平成24年9月24日 ヤマセ研究会 仙台管区気象台技術部気候・調査課 佐藤克成

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平成24年9月24日 ヤマセ研究会 仙台管区気象台技術部気候・調査課 佐藤克成 東北地方の気候の変化 ~岩手県版~ 平成24年9月24日 ヤマセ研究会 仙台管区気象台技術部気候・調査課  佐藤克成 写真:K.Honda

はじめに 「東北地方の気候の変化」(仙台管区気象台、函館海洋気象台作成)から抜粋して、東北地方と岩手県の気候変化の傾向を紹介する。 目次 東北地方の気候の変化(気温、降水量) 岩手県の気候の変化(気温、降水量、霧日数)

東北の年平均気温は、100年あたり1.2℃の割合で上昇 東北地方の気温の変化 東北の年平均気温は、100年あたり1.2℃の割合で上昇 東北地方の年平均気温 年平均気温平年差 5年移動平均値 長期変化傾向 1990 2004 1999 平年値:1981~2010年の30年平均値 1984 1897 1913 1945 100年あたり1.2℃の上昇  それでは、日本はどうなのかということです。図には示しませんが、日本のできるだけ都市化の影響の小さな地点、言い換えると田舎の地点の中で、できるだけ気象観測所の移転がなかったことを念頭に置いて17地点選びますと平均気温の上昇率が1.15℃になり、世界の上昇率0.68℃よりはもう少し大きい値になります。これは(都市化の影響が小さいので)地球温暖化の影響だろうと言えるわけです。  さて、東北地方の気温がこのグラフです。東北地方には17か所、気象台と測候所(現在は無人化されて特別地域気象観測所と名前が変わっています)がありますが、そのうち120年以上観測データを持っている6か所、青森・秋田・宮古・石巻・山形・福島を選んで、平年値との差をとったものです。  東北地方の気温の上昇率は、100年あたり1.2℃になります。日本の上昇率と大体同じです。これは地球温暖化の影響だけでなくて、都市化の影響、いわゆるヒートアイランドの効果が入ってこれだけの上昇率になっています。  細かく見て行きますと、1900年代後半と、1920年代半ばから1940年代半ばまでは低温の時期が続きました。1960年頃に高温の時期、1960年代半ばから1980年代後半の低温の時期があり、1990年頃から高温の時期が続いています。このように、年ごとの変動の他に、数年から数十年の大きな変動も見えますが、そういった変動を繰り返しつつ、100年あたり1.2℃の割合で上昇してきています。 <補足>  近年、東北地方で高温となる年が頻出している要因としては、世界・日本の平均気温と同様、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化に、数年から数十年程度の時間規模の自然変動が重なっているものと考えられます。なお、1980年代末から1990年代半ばは北極振動指数が顕著な正(北極周辺の大気の流れが蛇行しない状態)となっており、寒気が放出されにくい大気の流れであったことが、冬期を中心に東北地方の平均気温を押し上げた要因の一つと考えられます。 東北地方の年平均気温の変化(1890~2010年)  青森・秋田・宮古・石巻・山形・福島の年平均気温の平年差(平年値との差)を平均した値(℃)を示す。平年値は1981~2010年の30年平均値。青森、秋田、宮古は観測場所を移転したため、その影響を取り除く補正をしている。(都市化の影響は除いていない)

東北地方の季節別気温の変化 気温の上昇率は、夏は小さく 冬は大きい 春 夏 秋 冬 1984 1998 1996 変化率:1.4℃/100年 1993 1978 1954 2003 2010 変化率:0.8℃/100年 春 夏 1959 1990 1981 変化率:1.1℃/100年 1913 1902 1949 1984 2006 1989 変化率:1.5℃/100年 1945 秋 冬  季節ごとに特徴を見てみましょう。東北地方では、すべての季節の気温が上昇しています。中でも冬の上昇が最も大きく、100年あたり1.5℃(1891~2010年)の割合で上昇しています。一方で、夏は四季の中で最も上昇率が小さく、100年あたり0.8℃(1890~2010年)の割合の上昇にとどまっています。夏の気温があまり上昇していないのは、東北地方や北海道に見られる特徴となっていて、関東より西ではこういう傾向は見られないのですが、その原因はよくわかっていません。あとで説明しますが、温暖化が進むと、梅雨明けが遅れたりヤマセが現れやすくなる、と予測されているのですが、その影響がすでに現れているのかもしれません。 <季節別に細かく見ると>  春は1910年代から1940年代、1970年代から1980年代にかけて低温の時期があり、1984年の低温が顕著です。この年の青森のサクラ開花は1984年5月11日とゴールデンウィークを過ぎてからでした。  夏は年ごとの変動が大きいですが、1890年代後半から1910年代前半までの約20年間は低温が続き、特に1902年、1913年の低温が顕著です。これらの年は東北地方全域で凶作に見舞われています。その後も1931年、1941年、1954年、1976年、1980年、1993年、2003年と十年から二十年ごとに顕著な低温が現れています。  秋の変動幅は他の季節に比べ小さいですが、1980年代の終わりに大きく気温が上昇しました。  冬は1920年代から1940年代にかけて低温の時期があり、特に1945年の低温が顕著です。また、1949年以降、十年程度の間隔で顕著な高温が現れており、1989年以降は二、三年に一回程度の頻度で顕著な高温が現れています。 東北地方の季節別平均気温の変化(1890(冬は1891)~2010年)  青森・秋田・宮古・石巻・山形・福島の3か月平均気温の平年差(平年値との差)を平均した値(℃)を示す。平年値は1981~2010年の30年平均値。青森、秋田、宮古は観測場所を移転したため、その影響を取り除く補正をしている。

太平洋側の夏の気温は上昇していない 8月の日最高気温平均値の50年あたりの変化率 ・棒グラフは各地点の50年当りの気温変化率を表す。 最近50年の8月の日最高気温上昇率 8月の日最高気温平均値の50年あたりの変化率 ・棒グラフは各地点の50年当りの気温変化率を表す。 ・統計期間は1940年から2010年まで。すべての地点で統計的に有意で    はない。 ・青森、秋田、宮古、小名浜は観測場所を移転したため、移転の影響  を取り除く補正を行っている。

北日本の夏の気温は上昇していない(参考) 全国の上昇率 全国的にトレンド小 特に北日本で小さい 夏 気温の上昇率 都市化率 赤線は全国平均。 都市化率が高いほど気温の上昇率は高い。 北日本の上昇トレンドは低いor横ばい 西日本の上昇トレンドは高い。 →「北冷西暑」の傾向

東北日本海側の年降水量は減少している 日本海側の年降水量平年比 太平洋側の年降水量平年比 変化率:-6.2%/100年 東北地方日本海側と東北地方太平洋側の年降水量の推移(1890~2010年)  左図は日本海側(青森、秋田、山形)の年降水量の平年比(平年値に対する比)を平均した値(%)、右図は太平洋側(宮古、石巻、福島)である以外は左図と同じ。折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。平年値は1981~2010年の30年平均値。

東北地方の異常多雨と異常少雨 異常多雨に変化傾向はない 異常少雨は100年あたり0.3回の増加 異常多雨 異常少雨 変化率:0.3回/100年 東北地方の異常多雨・異常少雨の年間出現数の推移(1890~2010年)  左図は青森、秋田、宮古、石巻、山形、福島の月降水量の各月における多い方から1~4位(異常多雨)の値の年間出現数。右図は、同様に少ない方から1~4位(異常少雨)の値の年間出現数。年々の値はその年の異常多雨あるいは異常少雨の出現数の合計を有効地点数の合計で割った値で、1地点あたりの出現数を意味する。太線は11年移動平均値。横破線は異常多雨・異常少雨の平均的な年間出現数(0.4回)を示す。 東北地方では、実は異常少雨が増えています。  これは月降水量で見ているのですが、121年間で月降水量を順番に並べてみます。少ないほうから1位、2位、3位、4位、この年に1位が出た、この年に2位が出た、ということをやっていきます。それを月ごとに重ねていくわけです。そうすると月の降水量がとても少ない記録が出た年というのを勘定できます。先ほどと同じ東北地方の6地点でその平均を取ることで、異常少雨の出現数を算出することができます。  その結果、19世紀末から20世紀初頭の30年間(1890~1919年)で平均した出現数が0.3回であるのに比べて、最近の30年間(1981~2010年)の平均出現数は0.6回で、2倍に増加しているということがわかりました。異常少雨は1970年代に入って急に増えてその後は多い時期が続いています。一方で、異常多雨の方は増加傾向や減少傾向は見られませんでした。  このような雨の降り方の変化が世界中で観測されています。そして、今後地球温暖化が進行すると降水量の変動性が増加する(極端に多い降水量と少ない降水量が出やすくなる)と考えられています。 東北地方の 大雨日数に有意な変化はない ※異常気象:30年に1回程度の頻度で起こる現象

岩手県の観測点と盛岡・宮古の気候 平年値:1981~2010年の30年平均値 気象観測所:46地点(2011年1月現在) 盛岡 宮古 大船渡 月平均気温:盛岡は宮古に比べ冬寒く夏暑い。 月降水量:宮古は9月の雨量が多い。 月間日照時間:宮古は盛岡より冬期の日照が多い。 大船渡 盛岡 宮古 気象観測所:46地点(2011年1月現在)

盛岡の年平均気温は、100年あたり1.6℃の割合で上昇 盛岡・宮古の気温の変化 盛岡の年平均気温は、100年あたり1.6℃の割合で上昇 盛岡の年平均気温 宮古の年平均気温 変化率:+1.6℃/100年 変化率:+0.6℃/100年 盛岡の年平均気温(1924~2010年)と宮古の年平均気温(1884~2010年) 宮古は1939年1月に観測場所を移転したため補正を行っている。赤線は5年移動平均。 (参考)天文台 水沢の気温と盛岡の比較 青が水沢の年平均気温。

盛岡・宮古 春・夏の気温変化 宮古の夏の気温は上昇していない 盛岡 宮古 春 夏 変化率:+0.8℃/100年 変化率:+1.8℃/100年 盛岡・宮古 春・夏の気温変化 宮古の夏の気温は上昇していない 盛岡 宮古 春 変化率:+1.8℃/100年 変化率:+0.8℃/100年 夏 変化率:+1.0℃/100年 盛岡(1924~2012年)と宮古(1883~2012年)の3か月平均気温 宮古は1939年1月に観測場所を移転したため補正を行っている。宮古の2011年春は地震のため欠測。 夏のトレンドは小さいorない(東北地方の傾向と同じ)

盛岡・宮古 秋・冬の気温変化 盛岡の冬の上昇傾向が最も大きい 盛岡 宮古 春 夏 変化率:+1.3℃/100年 変化率:+0.6℃/100年 盛岡・宮古 秋・冬の気温変化 盛岡の冬の上昇傾向が最も大きい 盛岡 宮古 春 変化率:+1.3℃/100年 変化率:+0.6℃/100年 夏 変化率:+2.1℃/100年 変化率:+0.9℃/100年 盛岡(1924(冬1925))と宮古(1883(冬1884))~2012年(秋2011) の3か月平均気温 宮古は1939年1月に観測場所を移転したため補正を行っている。 夏のトレンドは小さいorない(東北地方の傾向と同じ)

親潮の長期変化傾向 親潮南限位置(緯度)の推移 親潮域面積の推移 統計期間:1961~2010年 ○親潮の南限位置は、最近の30年間は、その前の20年間と比べ、北緯40度10分付近から北緯39度20分付近へと南下の傾向 ○親潮域面積の月平均値は、最近の30年間は、その前の20年間と比較すると、7.2×104km2から9.5×104km2へと増大の傾向 本州東方海域における親潮水は、幅広く南下したり、舌状に張り出したりと、様々な分布形がある。そこで、気象庁では、北緯43度以南、東経141~148度の範囲の100m深水温が5℃以下の領域を親潮域と定義し、その南限位置(緯度)と面積を親潮南下の程度、ひいては親潮勢力の指標としている。 図に親潮南限位置の月平均値の推移を示す。親潮の南限位置は、3年前後の時間スケールで北偏・南偏を繰り返している。また、最近の30年間(1981年~2010年)の南限位置の平均値は、その前の20年間(1961年~1980年)の南限位置の平均値と比べ、北緯40度10分付近から北緯39度20分付近へと南下の傾向にある。 最も南下が著しかったのは、親潮の異常南下として記憶されている1984年3月の北緯36度15分付近である。 右図に親潮域面積の月平均値の推移を示す。親潮域の面積は、親潮南限位置の変動とほぼ対応して、3年前後の時間スケールで拡大・縮小を繰り返している。また、最近の30年間(1981~2010年)の面積の平均値は、その前の20年間(1961~1980年)の面積の平均値と比較すると、7.2×104km2から9.5×104km2へと増大の傾向にある。 北緯43度以南、東経141~148度の範囲の100m深水温が5℃以下の領域を親潮域と定義

夏の降水量と大雨日数に変化傾向はない 盛岡の夏の降水量 宮古の夏の降水量 盛岡の日降水量50mm以上の年間日数 統計期間:1924~2012年 統計期間:1884~2012年 盛岡の日降水量50mm以上の年間日数 宮古の日降水量50mm以上の年間日数 全国では日降水量100mm 以上の日数は1901~2011 年の111 年間で増加傾向が明瞭に現れている(信頼度水準95%で統計的に有意)。トレンドは100年あたり0.24日の増加。 統計期間:1924~2010年 統計期間:1884~2010年

1時間降水量30mm以上の発生回数に変化はない 岩手県のアメダスで見た大雨回数 1時間降水量30mm以上の発生回数に変化はない 日降水量100mm以上の発生回数に変化はない 91.9回 70.4回 東北地方の1時間降水量30mm以上、日降水量100mm以上の年間発生回数の推移 (1979~2010年) 全国の調査に用いるアメダスの地点数は、1976 年当初は約800 地点であるが、その後増加し、2011 年では約1,300地点となっている。そこで、年による地点数の違いの影響を避けるため、年ごとの発生回数を1,000 地点あたりの回数に換算し比較している。なお、山岳地域に展開されていた無線ロボット雨量観測所のうち、廃止された観測所は除外している。 全国のアメダス地点で1時間降水量が50mm 以上となった年間の回数(1000地点あたりの回数に換算) 19.9回/10年の割合で増加。 出典:気象庁、2012  東北地方で1979年から2010年まで降水量の観測を継続している39地点のデータから集計した。横線は連続する10年ないし11年の平均。

宮古の霧日数が増えている 宮古の霧日数 八戸の霧日数 小名浜の霧日数 石巻の霧日数 変化率:+2.6日/10年 宮古では、図に示すように統計的に有意な増加傾向が見られ、その割合は10年あたり2.6日である。なお、宮古は1939年1月に観測場所の移転があり、その前後で比較できないため、1939年以降の変化傾向を調べている。2007年10月1日に無人化のため観測終了。 松岡(1994)は、宮古の霧の大部分は、気温が沿岸の海水温度より低い4月から9月に発生しており、海水温度が低いと霧日数が増える傾向があると報告している。しかし、宮古と同様、東北地方の太平洋沿岸に位置する八戸、大船渡、石巻、小名浜では霧日数の増加傾向は確認されておらず、霧日数増加の原因については現時点では明らかではない。

東北地方・岩手県の気候は・・・ 東北地方では ・冬を中心に平均気温が上昇 ・夏の気温は上昇していない ・日本海側の降水量が減少している  東北地方では  ・冬を中心に平均気温が上昇  ・夏の気温は上昇していない  ・日本海側の降水量が減少している  ・異常少雨が増加している  岩手県では  ・沿岸の夏の気温は上昇していない  ・夏の降水量や大雨日数に変化傾向はない  ・親潮の勢力が強まっている可能性  ・宮古の霧日数が増加している