Quality control in ER・糖鎖合成 N-X-S/TのNに付加されるN-型糖鎖の合成は、主にER内で起こり、タンパク質のfolding, その後のtargeting(ERからGolgiへの輸送)に密接に関与している。 これに対し、O-型糖鎖合成は主にGolgi体で行われ、タンパク質のsolubilityをあげ,細胞膜への輸送を促進するほか、タンパク質の溶解度を上げることで重合体形成を防ぐ働きを持つ。 Dolichol(右図,下図膜中の赤い分子)上で糖鎖合成開始、途中④でFlipして、さらに、4Man, 3Glcが転移され (Glc)3(Man)9(GlcNAc)2の形で⑥Nascent polypeptide chainに転移(右図へ続く) 左図由来 Oligosaccharyl-transferase (OST) 末端の3Glcはグルコシダーゼ I and II (GI and GII) によって切り取られる。 GII と UDP-Glc glucosyltransferase (UGGT) の反応サイクル(chaperoneとの結合・解離を伴う) の間にfolding が進行する。やがて、タイマーとして働くa-1,2-mannnosidaseによって(Man)8(GlcNAc)2となったもののうち、UGGTに認識されない正しいconformationに到達したものだけがCOP II小胞へと選抜されGolgiへ。どうしても到達できないものは最終的にGlc(Man)8(GlcNAc)2となって右下図分解系へ。 http://jcggdb.jp/doc/Disp.action?projectId=3&langType=1&dMSId=118&pageNo=1 calreticulin (CRT; a soluble homologue of CNX) ERAD (ER-associated degradation)下図 ER内でタンパク質のfolding、および正しくfoldingできなかったものの分解にかかわる因子とその役割: Calnexin/CalreticulinはGlc(Man)9(GlcNAc)2型糖鎖特異的に結合するChaperoneである。ERの膜タンパク EDEM (ER degra-dation enhancing mannosidase-like protein) はGlc-(Man)8(GlcNAc)2を認識しTransloconを通してのRetrotranslocationを開始させる。基質タンパクは、Fbs1 (E3) によるユビキチン化、Peptide N-glycanase (PNGase) による脱糖鎖、およびProteasomeの19S cap (オレンジ色部分)の はたらきによって細胞質へ引っぱり出される。 右図:タンパク質の糖鎖修飾や、変性タンパク質の分解(ERAD)にもかかわらず、ER内腔に変性タンパク質が蓄積すると(ER stress)、ER膜タンパク質であるストレスセンサーに結合し、これを不活化していたER chaperoneが変性タンパク質に取られて、センサーから離れることでセンサーが活性化、ストレスに対処するchaperoneなどの遺伝子を誘導する(unfolded protein response: UPR)。例えば、ATF6(中央)は、chaperoneが離れると、隠されていたGolgi移行シグナルが現れ、Golgiへ移動し、そこで膜内部分がRIP (Regulated intramembrane proteolysis)によって切断される(Alzhei-mer病の原因物質アミロイドbを作るg-secre-taseなどもこれ)。そして、その産物が転写調節因子として核内移行する。そのような努力にもかかわらず、ストレスが回避されない場合は、細胞死の原因になる(図右Ask1→ JSK: 神経細胞や分泌細胞で)。 Golgi or Derlin channel 下右図:Golgi内での糖鎖修飾 ここでは、UDP-, GDP-, CMP(CDPの間違いではない*)-糖の輸送体が働く。その後、末端Man残基のリン酸化が起こり、これがLysosome targeting signalとなる。 * CMP–シアル酸合成酵素は核と細胞質それぞれにIsoformが存在する 生化学 84: 18-29, 2012 下左図:N-linked glycanの構造:付加される順番(a-n)とglycoside結合の様式 コレラ毒素のUnfolding, MHC Class I分子の成熟… 1, 3. a-2-mannnosidase 2, 4. N-Acetylglucosamine transferase I 5. Fucosyl transferase 6.Galactosyl transferase 7. Sialyl transferase Molecular Cell 10: 983-994, 2002 ER chaperoneとそれらの複合体 BiP (=Grp78, Hsp70), Grp94 (Hsp90), Grp170 (Hsp70), PDI (Protein disulfide isomerase上図), ERp72 (thiol oxidoreductase), Calreticulin [糖鎖のないタンパク] Calnexin/Calreticulin with ERp57, [糖鎖の付いたタンパク] PPI (Peptidyl prolyl cis/trans isomerase), many other redox proteins Grp: glucose regulated proteins
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/background.html