バングラデシュにおける対流活動と局地風に関する研究

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バングラデシュにおける対流活動と局地風に関する研究 村田文絵(京大防災研),寺尾徹(大阪学院大),林泰一(京大防災研)

総降水量の地理的分布(大澤) 1995年6-9月 1995年のモンスーン季における総雨量の地理的分布を表す.降水はまず北東部のメガラヤ高地付近で最も多く5000ミリ以上に達する, ついで南東部のアラカン山脈西部で多く2000~3000ミリ降る. 一方で南西部では1000~2000ミリである. このように地域によって大きな違いがある.

日変化パターンの地理分布(寺尾) 2000年6-9月 北東部と南東部は多雨深夜~早朝型 南西部:午後型 北部:深夜型 クラスター分析

本研究の目的 日変化ー対流活動の主要な変動周期 日変化は地形や海陸分布に依存するので局地性が高く,モデルでの再現は難しい. 現実の日変化の特徴も未解明の部分が多い 観測データ重要 バングラデシュの観測データの収集,データバース化と日変化についての解析を行う.

本研究の目的(2) 対流活動の日変化 → Ohsawa et al., 2000などで解析 局地風の日変化 → あまり解析がなされていない 局地風の日変化 → あまり解析がなされていない 本発表では局地風の日変化,対流活動との関係についての初期結果を示す.

データ 2000年 3時間降水量(国内32地点) 2000年 パイロットバルーン(国内10地点, 1日4回(00,06,12,18 UTC)) 2000年 8月3-4日 GMS TBB NCEP再解析データ

2000年8月平均の風の日変化

2000年モンスーンの活動期/休止期 定義ー全地点平均日降水量 と30年平年降水量との偏差 50%以上(以下)が3日以上 連続する期間を活動期(休止 期)とする. (上)32地点の全地点平均日 降水量に3日移動平均をかけ たもの(棒グラフ)と20地点の 30年平年降水量(実線) (下)30年平年降水量からの 偏差と定義されたA(活動期) とB(休止期)

8/3及び8/4 ジオポテンシャル高度と風( 850hPa )

8月3-4日の降水の特徴 Sylhet 4日06-09BST 112 mm(2位) Dhaka 3日03-06BST 86 mm(2位) Feni 3日12-15BST 87 mm(1位) Chittagong 4日03-06BST 128 mm(2位)

降水雲の分布(3日00,03,06,09UTC) 06BST 09BST 12BST 15BST

降水雲の分布(3日12,15,18,21UTC)

降水雲の分布(4日00,03,06,09UTC)

降水雲の分布(4日12,15,18,21UTC)

下層風の高度変化 8月4日00BST 高度が上がるにつれて 時計回りの風向の変化 → エクマン螺旋 300 m (濃青) 600 m (青) → エクマン螺旋 300 m (濃青) 600 m (青) 900 m (水色) 1,500 m (緑)

風向の日変化(高度900m)

風の慣性振動 地衡風G コリオリ力 C 気圧傾度力P 摩擦力F 風V 夕方 夜間 朝方 西 東 定性的には変動を説明できる

対流活動と下層風(900m) 4日00BST 4日06BST 4日12BST

まとめ 2000年モンスーン モンスーン活発期の8月3-4日の事例解析 顕著な10-20日周期 下層風は南東風が卓越 モンスーントラフがヒマラヤ付近(バングラデシュ付近では西風) 降水雲は南下する傾向がある 下層風は南西風が卓越.定性的にエクマン螺旋,慣性振動に相当する変動がみえた. 風の向かう方向と北部の対流活動の位置の変化が比較的対応している → 下層風の日変化が対流活動の立つ位置と時刻を決めているかもしれない.