GEOSSデータ統合・解析システム」第1回フォーラム データ統合・解析システムへの期待 農林水産省農林水産技術会議事務局 中谷 誠
日本農業の課題 変動する環境下での安定的生産 高品質で低コスト・高収益 低環境負荷と安全安心 多面的機能の発揮 品種改良や適地適作による食料安定供給 高品質で低コスト・高収益 企業的経営による高収益,国際的競争力 自給率向上,輸出促進 低環境負荷と安全安心 農薬の適正使用,適切なリスクマネージメント 多面的機能の発揮 ダム機能,気候緩和機能
例えば以下のデータが統合され解析が可能になると 気象観測値,短期気象予報値,長期気象予報値,気候変動予測,土地利用図,地形データ,土壌図,土壌水分マップ,各種作物データ,短期的降水量,河川流水量予測値 例えば以下が実現し多くの課題が解決する 冷害などの気象災害の予測と対策の提示(安定生産) 病害・虫害の発生予測と適切な防除支援(安定生産,低コスト,低環境負荷) 効率的な農産物に品質管理(高品質化・高収益) 小麦など収穫適期判定による高品質化と収益性向上(高品質化・高収益) 都市・農村の総合的水管理(安定生産,多面的機能,低コスト) 水田などの被害率推定(低コスト) 農業の気候緩和機能の評価(多面的機能評価) 中山間地の土砂災害予測(安定生産) 長期的農業施策の決定(安定生産)
水稲の冷害早期警戒システム 多様な情報を統合化して冷害の程度と可能性を予報 冷害の危険度を図示 農家は早めの対策で被害を最小化 気象観測値,短期気象予報値 長期季節予報 やませ情報 現地作柄情報,生育予測情報 農家は早めの対策で被害を最小化 5(596, 4.8) 2(580, 14.6) 3(545, 6.8) 7(495, 15.2) 4(488, 28.1) 1(450, 16.6) 8(394, 38.1) 6(383, 29.6) 収量(kg),変動係数(%) 冷害の危険度を図示 やませが襲来した水田
水稲イモチ病の発生を予報 多様な情報を統合化して病害発生の可能性を予報 農家は的確な防除で被害を最小化 気象観測値,短期気象予報値 現地作柄情報,生育予測情報 農家は的確な防除で被害を最小化 ピンポイント防除で農薬代の節約と低環境負荷 イモチ病が発生した水田 イモチ病の発生可能性を表示
イネウンカ類 大陸からのイネ害虫飛来を予測 ウンカ類 ウンカ類による被害 日本では越冬できない 梅雨期に長距離移動で侵入 4 mm 3 mg ウンカ類 飛来ルート ウンカ類による被害 日本では越冬できない 梅雨期に長距離移動で侵入 下層ジェットで運ばれる
データ統合により飛来を予測 発生源となる水田の特定(衛星画像) 害虫の成育予測(発生源の地上気温等) 飛来ルートの予測(天気予報と生物行動を考慮した粒子拡散モデル) 飛来害虫のサンプリングと逆軌道解析で発生源をある程度特定 農薬の的確な散布による生産力・品質の確保 ピンポイント防除による低環境負荷,低コスト化 減農薬による消費者の安心
気候変動下で栽培に最適な作物・品種を見つけ出す YR錦秋 10月1日定植 気温,地形,土性,土壌水分データの統合 平年値 現在の作付け可能性 長期予報値 未来の作付け可能性
ダム(ため池)管理は農業でも重要 都市・農村の総合的水管理システム ・渇水への備え ・集中豪雨時の対処 DIASは、農業分野においても水管理の面でメリットがあります。 日本国内のため池の総数は、約21万個。近畿地方,降雨量の少ない瀬戸内地方,九州地方に多い。 古い時代に築造されたものが多く,ため池の約75%が100年以上を経過している。 農村地域では都市化が進展し、ため池周辺にも宅地が広がってきている。 そのため、ため池の安全性を確保することが重要 。 DIASには、きめ細かなため池管理の情報を提供する基盤になることが期待される。 ダム(ため池)管理は農業でも重要 ・渇水への備え ・集中豪雨時の対処 農林水産省パンフレット 「共に生きる都市と農村」~豊かな食と美しい農村をめざして~ (2006)
データ統合・解析システムは水産業にも貢献 リアルタイム海況情報システム 衛星画像(海表面水温,海色,海面高度)と船舶情報(海中水温)等を統合 海中水温図や魚群情報の提供など漁業者の操業を支援
ありがとうございました