生体構成物質化学 早稲田大学理工学部化学科 担当 林 利彦
生体構成成分 脂質、リン脂質は生体膜の構成、貯蔵エネルギー源、 糖質、エネルギー源、多糖、タンパク質の修飾 タンパク質、アミノ酸の縮合重合体、立体構造、生命体の70%を占める。機能高分子 核酸、遺伝子情報の保持、発現、調節、エネルビーの現金
官能基および生体基本物質の構造式 メチル基、アセチル基、アルキル基、アルコール、アルデヒド、カルボキシル基、(酸化段階) アミノ基、一級、二級、三級 芳香族、イミダゾール、ピリミジン、プリン、インドール、 塩基性と酸性、水素結合 エステル、アミド、 チオール、ジスルフィド リン酸、硫酸、
細胞分子生物学=生体構成物質化学 分解 合成 核酸 → ヌクレオチド → 核酸 タンパク質 → アミノ酸 → タンパク質 分解 合成 核酸 → ヌクレオチド → 核酸 タンパク質 → アミノ酸 → タンパク質 脂質 → 脂肪酸、グリセロール→ 脂質 多糖 → グルコース → 多糖 分解は加水分解、合成は脱水縮合(エステル化、アミド化) 合成にはATPが必要、ATP産生は酸化還元反応 酸と塩基について
酸と塩基 アミノ酸AA+⇌AA±⇌AA- 第一段階の電離定数Ka1 第二段階の電離定数Ka2 等電点pHI=1/2(pKa1 + pKa2) タンパク質にも等電点がある。多くのタンパク質はpHi<7、Asp+Glu>Lys+Arg イミダゾール、ヒスチジンの側鎖、酸⇌塩基が酵素の作用中心にある。 核酸塩基、ピリミジン、チミンになるとラクタムに平衡がよっている。ラクタムは塩基性がない。ラクチムは塩基性がある。
補遺 シッフ塩基について、ピロールとピリジンの違いについて。イミダゾールとピリミジンについて、 シトシンについてカルボニル基がヒドロキシ基になると塩基対はどうなるか。
生体を構成する基本の4つの物質について、その構造と生体機能と代謝; 1.核酸、DNAとRNA 2.脂質:水に溶けない物質(有機溶媒に溶ける物質、多くは界面活性剤を用いると溶ける。 3.糖について、環状構造とアノマー、高分子、多糖の形成様式。還元性の基。 4. アミノ酸とタンパク質について、光学活性、プロキラリティー、ピルビン酸とL-乳酸の関係。
1.核酸、DNAとRNA ヌクレオチド、ホスホジエステル 核酸塩基、リボース(デオキシリボース) ピリミジン、C,T,U プリンA,G 二重らせん、らせんの方向と直角の面に塩基対 半保存的に 塩基配列と遺伝子、アミノ酸のコード、エキソンとイントロン ゲノム、2倍体。
2.脂質 中性脂肪とリン脂質(ホスホリルリピド)。 リン脂質と生体膜:界面活性剤とミセルとの違い。 水の構造(エントロピー)と疎水性の相互作用の関係。 不飽和脂肪酸の融点は低い。固体と液体とでのエントロピー変化が大きい。 リン脂質からなる生体膜の流動性を維持するコレステロールの役割 コレステロールの構造式と全体の形。
3. タンパク質 グリシンプラス19種のα-L-アミノ酸 ポリペプチド鎖、主鎖のアミド結合(ペプチド結合) アミノ酸残基(側鎖)の種類 疎水性、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン 親水性、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン; プロリン 荷電基、マイナス、アスパラギン酸、グルタミン酸 プラス;リシン、アルギニン、ヒスチジン その他、システイン(酸化されてジスルフィド結合) 水素結合、疎水性の相互作用、荷電基、酸化還元
非共有結合性の相互作用 ファンデルワールス力;斥力と引力(ロンドン力) (立体的な接触面の大きさ) 静電的な力(クーロン力、水の誘電率) 水素結合(酸素と窒素についた水素原子) 疎水性の相互作用(水の構造、エントロピー)
4.糖質 D-グルコース、エネルギー源(グリコーゲンに短期的に貯蔵)、他の六炭糖(ガラクトース、マンノース)、ヘキソサミン、ウロン酸 (GAG多糖)。 D-リボース、ヌクレオチドのパーツ、キシロース、 糖タンパク質の糖、品質管理、細胞表面の認識 多糖;GAG鎖、プロテオグリカン。ヘパラン硫酸。
細胞分子生物学 すべての生命体は細胞からなる。 原核細胞(バクテリアなど)と真核細胞がある。 細胞はどの生物でも複製単位である。 原核細胞と真核細胞の大きさは長さで10倍異なる。 真核細胞にはオルガネラ(細胞内小器官)がある。核、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体、分泌顆粒、ミクロボディー。リソソーム、液胞等がある。 生体膜で仕切りされている。(水、親水性物質は自由に透過できない。)
単位低分子の脱水縮合 単位低分子 1.グルコースなど単糖→でんぷん、グリコーゲン、セルロース、ムコ多糖、アグリカン 2.アミノ酸→タンパク質 3.脂肪酸、グリセリン、リン酸→中性脂肪、リン脂質 4.ヌクレオチド、DNA, RNA
分子生物学(狭義) 遺伝子の本体、DNA分子を設計図として、生物を理解する. DNAの複製、細胞の増殖、倍々と増える。同じコピーのDNAクローンという。 分子生物学のセントラルドグマ(すべての生物) DNA→RNA→タンパク質、糖の修飾などがあって完成。 RNAからDNAへのコピー、逆転写酵素により、実現できる。PCR DNAの塩基配列の解読。アミノ酸への置き換えとタンパク質の機能変化。保存されているアミノ酸配置。
糖脂質 膜貫通タンパク質 コレステロールとリン脂質 膜横断輸送とポンプ
水分子 pH、プロトン濃度、 イオンチャンネル:親水性物質に対する生体膜による障壁と輸送系 疎水性物質の凝集 両親媒性
構造 一次構造 タンパク質の二次構造 三次構造 四次構造 対称性 らせん対称性
二次構造 aらせん構造
タンパク質の高次構造-1 二次構造:αらせん、β構造、βターン、ポリプロリンⅡ構造(コラーゲンらせんの中の1本のポリペプチド鎖にあたる);主鎖の単結合の周りの回転が一定である。水素結合および他の非共有結合性相互作用 超二次構造:二次構造が数本会合して安定化する。二次構造間の相互作用、疎水性相互作用と静電的相互作用 三次構造:コンパクトなまとまりを持つ、比較的分子量の小さいポリペプチド鎖での塊についての考え方、一般化する時点で、一本のポリペプチド鎖からなる構造という考え方であったが、長いポリペプチド鎖の場合は最初の考え方と合わない部分がでる。そこで、モジュールという捕らえ方が生まれた(モチーフ、ドメインなどと混同されることもある) 四次構造、まとまった、単鎖からなる三次構造をもったものが、二個、三個、四個、五個、六個、七個、、、と対称的に会合した構造に 五次、六次などの構造もありうるが、定義する意味はどうか。
タンパク質の高次構造-2 コンパクトなまとまりを持つモジュール モジュ-ル間の相互作用は高次構造のどれにも共通する、非共有結合の相互作用が協同現象的に生じることに依存している。その外にジスルフィド結合およびその他の架橋結合による相互作用が形成される。 ジスルフィド結合は、酸化還元作用により、可逆的でありうる。タンパク質ジスルフィド結合イソメラーゼというものがある(プロリルヒドロキシラーゼのβサブユニットと同一のタンパク質) スワッピング、β構造二本をまとめて互いに入れ替わる。プリオンタンパク質の重合でも。 多数のタンパク質単位が線状に重合する場合もしばしばらせん状になる。
タンパク質立体構造
生体構成単位分子間の結合と非共有結合性相互作用 アミド結合、ジスルフィド結合 リン酸ジエステル 配糖体 エステル結合 非共有結合性相互作用 水素結合 疎水性の相互作用 ファンデルワールス力(斥力と引力) 静電的な相互作用