建築環境工学・建築設備工学入門 <基礎編> <流体の基礎> 流体力学の基礎 [Last Update 2015/04/30]
連続の原理を川の流れで考えると 断面積:A1 流 速:V1 断面積:A2 流 速:V2 断面積:A3 流 速:V3 速い 遅い 速い 断面積:A1 流 速:V1 断面積:A2 流 速:V2 断面積:A3 流 速:V3 川の流れは、深さや川幅の変化によって流れの速度は変化するが、水量は常に一定である。 連続の式 A1×V1= A2×V2=A3×V3 が成り立つ
連続の原理をパイプに置きかえると 断面積:A1 流 速:V1 断面積:A2 流 速:V2 断面積:A3 流 速:V3 遅い 速い 速い 静圧と動圧は表裏一体である。前スライドで示した「断面変化によって流速が増せば動圧が増加するが、その源泉は静圧であり、動圧の増加分と静圧の減少分は等価である。」ことを具体的に示したものがこの図である。 断面積:A1 流 速:V1 断面積:A2 流 速:V2 断面積:A3 流 速:V3
連続の原理をパイプに置きかえると 左図のように管路途中に流入、流出のない場合の任意の断面1、2における流量 Q(㎥/s)は一定である。 A2 遅い 速い 面1 面2 連続の式について 𝑣1 𝑣2 A1 A2 𝜌2 𝑃2 𝜌1 面1 𝑃1 面2 左図のように管路途中に流入、流出のない場合の任意の断面1、2における流量 Q(㎥/s)は一定である。 Q =流 量 𝑚 3 /𝑠 𝑣 =流 速 𝑚/𝑠 A =断面積 𝑚 2 G =質量重量 kg/𝑠 𝜌 =密度 kg/ 𝑚 2
連続の原理をパイプに置きかえると すなわち、 Q1=Q2 または 𝑣1A1= 𝑣2A2 と表すことができ、これを連続の式という。 A2 𝑣2 遅い 速い 面1 面2 管路内で、断面が変化(例えば断面1から2)しても、流速が変化するだけで流量は変化しない。 𝑣1 𝑣2 A1 A2 𝜌2 𝑃2 𝜌1 面1 𝑃1 面2 すなわち、 Q1=Q2 または 𝑣1A1= 𝑣2A2 と表すことができ、これを連続の式という。 Q =流 量 𝑚 3 /𝑠 𝑣 =流 速 𝑚/𝑠 A =断面積 𝑚 2 G =質量重量 kg/𝑠 𝜌 =密度 kg/ 𝑚 2
連続の原理をパイプに置きかえると 𝜌1𝑣1A1=𝜌2 𝑣2A2 遅い 速い 面1 面2 厳密には、温度変化等による流体密度の変化を考慮すれば質量重量は変化しないと表現できる。 𝑣1 𝑣2 A1 A2 𝜌2 𝑃2 𝜌1 面1 𝑃1 面2 断面1、2において、流体の密度が温度変化等によって変化する場合には、質量重量を用いて以下のようにあらわす。 G1=G2 または 𝜌1𝑣1A1=𝜌2 𝑣2A2 Q =流 量 𝑚 3 /𝑠 𝑣 =流 速 𝑚/𝑠 A =断面積 𝑚 2 G =質量重量 kg/𝑠 𝜌 =密度 kg/ 𝑚 2
ベルヌーイの定理 𝑷+ 𝟏 𝟐 𝝆𝒗 𝟐 +𝝆𝒈𝒉=C(Constant;一定) [Pa] 𝒉1 𝒉2 ベルヌーイの定理は上図に示すような管路中を流れる完全流体について、エネルギー保存則を示したものである。 ダクト系や配管系の設計の基礎的な理論であるのがベルヌーイの定理であり、ダクトや配管の合理的なサイズ選定やファン・ポンプの所要能力の算定に用いられる。 完全流体の管路中の任意の点における流体の全圧力は、管内での圧力損失が生じないとすると常に一定で、このような式であらわされる。 𝑣1 𝑣2 A1 A2 𝜌2 𝑃2 𝜌1 面1 𝑃1 面2 ベルヌーイの定理は図に示すような管路中を流れる完全流体について、エネルギー保存則を示したもの。 Q =流 量 𝑚 3 /𝑠 𝑣 =流 速 𝑚/𝑠 A =断面積 𝑚 2 G =質量重量 kg/𝑠 𝜌 =密度 kg/ 𝑚 2 𝒉1 𝒉2
静圧と動圧は表裏一体 静圧から 動圧への変化 静圧(小) 静圧(大) 動圧 静圧から 動圧への変化 静圧(小) 動圧 流体は静止状態から動き出すと動圧が生じる。この逆も成立し、流体がエネルギーを失わず静止状態となれば、動圧は静圧に変化する。 静圧(大) 風船内の空気は動いていないので動圧はなく、風船を押し広げようとする静圧だけが生じている。 風船から勢いよく噴出する空気は、静圧が動圧に変化したものである。
静 圧(1) 静圧とは容器(管)内各部に均等に発生している圧力であり、正圧の場合と負圧の場合がある。 静圧 風せん Ps [ mmAq ] 静 圧(1) 静圧とは容器(管)内各部に均等に発生している圧力であり、正圧の場合と負圧の場合がある。 空気の圧力の表し方 静圧 風せん Ps [ mmAq ] 風船内部の圧力を水の高さによって表す・・(仮) 大気圧 管 静圧 B A AとBの差が 風せん内部の圧力(静圧) 風せん内部の圧力を 水の高さによって表す 水
静 圧(2) 静圧とは容器(管)内各部に均等に発生している圧力であり、正圧の場合と負圧の場合がある。 B B A A 大気圧 大気圧 大気圧 静 圧(2) 静圧とは容器(管)内各部に均等に発生している圧力であり、正圧の場合と負圧の場合がある。 開放 ふた 気体(空気)が流れるダクトや配管の内部には、ダクト・配管を押し広げようとする(あるいは縮小しようとする)静圧と気体(空気)が動くことによる動圧が発生している。 流れが静止し、 外部に開放しているとき 空気 空気の流れの速さは中心ほど速い 大気圧 大気圧 大気圧 流れに直角方向が静圧 A、Bともに 水位が同じで 静圧0 B これが静圧 Ps [ mmAq ] を表す B 0 A A マノメータ 静圧0 静圧がPs
動 圧(1) 動圧とは容器(管)内各部に発生している流れによって発生している圧力であり、 正圧の圧力である。 動圧 全圧 静圧 𝑉 2 2𝑔 動 圧(1) 動圧とは容器(管)内各部に発生している流れによって発生している圧力であり、 正圧の圧力である。 ここでは風速は 0 [ m/s ] になる 空気の流れ V [ m/s ] 動圧は直接測定することができない。図のようにダクト・配管内の気体の圧力は、ダクト・管内全体に掛かる静圧と空気の流れによる動圧と静圧の合計である全圧について測定することができる。したがって、ダクト・配管内の動圧を知るためには、図のように全圧と静圧を測定し、全圧から静圧を差し引いた値が動圧いうことになる。航空機の飛行速度の測定もこの原理で行っている。(ピトー管) 𝑉 2 2𝑔 流れと同じ方向に 取り付けたガラス管 の速度エネルギーが 0 になる 動圧 Pv [ mmAq ] 全圧 PT [ mmAq ] マノメータ 静圧 Ps [ mmAq ] 静圧・動圧・全圧の関係
航空機の飛行速度の測定もこの原理で行っている。(ピトー管) 動 圧(2) 航空機の飛行速度の測定もこの原理で行っている。(ピトー管) 空気の流れ 静圧 Ps [ mmAq ] 航空機の飛行速度の測定もこの原理で行っている。(ピトー管) 全圧 PT [ mmAq ] 動圧 Pv [ mmAq ]
ダクト系の空気の圧力も同様 ダクト内に抵抗がないものとすると全圧は常に一定であり、風速の変化に伴う動圧の増減は、静圧から変換される。(ベルヌーイの定理) ダクト内では、断面変化によって流速が増せば動圧が増加するが、その源泉は静圧であり、動圧の増加分と静圧の減少分は等価である。厳密に言えば、ベルヌーイの定理は、静圧+動圧+位置圧=C(一定) であることを示しているが、ダクト内を流れる気体(通常は空気)は、質量が小さいため位置エネルギーによって生じる位置圧をほとんど無視できると考えてよい。 静圧 静圧 全圧 全圧 動圧 動圧
静圧再取得 静圧と動圧は表裏一体である。前スライドで示した「断面変化によって流速が増せば動圧が増加するが、その源泉は静圧であり、動圧の増加分と静圧の減少分は等価である。」ことを具体的に示したものがこの図である。 口径:200mm 口径:400mm 口径:200mm 静圧 静圧 静圧 全圧 動圧 動圧 動圧 流量:Q1 流速:V1 断面積:A1=0.03㎡ 静圧:Ps1 動圧:PV1 =1/2・ρV12 全圧=静圧+動圧 =Ps1+1/2・ρV12 流量:Q2=Q1 流速:V2 =1/4V1 断面積:A2=0.126㎡(4A1) 静圧:Ps2 動圧:PV2 =1/2・ρV22 全圧=静圧+動圧 =Ps2 +1/2・ρV22 =(Ps1+1/2・15/16ρV12 ) +(1/2・1/16ρV12 ) 流量:Q1 流速:V1 断面積:A1=0.03㎡ 静圧:Ps1 動圧:PV1 =1/2・ρV12 全圧=静圧+動圧 =Ps1+1/2・ρV12
管路におけるベルヌーイの定理(1) 管路内の流れ ◎完全流体の管路中には、静圧・動圧・位置圧が生じている。がある。 𝑣1 𝑣2 A1 A2 𝜌2 𝑃2 𝜌1 面1 𝑃1 面2 ◎ベルヌーイの定理は、この静圧・動圧・位置圧の合計である全圧が管内での圧力損失が生じないとすると常に一定であることを示したものである。 流体が空気等の質量が小さい場合は位置圧を無視することができるが、水その他の液体の場合はその質量が大きいため位置圧は無視できない。【★確認事項→】上式において、ρℊここに数式を入力します。buoy ◎管路を流れる流体には、図に示す断面1、2において次式の関係がある。 𝒉1 𝒉2 静 圧 動 圧 位置圧 𝑷 𝟏 + 𝟏 𝟐 𝒑 𝒗 𝟏 𝟐 +𝒑𝒈 𝒉 𝟏 = 𝑷 𝟐 + 𝟏 𝟐 𝒑 𝒗 𝟐 𝟐 +𝒑𝒈 𝒉 𝟐
管路におけるベルヌーイの定理(2) 𝒑+ 𝟏 𝟐 𝒑 𝒗 𝟐 𝒑 𝒉 𝒑 𝑺 𝒑 𝑻 3つの圧→静圧、動圧、位置圧 静圧 全圧 気体におけるダクト・配管と同様、右図のように、管路中に圧力計を取り付けることで静圧と全圧を測定することができる。この時、管路高さが等しく位置圧が同じであれば、動圧は全圧から静圧を差し引いたものとなる。 3つの圧→静圧、動圧、位置圧 𝒑+ 𝟏 𝟐 𝒑 𝒗 𝟐 𝒑 流体が空気等の質量が小さい場合は位置圧を無視することができるが、水その他の液体の場合はその質量が大きいため位置圧は無視できない。管路高さが等しい場合や密閉回路の場合は位置圧の差は生じない。 𝒉 静圧 全圧 𝒑 𝑺 𝒑 𝑻 流体が空気等の質量が小さい場合は位置圧を無視することができるが、水その他の液体の場合はその質量が大きいため位置圧は無視できない。管路高さが等しい場合や密閉回路の場合は位置圧の差は生じない。
発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 首藤 治久 発 行 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 (SHASE: The Society of Heating, Air Conditioning and Sanitary Engineers of Japan) 首藤 治久