電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 5/15講義分 電磁場のエネルギー 山田 博仁.

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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 5/15講義分 電磁場のエネルギー 山田 博仁

今後の講義スケジュール ・ 5/15(木)(第5回目) 電磁場のエネルギー、波動方程式 ・ 5/15(木)(第5回目) 電磁場のエネルギー、波動方程式 ・ 5/22(木)(第6回目) 電磁波の性質 (第1回レポート〆切) ・ 5/29(木)(第7回目) 電磁場の運動量 ・ 6/5(木)(第8回目) 電磁波の反射と透過 (第2回レポート出題) ・ 6/12(木)(第9回目) 電磁波の反射と透過、偏波 ・ 6/19(木)(第10回目) 電磁波の共振器と導波路 (第2回レポート〆切) ・ 6/26(木)(第11回目) 光導波路と光共振器 ・ 7/3(木)(第12回目) 電磁ポテンシャルとゲージ変換 (第3回レポート出題) ・ 7/10(木)(第13回目) 電気双極子による電磁波の放射 ・ 7/17(木)(第14回目) 点電荷による電磁波の放射 (第3回レポート〆切) ・ 7/24(木)? 定期試験

静電エネルギー 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq 太田昭男 新しい電磁気学 p.33 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq 導体上に既に電荷 q が分布している場合、導体の電位 fq は、 a q この状態から、さらに微小電荷 dq を無限遠方から導体上に運ぶために必要な仕事 dW は、 従って、導体上に電荷を少しずつ運び最終的に Q とするために要する仕事 W は、 従って、導体球は上記の静電エネルギー W を有すると考えられる(遠隔作用の観点)

帯電した導体球の周りの電場のエネルギー 帯電した導体球の周りには電場 E(r) が存在する。 dr 電場の静電エネルギー密度 ue は、教科書 p69 式(5.41)に依れば以下の式で与えられる。 a Q E(r) (等方性媒質なら) 従って、導体球の周りの空間に存在する電場の全エネルギーは、 近接作用の観点では、電場のエネルギーは空間に蓄積されていると考える

電磁場のエネルギー 磁場の磁気エネルギー密度 um は、教科書 p152 式(9.51)に依れば以下の式で与えられる。 (等方性媒質の場合) ここで、ue は電場によるエネルギー密度、um は磁場によるエネルギー密度 ある空間 V 内の電磁場エネルギーは、それをその空間内で体積積分したもので、 物質中(真空中)に時間的に変動しない電磁場が存在する場合、空間に蓄えられる電磁場のエネルギー

時間的に変動する電磁場のエネルギー 次に、時間的に変動する電磁場のエネルギーを表す式を導出してみる 以下のベクトル恒等式(教科書 p228の一番上の式)からスタート 上式にMaxwellの方程式を代入 媒質が等方性であるとして、

時間的に変動する電磁場のエネルギー 従って、 電磁場に関するエネルギー保存則 上式を、ある領域 V で積分すると、 Gaussの定理 Poynting ベクトル S = E×H を、 領域 V 内の電磁場エネルギー U ジュール熱によるエネルギー損失 領域 V を囲む閉曲面 S から単位時間に外部に流出するエネルギー dS S=E×H V S n U E・ie S = E×H Poynting ベクトル は、 電磁場のエネルギーの流れを表す E S H ※ Poyntingベクトルがあるからと言って、   必ずしもエネルギーの流れがある訳   ではない

時間的に変動する電磁場のエネルギー S U E・ie 電磁場のエネルギー保存則 電磁場エネルギーの時間的減少 熱になって消失する電磁エネルギー 単位時間に外部に流出する電磁エネルギー = + S = E×H を Poynting ベクトルと呼ぶ u と S との関係は? 単位時間に単位面積を通過する電磁場のエネルギー、即ち単位面積を通過する電磁場の電力 P 単位体積当たりの 電磁場エネルギー: u u S = E×H 従って、 c 電磁波は、単位時間に光速度 c だけ進む の関係がある

電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 電磁場の波動方程式 山田 博仁

自由空間でのMaxwell方程式 Maxwell方程式 ファラデーの電磁誘導則 アンペール・マクスウェルの法則 電場に関するガウスの法則 変位電流 電場に関するガウスの法則 磁場に関するガウスの法則 自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間では、真電荷 ρe および伝導電流 ie がゼロ) 等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中 真空中

波動方程式の導出 第1式 ここで媒質は、等方性かつ線形かつ非分散性と仮定している 両辺の rotation をとる ベクトル恒等式 第2式 第3式 従って、 波動方程式 練習のため、第2式の rotation をとり、磁場に対する式を求めてみよう

波動方程式導出においての変位電流の役割 変位電流は、MaxwellがAmpereの式に理論的考察を行って付加したものであるが、 仮に、この変位電流の項が無かったとしたら、どんな方程式が導かれるだろうか? 変位電流が無い場合の、自由空間でのMaxwell方程式は、以下のようになる。 第1式の rotation をとると、 第2式 従って、 となり、 静電場の場合のラプラスの方程式となってしまう。

波動方程式の意味 ここで簡単のため、E(x, t)は x と y には依存せず、z と t のみの関数であると仮定 つまり、 E(x, t) →  E(z, t) 今ここで、 と置くと、 後で分かるように、v は電磁波が物質中を伝わる速度、真空中の場合には、v は光速度 c で与えられ、

波動方程式の解 波動方程式 (教科書 p.200 参照) の解は、 で与えられる。 x y z + z 方向に速度 v で進む波 (進行波) (後退波) より一般的には、波動方程式 の解は、 で与えられる。 + k 方向に進む波 - k 方向に進む波 kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル w は波の角周波数

参) 伝送線路と電信方程式 送電端 受電端 E ZL x x=0 R: 線路単位長当りの抵抗 (W/m) L: 線路単位長当りのインダクタンス (H/m) C: 線路単位長当りの容量 (F/m) G: 線路単位長当りのコンダクタンス (S/m) 上記の伝送線路に対して、以下の線路方程式が得られる 電信方程式あるいは伝送方程式 無損失線路(R = G = 0)の場合、 線路上での電圧波と電流波の伝搬速度 v は、 であることが分かる

参) 伝送線路上の電圧波の伝搬 ZL E x 入射波 反射波 線路上の位置 x での電圧 ej(ωt±βx) = cos(ωt±βx)+j sin(ωt±βx)は、∓x方向に進む角周波数ω, 位相定数β の正弦波 vp: 位相速度 ここで、 x は波の振幅を表し、α > 0 (α < 0)なら、xが増大する方向に振幅が増大(減少)する 因みに、波の包絡線の形状が伝わる速度を群速度: vgという x

進行する正弦波 +x 方向に伝搬する正弦波 角周波数 波数 位相角 t1 従って、波数と角周波数の比は、 x = λ t = 0 x = 0 t = T 波の伝搬速度 x1 ある時刻(t = t1)について見てみると、 ある場所(x = x1)について見てみると、 +x -x +t -t

電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 波動方程式から導かれる電磁波の性質 山田 博仁

自由空間でのMaxwell方程式 自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間では、真電荷および伝導電流がゼロ) 等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中 真空中 ε, μ は、異方性媒質ならテンソル           ,            になる 非線形媒質なら電場や磁場の強さの関数( ε(E), μ(H) )になる (非線形光学で扱う) 分散性媒質なら電磁波の周波数の関数( ε(ω), μ(ω) )になる 等方性かつ線形かつ非分散性の媒質中として上の方程式を解くと、以下の波動方程式 が得られる

波動方程式とその解 波動方程式 ここで、 と置くと、 ダランベルシアン v は電磁波が物質中を伝わる速度 真空中の場合に v は通常 c で表記され、 (真空中の光速度) 波動方程式の解は、 で与えられる。 括弧の中は波の位相を表わす + k 方向に進む波 - k 方向に進む波 X1, X2は任意のベクトル関数 kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル w は波の角周波数

平面波 平面波(波面が平面の波)は、波面に垂直方向に伝搬していく k · x = 一定値は、ベクトル k に垂直な平面 w t – k・x を波の位相と呼ぶ。これがある一定値 a の面(等位相面)が時間発展していく様子は、平面波が波面に垂直方向に伝搬する様子を表す。 波面 (等位相面)  t −k · x = α z x3  t3 −k · x3 = α x2  t2 −k · x2 = α x1  t1 −k · x1 = α k y k: 波数ベクトル(波の進行方向を表している) x

平面電磁波 自由空間を、角周波数 w で振動しながら、+ z方向に伝搬する電磁波の中で、波形が正弦波で表される電磁波を取り上げる。 x, y 方向には一様とする。 電場の波は、 で表わせる。 k は波数で、 x y z E Ex0 Ey0 Ez0

平面電磁波 電場の波 磁場の波 電場の波と磁場の波の間には位相差φがあると仮定している に代入、 φはゼロでなければならない

平面電磁波 同様に、 に代入、 φ = 0 以上の関係より、 ここで、 となる の関係を用いた

平面電磁波 x y z Ex Hy Ey E E と H (ベクトル)は、波の進行方向に垂直な平面内に存在(つまり横波)し、互いに直交する。また、 E と H の大きさの比は一定 媒質中での電場と磁場の大きさの比を、媒質のインピーダンスという H 真空中のインピーダンス Z0は、

平面電磁波 インピーダンス Z の媒質中を伝搬する電磁波に関して、E と H との間には以下の関係が成り立つ x k E z H y 電場の波と磁場の波は同相(同じ時刻に共に節や腹となる)

平面電磁波 電場が e(1) 方向に偏り(直線偏波)、正弦関数的に振動する平面電磁波を考える 波動方程式 に上式を代入すると、 上式が、任意の場所 x、任意の時刻 t で成立するためには、 つまり、 角周波数 w を、正の値と定義すると、 これを分散 (dispersion) 関係という。 f は周波数(振動数) と置けば、 T は周期

平面電磁波 電場が e(1) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波 を、 電場に関するガウスの法則 に代入する 上式が常に成り立つためには、 でなければならない 即ち、電場の偏りの方向 e(1) は、その波の進行方向を表すベクトル k に直交する k e(1) つまり、電場に関するガウスの法則は、電場の波は横波であるということを言っている

平面電磁波 磁場に対しても e(2) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波 を考え、 磁場に関するガウスの法則 に代入する 上式が常に成り立つためには、 でなければならない 即ち、磁場の偏りの方向 e(2) は、その波の進行方向を表すベクトル k に直交する 磁場に関するガウスの法則は、磁場の波は横波であるということを与える k e(2) 従って、 電磁波は横波 !!

平面電磁波の性質 つまり、電場および磁場の偏りの方向(偏波方向)は、波の進行方向に対して垂直。(電場および磁場ベクトル E, B は、波の進行方向に対して垂直面内に存在する。) また、電場および磁場の偏波方向( E, B の向き)は互いに直交する。 x y z k E H

電磁波のエネルギー 媒質中の電磁場のエネルギー密度 u は、 で与えられるが、 電磁波の電場と磁場の大きさの間には の関係がある 従って、 電磁波の電場と磁場の大きさの間には          の関係がある 従って、 つまり、電場のエネルギーと磁場のエネルギーは等しい 従って、電磁波のエネルギー密度は、 で表せる。 また、E = v B, Z = μv (Z0 = μ0c ) の関係も成り立つことが分かる 電場も磁場も正弦波関数的に振動している場合、 u は時間的にも空間的にも変動するが、1周期 (T=2p/w)について平均すれば、 平面電磁波の場合、E と H は電磁波の進行方向 k に垂直な平面内にあるので、 Poyntingベクトル S は、 と表せる。従って、

ベクトル解析の復習 重要なベクトル恒等式 ラプラシアン ダランベルシアン ガウスの定理 ストークスの定理 dS F V S n dS F S dr C n