低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器

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Presentation transcript:

低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器 東京大学理学系研究科 物理学専攻坪野研究室 発表者:岡田健志 共同研究者: 安東正樹, 石徹白晃治, 麻生洋一, 坪野公夫

概要 目的: 地上で0.1~0.01Hz付近の低周波重力波探査 ねじれ振り子型重力波検出器の回転センサ部の干渉計に 直交位相法を使用  ねじれ振り子型重力波検出器の回転センサ部の干渉計に 直交位相法を使用 重力波振幅に換算された検出器の雑音 現在のベストデータ: 0.11 Hzにおいて 7×10-9 [1/Hz1/2] 直交  検出器の感度を制限している雑音について

Torsion-bar antenna (TOBA) 低周波(1 Hz以下) 重力波は宇宙論、天文学的に重要 (ex. 背景重力波、中間質量ブラックホール連星の合体) ・ 地上大型レーザー干渉計 地面振動と共振周波数の問題で 10 Hz以下で重力波探査ができない ・ 宇宙レーザー干渉計 多大なリソースと 長い開発時間が必要 地上で可能な新しい低周波重力波検出器を開発したい ねじれ振り子型重力波検出器 Torsion-bar antenna (TOBA) 観測帯域:0.01 -1 Hz 衛星に比べ低コストで低リスク、地上なので修理や改良が可能

ねじれ振り子型重力波検出器(TOBA)の原理 干渉計型重力波検出器 TOBA GW GW x y z x y z mirror mirror Laser Torsion bar mirror mirror photodetector レーザーと鏡により距離の変化を読み取る テストマスの回転を検出 回転の読み取りはレーザー干渉計

先行研究 重力波に対する感度 :0.2 Hz で 2×10-9 Hz-1/2 背景重力波のエネルギー密度 Ωgwに対して上限値 超伝導磁気浮上によって浮上した テストマスによるねじれ振り子型重力波 検出器 石徹白晃治氏 博士論文より 重力波に対する感度 :0.2 Hz で 2×10-9 Hz-1/2 これにより 背景重力波のエネルギー密度 Ωgwに対して上限値 :8.1×1017 Log(周波数 [Hz] )

回転センサに直行位相法を用いる利点 直交位相法を用いればこれが可能になる もしテストマスを制御しないで済み、さらにワイヤーで 石徹白晃治氏 博士論文より 超伝導体 -4 磁石 -5 テストマス 測定された 感度 -6 地面振動 カップリング雑音 -7 Log (重力波に対する感度 [1/Hz-1/2]) 先行研究では磁石を用いて浮上し 回転はコイル-磁石アクチュエータ によって制御 -8 -9 熱雑音 制御による雑音 -10 0.1 Hz以下で磁場雑音や制御による 雑音が感度を制限していた 磁場雑音 -11 -2 -1 1 log (周波数 [Hz]) もしテストマスを制御しないで済み、さらにワイヤーで 懸架すれば磁場雑音、制御による雑音は原理的になくなる 直交位相法を用いればこれが可能になる

回転センサに直行位相法を用いる利点 磁場雑音、制御の雑音なし 先行研究 今回の実験 超伝導ピン止め効果 ワイヤーで懸架し制御せず 干渉により光量が変化 マイケルソンレーザー 干渉計 先行研究 超伝導ピン止め効果 で浮上しコイル-磁石 アクチュエータで 回転を制御 今回の実験 ワイヤーで懸架し制御せず 90°位相のずれた二つの 干渉によって回転を測定(直行位相法) 磁場雑音リミットだった 位相が90°ずれた 二つの干渉 この範囲に制御 光の強さ 測定可能 テストマスの回転 磁場雑音、制御の雑音なし

実験装置 テストマス 長さ : 40 cm 60 cm 重さ : 160 g 波長 : 1064 nm 出力 : 4mW 目標: 直交位相法を用いて重力波に対する感度を 更新し、背景重力波に対するより強い制限 をつける タングステンワイヤー :直径50μm 真空チャンバー レーザー 干渉計 テストマス ミラー 長さ : 40 cm 60 cm レーザー 重さ : 160 g 波長 : 1064 nm  出力 : 4mW ターボ分子ポンプ ~ 10-4 Pa

実験セットアップ 干渉計信号2 位相が90ずれた干渉信号 干渉計信号1

実験セットアップ 回転ステージ テストマス 干渉計

Φ 干渉計の信号 位相が90°ずれた二つの干渉計の信号をそれぞれ 縦軸と横軸にプロット この位相φがテストマスの回転の信号となる 2πで半波長分(532nm)に相当

信号をテストマスの回転に換算 干渉の位相の 時系列データ 2πずれたところを つなげて π ⇔ 532nm/テストマスの長さ よりテストマスの 回転に換算

現在のベスト感度: 0.11 Hz において 7×10-9 1/Hz1/2 重力波に対する感度 共振周波数以上で  重力波の振幅∝テストマスの回転 となるので回転雑音を重力波振幅等価雑音に換算 2じゃなくて比例 現在のベスト感度: 0.11 Hz において 7×10-9 1/Hz1/2

先行研究との感度の比較 今回の測定 先行研究(超伝導磁気浮上)でのベストデータ

検出器の雑音 熱雑音 地面振動カップリング雑音 0.1Hz 以上: 地面振動カップリング雑音でリミット Ωgwの話 0.1Hz 以上: 地面振動カップリング雑音でリミット 0.1Hz 以下: まだ特定できていない   今後の課題  ・ 0.1 Hz以下の雑音を特定し低減させ重力波に対する感度の 向上 ・ さらに大型化して到達可能な感度を見積もる

まとめ 不明の雑音の特定 重力波に対する感度の向上 大型化して到達可能な感度の見積もり ・ 低周波重力波探査を目的とした ねじれ振り子型重力波検出器 ・ 回転の読み取りに直交位相法を使用 ・ 現在の感度: 0.11 Hzにおいて 7×10-9 [1/Hz1/2] ・ 今後の課題: 不明の雑音の特定 重力波に対する感度の向上 大型化して到達可能な感度の見積もり

END

信号をテストマスの回転に換算 干渉の位相の 時系列データ 2πずれたところを つなげて 2π ⇔ 1064nm よりテストマスの 回転に換算

重力波に対する感度 ベスト感度: 0.1 Hz において 6×10-9 1/Hz1/2 共振周波数以上で 重力波の振幅∝テストマスの回転 共振周波数以上で  重力波の振幅∝テストマスの回転 となるので回転雑音を重力波振幅等価雑音に換算 2じゃなくて比例 ベスト感度: 0.1 Hz において 6×10-9 1/Hz1/2

先行研究との感度の比較 今回の測定 先行研究(超伝導磁気浮上)でのベストデータ

検出器の雑音 熱雑音 地面振動カップリング雑音 0.1Hz 以上: 地面振動カップリング雑音でリミット Ωgwの話 0.1Hz 以上: 地面振動カップリング雑音でリミット 0.1Hz 以下: まだ特定できていない   今後の課題  ・ 0.1 Hz以下の雑音を特定し低減させ重力波に対する感度の 向上 ・ さらに大型化して到達可能な感度を見積もる