再建作業終了後、給水中のスーパーカミオカンデ
Future of Super-Kamiokande (スーパーカミオカンデ実験の将来) 東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 中畑 雅行
スーパーカミオカンデの歴史 1996 1997 1998 1999 11,146 SK-I (40%) 5 MeV 2000 2001 光電子増倍管数 (光電面被覆率) エネルギーしきい値 (太陽ニュートリノ解析) 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 主たる成果 Start 大気n振動の発見 11,146 (40%) SK-I 5 MeV 太陽n振動の発見 Accident(事故) Partial Reconstruction(部分再建) 5,182 (19%) SK-II 7 MeV 大気n L/E効果の発見 K2K 最終結果 Full reconstruction (完全再建) 4 MeV(plan) 11,129 (40%) SK-III 低エネルギーニュートリノ観測を再開
Solar neutrinos 太陽ニュートリノ観測 ニュートリノによって得られた太陽の像(SK-Iのデータ)
History of solar neutrino experiments in the world 世界で行われてきた太陽ニュートリノ実験の歴史 SK future 1年あたりのイベント数 Homestake ~30events/year 長期にわたるHomestake実験は、「太陽ニュートリノ問題」を提示し、それが「ニュートリノ振動」へとつながった。 スーパーカミオカンデによる高精度長期観測は、あらたな知見を与えるに違いない。
太陽中でのニュートリノ振動 P(ne ne) 物質効果による歪み 物質の効果ほとんどなし (真空振動) 真空中の振動 物質効果 SKが測る領域 真空中の振動 物質効果 1 pp 0.8 物質効果による歪み 7Be P(ne → ne) pep 0.6 8B 0.4 0.2 En=10MeV Neutrino energy (MeV) 中心 ニュートリノエネルギー(MeV) 表面
Supernova neutrinos 超新星ニュートリノ 超新星SN1987a
超新星爆発とは? 重い星の最後の姿 内側から、 鉄 ケイ素 酸素 炭素 ヘリウム 水素 鉄 ケイ素 酸素 炭素 ヘリウム 水素 中心の鉄の核が重力崩壊して、中性子星やブラックホールになる現象。 超新星爆発が我々の身の回りにある物質の源泉 99%のエネルギーがニュートリノになる。
Supernova SN1987a 13秒間でKamiokandeが11現象、IMBが8現象捉えた。 観測された現象から得られた爆発のエネルギー(~3 x 1053 erg)は超新星爆発のシナリオと一致。 しかし、19現象では爆発の詳細な情報は得られなかった。
スーパーカミオカンデで期待される現象の数 Neutrino flux and energy spectrum from Livermore simulation (T.Totani, K.Sato, H.E.Dalhed and J.R.Wilson, ApJ.496,216(1998)) 5MeV threshold 銀河中心 ~7,300 ne+p events ~300 n+e events ~100 ne+16O events for 10 kpc supernova (-) 銀河中心でおきれば、全部で8000イベント近い数が期待される。
Time profile of the explosion 超新星爆発の時間発展 SN at 10kpc Time profile of the explosion 平均温度の変化 中性子化バースト 爆発の時間発展を詳細にみることができる。 Expected number of events in parentheses Neutrino oscillations are not taken into account here.
電子散乱事象を使えば超新星の方向がわかる SN at 10kpc n+e n+e 電子散乱の現象を使って超新星の方向を2-3°の精度で決めることができる ne+p ne+p n+e n+e ニュートリノ天文学 ne+p ne+p 超新星との方向分布
Supernova Relic Neutrinos (超新星背景ニュートリノ) Figure from S.Ando 現在 宇宙の進化 Supernova Relic Neutrinos (超新星背景ニュートリノ)
期待される超新星背景ニュートリノのスペクトル Solar 8B Solar hep Atmospheric n 超新星背景ニュートリノの予想 Reactor n Population synthesis (Totani et al., 1996) Constant SN rate (Totani et al., 1996) Cosmic gas infall (Malaney, 1997) Cosmic chemical evolution (Hartmann et al., 1997) Heavy metal abundance (Kaplinghat et al., 2000) LMA n oscillation (Ando et al., 2002) 他のニュートリノに邪魔されず、観測できるエネルギー範囲がある。(~10-30MeV)
SK-Iの結果とモデルからの予想 超新星背景ニュートリノの強度 SK limit (90% C.L.) モデルの予想まであと3倍程度。 n SK-Iで得られた上限値: < 1.2 /cm2/sec SK limit (90% C.L.) 超新星背景ニュートリノの強度 Flux revise in NNN05 モデルの予想まであと3倍程度。 SK-IIIで感度を上げて観測すれば、発見の可能性がある。
Nucleon decay (核子崩壊) Super-Kamiokande Nucleon Decay Experiment
究極の理論(大統一理論)を探る 強い相互作用 核子崩壊 Quark+lepton 弱い相互作用 統一 電磁相互作用
SKでの今までの結果( pe+p0探索) 陽子の寿命の下限値:>8.4 x 1033 年 SK-I (1489日) SK-II (804日) 全運動量 全運動量 全質量 全質量 予想される領域に候補は、観測されなかった。 陽子崩壊から期待される範囲 陽子の寿命の下限値:>8.4 x 1033 年
SK-IIIではこのような現象を捉えたい pge+p0 シミュレーション g e+ しかし、あったとしても高々1個ぐらいかもしれない。 核子崩壊を「確立」するためには、SKでもまだ小さいかもしれない。
メガトンクラスの実験装置(長期的展望) 実験装置の案 Hyper-Kamiokande UNO DOUGHNUTS (M.Koshiba, 1991) Hyper-Kamiokande UNO 陽子崩壊に対して、1035 – 1036年の感度。 1000万光年まで超新星爆発をモニター。 (数年に一度の頻度) TITAND (Y.Suzuki)
まとめ これからのスーパーカミオカンデでの物理 ニュートリノ振動の精密測定 太陽ニュートリノエネルギースペクトルの精密測定 大気ニュートリノ振動の精密観測 人工ニュートリノの精密実験(T2K) 超新星ニュートリノの観測 超新星背景ニュートリノの発見 核子崩壊の探索