第11回 都市の温暖化とその対策.

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リモートセンシング工 学 2007 年 1 月 11 日 森広研 M1 本田慎也. 第 11 章 気象レーダーによる観 測 雲、雨、風など 気象災害 → 特に台風、集中豪雨、竜巻、 ウインドシアー 大気の激しい撹乱現象をレーダーで 観測し防災に役立てることが重要.
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研究背景と目的 解析結果・グラフ 解析手法 データベース化結果・今後の展望 データベース化 熱中症リスク評価シミュレータの開発と応用
スケールモデルを用いた建物群周りの        気温分布の検討 藤原 孝三 指導教員  成田 健一.
建築物にかかる猛暑対策貢献者の表彰とHP公表
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
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第11回 都市の温暖化とその対策

20世紀に起きた都市化の波と壮大な東京の都市開発

東京の市街域の拡大

都市化に伴うエコシステムの変化 都市砂漠 地表のハードサーフェイス化 熱エネルギー 太陽の光エネルギー 自然エコシステム 生産層 分解層 O2 有機物 (緑色植物) CO2 (食物連鎖) (動物) 地表のハードサーフェイス化 H2O 無機物 分解層 (微生物) ・表層水の流れが変わる ・雨水が浸透しない ・都市型水害が起きる ・植物が育たなくなる ・枯れ葉が清掃される. ・土壌への栄養供給がない ・物質循環が断ち切る. ・エネルギーの流れが変わる 都市砂漠

開発に伴う植生の減少 1984 1974 港北ニュータウン地区 1992 1997

開発に伴う水面の減少 ・海が埋め立てられ,河が埋められ,暗渠化される. 明治11年の東京 平成14年の東京

植生・水面の減少がもたらす温度の変化 236+236+α-(80-α)=392+2α=σTG4 植物や水面の蒸発散の分(潜熱)が顕熱となり,温度を上昇させることになる. +α -α +α +α -α

都市化にともなう都市環境の変化

都市の温暖化

われわれの都市 真夜中は別の顔

夜の横浜 1999/03/01 9:00pm 2003/11/14 9:00pm

東京の表面温度ヒートアイランドの分布

東京の表面温度ヒートアイランドの強度

都市ヒートアイランド Urban Heat Island 都市中心部の気温が郊外より高くなる現象 UHI強度 Canopy air temperature 気温観測所

都市ヒートアイランドの構造

ヒートアイランドの原因:自然エコシステムの崩壊

ヒートアイランドの原因:エネルギーの消費      出典:「ヒートアイランド対策の推進のために」 環境庁 大気保全局 大気生活環境室

都市化にともない,温暖化が進行

ヒートアイランドが都市独特の気象を生み出す ヒートアイランドの弊害 ・エネルギー消費の増大 ・光化学スモッグ ・局地集中豪雨 ・都市生態系の異変 ・熱中症

都市がつくる気候の特徴 日射: 雲: 降水: 気温: 湿度: 風速: 総量に対して-,散乱日射に対して+ 雲量,霧は+ 雷雨性降雨に対して+ 微雨に対しては+ 都市化の段階で- 降雪に対しては- 気温: 年平均,最高・最低ともに+ 湿度: 相対湿度は- 風速: 年平均,極値は- 局所的に極値は+

ヒートアイランドの対策 自然メカニズムの利用 エネルギー消費の削減 自然の保全 自然環境の活用 都市・」建築設計上の配慮 人工排熱の削減 森林・農地・水面の保全 自然環境の活用 風の道 都市・」建築設計上の配慮 自然・市街地の配置 屋上緑化,地上緑化の推進 水面の修復 透水性・保水性舗装の推進 アルベドの高い材料の利用 エネルギー消費の削減 人工排熱の削減 エネルギー構造の転換 供熱・供水設備の効率化

屋上緑化による表面温度の緩和 東京都環境科学研究所

高反射率塗料・保水性舗装の導入

公園緑地のヒートアイランド緩和効果

公園緑地の気温緩和効果 2002年10月4日14時・南西の微風・晴れ

エントロピー/エクセルギーからの考察 ヒートアイランドは都市表面構造の変化によって,水や植物の蒸発散で処理していた熱エントロピーが出来なくなり,顕熱(熱エントロピー)の増大が原因にある. また,エネルギーの消費の増大によって,エアコンや産業活動からの排熱(エントロピー)の増大も原因である. 地球表面の物質は密度、比熱、容積が違うため,温度特性が異なる.空気温度の上昇は垂直方面の熱エネルギーの交換である.横方向の熱交換は風を生み出す. 風は暖かい場所から冷たい場所へ流れるわけであるが,それはつまり,暖かいものが熱を排出し,冷たいものが熱を吸収することである.このとき,暖かいものは温エクセルギー,冷たいものは冷エクセルギーをもつという. 都市における緑地や水面はヒートアイランドを緩和する能力を有するとは,冷エクセルギーを持つことである.冷エクセルギーは緑地の密度や緑地内外の温度差から定量的に評価することができる. より大きな緑地,より鬱蒼とした森は外気と高い温度差を持つことが可能なことから,より高いUHIを緩和する能力をもつ.つまり,冷エクセルギーが大きいと考えられる.逆に小さな緑地,まばらな樹林は外気温度への応答が速く,温度差が少ないため,冷エクセルギーが小さいと考えられる. 以上のことから,森は,同面積の芝生と比べて,持ちうる温度差が大きく,周辺温度に同化される時間も長いため,大きな冷エクセルギー(ヒートアイランド緩和効果)をもつと想像できる.

小さい森Aと大きい公園Bが持ちうる冷エクセルギー 冷エクセルギー(kJ) 大きい森B 小さい森A 16 17 18 19 TE TA1 TE TB1 温度(℃)

ヒートアイランド対策の行政 都市環境行政のもっとも重要な課題の1つ 国: 東京都: ヒートアイランド対策関係府省連絡会議 http://www.env.go.jp/air/life/heat_renraku/index.html 東京都: 東京都のヒートアイランド対策http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/heat/