The Belle Silicon Vertex Detector and CP Violation 石野 宏和(東京工業大学) for the Belle Collaboration 2004年3月8日 科研費特定領域 第2回研究会  @つくば国際会議場エポカル イントロダクション SVD2とその性能.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Belle 実験における 新型シリコン検出器を用い た低運動量粒子の検出 物理学科 渡辺研究室藤山 幸生.
Advertisements

宇宙線ミューオンの測定 久野研究室 4回生 卒業研究 荒木 慎也 宮本 紀之 室井 章. 目次 実験内容 測定方法・結果 ・検出装置とセットアップ 解析 ・バックグラウンド除去 ・検出効率 ・立体角 ・文献 値との比較 まとめ.
Belle 実験次期 SVD 用読み出しチップを 用いた半導体検出器の検出効率の研究 山中卓研究室 M 1 梶原 俊.
相対論的重イオン衝突実験 PHENIXにおける Aerogel Cherenkov Counterの シミュレーションによる評価
タウ粒子崩壊τ-→ωπ-ντにおける セカンドクラスカレントの探索
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
第1回「アインシュタインの物理」でリンクする研究・教育拠点研究会 2008年10月11日 (土) 高エネルギー物理学研究室 清矢良浩
MEG実験2009 陽電子スペクトロメータの性能評価
Determination of the number of light neutrino species
東京大学 理学系研究科 物理学専攻 吉原 圭亮 35-096116
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
リニアコライダー実験における衝突点回りの測定器の最適化
名古屋大学大学院 理学研究科 高エネルギー素粒子物理学研究室(N研) 名古屋大学タウ・プトン物理研究センター 飯嶋 徹
LHC Run-2 進展状況 [1] Run-2に向けたアトラス検出器の改良 [0] Run-2 LHC
Possible Damping Ring Timing
レプトンフレーバー保存則を破る tm/eV0の探索
ATLAS実験シリコン飛跡検出器の宇宙線テストにおけるノイズ解析
Belle実験におけるBの物理 原 康二 名古屋大学.
γコンバージョン事象を用いた ATLAS内部飛跡検出器の物質量評価
BGOを用いた 液体キセノン検出器の較正 ICEPP 森研究室M1千葉哲平.
Performance of 1600-pixel MPPC for the GLD calorimeter readout
新型光検出器MPPCと その読み出しエレクトロニクスの開発
国際リニアコライダーのための FPCCD崩壊点検出器と 読み出しシステムの開発
LHC加速器の設計パラメーターと 2012年の運転実績
論文講読 Measurement of Neutrino Oscillations with the MINOS Detectors in the NuMI Beam 2009/11/17 Zenmei Suzuki.
New Limit for the Lepton-Family-Number Nonconserving Decay μ+→e+γ
KEK-PS E325実験における ベクター中間子の質量に対する核物質効果の測定
マイクロMEGASを用いた X線検出器の開発
Randall Sundrum model に於ける KK Graviton の dimuon 崩壊の探索
FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔.
2018年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
ATLAS実験におけるZ→μμ(W→mn)事象の測定
ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価
K+→π+π0γ崩壊中の 光子直接放射過程の測定
ATLAS実験における高速飛跡トリガーシステムの開発と構築3
Belle II SVDに向けた SOI pixel検出器の検討
アトラス:シリコンマイクロストリップ(SCT)の運転状況
LHC-ATLAS実験SCTシリコン 飛跡検出器のコミッショニング - II
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
ATLAS 実験における Inner Detector を用いた レベル2ミューオン・トリガーの性能評価
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
大気上層部におけるm、陽子、 及びヘリウム流束の測定
B物理ゼミ Particle Detectors:Claus Grupen, Boris Shwartz (Particle id
PHENIX実験におけるp+p衝突実験のための
J-PARC E16実験のためのGEM Tracker開発
アトラスシリコン半導体飛跡検出器:ATLAS Silicon-strip Tracking Detector
2016年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
SciFi を用いたΣ+p散乱実験での (ほろ苦い)思い出
FINESSE 32ch Multi-Hit TDC
ATLAS実験における高速飛跡 トリガーシステムの開発と構築1
小林・益川理論とBファクトリーの物理 (II)
総研大夏季実習 報告 6/8 植木.
2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
KEKBアップグレードに向けてのビームバックグラウンドについて
大強度ビームにふさわしい実験装置をつくろう Kenichi Imai (JAEA)
KOPIO実験の開発と現状 京都大学 高エネルギー研究室 森井 秀樹 Contents KOPIO実験とは 日本グループによる R&D
J-PARC E07 J-PARC E07 写真乾板とカウンター複合実験法によるダブルハイパー核の系統的研究 ダブルハイパー核研究の歴史
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
アトラス:シリコンマイクロストリップ(SCT)の運転状況
Measurement of the absolute branching ratio for the dominant KL decays, the KL lifetime, and Vus with the KLOE detector 2008/11/06 Tohoku Y.Sato.
2017年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
pixel 読み出し型 μ-PIC による X線偏光検出器の開発
(K-, J-PARC 理化学研究所 大西 宏明.
ILC衝突点ビームモニターのための 読み出し回路の開発
2015年春までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の設計
τ-→π-π-π+ντ及び τ-→K-K-K+ντの崩壊分岐比の測定
科研費特定領域 「質量起源と超対称性物理の研究」 第三回研究会
崩壊におけるスペクトラル関数の測定 平野 有希子 Introduction ミューオンの異常磁気モーメント KEKB,Belle 事象選別
Presentation transcript:

The Belle Silicon Vertex Detector and CP Violation 石野 宏和(東京工業大学) for the Belle Collaboration 2004年3月8日 科研費特定領域 第2回研究会  @つくば国際会議場エポカル イントロダクション SVD2とその性能 最新のCPの破れの測定結果と展望

Belle実験とKEKB加速器 1周約3km KEKBは8GeVの電子と3.5GeVの陽電子の衝突型加速器。 最高ピークルミノシティは 120.0×1032/cm2/s  (3月1日) 世界最高

continuous injection ~800pb-1/day KEKB加速器の性能 積分ルミノシティ 約200fb-1 絶えず1034/cm2/s以上のルミノシティを維持 (2003年秋からは約50fb-1) ~800pb-1/day KEKBは世界最高輝度を持つ加速器 1日に約90万個のU(4S)を生成。

CsI Electromagnetic Calorimeter Belle検出器 Aerogel Cherenkov Counter Time Of Flight Counter CsI Electromagnetic Calorimeter 3.5GeV positron beam Super Conductive Solenoid coil 8GeV electron beam KL muon detector Central Drift Chamber Silicon Vertex Detector (SVD)

Belle Collaboration 274 authors, 45 institutions many nations

B中間子系での時間に依存するCPの破れを測定し、CKM行列の角度を測定する。 物理的動機 8GeV electron 3.5GeV positron CP eigenstate U(4s) B0 or B0 (flavor tag side) Dz ~ 200mm B中間子系での時間に依存するCPの破れを測定し、CKM行列の角度を測定する。 数億個の大量のB中間子と100mm以下の精度でのB中間子の崩壊点の測定が必要。 実験を遂行するためには世界最高強度を持つKEKB加速器とSVDが必要である。

Silicon Vertex Detector (SVD)とは 2.84cm Double sided Silicon Strip Detector (DSSD) をラダー構造に配置し荷電粒子の通過位置を約10mmの精度で測定。 7.96cm 75mm 300mm 読み出しチップ 50mm

SVD ラダーを3次元的に配置し、荷電粒子のトラックパラメータを測定。  バーテックスフィットによりB中間子の崩壊点を測定。 6+12+18+18 = 54 ladders

SVDのアップグレード 1999年にSVD version1 (SVD1)をインストール。 2003年夏まで順調に作動。 4年間の間に約1Mradの放射線照射を受け、放射線耐性の限界に達しようとしていた。 2003年夏にSVD version2 (SVD2)をインストール。 20Mrad以上の耐性を持つ。 読み出しチップであるVA1TA チップが0.35mmプロセスでつくられた。 ラダーが3層から4層に増加、最内層の半径が3cmから2cmへ減少、立体角が約10%向上。 より高い荷電粒子検出効率とより精度良い崩壊点決定精度 fast shaper (75 or 300ns)とdiscriminator (TA)をVA1TAチップに実装 世界初のSVDを使用したトリガーの試み。 データ読み出し系の改良。 DSPの代わりにPCをつかうことによって、約3倍以上のデータ処理速度を達成。

SVD2ラダーの構造と組み立て VA1TA チップ 浜松フォトニクス社とメルボルン大学(オーストラリア)で組み立て。 support ribs bridges hybrids DSSDs Flex circuit 512ストリップ読み出し VA1TA チップ

With L1 trigger, FADC start AD conversion VA1TAチップ L0 trigger Hold Event VA1TA: AMS 0.35mm process, radiation hardness up to 20Mrad Hold Signal VA1 shaping time 0.3~1.0ms 128 channel serial read-out with 5MHz clock TA faster shaper (75ns or 300ns) + discriminator 128 wired-or out put Bias voltage and currents are generated by internal DAC (in total 680bits) Shaper 0.3~1.0ms TA shift in (L1 trigger) 5MHz serial analog out With L1 trigger, FADC start AD conversion

KEK工作センターの大久保隆治さん、小池重明さん、 SVD2のインストール news KEK工作センターの大久保隆治さん、小池重明さん、 佐藤伸彦さん、鈴木純一さんがSVDの構造設計と製作について評価されて、第4回KEK技術賞を受賞なさいました。

Central Drift Chamber (CDC) ハドロンイベント SVD2 Central Drift Chamber (CDC) news

VA1TAチップのアンプゲインの経時変化 SVD1 SVD2 SVD1.4 SVD1.6 約4ヶ月で1層目は約40kradの照射 (積分ルミノシティは約50fb-1)。 ゲインの減少はみられていない。 4年間で約1Mradの照射を受けた。 第1層目のゲインは30%減少。

アライメントとDSSD上の位置分解能 Data アライメント後 アライメント前 r-f r-f 50mm pitch ヒット z z s = 12mm r-f r.m.s = 65mm 50mm pitch ヒット DSSD z s = 19mm z r.m.s = 70mm 75mm pitch 宇宙線μ -200mm +200mm -200mm -200mm

Impact Parameter Resolution Data reconstructed true r-f z SVD1 19.2 ⊕ 54.0/p [mm] 42.2 ⊕ 44.3/p [mm] SVD2 21.9 ⊕ 35.5/p [mm] 27.8 ⊕ 31.9/p [mm] μトラック 低運動量域で約20%以上改善

J/yKSの場合、Dz分解能は 約10%改善。 Dz 分解能 (MC) B→J/y KS MC SVD1 SVD2 CP side 55.6mm 48.0mm Tag side 126.5mm 114.7mm Dz 137.9mm 125.1mm J/yKSの場合、Dz分解能は  約10%改善。 位置決定効率 は約7%増加。

TA discriminator の閾値分布 ~12000 electrons 宇宙線ミューオン事象。 malfunction of cal. pulse input 10000 30000 electrons 緑と黒い点はSVDのヒット位置。四角はTAによるヒット(TAヒットは128ストリップのORになっている)。 TA discriminator の閾値分布 TAヒット情報を使ったトリガーロジックを開発中。

Max. processing speed (Hz) データ収集システムの性能 Max. processing speed (Hz) occupancy PC12台(2.4GHz Xeon dual CPU)を使用。 PC上でsparsification(ヒットしたストリップデータのみを拾う)を行う。 処理速度は5%オキュパンシーで約1.3kHz。デットタイムは5%以下。 実際のビーム状況では3%オキュパンシーで約300~400Hzのトリガー頻度。 オキュパンシー:検出器のストリップのヒット数の割合。 ヒットしたストリップ:S/Nが4以上のストリップ。

標準模型では、CPの破れはCKM行列によって説明される。 B0 → fCP B0 → fCP ≠ + + B0 → B0 → fCP B0 → B0 → fCP S はB0とB0の混合に起因するCPの破れ bg = 0.425 A はB0とB0の間の直接的CPの破れ 標準模型では、CPの破れはCKM行列によって説明される。 Wolfenstein 表示

b→ccs SVD1を用いたCPの破れの測定結果(1) 140fb-1 のデータ (2003年夏まで) : CP固有値 sin2f1 = 0.733±0.057(stat.)±0.028(syst.) |l|=1.007±0.041(stat.) 直接的CPの破れが無いことと矛盾していない。 sin2f1は8%程度の精度で測定。 →SVD2の性能評価、他のモード(b→sss)との比較の良い基準。 preliminary

b→sqq SVD1を用いたCPの破れの測定結果(2) b→sss 140fb-1 SMではループダイアグラムのみ寄与。→新物理の兆候を検知しやすい。 B→fKS S(=sin2f1)=−0.96±0.50 −0.11 +0.09 b→ccsで測定されたsin2f1と3.5s 離れている。 →新物理の兆候?さらなる統計が必要 A=−0.15±0.29±0.07 B→K+K-KS S=+0.51±0.26±0.05 +0.18 −0.00 A=−0.17±0.16±0.04 B→h'KS S=+0.43±0.27±0.05 A=−0.01±0.16±0.04 preliminary

B→p+p− 140fb-1 App = +0.58±0.15±0.07 Spp = −1.00±0.21±0.07 SVD1を用いたCPの破れの測定結果(3) B→p+p− 140fb-1 (1529events, including B.G.) App = +0.58±0.15±0.07 Spp = −1.00±0.21±0.07 0.86 < LR  1.0 CP の破れ:有意差5.2s 直接的CPの破れ:    有意差3.2s preliminary

SVD2での物理の展望 2003年秋から2004年夏までにSVD2で、約150fb-1のデータが貯まると予想される。 位置分解能、位置決定効率がそれぞれ約10%程度あがる。 SVD2で1年で貯めたデータはSVD1で4年間貯めたデータと同程度となる。 両方のデータの和をとると、統計エラーが~1/√2に減る。 ただし、バックグランドに大きく依存するが。。。 b→ccsでのsin2f1のエラーは5,6%になる。 B→fKSでのSのエラーは30%程度に減少 中心値が変わらないとすると、Sの差は約5sに上昇。 B→p+p−のCPの破れはSVD1で発見された。 今後は直接的CPの破れを測定することが重要。 中心値があまり変わらないとすると4s程度の有意差で検出。

KEKB加速器は世界最高のルミノシティー強度でBelle実験に億単位の大量のB中間子を供給している。 まとめ KEKB加速器は世界最高のルミノシティー強度でBelle実験に億単位の大量のB中間子を供給している。 2003年夏にSVDがアップグレードされた。 放射線耐性、位置決定の精度と効率、データ処理能力の向上。 トリガー機能の導入。 SVD2は2003年秋から順調にデータを貯めつつある。 2004年夏のKEKBシャットダウンまでには150fb-1データが貯まると見込まれている。 SVD1は4年間順調に作動し、140fb-1のデータから数々の重要な物理結果を我々に与えてくれた。 b→ccsモードを用いたsin2f1の精密測定。 B→fKSモードでのSの測定。 B→p+p−モードでのCPの破れの発見。 2004年夏までのSVD2のデータに乞う、ご期待。

backup slides

SVD2のDSSDの仕様 SVD1のDSSDの仕様 L1~L3 L4 P(z) N(φ) size(mm) 79.2x28.4 76.4x34.9 Strip pitch 75µm 50µm 73µm 65µm # of strip 1024 512 Strip width 10µm 55µm 12µm SVD2のDSSDの仕様 SVD1のDSSDの仕様 strip pitch read-out pitch # of channels r-f 25mm 50mm 640 z 42mm 84mm

Total coverage : 17°< q < 150°in polar angle SVD1 Beam pipe radius: 20.0mm Layer Radius Length Ladders DSSDs (mm) per layer per ladder 1 30.0 112.5 8 2 45.5 168.5 10 3 60.5 224.5 14 4 Total coverage :     23°< q < 139°in polar angle. Total # of channels: 81920 SVD2 Beam pipe radius: 15.0mm Total coverage : 17°< q < 150°in polar angle Layer Radius Length Ladders DSSDs (mm) (mm) per layer per ladder 1 20.0 156.5 6 2(1+1) 2 43.5 236.2 12 3(1+2) (matching with CDC) 3 70.0 395.6 18 5(2+3) # of read-out channels: 4 88.0 457.8 18 6(3+3) 110592

0.86 < LR  1.0 LR p+p- : 231.4 Kp : 83.3 qq : 168.3 total : 483 r LR  0.86 1529 candidates (801 B0- and 728 B0-tags) containing (372  32) p+p- signal events

History of App and Spp Belle This result Belle 140fb1 BaBar

(5.2s) 3.2s App 3.3s Spp 1) Observation of CP violation Feldman-Cousins Analysis (5.2s) 1) Observation of CP violation Spp App 3.2s for App=0 and any Spp 2) Evidence for direct CP violation 3.3s for “superweak” case

5417 events used in Fit 2911(CP-) +174 events 140 fb-1 , 152 x 106 BB pairs 2332(CP+) events PB* distribution (81% CP=+1) 5417 events used in Fit

p+p- B0→f KS K+K- p+p- B0→K+K-KS (K+K-¹ f) p+p- B0→h’KS p+p-h,rg gg Nsig(fKS)=68(64%) 106 ev p+p- B0→K+K-KS (K+K-¹ f) Nsig(K+K-KS)= 199(55%) 361 ev CP=even 103  16% B0→h’KS p+p-h,rg gg p+p- Nsig(h’KS)=244(58%) 421 ev