徳山ダム建設が タコノアシ個体群に及ぼす影響 16214003 伊藤 絵里
目次 1.背景 2.目的 3.方法 4.結果 5.考察
背景 現在では地球サミットの開催などによって,生物多様性 の保護の重要性が国際的に認識されるようになった. ・絶滅危惧Ⅰ類の植物は積極的に保護されるようになった ・絶滅危惧Ⅱ類の植物は保護の必要性を唱えられながら も,保護活動はうまくいっていない. 河川環境には多くの絶滅危惧Ⅱ類の植物が生育している が,その環境は絶滅危惧植物にとっては非常に厳しい.
背景 平成12年 揖斐川河道掘削工事が開始 揖斐川の洪水対策のため河川流量を増加 させるために行われている 平成12年 揖斐川河道掘削工事が開始 揖斐川の洪水対策のため河川流量を増加 させるために行われている 埋土種子由来と思われる絶滅危惧Ⅱ類タコノアシの 群落が偶然に復元
タコノアシ Penthorum chinense Pursh ・ユキノシタ科タコノアシ属 ・花期:8~10月 ・高さ:30~80cm ・絶滅危惧Ⅱ類 ・100年後の絶滅確率:約2% 約300年後には絶滅すると予測されている
背景 河道掘削工事は平成24年まで毎年計画されている →新たな生育地が確保され,個体群が増加しつつある. →新たな生育地が確保され,個体群が増加しつつある. 悪化しつつある絶滅危惧Ⅱ類の植物にとって,新たな 保護復元の可能性を示したと考えられる. 平成18年 徳山ダム完成 湛水量 6億6000万㎥ 日本最大の規模 →環境への影響は計り知れない
目的 徳山ダム建設による河川環境の変動がタコノアシ 個体群に影響を与えているかどうか検討する. 徳山ダム建設で最も考えられる環境変動 →湛水によって起こる河川水位の低下 ・タコノアシが生育するのに適している湿地面積の 大幅な減少を引き起こす可能性.
目的 流量調節機能が増加 →河川の浸食作用が少なくなる ・植生の遷移が進み,新たな生育地が形成されなく なる可能性.
方法 a b c d e f ・タコノアシの各個体群の個体 数をカウントし, 前年度まで のデータと併せ推移をみる.
方法 ・揖斐川上流域から中流域 の万石地点までの6箇所 での30mm以上の連続降 雨量と,その時の万石地 点の水位から相関の経年 a b c d e f a.塚 b.徳山 c.杉原 d.藤橋 e.揖斐 f.万石 ・揖斐川上流域から中流域 の万石地点までの6箇所 での30mm以上の連続降 雨量と,その時の万石地 点の水位から相関の経年 変化を解析する.
方法 徳山ダムの日積算放流量と揖斐川上流域,中流域の日平均水位データからダムの放流が河川の水位に与える影響を考察. a.塚 b.徳山 c d e f a.塚 b.徳山 c.杉原 d.藤橋 e.揖斐 f.万石 徳山ダムの日積算放流量と揖斐川上流域,中流域の日平均水位データからダムの放流が河川の水位に与える影響を考察.
結果 表4-1.各調査年度における各個体群の個体数 調査地
結果 塚における連続降雨量と水位の関係 平成16年 平成20年 前 徳山ダム完成 後
結果
まとめ ・徳山ダムによる水位の低下が,タコノアシに与える影響 は小さくなく,工事条件にもよるが,個体数の増減に影響 する. は小さくなく,工事条件にもよるが,個体数の増減に影響 する. ・河道掘削工事については,水面ぎりぎりの位置まで掘削 し,少量の降雨でも冠水してしまうような環境を創出する ことが重要. ・今までと同様新たな箇所を掘削するとともに,数年たち, 遷移が進んだ箇所は,新たに掘削しなおしていくべきである 今後も引き続き調査していくことが重要