社内研修資料 職場でのハラスメントの防止に向けて 妊娠・出産等に関するハラスメント セクシュアルハラスメント.

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社内研修資料 職場でのハラスメントの防止に向けて 妊娠・出産等に関するハラスメント セクシュアルハラスメント

目 次 はじめに~研修の目的~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 はじめに~研修の目的~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 妊娠・出産等に関するハラスメントとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 妊娠・出産等に関するハラスメントに関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 妊娠・出産等に関するハラスメントの例  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 妊娠・出産等に関するハラスメントに該当しない例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 セクシュアルハラスメントとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 セクシュアルハラスメントをしないようにするために ・・・・・・・・・・・・・・ 8 セクシュアルハラスメントの背景になり得る言動について  ・・・・・・・・・・ 9 セクシュアルハラスメント行為者等の責任  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 職場におけるハラスメントを考える ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 事業主が講ずべき措置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 わが社において職場のハラスメントが発生した際の相談対応の流れ ・・・ 14 ハラスメントを発生させない職場づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 職場でハラスメントが起きてしまったら ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 セルフチェック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

はじめに~研修の目的~  職場でのハラスメントは、問題が発生すると、従業員の働く意欲が低下し、心身の不調や能力発揮の阻害を起こしたり、職場環境が悪化するなど大きな問題になり得ます。  この研修では、 「妊娠・出産等に関するハラスメント※」 「セクシュアルハラスメント」について、 職場で起こさないための対策と、万が一発生してしまった場合の対応について学びます。  職場においては、自ら行為者にならないことはもちろん、職場全体でハラスメント行為を発生させない環境づくりに努めましょう。 <留意点> 現行法において、事業主の雇用管理上の防止措置義務があるのは、妊娠・出産等に関するハラスメント(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法)とセクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)です。 また、「妊娠・出産等に関するハラスメント」「セクシュアルハラスメント」の法的に義務づけられている雇用管理上の措置の範囲を整理して講義してください。(パンフレット「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!」(以下「ハラスメントパンフ」と表記)参照) なお、パワーハラスメントは、現状では法律に根拠のあるものではありませんが、労働者が健康に働ける職場環境整備のため、厚生労働省において、社内のパワハラ対策の取組のための周知啓発資料の配付や、パワハラ情報総合サイト「あかるい職場応援団」の運営といった取組が実施されています。 ※妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントをいいます。 1

1. 妊娠・出産等に関するハラスメントとは 「職場」※1において行われる上司・同僚からの言動 (妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動) により、妊娠・出産した「女性労働者」※2や 育児休業等を申出・取得した「男女労働者」※2等の 就業環境が害されることです。 ※1 「職場」…通常就業している場所以外でも、出張先や参加が強制 されている宴会なども含みます。 ※2 「労働者」とは…正社員だけではなく、パートタイム労働者、契約社員、派遣労働者等を含みます(派遣労働者については、派遣元、派遣先ともに妊娠・出産等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメントの防止措置を講じる必要があります)。 2

2. 妊娠・出産等に関するハラスメントに関する法律 事業主や人事労務権限を持つ担当者による、以下の「不利益取扱い」 については、従前から法律※で禁止されています。  ※ 男女雇用機会均等法 第9条第3項、育児・介護休業法 第10条等 「妊娠・出産」「育児休業・介護休業の申出や取得」を理由とする不利益取扱いの例  妊娠や出産したこと、育児休業・介護休業の申出や取得などを理由として、  解雇すること、降格させること、不利益な配置変更、  期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと、等 平成29年1月1日からは、上記に加えて以下の「ハラスメントの防止  措置」が事業主に義務付けられました。 ◇上司・同僚からの妊娠・出産等に関する言動により、  妊娠・出産等をした女性労働者の就業環境を害することがないよう防止措置を  講じること(男女雇用機会均等法 第11条の2) ◇上司・同僚からの育児・介護休業等に関する言動により、  育児・介護休業者等の就業環境を害することがないよう防止措置を講じること  (育児・介護休業法 第25条) 3

3. 妊娠・出産等に関するハラスメントの例 以下のような事例は、妊娠・出産等に関するハラスメントに該当します。 上司に妊娠を報告したところ、「次回の契約更新はないと思え」と言われた。 産休の取得について上司に相談したところ、「他の人を雇うので早めに辞めて もらうしかない」と言われた。 育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業をとる なんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている。 妊婦健診のために休暇を取得したいと上司に相談したら、「病院は休みの日に 行くものだ」と相手にしてもらえなかった。 上司から「妊婦はいつ休むかわからないから、仕事は任せられない」と雑用ば かりさせられている。 同僚から「こんな忙しい時期に妊娠するなんて信じられない」と繰り返し言わ れ、精神的に落ち込み業務に支障が出ている。 4

4. 妊娠・出産等に関するハラスメントに該当しない例 (業務上必要な言動) 4. 妊娠・出産等に関するハラスメントに該当しない例 (業務上必要な言動) 「業務上必要な言動」はハラスメントに該当しません。 ただし、労働者の意を汲まない一方的な通告はハラスメントとなる可能性があります。 具合が悪そうだけど、 大丈夫? お医者さんから休むようにとか言われてない? この日の会議には参加してほしいのだけれど、妊婦健診の日程を調整できるかしら? つわりがひどいなら辞めればいいのに…。 迷惑だよ。 この日は忙しいから、出てもらわなくちゃ困るわ。 妊婦健診の日程を 変更して。 制度等の利用を希望する労働者に対する変更の依頼や相談は、強要しない場合に限り業務上 の必要性に基づく言動となり、ハラスメントに該当しません。 妊娠している女性労働者への配慮については、妊婦本人はこれまで通り勤務を続けたいとい う意欲がある場合であっても、客観的に見て、妊婦の体調が悪い場合は業務上の必要性に基 づく言動となり、ハラスメントには該当しません。 5

【参考】妊娠等を理由とする不利益取扱い又はハラスメント行為をした者(複数回答) 妊娠等を理由とする不利益取扱い行為をした者は「直属上司(男性)」「直属よりも上位の上司(男性)」に続き、 「直属上司(女性)」や「同僚・部下(女性)」が挙げられています。 資料出所:JILPT「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査(従業員調査、ウェブ調査)」(平成27年) 6

5. セクシュアルハラスメントとは  「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」 に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益 を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。 「職場」「労働者」についてはP.2参照 職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。 また、被害を受ける者の性的指向※1や性自認※2にかかわらず、「性的な言動」であれば、セクシュアルハラスメントに該当します。 ※1 人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか   ※2 性別に関する自己認識 「性的な言動」の例 ①性的な内容の発言 性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、 性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、 個人的な性的体験談を話すこと など ②性的な行動 性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、 わいせつ図画を配布・掲示すること、 性的な内容の噂を流すこと、食事やデートなどへの執拗な誘い など <留意点> 性的指向・性自認についての記述に関しては、P38のノートに記載の留意点にご注意ください。 7

6. セクシュアルハラスメントをしないようにするために  セクシュアルハラスメントの防止については、基本的な心構えとして、次のことを認識してください。 1.性に関する言動に対する受け止め方には個人間で差があり、セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては、相手の判断が重要であること。 (1)親しさを表すつもりの言動であっても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。 (2)不快に感じるかどうかは個人差があること。 (3)この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。 (4)相手との良好な人間関係ができているという勝手な思い込みをしないこと。 2.相手が拒否し、または嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を決し て繰り返さないこと。 3.セクシュアルハラスメントであるかどうかについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。 (セクシュアルハラスメントを受けた者が、職場の人間関係等を考え、拒否す ることができないこともある。) 4.場所が社外でも、職場の人間関係がそのまま持続する歓迎会の酒席のような場 で、セクシュアルハラスメントは起こる可能性があること。 5.従業員間のセクシュアルハラスメントだけに注意するのではなく、取引先など社外の人に対する言動にも注意すること。 <留意点> 性的指向・性自認についての記述に関しては、P38のノートに記載の留意点にご注意ください。 8

7. セクシュアルハラスメントの背景になり得る言動について 「男らしい」「女らしい」など、固定的な性別役割分担意識※に基づいた言動は、セクシュアルハラスメントの原因や背景になってしまう可能性があります。  ※性別役割分担意識:「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」といった性別に基づく役割意識 「男のくせにだらしない」 「家族を養うのは男の役目」 「この仕事は女性には無理」 「子どもが小さいうちは母親は子育てに専念すべき」 結婚、体型、容姿、服装などに関する発言  など <留意点> 性的指向・性自認についての記述に関しては、P38のノートに記載の留意点にご注意ください。  このような言動は、無意識のうちに言葉や行動に表れてしまうものです。日頃から自らの言動に注意するとともに、上司・管理職の立場の方は、部下の言動にも気を配り、セクシュアルハラスメントの背景となり得る言動についても配慮することが大切です。 9

適切な措置を怠ったことに対しての損害賠償 8. セクシュアルハラスメント行為者等の責任 もし、あなたがセクシュアルハラスメントの 行為者になってしまったら・・・ 損害賠償の請求、罰金、 社会的信用の失墜等・・・ 個人としても、組織としても、 多大な影響が生じる可能性が あります。 行為者 強制 わいせつ 懲戒処分 傷害、暴行 信用の低下 家庭への 影響 損害賠償 会社 使用者責任 社会的信用の失墜 債務不履行責任 適切な措置を怠ったことに対しての損害賠償 従業員のモチベーション低下 10

9. 職場におけるハラスメントを考える  以下のものは職場におけるハラスメントに該当するでしょうか。  該当すると思うものを選び、その理由を考えてみてください。 1.上司に妊娠を報告したら、「いつでも辞めていいよ」と言われた。 該当する ・ 該当しない 2.2人目を妊娠中の女性労働者に対し、同僚の女性たちが「また育休とるの?図々しい」とたびたび嫌みを言う。 3.育児のための短時間勤務をしている労働者に、上司が「短時間勤務の人に大した仕事はさせられない」と雑務ばかりさせ、仕事への意欲が低下している。 4.男性上司が、「若い女の子に入れてもらったお茶はおいしいな」と言う。 5.独身男性に対して、男性の同僚が「どうして結婚しないの?」としつこく聞く。 11

解説 1. 上司に妊娠を報告したら、「いつでも辞めていいよ」と言われた。 ⇒妊娠したことを理由として、解雇など不利益取扱いを示唆する言動は、妊娠・出産等 に関するハラスメントに該当します。 2. 2人目を妊娠中の女性労働者に対し、同僚の女性たちが「また育休とるの?図々しい」 とたびたび嫌みを言う。 ⇒同僚が繰り返し、継続的に育児休業の取得を阻害するような発言をすることは、妊 娠・出産等に関するハラスメントに該当します。 3. 育児のための短時間勤務をしている労働者に、上司が「短時間勤務の人に大した仕事 はさせられない」と雑務ばかりさせ、仕事への意欲が低下している。 ⇒上司が短時間勤務を利用している労働者に対し、継続的に嫌がらせをすることは妊 娠・出産等に関するハラスメントに該当します。 4. 男性上司が、「若い女の子に入れてもらったお茶はおいしいな」と言う。 ⇒上司の性別役割分担意識に基づく言動と考えられます。言われた女性労働者や周囲の 人たちが不快と感じればセクシュアルハラスメントに該当する可能性もあります。 5. 独身男性に対して、男性の同僚が「どうして結婚しないの?」としつこく聞く。 ⇒職場におけるセクシュアルハラスメントは、同性に対するものも含まれます。性的 な冗談やからかいなどで就業環境が害されることは、セクシュアルハラスメントに 該当します。 12

10. 事業主が講ずべき措置 事業主は職場におけるハラスメントを防止するために以下の措置を講じな ければなりません。  事業主は職場におけるハラスメントを防止するために以下の措置を講じな ければなりません。 事業主が講ずべき措置 1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発 2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 3 職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応 4 (妊娠・出産等に関するハラスメントの場合) 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置 5 併せて講ずべき措置(プライバシーの保護、不利益取扱いをしないことなど)  ⇒職場の相談窓口や規定をチェックしてみましょう!  妊娠・出産等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメントの問題は、加害者と被害者の個人間の問題ではありません。  会社にはハラスメントが起こらない職場作り、ハラスメントが起きた場合の適切な対応が義務付けられていますので、ハラスメントにあった人はもちろん、あなたが第三者の立場でも、会社が事実確認等の協力を求めた場合は、問題の解決のために協力してください。 13

11. わが社において職場のハラスメントが発生 した際の相談対応の流れ  職場におけるハラスメント事案が発生した場合には、以下の流れで相談対応を行います。 相談対応 事実関係の確認 とるべき措置の 検討・実施 適正な措置の実施後行為者・相談者へのフォロー 再発防止策の実施 ・相談にあたっては、プライバシーは厳守します。 ・相談したことで、不利益を受けることは決してありません。 ・行為者や第三者に事実確認を行う場合は、必ず相談者の了解を得ることとします。 ・第三者として事実関係の確認に協力したことで、不利益を受けることは決してありません。 ・被害状況 ・事実確認の結果 (人間関係、動機、時間・場所、質・頻度) ・就業規則の規定内容 ・裁判例 の要素を踏まえて検討し、実施します。 <留意点> ・再発防止策は、ハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合も措置を講じる必要があります。 ・取組の定期的な検証、見直し ・研修の実施 ・メッセージ配信等 ・会社の取組を説明します。 ・行為者が同様の問題を起こさないようフォローします。 14

12. ハラスメントを発生させない職場づくり  職場における妊娠・出産等に関するハラスメントやセクシュアルハラスメントを未然に防止するための職場づくりに取り組みましょう。 妊娠・出産等についての知識や制度について理解しましょう。 妊娠した従業員や育児休業等の制度を利用する従業員は、周囲との円滑なコミュニ ケーションを心掛け、自身の体調等に応じて適切に業務を遂行していくという意識 を持ちましょう。 妊娠中・育児中の制度を利用しながら働いている従業員に対しては、業務の状況と ともに、周囲とのコミュニケーションに関しても目配りするようにしましょう。 特定の人に向けた言動でなくても、妊娠・出産や育児休業・介護休業制度の利用に ついて否定的な発言をすることは、ハラスメントの発生の原因や背景になり得ます ので、注意しましょう。 「子どもが小さいうちは家にいた方がいいのではないか」など、自分の価値観を押 し付けないようにしましょう。 自分の行為がハラスメントになっていないか注意しましょう。 周囲のメンバーに隠れたハラスメント行為がないかについても注意しましょう。 15

13. 職場でハラスメントが起きてしまったら ハラスメント行為を受けてしまったら ハラスメント行為に気付いたら ハラスメントは受け流しているだけでは状況は改善されません。「やめてください」「私は イヤです」と意思をはっきり伝えましょう。 一人で悩まず、上司や人事担当、社内または社外相談窓口に相談しましょう。 相談したことで会社から不利益な取扱いを受けることはありません。 ハラスメント行為に気付いたら 見て見ぬふりをせず、相談窓口に相談しましょう。他人ごとではなく、自らにも降りかかって くる可能性もあります。 ハラスメントに関する相談を受けたら プライバシーは厳守してください。 相談者の了解を得て、上司や人事担当に報告し、対応について相談しましょう。 ハラスメントに関して会社から事実関係の確認の協力を求められたら 迅速・円滑な問題解決のため、事実関係の確認にご協力ください。 協力したことで不利益な取扱いを受けることはありません。 被害者・行為者双方のプライバシーの保護に注意してください。 16

14. セルフチェック チェック項目 ✔ 17 子どもが小さいうちは母親は家庭で育児に専念すべきだと、職場で発言したことがある。 1 子どもが小さいうちは母親は家庭で育児に専念すべきだと、職場で発言したことがある。 2 妊娠した女性社員からの申出がない場合は、業務内容について配慮する必要はないと思う。 3 一人目までは仕方ないが、二人目、三人目の産休・育休は、正直迷惑だと思う。 4 今の職場において、育休中の代替を補うのは難しいので、現在のメンバーに頑張ってもらうしかないと思う。 5 自分の職場では、特定の社員にしかわからない仕事が多く、業務を把握できていない。 6 女性社員を「○○ちゃん」と呼ぶのは親しみの表れであり、他意はない。 7 「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」などと、つい言ってしまうことがある。 8 女性であるだけで、掃除や私用を強要することがある。 9 会社の懇親会の席で、お酒のお酌や隣に座ることを無理やりさせることがある。 10 部下の性的な事柄について、職場で話題にしてからかったりしたことがある。 17

付録  次ページ以降は、社内研修を実施する際に、別途配布したり、各企業の就業 規則や相談窓口を記入して社内研修資料とするなど、適宜ご活用ください。 ●セルフチェックの解説 セルフチェックの次ページに位置づける、別途配布するなど、研修の方法に応じ て適宜ご活用ください。 ●わが社のルール 事業主は、妊娠・出産等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントに 係る言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規 則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知することが義務づけられ ています。 自社の就業規則等の妊娠・出産等に関するハラスメント及びセクシュアルハラス メントに関する規定部分を引用して記載することで、自社のルールについて労働 者への周知を図ってください。 ●わが社の相談窓口 事業主は、妊娠・出産等に関するハラスメント、セクシュアルハラスメントに対 応する相談窓口を設置することが義務づけられています。 自社の相談窓口を記載し、労働者への周知を図ってください。

セルフチェックの解説 自分の考えを述べるだけでは妊娠・出産等に関するハラスメントに直ちに該当するものではありませ んが、妊娠・出産した女性労働者や、妻が出産した男性労働者の前でこのような言動を行うことは、 制度の利用を阻害するものとしてハラスメントになり得ます。 軽易業務への転換や深夜業の免除など妊婦への措置は原則本人から請求するものですが、妊娠した女 性労働者が諸制度を利用しやすいよう、皆が社内制度を理解しましょう。なお、労働基準法に基づき、 一定の重量を超える物を運ぶ作業など、申し出がなくても妊娠した女性労働者を就かせてはならない 業務があるので注意しましょう。 単にこのような考えを持つにとどまらず、職場で妊娠・出産等、育休等に関する否定的な言動を行う ことは、ハラスメントの発生の原因や背景となり得ます。また、育休等を取る労働者に対してこのよ うな言動を直接行う場合は、ハラスメントになり得ます。 会社が、産休・育休中、特定の社員に負担が偏らないよう業務配分等の配慮を行うことは、事業主が 講ずべきハラスメント防止措置に含まれます。 業務の「見える化」をしておくことで、産休・育休などに対応しやすくなります。 女性だからという理由で「○○ちゃん」と呼びかけるというのは、会社で共に仕事をする人として尊 重していない意識が背景にあることがあります。そのような意識はセクハラにつながることがありま す。また、自分では親しみをこめたつもりであっても、呼ばれた方は不快に感じていることもありま すので注意しましょう。 性別役割分担意識に基づく発言と考えられます。セクハラの背景となり得る可能性がありますので、 無意識のうちに発言していないか振り返ってみましょう。 性別役割分担意識に基づく行動です。セクハラの背景になり得るだけではなく、配置における業務の 配分にあたって、男女差別を禁じている男女雇用機会均等法に違反する可能性もあります。 セクハラの原因、背景となり得ます。日頃からセクハラを発生させない言動を心掛けましょう。 性的な事柄をからかうことは、異性でも同性であっても、セクハラに該当します。

(参考)わが社のルール (妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントの禁止) ※ この研修資料をご活用される企業の方へ このページは、自社の就業規則等の妊娠・出産等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントに関する規定を引用して記載することで、自社のルールについて労働者への周知を図ってください。 (妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントの禁止) 第○○条 すべての従業員は、他の従業員を業務遂行上の対等なパートナーと認め、職場における健全な秩序並びに協力関係を保持する義務を負うとともに、職場内において次の第2項から第4項に示す、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントを行ってはならない。 2 (略) (懲戒の種類) 第○△条 会社は、従業員が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。  (略) (懲戒の事由) 第□□条 従業員が、次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。  ① 第○○条に違反したとき  ② (略) 2 従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第○△条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。  ① 第○○条に違反し、その情状が悪質と認められるとき

(参考)わが社の相談窓口 職場におけるハラスメントの相談窓口は下記のとおりです。 決して一人で悩まずに、相談してください。 相談窓口 ※ この研修資料をご活用される企業の方へ このページは、自社の妊娠・出産等に関するハラスメント及びセクシュアルハラスメントに関する相談に対応する相談窓口を記載することで、労働者への周知を図ってください。 職場におけるハラスメントの相談窓口は下記のとおりです。 決して一人で悩まずに、相談してください。 相談窓口 連絡先 (電話番号/メール等) 社内相談窓口 社外相談窓口 人事部