療法の成功率による 楽観・悲観の程度にもよる 人数にもよる 楽観・悲観戦略がよい (1,0) 悲観的 楽天的 期待値戦略がよい
楽観の程度によらず 楽観 > 期待値 悲観の程度によらず 悲観 > 期待値
楽観的な人もいれば、悲観的な人もいるのが現実
N=50 全員が ほぼ期待値戦略 楽観・悲観の 両方が居る ばらつき 大 ばらつき 小
まとめ 個別化により小規模標本データを決断に活かしたくなることがある よりよいものを求めるときには楽天的であれ 集団に決断多様性があれば、自己決定権を尊重しながら、全体の 利益にもなりうる