立教大学 高岡ゼミ 非耐久消費財 山口班 石井、関矢、中山、廣島、松本、山口 非耐久財における 印象広告の有効性 立教大学 高岡ゼミ 非耐久消費財 山口班 石井、関矢、中山、廣島、松本、山口 2010/12/4 関東10ゼミ討論会2010 最終 発表
目次 広告における情報処理の先行研究レビュー 研究テーマ テーマの定義 現状分析 問題意識 仮説 インプリケーション 非耐久財についての分析 消費者分析 問題意識 広告における情報処理の先行研究レビュー 仮説 仮説1ー仮説1検証 仮説2ー仮説2検証 インプリケーション
1.研究テーマ 関東10ゼミ討論会2010統一テーマ 未来に向けた 日本活性化
2.テーマの定義 活性化 消費者に、より有効な方法で刺激を 与えることによって消費意欲を喚起させ ること。 非耐久財 消費者に、より有効な方法で刺激を 与えることによって消費意欲を喚起させ ること。 非耐久財 使用回数、使用期間が共に短い有形の製品 例)飲料・食品・洗剤・化粧品・電球など の消耗品 出典:MBA用語集
3.現状分析 3.-1 非耐久財についての分析 3.-2 消費者分析
3.-1 非耐久財についての分析
非耐久財への支出動向 形態別国内家計最終消費支出 非耐久財の消費支出は、ほぼ横ばいである 耐久財 非耐久財 サービス 2000 6241 18006.4 37493.2 2002 7216.1 18245.8 38077.5 2004 8403.6 18346.4 39125.3 2006 9274.2 18220.2 40493.2 2008 10827.8 18064.2 41834.7 2010 13077.6 17615.6 41010.2 (単位:10億円) 非耐久財の消費支出は、ほぼ横ばいである 出典:内閣府
非耐久財の現状 PBの台頭/価格破壊時代 PBなどによって低価格競争を余儀なくされ 既存市場のシェアの奪い合いになっている
非耐久財への関与度 田中洋著『消費者行動論体系』(2008) 消費者は非耐久財に関して関与が低い =特にこだわりがない 知識 関与度 高 低関与/高知識 ‹限定的問題解決› 高関与/高知識 ‹限定的問題解決› 知識 低関与/低知識 ‹習慣的問題解決› 高関与/低知識 ‹包括的問題解決› 低 低 関与度 高 出典:消費者行動論体系
3.-2 消費者分析
消費者の価格志向 消費者は低価格思考にある 高価格志向→22.8% 低価格志向→77.2% 出典:経済産業省「消費者の購買に関するニーズの動向調査」
消費者の価格意識 12 価格を下げると消費者は価格をより重視し、 価格競争に歯止めが利かなくなってしまう 食品 平均より2割高 平均通り 平均より2割安い -11.385 0.639 10.745 48.9 37.515 49.539 59.645 ○価格相場を平均より2割下げた場合は、消費者の意思決定における価格の重要度が更に10ポイント上昇することがわかり、どんどん非価格要素の重要度が下がり、価格競争に陥るという結果がでた。 価格を下げると消費者は価格をより重視し、 価格競争に歯止めが利かなくなってしまう 12 出典:経済産業省「消費者の購買に関するニーズの動向調査」
消費者の支出額 形態別国内家計最終消費支出 現在の消費者は、サービス業と耐久財への支出が多く、 非耐久財に対しては決まった額しか支出しない 2000 6241 18006.4 37493.2 2002 7216.1 18245.8 38077.5 2004 8403.6 18346.4 39125.3 2006 9274.2 18220.2 40493.2 2008 10827.8 18064.2 41834.7 2010 13077.6 17615.6 41010.2 (単位:10億円) 現在の消費者は、サービス業と耐久財への支出が多く、 非耐久財に対しては決まった額しか支出しない 出典:内閣府
消費者分析(自由時間の過ごし方) 自由時間に広告と接触する可能性が高い 自由時間の過ごし方に関する調査 (上位抜粋) 出典:経済産業省「消費者の購買に関するニーズの動向調査」
4.問題意識
問題意識 広告の有効的な活用方法によって、非耐久財の低価格志向に 歯止めをかけ市場の活性化に 繋げられないだろうか。
5. 広告における情報処理の先行研究レビュー レビュー1: Haward ニューモデル レビュー2: 精緻化見込み(ELM)モデル
レビュー1: Haward ニューモデル
Haward ニューモデル Howard & Shay & Green (1988) が提唱 消費者行動論の研究であり、刺激を受けてか ら購買に至るまでの過程を表したモデル。
Haward ニューモデル 確信 刺激 ブランド 認知 購買意図 態度 Howard & Shay& Green (1988)
Haward ニューモデル サイクルパターン バイパスパターン 深く悩んだ結果、ブランド認識、態度形成、確 信の全てを経て、意図に向かう 深く悩んだ結果、ブランド認識、態度形成、確 信の全てを経て、意図に向かう バイパスパターン 刺激を受けて、直接意図に向かう
Haward ニューモデル 確信 刺激 態度 購買意図 ブランド 認知 Howard & Shay,& Green (1988) ここでサイクルとバイパスの説明するからこのスライド消さないでね☆ 態度 Howard & Shay,& Green (1988)
Haward ニューモデル 確信 刺激 低関与のカテゴリ内において ブランドの認知度は重要ではない 態度 購買意図 ブランド 認知 ちゅねくん、ここのアニメーションの変え方わかんないから直してくれぬかい><? ブランド認知→確信 の順番で消してほしい! 低関与のカテゴリ内において ブランドの認知度は重要ではない 態度 Howard & Shay & Green (1988)
Haward ニューモデル 確信 低関与カテゴリ内の製品に対しての 評価上の判断が正しいかどうか 刺激 ということは考慮しない 態度 ブランド 認知 購買意図 態度 Howard & Shay & Green (1988)
Haward ニューモデル バイパスパターン 確信 刺激 非耐久財においては バイパスパターンで購買意図 の形成が行われる 態度 購買意図 バイパスパターン 確信 刺激 ブランド 認知 購買意図 非耐久財においては バイパスパターンで購買意図 の形成が行われる 態度 Howard & Shay & Green (1988)
レビュー2: 精緻化見込み(ELM)モデル
精緻化見込み(ELM)モデル Petty&Cacioppo(1981) 提唱 消費者が情報刺激に接したとき、それを処理 しようという動機があるかどうかによってそ の後の「処理ルート」が決まるというものを 説明したモデル。 ※精緻化見込み とは・・・ 消費者が提示されたメッセージについて、 どの程度よく考える(=精緻化)可能性があるかど うか。
ELMモデル処理ルート 中心ルート・・・情報刺激の内容そのも のについて、理解し詳細に検討する対応。情 報処理能力と動機が共に高いレベルにある時 に起こりうる態度変容過程。 周辺ルート・・・情報刺激の詳細な中身よ り、その他の周辺的な手がかりによって形成 される対応。情報処理能力と動機の一方また は両方が高いレベルに無い場合に起こりうる 態度変容過程。 中心ルート・・・情報刺激の内容そのものについて、理解し詳細に検討する対応。消費者に情報を処理するモチベーションがあり、かつ情報処理能力がある場合の対応。つまり、情報処理能力と動機が共に高いレベルにある時に起こりうる態度変容過程。強い動機が存在し、情報処理能力を有していた場合、説得情報についての認知的反応(cognitive responsive)が生じる。認知反応理論によれば、説得は個人が提示された情報について考え、発した自分の考えに依存する、というものである。(Bagozzi, Gurhan-canli, & Priester, 2002)。中心ルートを辿る情報処理では、認知構造というステップを経て、ポジティブあるいはネガティブな強い態度が形成されることになる。 周辺ルート・・・情報刺激の詳細な中身より、その他の周辺的な手がかりによって形成される対応。つまり、情報処理能力と動機の一方または両方が高いレベルに無い場合に起こりうる態度変容過程。動機あるいは情報処理能力が少ないために、短期的で変化しやすい弱い説得が起こる。例えば、テレビの広告として整腸剤のコマーシャルが流れた際、整腸剤自体に関心も知識もないけれども、そこに出演するタレントへの好意により弱い態度が形成される。その後、腸が悪くなった時にタレントへの好意的イメージから前述の整腸剤を購入した場合が周辺ルートにあたる。 中心ルートではメッセージの議論に関して入念な吟味(精緻化)がなされ、その過程でメッセージの内容に対しどのような認知的反応(好意的な考えや非好意的な考え)をどの程度生成したかによって態度変化の方向が決まる。 周辺ルートでは議論の本質とは関係ない周辺的手がかり(情報の送り手の専門性や論点の数)に基づいて短絡的に判断される。
ELMモデル処理ルートの図示 情報刺激 その情報に関する関心が高い その情報を処理するための 十分な能力がある NO YES 中心ルート その情報を処理するための 十分な能力がある その情報に関する関心が高い 中心ルート 周辺ルート NO YES
処理ルートと広告 中心ルート 説得広告:消費者の知性・理性に訴える広告 周辺ルート 印象広告:消費者の感性に訴える広告
先行研究レビュー まとめ 印象広告 ELMモデル 刺激 態度 購買意図 印象広告をアニメーションであとで出してほしい~
6.仮説 仮説1 仮説2 ELMモデルの周辺ルートにおける消費者の好意的態度の 形成が非耐久消費財の購買意図に繋がる。 印象広告は消費者により、有効な動機付けの方法が変わる。
仮説1 ELMモデルの周辺ルートにおける 消費者の好意的態度の形成が 非耐久財の購買意図に繋がる。
日用品の購買に関する調査 調査題名: 「日用品(シャンプー・洗剤・歯磨き粉など)の購買に関する調査」 調査対象:16歳~32歳までの男女 調査人数:180人 調査期間:2010年11月14日~15日 日用品の購買の際と意識を問う質問項目に、それぞれ「かなり当てはまる」「当てはまる」「当てはまらない」「かなり当てはまらない」の4段階で回答。
調査結果(価格重視度) 価格に関して、約70%が重視すると回答。 →製品を選択する際に価格を重要視している
36 調査結果(情報収集) 60%以上が事前の情報収集はしない →多くの消費者は自主的に日用品の情報を収集していない
広告(CM・POP等)による衝動買い 37 →日用品は広告などのプロモーションで衝動買いが発生しやすい 60%以上が広告により衝動買いしやすいと回答 →日用品は広告などのプロモーションで衝動買いが発生しやすい
仮説1検証 まとめ 「ELMモデルの周辺ルートにおける 消費者の好意的態度の形成が 非耐久財の購買意図に繋がる」 は成立する。 仮説1検証 まとめ 「製品を選択する際に価格を高く重要視している」 「多くの消費者は自主的に日用品の情報を収集していない」 「日用品は広告などのプロモーションで衝動買いが発生しや すい」 「ELMモデルの周辺ルートにおける 消費者の好意的態度の形成が 非耐久財の購買意図に繋がる」 は成立する。
仮説2 印象広告は消費者により、 有効な動機付けの方法が異なる。
広告に対する意識と 消費者像に関する調査 調査題名: 「広告に関する意識調査と消費者像についてのアンケート」 広告に対する意識と 消費者像に関する調査 調査題名: 「広告に関する意識調査と消費者像についてのアンケート」 調査対象:19歳~54歳までの男女 調査人数:112人 調査期間:2010年11月17日~18日 消費者が商品・製品の広告に対してどのような動機付けに反応するかということを調査。
影響を受けやすい 動機付け方法について どちらの広告の方が購買意欲を持つかを調査 消極的動機付け 積極的動機付け ガムの広告 制汗剤の広告 影響を受けやすい 動機付け方法について 消極的動機付け 積極的動機付け ガムの広告 制汗剤の広告 息、大丈夫? どちらの広告の方が購買意欲を持つかを調査
調査結果 消費者には 積極的動機付けに重きをおいた広告に影響を受けやすい人と、消極的動機付けに重きを置いた広告に影響を受けやすい人が存在する。
仮説2検証 まとめ 「印象広告は消費者により、 有効な動機付けの方法が異なる。」 は成立する。 仮説2検証 まとめ 消費者には 積極的動機付けに重きをおいた広告に影響を 受けやすい人と、消極的動機付けに重きを置いた広告に影 響を受けやすい人が存在する。 「印象広告は消費者により、 有効な動機付けの方法が異なる。」 は成立する。
7.インプリケーション シャンプー広告の例
消極的動機付け
積極的動機付け
今後の課題と展望 購買意図から購買行動に至るかの検証 調査対象の拡大 本研究は調査対象が学生中心になってし まった 本研究は調査対象が学生中心になってし まった ために他年代・全年代への汎用性を調査
参考文献 経済産業省(2010.4.21.) 『「消費者の購買に関するニーズの動 向調査」の結果発表について〜リーマンショック以降の日本の消費 者の実像〜』 内閣府 『四半期別GDP速報(93SNA、2000(平成22)年11月 15日)Ⅱ.形態別国内家計消費最終消費支出及び財貨•サービス別の 輸出入』 後藤順一(2006.12.9.) 『コンテンツ産業論 第11回 「広告会 社のキャスティング業務の昨日•今日•明日」』 浅井(2008) 『広告におけるメディアの選択』 日本経済新聞 『統計リース 2010年5月』 株式会社電通(2008.2.20.)『NEWS RELEASE』 田北•宮川(2010) 『購買活動における「商品情報」の収集 手段選択モデルの開 発』 杉本徹雄編著(1997)『消費者理解のための心理学』福村出版 田中洋著(2008)『消費者行動論体系』中央経済社 Howard, Shay, & Green(1988)
Thank you For listening. 立教大学 高岡ゼミ 非耐久消費財 山口班 石井、関矢、中山、廣島、松本、山口