複荷電ヒッグス粒子のWW崩壊に対するLHC実験からの制限について

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複荷電ヒッグス粒子のWW崩壊に対するLHC実験からの制限について 横谷 洋 (富山大学) 共同研究者 兼村晋哉(富山大学)、 柳生慶(国立中央大学、台湾) based on arXiv:1305.2383 イントロダクション Cheng,Li(80) Schechter,Valle(80) Magg,Wetterich(80) Mohapatra,Senjanovic(81) Potential minimum → 3重項場の真空期待値 : ヒッグス3重項模型 : Yukawa coupling of Triplet field to left-handed leptons : → lepton-number 2を3重項場に割り振る。 → Higgs potentialにlepton numberを破る項。 where 場の自由度 : 4 (Doublet) + 6 (Triplet) – 3 (NG boson) = 7 (Physical) Electroweak ρ-パラメータ Experimental constraints: 3重項場の真空期待値は、 tree level でρ-パラメータを変える。 where doubly-charged, singly-charged, CP-even, CP-odd and SM-like Higgs potential in the HTM : (m2<0, M2>0) lepton-number を破る相互作用 ニュートリノ質量 (Type-II Seesaw) ニュートリノ質量行列が、 3重項場との湯川相互作用で直接決まっている。 : 湯川の大きさは、vΔに反比例 ヒッグス3重項粒子の質量スペクトラムと崩壊パターン Mass spectrum of triplet Higgs bosons 質量公式 LHC実験の最新結果によって、 M > 450GeV (e,μ), 200GeV (τ) 程度の制限が得られている。 (フレーバー毎に、100%の分岐比を仮定して) Doublet場とtriplet場のmixingは、 ~vΔ/vΦで抑制される。 Extra scalarsは、triplet-like、 hは、doublet-like (SM-like) LEP実験 : Decays of H±± Chun,Lee,Park(03), Perez,Han,Huang,Li,Wang(08), Melfo,Nemevsek,Nesti,Senjanovic(11), Aoki,Kanemura,Yagyu(12) Z-boson崩壊幅の精密測定からの制限 : 4 lepton eventからの制限 : 崩壊分岐比は、vΔの値によって大きく変化する。 s.s. di-lepton 崩壊 → mH++ > 100 GeV s.s. di-boson 崩壊 → no constraint, because of Br[W>lv]4 small vΔ → s.s. di-lepton 崩壊 large vΔ → s.s. di-boson 崩壊 既存の論文にはWW崩壊シナリオに適した解析がなく、 Inclusive な s.s. di-lepton eventや、hadronic eventの再解析が必要。 質量差があるときは、H++ > H+W+も大きくなり得る。 我々の研究 : LHC実験のデータを用いて、WW崩壊シナリオでのH±±の質量に制限を付ける (A) H±±のLHCでの生成過程 Akeroyd, Aoki(05), Akeroyd,Chiang,Gaur(07),,, WW崩壊は、HTMにおける有力なシナリオの一つ (大きなvΔの場合に相当)。 これまでのH±±の探索は、全て、レプトン対への崩壊シナリオのみが調べられてきた。 ATLAS実験は、LHC /s = 7 TeV, L=4.7fb-1 のデータを用いて 同符号レプトン生成事象を探索し、異常な過剰がなかったため、 同符号レプトン生成過程の断面積に上限を与えた。 NLO補正によって、断面積が増加し、 摂動計算の不定性が減少する。 JHEP1212,007 Muhlleitner,Spira (03) この結果を、HTMのWW崩壊シナリオでの同符号レプトン生成過程の有効断面積と比較した。 (μ+μ+モード) 因子化スケールを の間で振って、変化を見る。 LO断面積の不定性 : 10% ~ 20% NLO断面積の不定性 : ~ 5% (A) 生成断面積 (B) 崩壊分岐比 (C) 検出効率 f1 f2 f3 f4 (B) H±±→W±W± →4f の崩壊分岐比 Preliminary 結果 : WWの崩壊を通じて4fに崩壊する。 (C) 検出効率の見積もり: [for mH++ > 2mW] 理論予言に5% (NLO) [10% (LO)]の不定性を仮定。 dilepton 検出器のアクセプタンス : S.S. dilepton : (2/9)2 ~ 5% Lepton-plus-jets : 2/9 * 2/3 * 2 ~ 30% Jets : (2/3)2 ~ 44% Tau + X : ~ 17/81 ~ 20% 親粒子の電荷が判るので、 同符号レプトン対がベスト 様々なモードを見ることで、 Wを介していることを確認する バックグラウンドを落とすためのカット : tau’s 4.7fb-1のデータで、 mH++>60 GeVの制限を得た。 l+j MadGraphを用いて、pp > H+++X > μ+μ++X イベントを生成し、これらのカットによってイベントが残る割合を見積もった。 jets 外挿によって20fb-1のデータでの制限を見積もると、 85 GeVまで到達する見込み。 (7TeV→8TeVの断面積の増加は 無視した。) では、1/81 では、~ 1/45 Wのon-shell近似が良い。 干渉項は効かない。 Mass [GeV] 40 60 80 100 Acc. 0.01 0.12 0.22 0.23 Mll cut 0.78 0.94 0.98 0.99 片方(両方)のWがoff-shell。 干渉項が効いてくる。 我々の結果は、LHCデータを用いたWW崩壊のシナリオでの初めての制限。 軽いH++では、同種粒子モードへの分岐比が増加する。 まとめ : ヒッグス3重項模型は、標準模型的ヒッグス粒子を含むヒッグスセクターのシンプルな拡張の一つ。 Type-II シーソー機構によるニュートリノ質量を説明する模型。 複荷電ヒッグス粒子の存在が特徴的。同符号のレプトン対やWボソン対に崩壊する。 複荷電ヒッグス粒子の探索は、これまでは同符号レプトン対への崩壊過程でのみ行われていた。(mH++>450 GeV) 我々は、LHC ATLAS実験の同符号レプトン対生成のデータを用いて、WW崩壊シナリオに対する複荷電ヒッグス粒子の質量の制限を得た。 mH++ > 60 GeV [7TeV, 4.7fb-1], mH++ > 85 GeV [expected with 20fb-1]