第4章 経済全体の動きをつかむ 小野田理沙
4章 経済全体の動きをつかむ ‐Contents‐ 1.経済全体の動きを測る 2.景気の動きを捉える 3.物価と経済の動きを捉える 4章 経済全体の動きをつかむ ‐Contents‐ 1.経済全体の動きを測る 2.景気の動きを捉える 3.物価と経済の動きを捉える 4.経済成長のメカニズムを考える
1. 経済全体の大きさを測る - 売れ行きがよくなる = 支出 ◆「景気が良くなる」→経済全体が元気になる - 生産が増える 1. 経済全体の大きさを測る ◆「景気が良くなる」→経済全体が元気になる - 売れ行きがよくなる = 支出 - 生産が増える - 所得が増える →この3つが同時に起こる状況=「景気がよい」 ◆三面等価の法則 支出=生産=所得
1. 経済全体の大きさを測る ◆生産とは「付加価値」の合計である ①小麦を生産する「農業部門」 1. 経済全体の大きさを測る ◆生産とは「付加価値」の合計である 仮定:ある国の経済が、 ①小麦を生産する「農業部門」 ②その小麦を製粉し、そこでできた小麦粉でパンを生産する「工業部門」 だけで構成されているとする。 小麦とパン以外のモノ・サービスは全て無視されるものとする。 生産 パン生産の付加価値 6兆円 所得 パンの生産者 支出 6兆円全て パン購入へあてる 【三面等価の法則が成立する理由】 小麦の生産における 付加価値 4兆円 ↑ 小麦の生産額 ↓ パンの生産における 6兆円 原材料として 使われた小麦 ←パンの生産額10兆円→ ◆この国全体の生産額は… ×二重計算 小麦(農業部門)の生産額+パン(工業部門)の生産額 = 14兆円 ○「付加価値」 生産=パンの生産で発生した付加価値+小麦の生産で発生した付加価値 = 10兆円
1. 経済全体の大きさを測る ◆経済の大きさを測るにはどうすればよいか? ◆生産されたものは全部購入されているの? 1. 経済全体の大きさを測る ◆経済の大きさを測るにはどうすればよいか? →GDP(国内総生産)を用いて測る。 →様々な形態の支出の合計 = GDE(国内総支出) GDE = 民間最終消費支出+民間住宅+民間企業支出+民間在庫品増加 +政府最終消費支出+公的固定資本形成+公的在庫品増加 +財貨・サービス輸出+財貨・サービス輸入 →家計や企業、政府や外国が日本で生産されたモノやサービスを どのような形態で購入したかが注目されている。 ◆生産されたものは全部購入されているの? →売れ残りは「民間在庫品増加」にて、企業が購入したものとして GDEの中に含まれている。
2. 景気の動きを捉える ◆経済の動きを数字で示してみる ―GDP成長率 2. 景気の動きを捉える ◆経済の動きを数字で示してみる ―GDP成長率 →景気の良し悪しを正確に判断するためには、物価の変動を取り除く必要がある。 → 実質GDP = 名目𝑮𝑫𝑷 𝑮𝑫𝑷デフレーター GDPデフレーター:基準となる年(参照年)から物価が何倍になったか。 ◆景気循環:需給バランスが崩れることによって生じる。 山 谷 景気後退局面 景気拡大局面
3. 物価と経済の関係を探る ◆物価の計り方 ‐ パーシェ物価指数 その年におけるモノやサービスの支出に基づいて、それぞれの 3. 物価と経済の関係を探る ◆物価の計り方 ‐ パーシェ物価指数 その年におけるモノやサービスの支出に基づいて、それぞれの 財の価格の変化を加重平均して作成された物価指数。 ‐ ラスパイレス物価指数 (こちらの方が一般的) 基準年における… ‐ 消費者物価指数(CPI):総務省 消費者が小売店で購入するモノやサービスの価格を指数化したもの。 ‐ 企業物価指数(CGPI):日銀 企業間で取引されるモノの指数化したもの。
3. 物価と経済の関係を探る ◆物価と景気の関係 ☛景気が方向として好転しても、経済の活動水準が ◆インフレとデフレ 3. 物価と経済の関係を探る ◆物価と景気の関係 ☛景気が方向として好転しても、経済の活動水準が ある程度高まらなければ、物価は目立って上昇しない。 ☛物価は長期的に上昇する傾向を持っている。 ☛物価上昇率も景気の状態に影響を受ける。 ◆インフレとデフレ ☛インフレ/デフレ=物価水準の上昇/下落 ☛インフレ・スパイラル/デフレ・スパイラル
☺ここまでのまとめ☺ ①景気は良いときも悪いときもある!! ②景気循環は需要と供給の相対関係を 反映して起こる!! ③物価もそれに応じて変化する!! ④短期的には、需要の大きさが経済全体の 動きを左右している!!
4. 経済成長のメカニズムを考える ◆景気循環をならした後に残るもの →経済成長:景気循環をならしても存在する経済の傾向(トレンド) 4. 経済成長のメカニズムを考える ◆景気循環をならした後に残るもの →経済成長:景気循環をならしても存在する経済の傾向(トレンド) 要因①モノやサービスを生み出す労働力 ②生産のための機械や工場などの資本ストック ③技術進歩 例:日本の高度成長を支えた経済成長の3要素 欧米からの技術移転により急速な技術進歩。 →新技術を活かした生産実現のため、積極的な設備投資実施。 →資本ストックが蓄積され、労働力も順調に拡大。 ◆短期と長期? -短期(景気予測):消費や投資など需要面の動きに注目! -長期(経済成長予測):供給面に注目!
4. 経済成長のメカニズムを考える ◆21世紀の日本経済は明るいか ☛労働力:人口減少により期待できず。 ◆低成長でも持続できる経済へ 4. 経済成長のメカニズムを考える ◆21世紀の日本経済は明るいか ☛労働力:人口減少により期待できず。 ☛資本ストック:高齢化により期待できず。 ☛技術進歩:??? (経済全体の効率を高めることは可能) ⇒経済成長は低水準にとどまるだろう。 ◆低成長でも持続できる経済へ ☛一人当たりGDPの維持が重要。 ☛経済成長率の低下を考慮した経済制度の考案が必要。