<S6> 理論分析 ラグランジュ乗数法 と 準線形効用関数 ■ K(14) 補論B + <S2>M想定 最適解を楽に出す苦労? 1 便利なラグランジュ乗数法 p.47-8 & 補論B 2 準線形効用関数が重要な理由 p.168-73 3 参考: 講義における2階の条件 興味のある方は…
前回の復習例 消費者の需要曲線 実質所得とは? 名目所得(予算 I )自体より重要な理由は? 前回の復習例 消費者の需要曲線 実質所得とは? 名目所得(予算 I )自体より重要な理由は? I / P = 価格で割るので,その財の購入可能数量 = 予讃線の切片: 一定なら変化なし! すべての価格と所得が倍になると? 消費者行動の比較静学,何が変わった時の何の変化? 外生変数: p, I 内生変数: x* 効用最大水準U(x*) 消費者の最需要曲線が通常右下がりになる理由は? スルツキー分解: 自己代替効果 + 所得効果(上級財なら負 if P ↑) 需要曲線の勾配と需要の価格弾力性との異同は? 水平 弾力的,垂直 非弾力的 but 同一直線上でも異なる
本日の読解力Check: ラグランジアン 消費の条件付き最大化問題,言葉で具体的に説明できる? p.485,487 p.485 不等号の場合 g ≧ 0 M想定(内点解x*,1線形等式制約g,凹関数f)の具体例は? <S2> このラグランジアンLは? λって ? p.48,487 外生・内生変数は? さぁ,後はどうすれば,最適解(x*,y*)を得られる? 内生変数x,y,λの1階(次)の条件だけ! <S3>Q1&4
1 便利なラグランジュ乗数法 1の制約条件付き最大化問題を2の制約なしの最大化問題に変換 何が便利か? 1 便利なラグランジュ乗数法 1の制約条件付き最大化問題を2の制約なしの最大化問題に変換 + <S2> M想定: コブダグラス型の狭義凹関数の例 何が便利か? M想定により,2階の条件は満たされているので, 単調減少する凸な無差別曲線: 限界効用や限界代替率が逓減 1 階の条件だけで,機械的に最適解を求められる 最適条件「限界代替率=相対価格」等は自動的に導出
1 階の条件: 非常に便利なコブダグラス Lに関する x, y, λ の勾配(偏微分)が0 ∴ 最適解は, および 1&2 1&2 ∴ 3に代入 3式から3未知数x, y, λを,外生変数A, a, b, px, py, I で表す ∴ 最適解は, および p.47: 右上のλ= 所得の限界効用 = 1 円当たりの限界効用 <S5> 限界代替率(限界効用の比率)= 相対価格
Q1 理解度Check: 最適解の導出 効用関数が u = 4 𝑥 𝑦 のとき,Lを作って最適解x*, y*を求めると? px = py = 100, I = 800 <S4> Q4 & <S5>Q1 py = 200 に上昇した場合は? <S4> Q5 所得が,I = 1000 に増加した場合は? <S5> Q1 価格体系が, px = py = 80 に低下した場合は? <S5> Q1 以上の計算結果を前頁の結果 x*= I / 2 px, y*= I / 2 py と比べると? x* = 4, y* = 4 x* = 4, y* = 2 x* = 5, y* = 5
ラグランジュやコブダグラスは難しいか? ラグランジュ乗数法がよく使われる理由 コブダグラス型フォームがよく使われる理由 制約なし最適化への変換により,一定の条件下では機械的に解ける コブダグラス型フォームがよく使われる理由 効用関数や生産関数でも多用される 凹関数となり,必ず内点解と教科書的な無差別曲線を持つ 0<a,b<1 a+b≦ 1 理論: 計算・微分がラグランジュ法では簡単 基本公式だけで(<S3>Q1 & Q4 )十分なレベル 実証: 経験的なテストが容易 対数をとれば,線形になる(対数線形モデル)
2 準線形効用関数が重要な理由 コブダグラス型効用関数は,消費者の主体均衡分析に便利 準線形効用関数は,所得効果がゼロ p.170-2 2 準線形効用関数が重要な理由 コブダグラス型効用関数は,消費者の主体均衡分析に便利 計算が簡単なうえ,標準的な無差別曲線 代替効果 + 所得効果 But 市場の部分均衡分析での消費者余剰分析では所得効果が邪魔 準線形効用関数は,所得効果がゼロ p.170-2 u(x, y) = v(x) + y y については線形という意味で準線形 「消費者(純)余剰 = 消費者の純便益」の条件 p.173, V(15, p.233) =消費者が市場から得る純便益 if 十分に所得が大きく,所得効果がゼロ But 通常は消費者余剰=消費者が市場から得る金銭的純便益 として説明 逆に言えば,通常は「所得効果が小さい」と暗黙に仮定
準線形無差別曲線と所得-消費曲線 所得-消費曲線 u(x, y) = v(x) + y = x0.5 + y V(15, p.66, 98) 右図 所得が増えても,xは変化しない 所得効果がゼロ コブダグラス型の所得-消費曲線は? ホモセティック x y B A 所得-消費曲線
理論分析の最初の一歩 当該分野の標準モデルを理解し,具体的な道具を習得 問題に適した道具を選ぶ 消費: ラグランジュ乗数法 + 効用関数形(コブダグラス,準線形) 問題に適した道具を選ぶ 消費: コブダグラスのラグランジアン,余剰: 準線形 予測(結果・含意)の有用性(意義と経験妥当性) ただし,仮定に反するような矛盾・正確な推論のチェック 所得効果の大きな財(ブランド品やスポーツカー)の消費者余剰分析
3 参考: 講義における2階の条件 本講義の計算問題では,2階の十分条件は常に満足 <S2> M想定 3 参考: 講義における2階の条件 本講義の計算問題では,2階の十分条件は常に満足 <S2> M想定 制約なしの最大化問題 目的関数は狭義凹関(M2) ⇔ へシアンは負値定符号 例: 狭義凹型のコブダグラス型の目的関数 へシアンは負値定符号 1階の条件は,大域的に唯一の最大値 制約条件付き最大化 目的関数は凹関数で,1つの線形等号制約式 内点解は存在 例: 狭義凹型のコブダグラス型の目的関数 縁付きへシアンは負値定符号 ∴ 本講義では,1 階の条件の計算だけで十分 ただし図解では,完全代替・補完や準線形の効用関数も扱う 今回使った凹型のコブダグラス効用関数の例 次頁・生産関数
へシアンの具体例 コブダグラス型のへシアン(2変数) コブダグラス型の縁付きへシアン(2変数・1制約) 0 < a, b < 1 a + b < 1 コブダグラス型の縁付きへシアン(2変数・1制約) a + b < 1 は必ずしも必要ではない 狭義凹である必要はない <S7-8>コブダグラス生産関数 限界生産性逓減: 0<a.b<1 規模に関する収穫不変: a+b=1
本日の要点 & 次回への準備 消費の理論分析の道具: ラグランジアンと代表的な効用関数 ラグランジュ乗数法は,1階の条件だけで十分であれば,たんに勾配0 特にコブダグラス型なら,基本公式だけで十分 ただし反復練習 しかし消費者余剰分析の背景としては,準線形の方がふさわしい 理論分析: 都合の良いモデル but その仮定は妥当か? 次回準備 <S1-6>の学習力Check 80点を目標 わかっている点と分からない点を識別できている? 予想理解度は? 学生証 + 黒ボールペン + 黒のHB鉛筆と消しゴム
QL 予算制約下の効用最大化モデルの最終Check 問題 ラグランジアン L は? その 1 階の条件は? 最適解は? px = 20 に上昇した場合は? px = 20, py = 40, I = 2000 に上昇した場合は? 4-5への変化を図示できる?
AL 繰り返せば誰でも解ける パラメーター: px = 10, py = 20, I = 1000 x, y, λで偏微分 = 0 y / x = 20 / 20 = 1 x* = 25 y* =25 y / x = 20 / 40 = 1/2 x* = 50 y* =25