デジタル情報学概論 2003年10月9日 第3回資料 担当 重定 如彦.

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デジタル情報学概論 2003年10月9日 第3回資料 担当 重定 如彦

デジタル情報の伝達方法 有線通信 通信線(cable)の中に電気や光を使って通信する 無線通信 電波を使って通信する その他 デジタルデータの入ったCDなどを直接運ぶ

電気を使った有線通信   電気を使った有線通信では、電気の強さなどを使ってデジタル情報(2進数)を表現する (注:下図以外にも様々な方法があります) 1 0 電圧 時間 電磁波などの雑音(ノイズ)に弱い 長距離の通信を行うと電気信号が劣化する 形状が柔軟。ある程度まげても大丈夫なので扱いやすい 通信線や通信装置の値段が安い

電気を使った有線通信ケーブル(1) ツイストペアケーブル 銅線を2本よりあわせたもの (全体をビニールで覆うので見た目は一本の線に見える) 銅線をより合わせることによって電気的な雑音を防ぐ (電磁気学の知識が必要なので理由の説明は省略) 外からの電磁波(蛍光灯、ディスプレイ等) ケーブル線同士の電磁波(近くにある別のケーブルなど)   屋内などの、比較的短距離のコンピュータをつなぐ線 LAN等の通信回線で使用される

(画像は http://www.tokyo-fuji.co.jp/products/lan/lan_cox.htm のものを使っています) 電気を使った有線通信ケーブル(2) 同軸ケーブル   真ん中に銅線を1本、その周りに網状の 銅線を配置 外側の網状の銅線によって雑音を防ぐ   代表的な同軸ケーブルは、 テレビのアンテナ線   ツイストペアケーブルと比べて外部からの雑音に強いが曲げにくく扱いが多少難しい (画像は http://www.tokyo-fuji.co.jp/products/lan/lan_cox.htm のものを使っています)

光を使った有線通信 光を使った有線通信では、光の強さなどを使って デジタル情報(2進数)を表現する   光を使った有線通信では、光の強さなどを使って  デジタル情報(2進数)を表現する   (下図以外の方法もあります。電気通信でも同様の方法が使われます) 電磁波などの雑音の影響を受けず、通信情報の劣化が少ない 長距離通信に向いている (日本~アメリカを結ぶ数千kmの海底線) 高速な通信が可能 (毎秒数百~数千ギガビットの通信速度) 値段が高く、扱いが難しい(例えばあまり曲げられない) 時間 光の波 1 0

光を使った有線通信ケーブル 光ファイバーケーブル 光を通すガラス、石英、プラスチックなどの材質を、光を反射する材質で覆い、内側に光を通すことでデジタル情報を通信する 電磁波を発生させないので、光ファイバーを束ねても周りの光ファイバーに影響を与えない 値段が高く、扱いが難しい(過度に曲げると折れてしまう) 光

無線通信(その1) 無線通信は、電波や光を使って通信を行う 通信線が必要ない 通信を保護してくれるものがない  無線通信は、電波や光を使って通信を行う  情報の符号化の方法は有線と同じで電気や光の波を使う 通信線が必要ない 通信線を敷設するコストが必要ない 送信機と受信機さえあれば通信が可能(例:携帯電話) 通信を保護してくれるものがない 絶縁体のカバーなどで保護されている有線通信と比べて無線通信は保護するものがないので例えば雷などのちょっとした理由で通信が大きく乱れる場合がある 保護されていないので電波を受信する装置があれば誰でも通信を傍受することができる(盗聴可能)

無線通信(その2) 通信の資源は有限である   無線通信は異なった電波の周波数を使えば同時に別々の情報を転送することができるという性質を使って通信を行う    例:テレビやラジオのチャンネル   近い周波数を使って通信を行うと情報が混ざる(混線)ため、無線通信で使用できる周波数は限られている。そのため、 法律でそれぞれの周波数の用途が定められている (詳しくは教科書8Pの表を参照)

無線通信(その3) 遠距離通信を行う際の問題点 波は距離の2乗に比例して弱くなるという性質があるため、有線通信よりも通信距離による情報の劣化が激しい 波は基本的には直線的にしか進まないので、地球の裏側のように、直線で結べない場所には直接通信できない 地球 人工衛星(中継機)

無線通信システム 携帯電話、PHS 無線通信と有線通信を融合させたシステム 衛星通信 人工衛星を使った無線通信システム その他の無線通信 コンピュータと他の機器の間の短い距離を無線を使って制御 ICカード、Bluetooth、無線LAN、身近な例ではテレビのリモコン 携帯電話 基地局 基地局 携帯電話 無線通信(電波) 有線通信(電話線) 無線通信(電波)

衛星通信技術 人工衛星を使った無線通信システム 人工衛星の高度と地球の周りをまわる周期には密接な関係がある(詳細は教科書の5Pを参照のこと)  人工衛星を使った無線通信システム   人工衛星の高度と地球の周りをまわる周期には密接な関係がある(詳細は教科書の5Pを参照のこと)   人工衛星の軌道によって用途や性質が異なる 静止衛星 低軌道衛星 中軌道衛星

静止衛星 地球の自転に合わせて地球の周りを周回する衛星。そのため、地球から見ると常に同じ位置にある(静止している)ように見える   地球の自転に合わせて地球の周りを周回する衛星。そのため、地球から見ると常に同じ位置にある(静止している)ように見える 赤道上を高度約35000kmの位置で約1日かけて周回する 高度が高いので地球のほぼ1/3(図の黄色い部分)をカバー 地上との距離が遠いので電波の往復に時間(約1/2秒)かかる 通信衛星(CS)、放送衛星(BS)などで使われる 地球 約35000km

低・中軌道衛星(その1) 静止衛星よりは低い軌道を通る衛星で、一般的に縦方向(南極と北極を通る)の周回軌道を取る   静止衛星よりは低い軌道を通る衛星で、一般的に縦方向(南極と北極を通る)の周回軌道を取る 地球を一周すると、地球は自転しているので少しずつ位置がずれてゆくため、地球全体をカバーすることが可能 地球の自転 人工衛星の軌道 北極 衛星が一周する 赤道 南極

低・中軌道衛星(その2) 人工衛星の高度が静止衛星と比べて低い 低軌道(500~数千km)、中軌道(数千~数万km) 通信装置が静止衛星と比べて小型ですむ 通信にかかる時間が短くてすむ 周期が短い(数時間で地球を一周する) 地球全体を常にカバーする方法 低・中軌道衛星は地球全体をカバーすることができるが、静止衛星のように決まった場所を常にカバーすることはできない 逆の見方をすると、地上からある低・中軌道衛星を観測できるのは、数十分~数時間程度である 数十個の人工衛星を打ち上げることで世界中を常にカバーする

静止衛星通信システム 静止衛星を使って通信を行うシステム   静止衛星を使って通信を行うシステム   地上と静止衛星の距離が遠いため、通信(地上→通信衛星→地上)に時間がかかるので、長距離通信の手段としてはあまり使われておらず、現在では光ファイバーを使った有線の通信システムが主流(90%以上)である   静止衛星通信システムは、航空機や船舶など、有線通信を利用できない移動体通信や、災害時やイベントなど、臨時に通信手段が必要な場合には非常に有効なシステムである。    (注:低・中軌道衛星を使った通信衛星も存在します)

気象衛星システム   人工衛星から地球の気象データを観測し、地上に通信する衛星システム   数個の静止衛星と中軌道衛星によって世界中の気象を観測することが可能。気象の観測は、可視光(目に見える波長の光)と赤外線を使い、一日8回(3時間ごとに25分間ずつ)行われる。観測されたデータは気象衛星センターに送られ気象予報などに役立てられる   参考:日本上空の気象衛星として、数年前まではひまわりの名で親しまれていた静止軌道衛星があったが、ひまわりは寿命を終えてしまったので現在では別の気象衛星が使われている

地球観測システム 気象情報だけでなく、地上の情報を観測する為にも人工衛星は使われている。   気象情報だけでなく、地上の情報を観測する為にも人工衛星は使われている。   通常のカメラのようにレンズを使った簡単なものではなく、マイクロ波やレーザー光線を使って地上の情報を観測し、それをコンピュータで処理することによって画像に変換する    地図作成、農作物の生育情報、ごみの不法投棄の監視など幅広い用途で使われる。最も精度の高いものは直径5cmのものまで識別できたり、人間がしゃべっている内容が識別できる盗聴衛星というものもあるといわれている

GPS   全地球測位システム(Global Positioning System)のことで、地上と人工衛星との間で通信を行うことで、地上の位置を正確に測位することができる   地上の位置の計算方法には様々な方法があるが、最も簡単な方法は、地上と複数の人工衛星の距離(電波の往復の時間で計算可能)を求めることによって位置を測定する。   方法によっては数mmの誤差で位置を計測することが可能  カーナビ、バスやタクシーの運行管理システム、航空機の航行や自動着陸の援助、地殻変動の測定など様々な用途に利用される(詳しくは教科書の12Pを参照)

ICカード(その1)   ICカード(又はスマートカード)はカードの中に超小型のコンピュータを埋め込んだもので、無線通信機能や計算機能を持つ点がデータを記録することしかできないテレホンカードやJRの切符のような磁気カードとの大きな違いである。 無線通信機能   無線通信機能により、磁気カードのように読み取り装置に接触しなくてもデータのやりとりが可能になる(例:JRのSuica)   参考:SuicaのようなICカードには電池を入れるところがなく、中のコンピュータがどうやって動いているか疑問に思うかもしれない。ICカードは実は非常に小さな電力で動作することが可能であり、読取装置から発生する電波を電源に動作する為、電池を必要としない

ICカード(その2) 計算機能  ICカードの計算能力を使うことで磁気カードでは不可能な様々なサービスを提供可能。例えば、プログラムを後から追加することによって新しいサービスを提供することも可能。 データ保護(セキュリティ)機能    磁気カードと異なり、コンピュータがカードの中のデータを管理しているので中身を不正に書き換えることが出来ない  ICカードによっては物理的にカードを分解して中身を調べようとするとICカードの中のデータが破壊されるようになっているものも存在する

ICカード(その3) 大量のデータの保存 磁気カードと比べて大量のデータ(数百倍以上)を保存できるので、一つのICカードを様々な用途に利用することが可能 ICカードを使ったサービス  ざっとあげるだけでも、クレジットカード、キャッシュカード、乗車券、有料自動車道路自動料金収受システム、運転免許書、パスポート、健康保険所など幅広いサービスに利用可能  特に磁気カードと違い「偽造が困難」、「取り扱いが簡単(携帯しているだけでOK)」など様々な利点がある  今後ICカードを使ったサービスが増えることが予想される

Bluetooth 10m以内の短距離の無線通信技術   無線免許の必要のない周波数の電波を使った通信で、コンピュータとコンピュータの周辺機器などの非常に近い距離に置かれる情報機器の間の情報のやりとりを目的とする   この技術を使えば例えばコンピュータのキーボード、マウス、プリンタなどのわずらわしいケーブルをなくすことができる     Bluetoothは転送速度が高速ではないハードディスクやインターネットに繋いで大容量のデータを転送するなどの目的には向いていない。また、部品のコストの問題や、類似する他の無線技術との競合などの問題から残念ながら現在ではまだそれほど普及はしていないようである

無線LAN コンピュータとLANを無線で繋ぐ技術   無線技術を使ってコンピュータとLAN(建物の中のような狭い範囲のコンピュータネットワークでインターネットに繋がったもの) を繋ぐ技術で有線のツイストペアケーブルと同程度の高速な (毎秒10Mビット)データの転送が可能。無線LAN技術により、ノートパソコンを無線LANのある部屋に持っていくだけでインターネットに繋ぐことが可能になった   他の無線技術でも言えることであるが、無線通信は傍受が簡単に行えてしまう為、しっかりとしたセキュリティ対策を行わないと、通信したデータが他人に盗聴されてしまう可能性がある点に注意が必要である