ビジネス入門 第12回:11月4日 イノベーションマネジメント

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ビジネス入門 第12回:11月4日 イノベーションマネジメント 工学系研究科 技術経営戦略学専攻教授 工学部システム創成学科C(知能社会システム) 元橋一之 http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp

ビジネス入門のゴール: 企業価値とは何か?それを高めるためにはどうしたらいいか? 日本のIT企業は企業価値が低い 売上高利益率が低い なぜか?IBM、Google、Microsoftなどとの違いは何か? 企業価値を高めるためには? 企業の仕組みについて理解する 企業価値とは何か? 経営戦略 グローバル戦略 マーケティング 技術経営マネジメント

技術経営とは? イノベーション イノベーションマネジメント 資金(ベンチャーファイナンス) 市場(テクノロジーマーケティング) 技術的発見・アイディア  遺伝子機能  情報検索アルゴリズム  デザイン、軽量>機能 経済価値化・収益化  バイオ医薬・遺伝子治療  Google  i-pod イノベーションマネジメント  資金(ベンチャーファイナンス)  市場(テクノロジーマーケティング)  組織(研究所と事業部門リンケージ)  知財(ライセンシング)  技術企画(ポートフォリオ、ロードマップ) 分析データ  特許・論文データ  有証・財務諸表  政府・業界統計  インタビュー 分析ツール  計量モデル分析  多変量解析  ネットワーク分析  ケーススタディ 評価・分析

技術シーズ主導型MOT

マーケット主導型MOT

技術経営と経営資源 技術資産:製造技術、品質管理、知財、研究人材 顧客資産:既存顧客ベース(顧客ロイヤルティ)、チャンネル、ブランド 既存の技術的資産 新規の技術的資産 既存の顧客資産 純粋な搾取 Pure Exploitation 顧客資産優位性の活用 Leveraging Customer Competence 新規の顧客資産 技術資産優位性の活用 Leveraging Technology Competence 純粋な探索 Pure Exploration 技術資産:製造技術、品質管理、知財、研究人材 顧客資産:既存顧客ベース(顧客ロイヤルティ)、チャンネル、ブランド

技術経営戦略の策定方法

ITイノベーションの特性 「自動車産業において、GMがコンピュータ業界のように常に競争にさらされていたら、自動車は現在1台25ドルになって燃費は1000マイルになっただろう」(ビル・ゲイツ) →技術革新のスピードの速さ →破壊的なイノベーション(←漸進的なイノベーション) →これをどうマネージするか? イノベーションのディレンマ キャスム(Chasm) プラットフォームリーダーシップ

技術革新と破壊的イノベーション 技術スピード>顧客の要求スピード→モジュール型製品 Innovator’s Dilemma by Clayton Christensen

ハードディスクの世代交代 14インチ:メモレックス 8インチ:シュガート・アソシエーツ、マイクロポリス 5インチ:シーゲート、ミニスクライブ  14インチ:メモレックス  8インチ:シュガート・アソシエーツ、マイクロポリス  5インチ:シーゲート、ミニスクライブ  3.5インチ:コナー・ペリフェラルズ          (シーゲート、ミニスクライブからスピンアウト) HDの技術特性としては、  破壊的技術革新が比較的容易(HDコンポーネントの   パッケージング)  既存顧客の要求によるプロセスイノベーションの継続的な要求  既存企業の衰退と新規参入企業の登場の繰り返し

ハードディスクの競争フェーズ (「イノベーションのジレンマ」クリステンセン)

IBMの凋落と新興企業の進出

テクノロジーマーケティングに関するTechnology Life Cycle “Grossing the Chasm” by Geoffrey Moore

Technology Life Cycleとは? Innovator:技術指向、Technology WizKids Early Adoptor:新たな技術を用いて問題解決を指向(技術指向とは異なる) Early Majority:他社の導入事例を確認し導入を決断(ネットワーク効果の開始) Late Majority:業界標準をまって最も低コストで導入を実施 Laggard:ハイテク製品を導入しない人

Where is chasm in TLC? 例: PDAによる電子メール、PC音声処理機能、    電子ブック、インターネットが登場する前のパソコン

Early AdopterとEarly Majorityの違い ハイテクプロダクトは Early Adopter(Visionary)にとって変革の手段 Early Majorityにとって生産性向上の手段 Visionaryの役割:ハイテク製品によるビジネスの変革 ハリー・マクマセン(メリルリンチ) →Salesforceのクラウドを使ったSFA(営業支援システム)構築 リンダ・ディルマン(ウォールマート) →在庫状況を把握するための「シンボルRFID」の採用 ・リード・ヘイスティングス(Netflix) →アマゾンECC(クラウドサービス)の活用                      『キャズム2』(ジェフリー・ムーア、川又政治訳)翔泳社

Chasmを乗り越えた事例(ドキュメンタム) ゼロックス社からのスピンアウトとしてドキュメンタム社(文書管理技術)の創業 3年間で売上高、200万ドル付近で横ばい 製薬企業の事業規制担当部門の着目・文書管理ニーズが高いニッチ市場(医薬品の承認申請に必要されるドキュメントは25万~50万ページ)に絞込み、アプリケーションの改良 ドキュメンタムが製薬企業のデファクトスタンダードとなる。 同じ化学品規制産業である石油精製業に着目し、アプリケーションの開発。石油掘削に関するリース機材の管理にニーズがあることが判明 金融業界がドキュメンタムを使って、オプション商品などの管理ができるのではないかと発想→最大の顧客となる。 必要性が高いニッチ(火を起こす)→横展開(火を大きくする) 『キャズム2』(ジェフリー・ムーア、川又政治訳)翔泳社

キャズム→Early Majorityへ (ホールプロダクトの考え方) 『キャズム2』(ジェフリー・ムーア、川又政治訳)翔泳社

ミニケース:インテル 1968年創業:ロバート・ノイスとゴードン・ムーアにより創業(MOSプロセス半導体技術) メモリ(DRAM)事業のトップランナーからマクロプロセッサ事業への転換 ムーアの法則とOnly Paranoia Survive (アンディ・グローブ):強力なトップダウンで半導体の技術革新をドライブ 周辺事業の失敗→Platform leadership ムーアの法則の限界、AMDとの競争、インターネット時代への対応

ITイノベーションとムーアの法則 Gordon Moore, Electronics, 39(9), 1965

ムーアの法則(最新の状況) (インテルHPから引用)

Semiconductor Roadmap Acceleration 半導体ロードマップ 95 97 99 02 05 08 11 1994 NTRS 1997 NTRS 1998 / 1999 ITRS Minimum Feature Size (nm) (DRAM Half Pitch) 500 350 250 180 130 100 70 50 35 25 92 1992 NTRS 2000 Plan International SEMATECH Area for Future Acceleration Semiconductor Roadmap Acceleration Jorgenson presidential address (2001)

営業利益率の推移

メモリ→ロジック 『インテルの戦略』(ロバート・バーゲルマン)

メモリとロジックの特性比較 『インテルの戦略』(ロバート・バーゲルマン)

インテルのPlatform Leadership (by Michael Cusumano)

インテルのテクノロジードライブ 戦略のかげり 微細化=高速化の限界(ムーアの法則) 半導体の微細化以外の部分で高速化を実現(ダブルコア、マルチスレッド技術等) 半導体需要の多様化 PCからPDA、携帯電話などへの広がり 市場競争の激化 AMDの追随(32ビット→64ビットのマネジメント) インテルの今後の戦略は?