環境問題に関する 政策法務コメント 千葉大学大学院教授 倉阪秀史
事業系一般廃棄物の生ごみ等資源化大作戦 F班 無償化の条件が、資源ごみの状態ではなく、研修受講・組 成分析検査受検・物量諸表の提出といった手続きの実施 としている これらの手続きを実施しているものの、資源ごみの状態が良くない 場合が出てくるのではないか。 表彰の効果も条例上に盛り込むことができるのではないか。 事業者名の公表、入札などでの優遇措置 取り消し要件などは可能な限り具体的に規定することが望まし い。 「その他、市長が取り消し相当であると認める事象があったとき」 「積極的に取り組んでいること」
小・中・高等学校における環境教育の義務化について G班 義務化という施策タイトルと条例の内容が合っていない。 義務化ということであれば、市内の小・中・高校に対して、環 境教育の実施計画の策定・提出を求め、それに対して、助言 を行うとともに、支援を行うとか、もう少し具体的に規定する必 要があるのではないか。 環境教育の日を5月30日とする。 環境基本法において、6月5日を環境の日としているが、重 なってくるのではないか。
循環型社会の実現に関する条例 E班 一般の廃棄物よりも安く処理手数料を設定する 指定袋の模造の禁止 生ごみ以外の一般廃棄物が混入してしまう可能性があるの ではないか。その点についてどのように防止するのか。 生ごみのたい肥化目的での回収という目的も条例に位置付 けて、たい肥化にそぐわない不適品を明記し、その混入を禁 止するなど。 指定袋の模造の禁止 禁止が守られなかった場合の制裁措置を規定する必要があ る。
ちばらき市環境美化意識向上に関する条例 J班 環境美化活動を行う個人、団体又は事業者は、事前にク リーンサポーターとして登録できるものとする 登録の手続きを規定する必要がある。登録主体、登録方法、登録 要件など。 事前に? 市の役割 「家庭における環境教育の推進」? 市民の役割 「気が向いた時はこの限りではない」? ポイント制度などごみ拾いへのインセンティブ この内容を制度化することができれば……
I市きれいなまちづくり条例 I班 責務規定のみ定めたもの 責務規定=役割分担を明示するものであって、責務規定に基づい て、具体的な権利義務を定める本則規定が設けられる。 本則規定がない内容であれば、条例で規定する必要がないのでは。 「きれいなまちづくり宣言?」 ふんの回収袋などの携帯義務付け条例やポイント制度の ルール化にチャレンジしてもらいたかった。 制裁措置を具体的に規定すれば、義務付けは可能。とくに、携帯義 務付けであれば、違反を確認しやすいのでは。
長崎市人と自然が輝き続ける条例 H班 一般的な自然環境保全条例が提案されている。 「人と自然が輝き続ける」ということはどういうことか。 もう少し新しいルールづくりに挑戦してほしかった。 とくに、「鳥獣管理」にあたる課題、耕作放棄地や手入れの行き届か ない人工林の課題など、新しい課題にどのように取り組むのか 移入種の問題についても、たとえば、その報告のシステムなど新し い政策を実施する余地があるのではないか。 「人と自然が輝き続ける」ということはどういうことか。 条例の名称に掲げる以上、なんらかの定義を条例内で行う必要が ある。
O市における地球温暖化対策条例制定について C班 新しい義務を位置付けようとする意欲的な条例 環境マネジメントシステムの導入義務、温室効果ガスを排 出しない新車等の導入義務、自動車販売事業者の説明義 務、削減計画の策定義務、建築物排出量削減計画書の作 成など具体的な義務が定められていて、制裁措置も設け られている。 特定事業者を分けて規定する必要がある。環境マネジメントシステ ムを導入すべき特定事業者、温室効果ガスを排出しない新車等を 導入しなければならない特定事業者、削減計画を作成し提出しなけ ればならない特定事業者
安全安心な暮らしの実現のための地球温暖化対策推進条例 A班 市の責務に総合的かつ計画的な地球温暖化対策を実施 することとあるが、市の温暖化に関する行政計画が位置付 けられていない。 特定事業者の報告義務が本則 高断熱建築物として認証する効果は何か。認証の要件と 手続き、その効果を条例本体にもうすこし規定すべきでは ないか。 エコポイント、税制優遇についても条例本体に明記すべき
低炭素社会の実現に関する条例 D班 低炭素住宅について固定資産税を減免する条例 低炭素住宅=ゼロエネルギー住宅(ZEH)、ゼロエネルギービル (ZEB) 市が低炭素住宅かどうかを審査できるかどうか。審査でき るとして、仮に、ZEH化に失敗した場合があるかもしれない。 報告義務をかけて、実際にZEH化に失敗した場合には、減免の取り 消し対象とするという案もある。 再エネだけでのZEH化はZEHであればありうる。 住宅以外の事業所建物についてどのように普及していくこ とができるか。
いかそう!つなごう!地域の再生可能エネルギー B班 再生可能エネルギーには電気だけではなく熱もある。 とくに熱の利用促進は地域でないとできない。 「みんなの環境権」を実現するためにどのようなことを規定 すべきかをさらに考える必要がある。 市民クレジット事業について条例本文に規定できなかった か
総評 新しい権利義務の創設に挑戦した条例案が総じて少な かった。 質疑応答が低調 新しい権利義務の創設に挑戦した条例案が総じて少な かった。 提案された中ではC班がもっとも意欲的で完成度が高い。 質疑応答が低調 もう少し活発に質疑応答があることが望ましい 新しい制度を導入する際には、課題がでてくるのは当然。それ にひるんでは何もできない。 できない理由を考えるのは簡単。それを乗り越える努力を。