高エネルギー物理学 講義のシナリオ 1)標準理論の考え方 1a) クォークとレプトン 1b) 力の働く仕組み (ゲージ原理)

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高エネルギー物理学 講義のシナリオ 1)標準理論の考え方 1a) クォークとレプトン 1b) 力の働く仕組み (ゲージ原理)    1c) 真空とは何か (真空の相転移) 2)素粒子を見る    2a) ニュートリノ      超新星、太陽ニュートリノ、ニュートリノ振動    2b) CPの破れ      物質宇宙の形成      小林-益川行列 甲南大学大学院講義 平成16年9月16日 2001.9.21 甲南大学講義04

トピック 5 最近の話題から ニュートリノ 最も謎の深い素粒子 ニュートリノ振動は、 標準理論を越える最初の手掛かり 宇宙との関係 トピック 5 最近の話題から ニュートリノ 最も謎の深い素粒子 ニュートリノ振動は、   標準理論を越える最初の手掛かり 宇宙との関係   超新星ニュートリノ   太陽ニュートリノ   大気ニュートリノ   ビッグバン残存ニュートリノ 2001.9.21 甲南大学講義04

パウリ ヴォルフガング・パウリ 1890-1958 ニュートリノの予言 排他原理の発見 2001.9.21 甲南大学講義04

パウリの手紙 2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノは何処にある? 2001.9.21 甲南大学講義04

星の一生と輪廻 2001.9.21 甲南大学講義04

ヘルツスプルング・ラッセル図 横軸にスペクトル型(表面温度) 縦軸に絶対光度 主系列: 水素燃焼 巨 星: ヘリウム燃焼 白色矮星: 縮退星 主系列:  水素燃焼 巨 星:   ヘリウム燃焼 白色矮星: 縮退星 2001.9.21 甲南大学講義04

星の進化と II 型超新星 主系列: 水素燃焼過程 (核融合反応) 重い星の進化過程 Energy/p=6.7MeV ->He 主系列: 水素燃焼過程 (核融合反応) 重い星の進化過程 Energy/p=6.7MeV ->He Energy/p=8.6MeV ->Fe 2001.9.21 甲南大学講義04

II 型超新星のニュートリノ放出 全重力エネルギー ~1053erg <Eν> ~10-20MeV Nν ~1058  Nν          ~1058 2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノ天文学の創始者 小柴昌俊博士 2001.9.21 甲南大学講義04

宇宙の背景ニュートリノ n+p ⇄ e++n n+n ⇄ e- +p n+n ⇄ e- + e+ ⇄ g+g 1秒 10-32秒 ビッグバン 原子核合成 晴れ上がり 銀河形成 現在の宇宙  ←宇宙のサイズ→  素粒子スープ 30万年 10億年 150億年 宇宙の年齢 ニュートリノ切り離し e- + e+ → g+g  宇宙背景輻射 e- +p → g+H 宇宙背景ニュートリノがある! 2001.9.21 甲南大学講義04

無の粒子 " あれども見えず " 絶対温度2度 (2x10-4eV) 110個/cm3/種 x3 種類 非常に弱い相互作用 宇宙の背景(残存)ニュートリノ " あれども見えず " 絶対温度2度 (2x10-4eV) 110個/cm3/種 x3 種類 非常に弱い相互作用 検出できたらビッグバン3秒の宇宙が見える! 2001.9.21 甲南大学講義04

背景ニュートリノ 宇宙に最も多く存在する粒子 330/cm3は多いか少ないか?  水1gr = 6x1023個の分子(アヴォガドロ数) 物質(バリオン)は銀河に局在 ニュートリノは全空間に充満 Nbaryon/Nn 〜 10-10 一個のバリオンに100億個のニュートリノ 注:光の数は 400/cm3でより多い 2001.9.21 甲南大学講義04

何でも突き抜けるという ニュートリノを 何でも吸い込むという ブラックホールに ぶつけたらどうなるでしょう ク イ ズ 何でも突き抜けるという ニュートリノを 何でも吸い込むという ブラックホールに ぶつけたらどうなるでしょう 2001.9.21 甲南大学講義04

新聞ニュース 2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノ質量を測定するには 2001.9.21 甲南大学講義04

2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノ検出原理 太陽ニュートリノの場合 荷電粒子 e±,m± 光電子増倍管 チェレンコフ光 q=42° 電子 チェレンコフ光 反跳電子 電子ニュートリノ 電子 チェレンコフ光 反跳電子 2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノ望遠鏡 スーパーカミオカンデ検出器 5万トンの 水チェレンコフ検出器 内水槽壁面に、11,146本の 50センチ光電子増倍管  水チェレンコフ検出器 内水槽壁面に、11,146本の 50センチ光電子増倍管 外水槽壁面に、1,885本の 20センチ光電子増倍管 スーパーカミオカンデ検出器 2001.9.21 甲南大学講義04

スーパーカミオカンデ検出事象例 nm+nm+p ne+ne+p 2001.9.21 甲南大学講義04

上下非対称分布と質量の関係 ニュートリノ振動とは ある種のニュートリノが 他のニュートリノに変身すること。 見かけ上ニュートリノ数が減る   ある種のニュートリノが    他のニュートリノに変身すること。 見かけ上ニュートリノ数が減る       これが上下非対称の原因 神岡実験結果: 質量 ~ 約0.05eV 2001.9.21 甲南大学講義04

大気ニュートリノ 下向き粒子 上向き粒子は地球の裏側からくる 予想1: 上向きと下向きは対称 予想2: 宇宙線が大気と反応する p, He ... 宇宙線が大気と反応する 下向き粒子 p±, K± nm m± e± nm ne 上向き粒子は地球の裏側からくる 予想1: 上向きと下向きは対称 nm+nm ne+ ne 〜2 R= 予想2: 2001.9.21 甲南大学講義04

スーパーカミオカンデ検出器 池ノ山 データは上下非対称 2001.9.21 甲南大学講義04

ニュートリノ振動の確認実験(K2K) 250km 岐阜県神岡市 東大宇宙線研究所 スーパーカミオカンデ 文部省高エネルギー加速器研究機構 2001.9.21 甲南大学講義04

K2K 実験事象例 2001.9.21 甲南大学講義04

Null Oscillation Probability is less than 10-4 (3.9s) K2K長距離基線ニュートリノ振動実験 2 μ E .L 1.27 Δm sin θ 1 ) ν ( P - = ® 2 . ν 150.9 Null-oscillation 104.8 Best Fit: 108 Observation: Number of events Null Oscillation Probability is less than 10-4 (3.9s) 2001.9.21 甲南大学講義04

デイヴィス: 太陽ニュートリノパイオニア Chlorine (1964 ~ 1994) デイヴィス: 太陽ニュートリノパイオニア Chlorine (1964 ~ 1994) First solar neutrino observation Established solar neutrino deficit 615-ton C2Cl4, ne(37Cl, 37Ar)e- Final result: 2.56 ± 0.16 ± 0.16 SNU SSM (BP04) expectation: 8.5  1.8 SNU Data/SSM = 0.30 ± 0.03 Still important input in the current global analysis for solar neutrino 0.813 MeV 8B, 7Be SSM BP04: J.N. Bahcall and M.H. Pinsonneault PRL 92, 121301 SNU: 1 n interaction / sec each 1036 target atoms 2001.9.21 甲南大学講義04

Sudbury Neutrino Observatory (SNO) Confirmation of solar neutrino oscillation 1999 ~ 1000 ton D2O 12-m diameter acrylic vessel 1700 ton H2O Support structure for 9500 8-inch PMTs 5300 ton outer H2O 2001.9.21 甲南大学講義04

SNO: 重水標的でニュートリノ振動検出 ne + d  p + p + e- ne(nm, nt) + d  p + n + n 中性カレント反応で全フラックス 弾性散乱で Active n ne + d  p + p + e- ne(nm, nt) + d  p + n + n ne(nm, nt) + e-  ne + e- fCC = fe fNC = fe + fm + ft = f (all active n) fES = fe + 0.154  (fm + ft) n + d  3He + 6.25-MeV g 2001.9.21 甲南大学講義04

Neutrino flux: fmt > 0 Only ne produced in the Sun Wrong Neutrinos nm,t are coming from the Sun! Somehow some of ne were converted to nm,t on their way from the Sun’s core to the detector  neutrino oscillation! D2O phase (unit 106/cm2/s) 2001.9.21 甲南大学講義04

原子炉ニュートリノ 検出: 目的は太陽ニュートリノ振動解特定 原子炉ニュートリノ  検出: 目的は太陽ニュートリノ振動解特定 2001.9.21 甲南大学講義04

Powerful commercial reactors 2001.9.21 甲南大学講義04

First results from KamLAND PRL 90, 021802 Dec. 2002 ne disappearance: 99.95 % C.L. 2001.9.21 甲南大学講義04

Impact of KamLAND assuming CPT invariance http://hitoshi.berkeley.edu/neutrino/ assuming CPT invariance 2001.9.21 甲南大学講義04

大気ニュートリノ振動 太陽ニュートリノ振動 2001.9.21 甲南大学講義04

判ったこと 1a) ミューニュートリノはタウニュートリノに 変身する(大気ニュートリノ振動の存在) 1b) 電子ニュートリノもまた変身する    変身する(大気ニュートリノ振動の存在) 1b) 電子ニュートリノもまた変身する           (太陽ニュートリノ振動の存在) 2) ニュートリノは質量を持つ (新物理の存在)    しかし、非常に小さい(電子の一千万分の一)       ~0.02eV  太陽ニュートリノ       ~0.05eV  大気ニュートリノ 2001.9.21 甲南大学講義04

What do we want to know? Known: Unknown: Two large mixing angles, maybe one small 3 independent mass splittings, one is positive Absolute neutrino mass limits Unknown: Absolute Mass Scale How many n’s are there? Mass Hierarchy? Is CP Violated? Are n’s their own antiparticles? Mena&Parke, hep-ph/0312131 2001.9.21 甲南大学講義04

2001.9.21 甲南大学講義04

トピック6: 最近の話題から CPの破れ 2001.9.21 甲南大学講義04

若きディラック 最近のトピック2: CP対称性の破れ はじめて相対論と量子論を融合 その必然的な帰結として 反粒子 の存在を予言した。 最近のトピック2: CP対称性の破れ 若きディラック はじめて相対論と量子論を融合 その必然的な帰結として 反粒子 の存在を予言した。 反粒子は 粒子と質量や寿命は等しく、 電荷の大きさも等しいが、符号が反対。 すべての素粒子は、反粒子をもつ。 2001.9.21 甲南大学講義04

CP の鏡(物質と反物質の鏡映) エッシャー: リトグラフ;マジックミラー 2001.9.21 甲南大学講義04

Cogito ergo sum 我思う、故に我あり 我思う、故にCPあり 宇宙はビッグバンから始まった 粒子と反粒子が同量存在した René Descartes 1596-1650 我思う、故に我あり 我思う、故にCPあり 宇宙はビッグバンから始まった 粒子と反粒子が同量存在した 現代宇宙は物質 すなわち粒子のみでできている 一体何が起こったか? 2001.9.21 甲南大学講義04

宇宙をつくるには? サハロフの3条件 1) 宇宙が非平衡状態にあること 2) バリオン数を保存しない素粒子 反応が存在する事 1) 宇宙が非平衡状態にあること 2) バリオン数を保存しない素粒子    反応が存在する事          例: p -> e+ p0 3) CP対称性を保存しない素粒子 これらが成り立つ時、超高温で高い 対称性を持つ初期宇宙から、現在の よく冷えた物質優勢の宇宙を作る事 が出来る(ビッグバン宇宙論)。 Andrei Sakharov (1921-1989) 2001.9.21 甲南大学講義04

KEKB Collider 8 GeV e- x 3.5 GeV e+ Lpeak = 1.39 x 1034 sec-1cm-2 ~1 km in diameter Mt. Tsukuba KEKB Belle 8 GeV e- x 3.5 GeV e+ 11mrad crossing Lpeak = 1.39 x 1034 sec-1cm-2 @ 1.2A x 1.6A - 253 fb-1 on Y(4S) 28 fb-1 below Y(4S) 274M BB ~287 fb-1 2001.9.21 甲南大学講義04

Peak Luminosity Integrated Luminosity Belle 181.4 fb-1 BaBar 2001.9.21 甲南大学講義04

Belle検出器 (SVD) SVD Belle グループ 11ケ国 52機関 268人 CP効果の測定はB0とB0の崩壊寿命の差に現れる。 11ケ国 52機関 268人 Belle検出器 (SVD) CP効果の測定はB0とB0の崩壊寿命の差に現れる。 Bの崩壊寿命は~10-12秒程度--> ~300mm程度の飛距離。 SVD(半導体検出器)で, B0とB0の飛距離の差Dz(次のスライド)を測る。 2001.9.21 甲南大学講義04

sin2f1=0.726 ± 0.037 e++e- --> U(4S) --> B0+B0  B0 --> J/y + Ks     mm pp  B0 --> generic(m-,e-,K-) CP side Tag side m, e J/ KS B0 t ∝ Dz をSVDで測定 Dz  200mm p 2001.9.21 甲南大学講義04 上左図は、BとBの崩壊距離の差Dz=gcDt の分布を示す。

Constraint on r-h f2 sinf1 (WA) and Belle’s f2 are consistent with other measurements. f2 2001.9.21 甲南大学講義04

まとめ: 20 世紀における物質観の革命 20世紀に確立した思想 相対性原理 量子原理 ゲージ原理一般相対論に統合か? 真空の概念 まとめ:  20 世紀における物質観の革命 20世紀に確立した思想  相対性原理  量子原理  ゲージ原理一般相対論に統合か?  真空の概念 新しい思想  多次元空間  素粒子は紐 2001.9.21 甲南大学講義04

終わり 2001.9.21 甲南大学講義04

2001.9.21 甲南大学講義04

2001.9.21 甲南大学講義04

Neutrino oscillations: Pontecorvo-Maki-Nakagawa-Sakata Matrix Mass eigenstates  Weak eigenstates Atmospheric CP phase Solar Sub-dominant q13 oscillations cij=cosqij, sij=sinqij Majorana phases Only appear in 0nbb decays A total of 6 parameters: 2 Dm2, 3 angles, 1 phases 2001.9.21 甲南大学講義04 + 2 Majorana phases

Analytical Description analytic discussion / full numerical simulations degeneracies, correlations, ...  (sin22q13)eff 2001.9.21 甲南大学講義04

2001.9.21 甲南大学講義04

q13 Sensitiviy: Comparison of the next Generation . Huber, ML, Rolinec, Schwetz, Winter 2001.9.21 甲南大学講義04

different sensitivity reductions by systematics T2K T2K NOnA different sensitivity reductions by systematics correlations & degeneracies lead to severe sensitivity reductions break C&D by combining different experiments of comparable potential 2001.9.21 甲南大学講義04

. 2001.9.21 甲南大学講義04

Measurement of CP Violation 2001.9.21 甲南大学講義04