レプトンフレーバー保存則を破る tm/eV0の探索

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レプトンフレーバー保存則を破る tm/eV0の探索 名古屋大学 西尾 佑子 2007/3/23 学術創成評価委員会

はじめに tm/e V0 LFV(レプトンフレーバー非保存) LFVを予想する理論 V0:中性ベクトルメソン(f,w, K*,r) レプトンの世代数が保存しない 標準模型では禁止      標準模型を超える物理の探索 LFVを予想する理論 Heavy Dirac Neutrino (Phys.Rev. D62 036010 )  崩壊分岐比<O(10-6~10-7) MSSM 崩壊分岐比~O(10-9)      Bファクトリーで到達可能 2007/3/23 学術創成評価委員会

過去の実験結果 543fb-1の データを 用いて 解析 崩壊分岐比の上限値 モード Belle(158fb-1) t-m-f PDG(2006) Belle(158fb-1) t-m-f 7.010-6 7.710-7 t-e-f 6.910-6 7.310-7 t-m-w - t-e-w t-m-r0 6.310-6 2.010-7 t-e-r0 2.010-6 6.510-7 t-m-K*(892)0 7.510-6 3.910-7 t-e-K*(892)0 5.110-6 3.010-7 4.010-7 7.410-6 543fb-1の データを 用いて 解析 ー ー 2007/3/23 学術創成評価委員会

KEKB加速器(Bファクトリー) 世界最高感度の探索 電子陽電子衝突型円形加速器 重心系エネルギー tファクトリー 世界最高のルミノシティ 電子 8.0GeV 陽電子 3.5GeV 重心系エネルギー   =10.58 GeV, (4S) 共鳴 tファクトリー s(tt)~0.9nb s(BB)~1.1nb 世界最高のルミノシティ 積分ルミノシティ 710fb-1 ピークルミノシティ 1.71×1034 cm-2・s-1    世界最高感度の探索    543fb-1のデータ(4.8×108個のt対事象)を使用 2007/3/23 学術創成評価委員会

Belle 検出器 荷電粒子運動量 SVD,CDC 電子識別 ECL,ACC,CDC m識別 KLM K/p識別 CDC,TOF,ACC 大きさ 7m7m7m 質量 2000t KLM SVD 3.5GeV 8.0GeV ECL TOF CDC ACC 2007/3/23 学術創成評価委員会

信号事象 信号側 tm/e + V0(f,w) タグ側 t(1 trk)+Ng+missing fK+K- wp+p-p0(gg) 信号事象を3つのレベル(段階)にて背景事象(BG)と選別 2007/3/23 学術創成評価委員会

tm/e fの事象選択 <レベル1> 全電荷ゼロ ECMtotal<11GeV 1-3prong tmf <レベル2> 信号側 fのこども:KID,電子ではないことを要求 レプトンID mf :pmlab>1.0GeV/cの荷電粒子 ef:pelab>0.5GeV/cの荷電粒子 fの質量:1.01<Mkk<1.03 GeV/c2 信号側の光子数:Ngsig 1 タグ側 タグ側の光子数:Ngtag2 tmf KK 質量分布 (mID前 ) signal data 2007/3/23 学術創成評価委員会 7

tm/e wの事象選択 <レベル1> <レベル2> tmw 信号側の光子数:Ngsig4 fモードと同様 <レベル2> 信号側 信号側の光子数:Ngsig4 p0の質量:0.11<Mp0<0.15 GeV/c2 レプトン ID wの質量:0.757<Mppp<0.808 GeV/c2 タグ側 タグ側の光子数:Ngtag2 tmw ppp0 質量分布 (mID後) data signal 2007/3/23 学術創成評価委員会 8

レベル 3:背景事象の抑制 tm/ef tm/ew ②tpwnの抑制 V-カット(欠損運動量と欠損質量の2乗を用いたカット) ①tt事象を抑制 cosa>-0.999 (tef) cosqCMlw <0.88 ②tpwnの抑制 (崩壊分岐比~2%) ③2光子過程の抑制 cosa>-0.996 (tew) 2光子過程 2007/3/23 学術創成評価委員会 9

① V-カット 欠損運動量(pmiss)と欠損質量の2乗(m2miss)の2次元分布 特徴 信号事象 : 23%損失 信号事象:nはタグ側のみ tt事象 :nは両側   m2missが大 信号事象 : 23%損失 tt事象 : 64%排除                 (tmwの場合) tmf tef tmw tew data signal 2007/3/23 学術創成評価委員会 10

② tpwn の抑制 tm/e wモードに対して cosqCMlw <0.88 信号事象: 16%損失 11%損失 q ; レプトンと wのなす角 信号事象: 16%損失 11%損失 tt事象  : 59%排除 56%排除 tmw tew tew tmw data signal tt qq 2光子過程 2007/3/23 学術創成評価委員会 11

③ 2光子過程の抑制 te f/wに対して 2光子過程 e+e-(e+e-)ss (tef) e+e-(e+e-)uu (tew) ③ 2光子過程の抑制 te f/wに対して 2光子過程 e+e-(e+e-)ss (tef)       e+e-(e+e-)uu (tew) a分布 tef tew data signal tt 2光子過程 a<3.1 (cosa>-0.999) a<3.05 (cosa>-0.996) 2007/3/23 学術創成評価委員会 12

tm/e fのMinv vs DE 不変質量とDEの2次元プロット: 10s領域 3s楕円領域 信号検出効率(fKKの分岐比を含む) tmf 不変質量とDEの2次元プロット: 10s領域 不変質量 Minv=(Elf2-plf2)1/2、DE=ECMlf-ECMbeam 3s楕円領域 信号領域 ブラインド領域:データを隠してある 信号検出効率(fKKの分岐比を含む) ±10s box内のイベント数(信号領域を除く) 信号領域のBG予想値 ブラインド領域 e(tmf)=3.1%、 e(tef)=3.1% tef BGのモード tmf :tfpn ブラインド領域 モード data MC tmf 2 1.6±1.1 tef Mode BGの予想値 tmf 0.11±0.08 tef サイドバンドのデータ から見積もる data signal tt 2007/3/23 学術創成評価委員会 13

tm/e wのMbc vs DE Mbc とDEの2次元プロット(10s) 信号領域(3sの楕円)はブラインド tmw Mbc とDEの2次元プロット(10s) Mbc =(Ebeam2-plw2)1/2 信号領域(3sの楕円)はブラインド 信号検出効率( wpppの分岐比を含む)   e(tmw)=2.5% ,e(tew)=2.5% ±10s box 内のイベント数(信号領域を除く) 信号領域のBGの予想値 ブラインド 領域 モード data MC tmw 8 8.71.7 tew 0.970.56 tew ブラインド 領域 BGのモード tm/ew :tpwn モード BGの予想値 tmw 0.200.28 tew 0+0.07 tmw : MCの分布から評価  tew : サイドバンドのデータ data signal tt 2007/3/23 学術創成評価委員会 14

系統誤差 source tmf tef tmw tew トラック再構成 4.0% 4.0 ルミノシティ 1.6% レプトンID 2.0% 2.2% KID 1.4% - トリガー 0.6% 0.4% 0.05% p0再構成 MC統計 1.3% 0.7% Total 5.1% 5.2% 6.3% 2007/3/23 学術創成評価委員会

結果 preliminary 1.510-7 8.110-8 1.010-7 1.910-7 tmf tef tmw tew モード BGの予想値 Nobs s0 崩壊分岐比の上限値@90%C.L. (系統誤差を含む) tmf 0.11±0.08 1 4.5 1.510-7 tef 2.4 8.110-8 tmw 0.200.28 2.5 1.010-7 tew 0+0.07 4.6 1.910-7 Nobs:信号領域内の検出事象数 S0: 信号事象数の上限値@ 90%C.L.(POLEプログラムを用いた) data signal tt 2007/3/23 学術創成評価委員会

まとめ tmf は5.2倍、 tef は 9.0倍上限値の低い領域へ到達 tm/e w : 初の探索 Belle実験で得られた543fb-1のデータ(4.8×108個のt対事象)を用いて、tm/ef , tm/ewを探索 崩壊分岐比の上限値@90%C.L. (系統誤差を含む、POLEプログラムを用いた) tmf は5.2倍、 tef は 9.0倍上限値の低い領域へ到達 3.4倍のデータ量(158fb-1  543fb-1) 信号検出効率を2.5-2.7倍向上 tm/e w : 初の探索 preliminary モード tmf tef tmw tew 上限値 1.49×10-7 8.11×10-8 1.01×10-7 1.94×10-7 2007/3/23 学術創成評価委員会

Back up 2007/3/23 18

データとMC データ 542.6fb-1 MC tm/e f tm/e w eemm 256 MC uds charm Br(tfpn)6.0710-5 Br(tK)4.0610-5 tm/e w MC tt uds charm two-photon generic p fKn eemm eess eecc eeuu Lum. (fb-1) 1570 1846 2761 666 256 1252 1139 378 MC tt uds charm two-photon eemm eess eecc eeuu Lum.(fb-1) 1570 323 310 256 1252 1139 378 2007/3/23 学術創成評価委員会 19

tm/e fの事象選択 Signal area Charged track 1.5<Mlf<1.95 GeV/c2 <Level 1> Charged track pt>0.1 GeV/c endcap pt>0.06 GeV/c barrel gamma Eg>0.1 GeV barrel and endcap Net charge0 Ecm total<11GeV 3-1 prong <Level 2> KID for f daughters KID>0.8 and eID<0.1 mID for mw mID>0.95 and pmlab>1.0GeV/c eID for ew eID>0.9 and pelab>0.5GeV/c 1.01<Mf<1.03 GeV/c2 Ng1 in the signal side Ng2 in the tag side Signal area 1.5<Mlf<1.95 GeV/c2 -0.5<DE<0.5 GeV <Level 3> -0.8660<cosqmiss<0.9563 pmiss>0.6 GeV/c m2miss>-0.5 and pmiss>  m2miss cosa>-0.999 (a<3.1) for only ef 2007/3/23 学術創成評価委員会 20 20

tm/e wの事象選択 <Level 1> Same as t m/e f <Level 2> Ng4 in the signal side Ng2 in the tag side 0.11<Mp0<0.15 GeV/c2 Lepton ID mID>0.95 and pmlab>1.0GeV/c for mw eID>0.9 and pelab>0.5GeV/c for ew 0.757<Mw<0.808 GeV/c2 w is reconstructed using p0 mass constrained. <Level 3> -0.8660<cosqmiss<0.9563 pmiss>0.6 GeV/c m2miss>-1 and pmiss>  m2miss cosqlCMlw <0.88 cosa>-0.996 (a<3.05) for only ew 2007/3/23 学術創成評価委員会 21

aの定義 信号側の荷電粒子と光子の運動量の和 タグ側の荷電粒子と光子の運動量の和 2007/3/23 学術創成評価委員会 22 22

Beam constrained mass before cf. after 2007/3/23 学術創成評価委員会 23

tmwモードのBGの評価 10s box を9ブロックに分ける 。 信号領域に残るの BGの数を真ん中のボックスに残ってくるMC から見積もる。 信号領域に残る MCの数 0.270.27 信号領域内のBG の数をデータとMCの数の比 、data/MC =0.75を掛けて規格化。 0.27×0.75=0.20 信号領域内に予想されるBGの数 0.200.28 MC data tt signal 2007/3/23 学術創成評価委員会

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2007/3/23 学術創成評価委員会