稚内北星学園大学 情報メディア学部 安藤 友晴

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稚内北星学園大学 情報メディア学部 安藤 友晴 2005年度 東京サテライト校 J2EE I 稚内北星学園大学 情報メディア学部 安藤 友晴

単位の認定について 最終回にレポート課題を提示します。 レポートを評価して単位を認定 すべてのレポートの提出が必須 「2005年度 サマースクール in 稚内 JSFからはじめるWebアプリケーション開発」を受講された方は、本講義の単位に読み替えることができます。 もちろん、本講義を受講していただいても構いません。

本講義のWebページ http://www.wakhok.ac.jp/~tomoharu/j2ee1-tokyo-2005/

J2EE概説 (2005年12月版) J2EE I 第1回 / 2005-12-17

今回の内容 Java言語の特徴 J2EEとWebアプリケーション Webアプリケーションの要素技術 B2B と B2C HTTPとWebサービス 「Java EE 5」への流れの中で 講義予定

Java言語の特徴

Javaの特徴 (1) インターネット時代に登場した新しい言語 ネットワークに強い 正式リリースは1995年 ネットワーク上で使う機能をはじめから用意 ネットワーク上で動かしても安全なプログラムを作れる

Javaの特徴 (2) どんなコンピュータでもそのまま使える どんな国・地域でも使える Windows, Linux (Unix), Mac OS X など コンパイルしたプログラムをそのまま動かせる どんな国・地域でも使える アメリカで作られたソフトウェアを日本語化するようなことが手軽に行える 国や地域・使用する言語などに固有の情報を追加するだけでよい

Javaの特徴 (3) 文法が簡単で、使いやすい 「オブジェクト指向」という考え方 (ほかの言語と比べると) 簡単な文法 機能別にプログラムを整理できる プログラムの再利用が容易 既存のプログラムを簡単に自分のプログラムで使える

3つのJava J2SE (Java SE) J2ME (Java ME) J2EE (Java EE) PCなどで利用されるJava。Javaの基本部分。 J2ME (Java ME) 携帯電話やPDAなどで利用されるJava。 J2EE (Java EE) 企業情報システムなど、アプリケーション・サーバで利用されるJava。 B2B / B2C で用いられる。

Javaはどこで使われているか? 携帯電話 アプリケーション・サーバ NTTドコモ 「iアプリ」 ボーダフォン 「Javaアプリ」 au 「ezplus」 アプリケーション・サーバ Webからアプリケーションを操作する ショッピングサイトなど

J2EEとWebアプリケーション

Webアプリケーション Webアプリケーションとは、「ユーザがWebブラウザを使って何かを入力し、必要な結果を得る」Webページ。 サーチエンジン 本の検索 商品の購入 掲示板など

2種類のWebページ 静的なページ 動的なページ 普通のページ。見るだけのもの。 ユーザがWebページに何か入力して使うもの サーチエンジンなど

サーチエンジンの動き サーチエンジンのページを呼び出す。 調べたい言葉を入力する。 検索ボタンを押す。 その言葉に関するWebページのリストが出力される。 リストの中からWebページを選んで見てみる。

サーチエンジンの動きを 整理すると・・・ 調べたい言葉を入力すると、Webページのリストが出てくる。 入力した言葉によって、出力されるページが違う。 そのためには、サーバ側で何かの処理が行われている。

なぜWebアプリケーションか アプリケーションを使う側の理由 アプリケーションを提供する側の理由 操作は簡単。 アプリケーションを提供する側の理由 集中管理できるので楽。

データベースの利用 Webアプリケーションは「データ」を処理する。 「データ」は保存される (= 永続性を持つ) 図書データ 在庫リスト 掲示板の記事 「データ」は保存される (= 永続性を持つ) データベースを使うと面倒がなくて良い。 データをただのファイルで保存しておくと、遅いし面倒。

J2EEの基本モデル J2EEは「データベース」を使った「Webアプリケーション」の作成を念頭に置いている技術

なぜJ2EEか (1) ショッピングサイトのようなシステムでは、次の条件を満たす必要がある。 たくさんアクセスがあっても大丈夫なこと。 セキュリティを保てること。例えば顧客の情報を盗まれないようにすること。 従来の技術 (例えば CGI) では、こうした条件を満たすのはなかなか大変

なぜJ2EEか (2) 大規模な商用システムにも耐えうるシステムが必要。 こうしてうまれたのが「アプリケーション・サーバ」 先に示したJavaの特徴が、アプリケーション・サーバを作るうえで有利に働く

なぜ Javaを使うのか? (1) Webアプリでは、CGIよりもJavaは速い ライブラリ・ツールの充実 HTMLとプログラムの分離が容易 GUIも使ってないし、プログラムはJava VM 上で既に立ち上がっている。いちいち起動する必要もない。 プロセスではなく、スレッドで処理 ライブラリ・ツールの充実 もともと揃っているうえに、最近は特に充実。 HTMLとプログラムの分離が容易 他ではなかなか難しい。

なぜ Javaを使うのか? (2) Java言語そのものの信頼性 Cなどと違い、ポインタ演算がないので、暴走する危険性が極めて少ない。 ガベージコレクションによる不要オブジェクトの回収 セキュリティが考慮されている言語仕様

で、J2EEは実際どうよ? (1) 大規模なビジネスアプリの世界では、Javaベースの「アプリケーション・サーバ」が流行。 Oracle, BEA, IBM, Sun, Apple など大手のベンダーが採用。 こんなところで使われています Webを使った顧客サービスの提供 COBOLベースの事務情報システムの置き換え 銀行でも使われ始めている

で、J2EEは実際どうよ? (2) 現在、Javaがいちばんよく使われている分野 ところが、J2EEがわかる技術者は非常に少ない

欠点はないの? 個人ベースでは使いにくいかも 教育コストがかなりかかる もともと大規模システム向き。 ユーザCGIのような仕組みはない。 勉強すべきことはけっこう多い

Webアプリケーションの 要素技術

3層モデル J2EEの基本パターン 「Webブラウザ」から「データベース」を使う

J2EEサーバとコンテナ 3層モデルの中央に位置 大きく分けて、次の2つの機能を持つ 2つのコンテナでは、それぞれJavaのプログラムが動く Webコンテナ EJBコンテナ 2つのコンテナでは、それぞれJavaのプログラムが動く

Servlet と JSP J2EEでは動的なページを作成するためServletとJSPを使う。 Servlet JSP HttpServlet を継承する Javaプログラム。 HTML を埋め込める (あまり使わないけど) JSP ほとんどHTML Javaプログラムを埋め込める (あまり使わないけど) 「Webコンテナ」の内部ではServletに変換される どちらも「Webコンテナ」で動く。 普通は Servlet と JSP を組み合わせて使う。

MVCモデル2とフレームワーク ServletやJSPは、「MVCモデル2」という技術で組み合わせる。 MVCモデル2に基づく「フレームワーク」を使うと、Webアプリケーションの作成が楽になる JSF Struts Tapestry など

Javaからデータベースを利用 JDBC O/R Mapping JavaでSQLをラッピングしたもの Entity Bean / Hibernate / Cayenne など 2006年に Java Persistence API がリリース。O/R Mapping の標準APIになっていく

B2B と B2C

B2C と B2B B2C B2B Business to(2) Customer 企業と顧客のやりとり Business to(2) Business 企業と企業のやりとり

WebアプリケーションとB2C B2CでWebアプリケーションを使うのはもはや当たり前 やりとりの内容が完全に電子化されるので、業務が効率化できる。

その次の目標 B2B間の情報のやりとりを、できるだけ自動化したい。 同じ組織内(企業や大学)だけではなく、別の組織にある情報システムを組み合わせて使いたい。

HTTPとWebサービス

プロトコル ネットワークでの通信の仕方を定めたもの Web の場合  HTTP メール送信  SMTP メール受信  IMAP or POP ファイル転送  FTP リモートログイン  TELNET

ホスト名とポート番号 インターネットでの通信に必要なもの ホスト名 (= IPアドレス) ポート番号 www.wakhok.ac.jp など どのプログラムを使用するか識別する番号 HTTP を扱うプログラムは、たいてい 80 番

HTTPの利用 (1) B2B や B2Cのプログラムは、それぞれ離れたところにあることが想定されている。 しかし、離れたコンピュータにアクセスしようと思っても、たいていのサイトではWebとメール以外のポートは閉じている。 多くのサイトでは、セキュリティを保つため、ほとんどのポートを使えなくしている。

HTTPの利用 (2) しかし、HTTP (80番) は使えるだろう。 そこで、HTTP を使ってB2BやB2Cの通信をおこなう。 まれに、SMTP を使う場合もある。

「Webアプリケーション」の場合 「Webサーバ」が「Webブラウザ」と通信を行う。

「Webサービス」の場合 「Webサーバ」が「プログラム」と通信を行う。

Webサービスとは何か Webのブラウザを使わずに、プログラム中から Web にアクセスして必要な情報を取り出せるサービス。

Webサービスの例 Google Web APIs エージェント 自分のプログラムから、Googleのサービスを呼び出す

HTTP と Webサービス HTTP によって B2B・B2C が繋がれる。

「Java EE 5」への流れの中で

Java EE 5 J2EEの次期バージョン 現行バージョンは 1.4 「J2EE」が「Java EE」に 2006年初頭にリリース予定

Java EE 5 の要点 Ease of Development = EoD 技術的なポイント 「開発の容易性」 いかにラクにソフトウェアを開発するか JSF, EJB 3.0, Webサービス … 技術的なポイント Annotation POJO 「オブジェクト指向」から「サービス指向」への流れ

Annotation (1) // Entity Bean である @Entity // EMPLOYEE テーブルと対応している @Table(name="EMPLOYEE") public class Employee implements Serializable { …… }

Annotation (2) // id プロパティは ID を示す // テーブルが ID を生成 @Id(generate=TABLE) @Column(name=ID, primaryKey=true) public Integer getId() { return id; } public void setId(Integer id) { this.id = id; }

Annotation (3) // テーブル中の項目名は EMP_NAME @Column(name="EMP_NAME", length=80) public String getName() { return name; } public void setName(String name) { this.name = name; }

Annotation (4) // Employee と PhoneNumbers は一対多の関係 @OneToMany( targetEntity="com.acme.PhoneNumber", cascade=ALL, mappedBy="employee") // EMP_ID と PhoneNumber の ID 項目を結合 @JoinColumn(name="EMP_ID” referencedColumnName="ID") public Collection getPhoneNumbers() { return phoneNumbers; } public void setPhoneNumbers(Collection phoneNumbers) { this.phoneNumbers = phoneNumbers; }

Annotation (5) J2EEで提供されている各技術を使ってプログラムを作成するのは、なかなか大変 「インタフェース」と「実装クラス」 「お決まりのパターン」の記述 設定ファイルの記述 ……

Annotation (6) Annotation を使うことで、プログラムと設定情報の対応が明確になり、管理すべきファイル数も減らせる ↓ EoD

POJO POJO (Plain Old Java Object) 特定の技術に依存しない、普通のJavaオブジェクト テストしやすい 使い回ししやすい

DIコンテナ 従来のEJB EJBがコンテナから必要な情報を取得する EJB 3.0 では コンテナがEJBに必要な情報を与える (= Dependency Injection = DI = 依存性注入) コンポーネント間の依存性を減らすことができる

「サービス指向」への流れ ソフトウェア開発の基本単位が「オブジェクト」から「サービス」に移行しつつある そのための基本的な思想が SOA (Service Oriented Architecture) ソフトウェアがネットワーク上に存在する 「出張旅費精算サービス」 「出張申請」「承認」「会計処理」「報告」をそれぞれWebサービスとして構築 これらのWebサービスを統合して「出張旅費精算サービス」(BPELという技術を使う)

SOAの社会的な役割 ビジネス面での要請 企業の業務システムを「サービス」として構築することで、さまざまな効率化が見込まれる リストラによる企業の間接部門の削減 企業の業務システムを「サービス」として構築することで、さまざまな効率化が見込まれる 例えば、ある業務をすべて外注化 → 社外にあるその業務の「サービス」を呼び出せばよい その「サービス」を購入すれば、人を雇うよりもいいかも Microsoft, Sun, Oracle, IBM などの大手ITベンダが「本気」で取り組んでいる

Java Business Integration (JBI) 情報システム上のさまざまなサービスを Java EE 上に統合しようとする技術 BPEL, XSLT, EJB, JMS, RSS, FTP, … "Java EE 6" の目玉技術 オープンソースの実装も ServiceMix (http://servicemix.org/)

J2EEの再定義 J2EEは、B2B・B2Cで使われる技術を整理したもの Webアプリケーション データベースの取り扱い

講義スケジュール

本講義のスケジュール 第1日 (12/17) J2EE概説 Webアプリケーション (1) JavaServer Pages (JSP) JavaBeans

本講義のスケジュール 第2日 (1/14) リレーショナル・データベースとJDBC リレーショナル・データベース SQL (1)

本講義のスケジュール 第3日 (1/28) Webアプリケーション (2) HTTP (1) HTTP (2) Servlet 総合演習