マクロ経済学初級I 第3回
キーワード トレードオフ 機会費用 比較優位 交換の利益 生産活動の特化
相互依存と交換の利益 お互いに交換することで、皆が利益を得るしくみを理解する。 絶対優位、比較優位を理解する。 交換の利益が比較優位によってどのように説明されるかを理解する。
簡単なモデル経済 農夫と漁師の2人だけの世界 ともに週40時間の労働力を持つ 生産可能な財は、肉と芋の2つだけ。
単位労働投入量 1キロの魚を 生産するのに かかる時間 1キロの芋を 生産するのに かかる時間 農夫 10 5 漁師 2 4
労働生産性 40時間で生産 できる魚の量 40時間で生産 できる芋の量 農夫 4 kg 8 kg 漁師 20 kg 10 kg
農夫の生産可能性曲線 魚(kg) 4 A 2 4 8 芋(kg)
トレードオフ trade off 週40時間の労働力を使いきっている場合、 芋の生産を増やすためには魚の生産を 減らさなくてはならない。 芋の生産を増やすためには魚の生産を 減らさなくてはならない。 片方を増やすと他方を減らさざるを得ない という状況を「トレードオフ」という。 芋と魚はトレードオフの関係にある。
機会費用 opportunity cost 農夫の場合、1kgの魚をとるには2kgの芋を犠牲にする必要がある。 1kgの魚をとる機会費用は芋2kg 逆に1kgの芋をつくるには0.5kgの魚を犠牲にする必要がある。 1kgの芋をつくる機会費用は魚0.5kg
機会費用 あることがらの機会費用とは、 それを行わずにべつのことをやって獲得 できる最大の便益のことだ。 それを行わずにべつのことをやって獲得 できる最大の便益のことだ。 機会費用には実際に金銭的支出をともなうものだけではなく、非金銭的なものも含まれる。
漁師の生産可能性曲線 魚(kg) 20 B 10 5 10 芋(kg)
絶対優位 1時間でとれる魚の量は農夫よりも漁師のほうが多い。 魚とりにかんして、漁師は農夫に対して 絶対優位を持つ。 魚とりにかんして、漁師は農夫に対して 絶対優位を持つ。 1時間でつくれる芋の量は農夫よりも漁師のほうが多い。 やはり、 芋づくりについて、漁師は農夫に対して 絶対優位を持つ。
漁師と農夫の魚とりの機会費用 漁師: 魚1kgの機会費用は 芋0.5kg 農夫: 魚1kgの機会費用は 芋2kg 漁師: 魚1kgの機会費用は 芋0.5kg 農夫: 魚1kgの機会費用は 芋2kg 漁師にとって魚をつくる機会費用は農夫よりも安い 農夫にとって魚をつくる機会費用は漁師よりも高い
漁師と農夫の芋づくりの機会費用 漁師: 芋1kgの機会費用は 魚2kg 農夫: 芋1kgの機会費用は 魚0.5kg 漁師: 芋1kgの機会費用は 魚2kg 農夫: 芋1kgの機会費用は 魚0.5kg 漁師にとって芋をつくる機会費用は農夫よりも高い 農夫にとって芋をつくる機会費用は漁師よりも安い
漁師はどうしたらよいか? 漁師にとって魚をつくる機会費用は農夫よりも安い 漁師にとって芋をつくる機会費用は農夫よりも高い だから、 漁師は魚をつくってそれを農夫と交換すると得だ。 漁師は機会費用の安い財(魚)の生産に 比較優位を持つ
農夫はどうしたらよいか? 農夫にとって魚をつくる機会費用は漁師よりも高い 農夫にとって芋をつくる機会費用は漁師よりも安い だから、 農夫は芋をつくってそれを魚と交換すると得だ。 農夫は機会費用の安い財(芋)の生産に 比較優位を持つ。
比較優位 ある人は、生産にかかる機会費用が 他の人の機会費用よりも安いような財に、 比較優位を持つ
どんな交換比率で交換すると得か? 漁師の芋1kgの機会費用 魚2kg 交換比率 芋1kg と 魚1kg 漁師の芋1kgの機会費用 魚2kg 交換比率 芋1kg と 魚1kg 農夫の芋1kgの機会費用 魚0.5kg 漁師と農夫の芋の機会費用の間の交換比率で交換すれば得!
交換によって両者とも生産可能性曲線の外側での消費が可能になる 20 魚(kg) 14 11 10 4 3 2 A 5 4 8 3 5 6 10 芋(kg) 農夫 漁師
生産の特化と交換の利益 農夫は芋の生産に特化し (芋を集中的につくること)、 芋を売って、そのかわりに魚を手に入れることで (芋を集中的につくること)、 芋を売って、そのかわりに魚を手に入れることで ひとりで芋と魚をつくるよりも多くの 芋と魚を消費できる