オーストラリアにおける水道水フロリデーション

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オーストラリアにおける水道水フロリデーション 5-12歳の10195名の小児 クイーンズランド州;人口310万人で水道水フロリデーション人口5.1%。 南オーストラリア州; 人口150万人で水道水フロリデーション人口 70% 5-15歳の9690名の小児

第一大臼歯のう蝕経験に対する萌出前および萌出後における水道水フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)の相対的効果 背景:  各種フッ化物利用によって、水道水フロリデーションの効果が疑問視されている。そこで、水道水フロリデーションによる萌出前後の相対的効果はう蝕予防に関する口腔保健情報に際して、特に公共水道のフッ化物濃度調整に関する政策上重要である。 本研究目的:  個々人の飲水歴と交絡因子の影響をコントロールして 6〜15歳のオーストラリア小児の第一大臼歯う蝕予防に対する水道水フロリデーションの萌出前と萌出後の効果を明らかにすること。

第一大臼歯のう蝕経験に対する萌出前および萌出後における水道水 フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)の相対的効果 水道水フロリデーションによる歯の萌出前(PRE)と萌出後(POST)の 小児う蝕予防効果に関して一致する見解はない。 1950年代、60年代、70年代に行われた水道水フロリデーションの研究; 1)水道水Fの開始前後あるいは中断前後のう蝕状況を調べて、居住期間を基に  (萌出後のう蝕予防効果)-(萌出前のう蝕予防効果) 2)う蝕と関連深い、バイアスとなる社会経済状況(SES)と食事因子ならびに  飲水歴という交絡因子がコントロールされていなかった。

方法                   このプロジェクトには、オ-ストラリア小児フッ化物研究(CFS)からのベースラインデータを用いた。CFSは小児を対象に3年ごとに行われる広範な各地のう蝕調査である。データ〜1991年6月から1992年5月に口腔診査と保護者への質問票調査 対象地区.  南オーストラリア州;人口150万人で水道水フロリデーション人口はその70%  クイーンズランド州;人口310万人で水道水フロリデーション人口はその5.1%。 口腔診査.  学校歯科医または臨床スタッフ(学校歯科看護婦と歯科医師)はWHOの基準で乳歯dmfsと永久歯DMFSを調べた。歯面別に処置と未処置、小窩裂溝歯面にコード化して評価した。 保護者に対する質問紙調査. 質問紙では、対象児の生年月日と出生後の居住歴について質問した。居住場所については、6カ月以上の生活をメドに、通常使用する水源を質問した。質問票には、SESと任意のフッ化物の使用状況についても調査した。 データ分析. 第一大臼歯のDMFS(DMFS6)を歯面別データ分析に用いた。個人別に萌出前と萌出後のフッ化物利用を区分けするカットオフあるいはthreshold年齢を求め、男子の萌出年齢を80月(6.67年)、女子の萌出年齢を78月(6.50年)とした。

Postcode-fluoride database;居住歴に対応する水道水フッ化物利用について地図を作成し、公共水道水のフッ化物濃度を以下の3群に分けた。      0ppm群(0.3ppmF未満)、      0.5ppmF群(0.3-0.7ppmFの濃度)、      1ppmF群(0.7ppmFを超える濃度)これが至適F濃度である。  飲料水以外に、間接的に調理に使われたり、飲み物とソフトドリンクとしても利用される。さらに、地域の公共水を利用して作られる大抵の食品はフッ化物を含んでいる。したがって、公共水に適量のフッ化物調整が行われている地域に住んでいるならば、さらにフッ化物調整された水で作られた飲食物を介してフッ化物の恩恵に与る。飲料水以外の飲食物からのフッ化物摂取の推定値はNHMRC(23)国家保健医学研究協議会適用表ガイドラインである各地域の飲料水中のフッ化物濃度に拠った(24-26)。2歳児については体重1kgあたりのフッ化物摂取が最大値を示すのでこの年齢を選んだ。表1のNHMRCのガイドラインを使って居住地域の飲料水中フッ化物濃度を基に9つの水由来のフッ化物摂取の場合分けを行った。

萌出年齢を基に、水道水のフッ化物利用、居住歴、小児の年齢、萌出前後のフッ化物利用の割合を基に算出した。至適濃度のフッ化物利用を考慮して萌出前と萌出後の水道水フッ化物利用の割合を次式から計算した。 萌出前:               Eq.1 Σ居住年(萌出年齢まで)×フッ化物利用の割合(利用した地域水源のフッ化物イオン濃度)÷[threshold age] 萌出後:               Eq.2 Σ居住年(現在の年齢-萌出年齢)×フッ化物利用の割合(利用した地域水源のフッ化物イオン濃度)÷[age-threshold age]

 移住により水源のフッ化物濃度が異なる場合には、それらを加算して萌出前あるいは萌出後の期間で除した。得られた数字は至適フッ化物濃度で萌出前あるいは萌出後にフッ化物利用した期間として、割合で示した。  例1:女児(萌出年齢78か月)で、138月の小児 22月は0ppmで暮らし、その後の72月も0ppmで生活し、その後、1ppmの地域で43.5月 暮らして、その後に1ppmの地域で0.5月生活している。 萌出前={22×0}+{(78-22)×0}÷78=0 0%  lifetime exposure 萌出後={(72-56)×0}+(43.5×1)+(0.5×1)}÷(138-78)=0.7333                   73.33% lifetime exposure 例2:男児(萌出年齢80か月)で、178月の小児 120月は0.35ppmで暮らし、その後の10.5月は1ppmで生活し、その後、0ppmの地域で47.5月暮らしている。 萌出前={80×0.35}÷80=0.35  35%  lifetime exposure 萌出後={(120-80)×0.35}+(10.5×1)+(47.5×0)}÷(178-80)=0.25                     25% lifetime exposure

 水道水フッ化物利用の種別とは別に、年齢、SES、その他任意のフッ化物利用といった交絡要因がある。SESについては、質問票で年間課税前収入、最終学歴、職業を尋ねた。 フッ化物配合歯磨剤、錠剤/液剤、乳児哺乳状況、フッ化物洗口などの水道水フッ化物利用以外のフッ化物利用が交絡因子とみなされる。  質問票では、歯磨と洗口回数を質問した。分析にあたり、頻度(フッ化物錠剤と液剤、歯磨剤、洗口剤)の使用頻度ならびに使用期間を変数化して現わした。歯磨回数は一日平均回数で、一日1回未満、1ないし2回未満、2回以上の3群に分けた。Professional fluoride treatmentについては、水道水フッ化物利用とう蝕経験量を左右する要因になると考えられるので、これも説明変数として採用した。  歯磨開始年齢については、歯科保健行動の指標とした。フッ化物配合歯磨剤については、幼児がうっかり飲み込むと萌出前の影響となるが、これは萌出後のフッ化物供給源とみなした。分析では、歯磨開始年齢を0-2<years, 2-4years, >4yearsの3カテゴリーに分けた。その他の交絡因子として、フィッシャーシーラントがあり、これを面別に0、1-2、3-8歯面と3群に分けた。  変数として、水道水フッ化物利用と年齢、保護者の収入、歯磨開始年齢、フッ化物配合歯磨剤使用頻度、専門的フッ化物処置の加療、フッ化物補助剤の使用、フッ化物口の使用、フィッシャーシーラント処置歯面数を掲げた。最小二乗回帰を用いて、各指標変数の有意性を検討した。こうして各変数のβ係数も算出した。これは各群との関連の方向性と強さを示す。

結果                  対象児.本研究に親が同意した小児を対象児とした。南オーストラリア州では13911名の小児のうちの9690(69.7%)が研究に参加した。クイーンズランド州では、18348名の小児に対して55.6%の10195名の参加小児である(19)。参加率は年齢群と階層によって異なる。全体として、若年者群の参加率の方が高かった。例えば、アデレードでは5歳児の参加率は70.4%で、15歳児では59.8%であった(19)。本研究に参加した年齢分布のから、その大半は12歳未満でその参加率については、6-7歳児(28.8%)、8-9歳児(27.3%)、10-11歳児(26.4%)、112-13歳児(13.2%)、14-15歳児(4.3%)であった。総数19885名の小児のうち、質問票で対象児の居住歴が申告されていたのは17773名であった。  う蝕分布.グループごとの第一大臼歯DMFSの分布が調べられた。17031名には1歯以上の第一大臼歯があった。平均DMFS6は0.6(SD=1.37)で0から20の範囲であった。12000名(67.5%)の小児のDMFS6は0であった。分布については、高度に正の歪度で3.46のskewnessであった。

PRE and POST Exposure変数.   表2に、PRE and POST対象児の分布をクロス表として示した。PRE and POSTともに0%exposureのセルが最大数の5679名であった。次いで、PRE and POSTともに100%exposureのセルが3450名であった。PRE と POST exposureが>0-<30%、30-<60%、60-<90%のカテゴリーに対応したセルに属するすべての対象は等しくPRE and POST exposureであるとは限らない。これらのセルはPRE exposureのケースがPOST exposureと同じ範囲にあることを示し、<0-<90%の同等なPRE と POST exposureで示されるケースの区分である。PRE と POST exposure変数の組み合わせによる独立したカテゴリーである。このクロス表で示されるのは、多くの対象児が類似のPRE と POST exposure の傾向にある。そこで、PRE exposure と POST exposureには強い相関性があり、ピアソン相関係数は0.74(p<0.01)で正の高い相関性が示され、したがって、相関性を排除するため方法の一部としてPRE と POST exposureを組み合わせることは妥当である。

図1 PRE と POST exposureを組み合わせた  カテゴリー別の対象児数のコード化

(1)PREとPOSTともに、exposure 0% (2)PRE<POST exposure  萌出前後のフッ物利用のカテゴリーに属する頻度の相関表を行列化して作表 この5つのカテゴリーは、PRE exposure順となっている。 (1)PREとPOSTともに、exposure 0%  (2)PRE<POST exposure    PRE exposure が0-<90%で、POST exposureは>0-100%    (3)PRE=POST exposure    35-85% (4)PRE>POST exposure    (5)PREとPOSTともに、maximum exposure

表3 PRE,POST Exposureを組み合わせた 5つのカテゴリー

指標変数で第一第臼歯のDMFSのグループ平均値を計算して、二元分散直線回帰分析で、その平均値と各独立変数について比較検討した。  表4にグループ平均値と有意性を示す。  フッ化物利用の群別では、PRE & POST>90% とPRE>POSTはno exposureのカテゴリーに比べて有意に低いDMFSであった。齲蝕経験量は年齢とともに、刷掃開始年齢が遅くなるにつれて、刷掃頻度が少なくなると、フッ化物歯面塗布、洗口と哺乳状況の悪化につれて増加し、親の収入の増加につれて齲蝕は減少した。フッシャーシーラントの歯面数との関連では、1-2歯面では有意な増加と3-8歯面ではDMFS6と有意な減少に関連した。DMFS6とフッ化物補助剤との関連を認めなかった。

表5には、交絡因子をコントロールしてDMFS6の最小二乗回帰分析の結果を示す。  多変量モデルを用いたPRE vs. POST解析.  表5には、交絡因子をコントロールしてDMFS6の最小二乗回帰分析の結果を示す。  フッ化物利用の変数の負のベータ相関係数については、no PRE and POST exposureの群に比べて予防効果を示している。  PRE exposureの増加につれて(すなわち、exposure-response relationship)、齲蝕経験量の減少が観察された。交絡因子については、乳児の哺乳状況、>0-50ケ月のフッ化物補助剤の使用については各々有意ではなかった。フッ化物歯面塗布の各変数のβ係数は塗布回数が増えるにつれて強くなることを示している。一日平均の刷掃回数の減少に応じて正のβ係数の強さが増して一日2回以上群の頻度で最高値を示した。50カ月を超える滴下剤や錠剤のフッ化物補助剤の使用は齲蝕の減少と関連していた。  3面以上のフッシャーシーラント処置児のDMFS6は有意に低かった。  交絡因子をコントロールすると、high PRE and POST exposureとhigher PRE than POST exposureのDMFS6の値は低く、higher POST than PRE exposureよりも有益であった。R二乗値のモデルから、第一大臼歯DMFSの値の分散値の11.8%は独立変数で説明できることが示された。

 Discussion                        本結果では、PRE exposureによる齲蝕予防作用が重要であることを示している。PRE=POST exposureは各々の時期に平均60%のフッ化物利用状況であった。 PRE<POSTとPRE>POSTのカテゴリー群のPREフッ化物利用はそれぞれ、平均40.1%と66.6%であった。これらのカテゴリー間では、PREフッ化物利用に応じてβ係数の強さが増したので、PRE exposureと齲蝕有病間のフッ化物利用とその効果との関係が示された。PRE<POSTでは、77.4%平均POSTの方が多く、low PRE exposureは有意ではないが、DMFS6の値は高かった。  POSTだけの水道水フッ化物利用では齲蝕予防には十分と言えず、PREのみのフッ化利用の方が低いDMFS6の値であった。  最大の齲蝕予防効果はhigh PRE&POST exposureによって達せられた。したがって、個人の飲水歴を基にしたこの多面的な研究で、萌出前フッ化物利用の相対的な重要性がこのところ言われている考え方を凌駕するものと考えられる(14,15,29)。

 二元分散直線回帰分析から、人工乳による哺乳がSESと教育程度と関連ししてるものと思われ、これが齲蝕の増加と関連していた。  既に齲蝕のあるハイリスクの対象児では、フッ化物歯面塗布を受けてフッ化物洗口を指示されていた。10の説明変数のうちで、7つの変数は有意性と方向性が二元分散と多変量分析で一致していた。フッ化物洗口と哺乳状況の説明変数については、二元分散では有意であったが、多変量分析では有意でなかった。一方、フッ化物補助剤の使用についてはその逆であった。二元分散と多変量分析の有意性の違いは、多変量分析における交絡因子の範囲のコントロールを反映している。

  方法論に関する問題についてはこの研究シリーズの別の論文で取り上げている(19)。方法論に関する議論を以下に述べる。  Eruption Age Data.対象児の歯の萌出年齢の情報はないので、推定年齢を南オーストラリア州で行われた歯の萌出年齢に関する追跡調査から男女別に算出した。以下の2つの利点がある。  ・今回の研究対象児と同一の地区の小児から得られたデータであること。  ・研究の時期もほほ同じであること(すなわち、同時代のデータ)  さらに、上顎と下顎第一大臼歯の平均萌出年齢は男女別に算出しているので、より正確である。  一方、萌出年齢にはばらつきがあり、平均推定萌出年齢を用いると分類を誤ることmisclassificationもある。しかしながら、この分類の誤りについては本質的な問題ではなく、かえって、フッ化物利用とその効果に関連がないという帰無仮説の検定の方向性を弱める結果の確率を高めることになる(30)。  男女別の歯の推定萌出年齢は個々の萌出年齢に近似して妥当な歯の萌出年齢となる。  推定の平均萌出年齢を用いる意味合いには、つぎのような問題もある。診査時のこどもがその年齢あるいはそれ以下の場合にPOST exposureはないとみなされることである。これらの小児は女児72-78月と男児72-80月である。これらのリスク期間は0カ月とみなされた。年長児では女児で102ケ月以上、男児で100ケ月以上となれば、そのリスク期間はもっと大きくなる。リスク期間のこのようなばらつきは、交絡因子としての年齢をみなし、また多変量分析で年齢をコントロールすることで調整した。  Dietary Patterns.CFS質問票には砂糖摂取などの食行動の項目を設けていない。その訳は、齲蝕の少ないグループでは砂糖と齲蝕の関連を示すのは難しいからである(31)。

Exposure Categorization into 0,0.5 and 1ppm.   Negative Binomial Regression. 負の二項回帰 Skewed 歪度DMFSパターンの齲蝕分布に負の二項回帰を採用て当てはめた場合に、exposure指標変数のβ係数の傾向に変化を認めなかった。それで、通例の最小二乗回帰を用いた標準的な手法を用いた。  SES Indicators. SES指標として質問票で尋ねた3つのうちで、収入はステップワイズ法で他の学歴と職業に関係しているので優れていた。  Exposure Categorization into 0,0.5 and 1ppm.  データベースにある飲料水中フッ化物濃度の正確度にもばらつきがあるので、バイアスを排除するために0、0.5、1ppmの区分を行った。データベースの各フッ化物濃度は無作為の数字ではなく、選定された値をカテゴリー分類に用いられたが、本質的な誤分類にはならない。

 Longitudinal Exposure Data.  質問票による飲水歴を基に、PREとPOSTの水道水フッ化物利用を調べた。任意のフッ化物利用に対するPREとPOSTの評価については行わなかった。その結果から生じる誤分類も本質的なものではないと考えた。  Tiel-Culemborg研究は、1953年にティールで水道水フロリデーションが始まり、水道水フッ化物利用が萌出前と後に調査期間中行われた。1987/88年まで行われた長期にわたる研究フロリデーション実施期間内での開始時と終了時の齲蝕予防効果が調べられた。このデータを調べたVan Eck’s(32)は萌出前の作用が重要であることを示している。本CFS研究所見から、萌出前のフッ化物利用が高いほど遊離であることが示されており、Tiel-Culemborg研究所見を追認したことになる。

   研究者たちは齲蝕予防について以前は受け入れていた歯の形成期にエナメル質と象牙質に取り込まれたフッ化物による萌出前のフッ化物利用の重要性に疑問を投げかけている。フッ化物調整地区と非調整地区間のエナメル質と象牙質のフッ化物量の違いではフッ化物調整地区の齲蝕の減少を説明するには不十分であると述べている。純なフロロアパタイト38000ppmのフッ化物濃度であるが、通常エナメル質では500〜1500ppmである(33)。しかしながら、フッ化物濃度調整地区では5000ppmに達する高い濃度に達することができる(34) これは、ハイドロオキシアパタイト表面上に非常に薄いフロロアパタイトの層が存在してエナメル質の表層の結晶を改善してフロロアパタイト様の性質として作用する(33)。其の結果、エナメル質の溶解性は有意に減少してフッ化物による齲蝕予防効果が発現する(34)。

 水道水フッ化物利用の齲蝕予防作用は半世紀以上にわたる研究で確立しているけれども、萌出後の効果については最近のレビューで萌出前のフッ化物利用を付加して考察している。局所的なフッ化物利用の重要性は増してきているのは事実である。とは言え、水道水フッ化物利用は齲蝕予防として最も費用効果の高い方法であることに変わりはない。  先進国ではこの20数年間に各種フッ化物の利用によって齲蝕はかなり減少しているので、20〜40年前と同じように、フッ化物濃度調整地区と非調整地区間でかつてと同じような絶対的な齲蝕の差を証明することはできない。

 水道水フッ化物濃度調整に反対する人たちはフッ化物の利益は萌出後(局所的)歯への作用でありフッ化物を飲み込まないでも効果はあがると主張している。これに対する答えは、齲蝕予防における萌出前のフッ化物利用の効果は将来の水道水フロリデーションとその他の全身的フッ化物利用への重大な影響を与えかねない。  本プロジェクトでは、萌出前と萌出後の水道水フッ化物利用の影響の有無を調べたところ、有意に影響する齲蝕予防手段が講じられなければ、萌出前の水道水フッ化物利用の重要性が確認された。 萌出前後を通じて継続してフッ化物利用が行われた場合に、齲蝕予防効果は最大であったという結果から、水道水フロリデーションは最大の齲蝕予防効果を得るための持続的なフッ化物利用の必要性という考え方から公衆衛生的手段として支持されるものである。