Quality control in ER・糖鎖合成

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生物学 第4回 多様な細胞の形と働きは      タンパク質のおかげ 和田 勝.
1
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①Mitochondrion Mitochondrial Protein Import and Apoptosis ① ② ③
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動物への遺伝子導入 hGH 遺伝子 右:ひと成長ホルモン遺伝子を 導入したラット 左:対照ラット
活性化エネルギー.
脂肪の消化吸収 【3】グループ   ~
Targeting of Receptor for Advanced Glycation End Products Suppresses Cyst Growth in Polycystic Kidney Disease The Journal of Biological Chemistry, 2014,
外膜 内膜 R- (CH2)n -COOH R-(CH2)n-CO-S-CoA R-(CH2)n-CO-S-CoA CoA-SH
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
内胚葉(間葉)から血液と血管系が作られる
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 水素伝達系.
代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解
緩衝作用.
8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
・神経 続き シナプス 神経伝達物質 ・ホルモン ホルモンの種類 ホルモン受容体 ホルモンの働き
生体分子を構成している元素 有機分子   C, H, O, N, P, S(C, H, O, N で99%) 単原子イオン 
翻訳 5’ → 3’ の方向 リボソーム上で行われる リボソームは蛋白質とrRNAの複合体 遺伝情報=アミノ酸配列
* 研究テーマ 1.(抗)甲状腺ホルモン様作用を評価するバイオアッセイ系の確立 2.各種化学物質による(抗)甲状腺ホルモン様作用の検討
生命科学基礎C 第4回 神経による筋収縮の指令 -伝達 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
個体と多様性の 生物学 第6回 体を守る免疫機構Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
コレステロール その生合成の調節について 家政学部 通信教育課程 食物学科 4年 大橋 万里子 佐藤 由美子 鷲見 由紀子 堀田 晴 子
高脂血症の恐怖 胃 基礎細胞生物学 第14回(1/22) 2. 胃酸の分泌 1. 胃 3. 消化管(小腸)上皮細胞の更新
すずかけの木通信 平成29年 11月号 糖質制限は体に良いのか 糖質の問題点 糖化反応 血糖値の上昇
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研究内容紹介 1. 海洋産物由来の漢方薬の糖尿病への応用
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物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
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⑥ ⑤ ① ③ ② ④ 小胞の出芽と融合 11/20 ATPの使い途2 出芽 核 細胞質 供与膜 融合 標的膜 リソソーム
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
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Quality control in ER・糖鎖合成 N-X-S/TのNに付加されるN-型糖鎖の合成は、主にER内で起こり、タンパク質のfolding, その後のtargeting(ERからGolgiへの輸送)に密接に関与している。 これに対し、O-型糖鎖合成は主にGolgi体で行われ、タンパク質のsolubilityをあげ,細胞膜への輸送を促進するほか、タンパク質の溶解度を上げることで重合体形成を防ぐ働きを持つ。 Dolichol(右図,下図膜中の赤い分子)上で糖鎖合成開始、途中④でFlipして、さらに、4Man, 3Glcが転移され (Glc)3(Man)9(GlcNAc)2の形で⑥Nascent polypeptide chainに転移(右図へ続く) 左図由来 Oligosaccharyl-transferase (OST) 末端の3Glcはグルコシダーゼ I and II (GI and GII) によって切り取られる。 GII と UDP-Glc glucosyltransferase (UGGT) の反応サイクル(chaperoneとの結合・解離を伴う) の間にfolding が進行する。やがて、タイマーとして働くa-1,2-mannnosidaseによって(Man)8(GlcNAc)2となったもののうち、UGGTに認識されない正しいconformationに到達したものだけがCOP II小胞へと選抜されGolgiへ。どうしても到達できないものは最終的にGlc(Man)8(GlcNAc)2となって右下図分解系へ。 http://jcggdb.jp/doc/Disp.action?projectId=3&langType=1&dMSId=118&pageNo=1 calreticulin (CRT; a soluble homologue of CNX) ERAD (ER-associated degradation)下図 ER内でタンパク質のfolding、および正しくfoldingできなかったものの分解にかかわる因子とその役割: Calnexin/CalreticulinはGlc(Man)9(GlcNAc)2型糖鎖特異的に結合するChaperoneである。ERの膜タンパク EDEM (ER degra-dation enhancing mannosidase-like protein) はGlc-(Man)8(GlcNAc)2を認識しTransloconを通してのRetrotranslocationを開始させる。基質タンパクは、Fbs1 (E3) によるユビキチン化、Peptide N-glycanase (PNGase) による脱糖鎖、およびProteasomeの19S cap (オレンジ色部分)の はたらきによって細胞質へ引っぱり出される。 右図:タンパク質の糖鎖修飾や、変性タンパク質の分解(ERAD)にもかかわらず、ER内腔に変性タンパク質が蓄積すると(ER stress)、ER膜タンパク質であるストレスセンサーに結合し、これを不活化していたER chaperoneが変性タンパク質に取られて、センサーから離れることでセンサーが活性化、ストレスに対処するchaperoneなどの遺伝子を誘導する(unfolded protein response: UPR)。例えば、ATF6(中央)は、chaperoneが離れると、隠されていたGolgi移行シグナルが現れ、Golgiへ移動し、そこで膜内部分がRIP (Regulated intramembrane proteolysis)によって切断される(Alzhei-mer病の原因物質アミロイドbを作るg-secre-taseなどもこれ)。そして、その産物が転写調節因子として核内移行する。そのような努力にもかかわらず、ストレスが回避されない場合は、細胞死の原因になる(図右Ask1→ JSK: 神経細胞や分泌細胞で)。 Golgi or Derlin channel 下右図:Golgi内での糖鎖修飾 ここでは、UDP-, GDP-, CMP(CDPの間違いではない*)-糖の輸送体が働く。その後、末端Man残基のリン酸化が起こり、これがLysosome targeting signalとなる。 * CMP–シアル酸合成酵素は核と細胞質それぞれにIsoformが存在する 生化学 84: 18-29, 2012 下左図:N-linked glycanの構造:付加される順番(a-n)とglycoside結合の様式 コレラ毒素のUnfolding, MHC Class I分子の成熟… 1, 3. a-2-mannnosidase 2, 4. N-Acetylglucosamine transferase I 5. Fucosyl transferase 6.Galactosyl transferase 7. Sialyl transferase Molecular Cell 10: 983-994, 2002 ER chaperoneとそれらの複合体 BiP (=Grp78, Hsp70), Grp94 (Hsp90), Grp170 (Hsp70), PDI (Protein disulfide isomerase上図), ERp72 (thiol oxidoreductase), Calreticulin [糖鎖のないタンパク] Calnexin/Calreticulin with ERp57, [糖鎖の付いたタンパク] PPI (Peptidyl prolyl cis/trans isomerase), many other redox proteins Grp: glucose regulated proteins

http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/background.html