金色の石に魅せられて -光で探る新しい 機能性材料- Part2

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金色の石に魅せられて -光で探る新しい 機能性材料- Part2 東京農工大学工学部 佐藤勝昭

5.光エレクトロニクス材料 光ファイバ通信 光ストレージ ディスプレイ 光発電(太陽電池) 撮像:CCD素子、CMOS素子 発光素子、受光素子、伝送路、光増幅器、アイソレータ 光ストレージ 媒体、光磁気、相変化、光ピックアップ ディスプレイ 光発電(太陽電池) 撮像:CCD素子、CMOS素子 東京農工大学工学部 佐藤勝昭

光ファイバー通信システム

光ファイバー 長距離にわたって光が減衰せずにすすむ 全反射を用いている。 東工大影山研HPより www.mitsubishi-cable.co.jp/ kiden/photo/high_cab.jpg

光ファイバーの伝搬損失 短波長側の伝送損失はレーリー散乱 長波長側の伝送損失は分子振動による赤外吸収 1530~1565nm 短波長側の伝送損失はレーリー散乱 長波長側の伝送損失は分子振動による赤外吸収 1.4μm付近の損失はOHの分子振動による 佐藤・越田:応用電子物性工学(コロナ社、1989)

光ストレージ 読み出しは、レーザー光を絞ったときに回折限界で決まるスポットサイズで制限されるため、波長が短いほど高密度に記録される。 光ストレージには、読み出し(再生)専用のもの、1度だけ書き込み(記録)できるもの、繰り返し記録・再生できるものの3種類がある。 記録には、さまざまな物理現象が使われている。

スポットサイズ レンズの開口数 NA=nsinα d=0.6λ/NA 現行CD-ROM: NA=0.6 CD-ROM: λ=780nm→d=780nm DVD: λ=650nm→d=650nm BluRay: NA=0.85     λ=405nm→d=285nm AOD: NA=0.6     λ=405nm→d=405nm α スポット径 d

光ストレージの分類 光ディスク ホログラフィックメモリ、ホールバーニングメモリ 再生(読み出し)専用のもの 記録(書き込み)可能なもの CD, CD-ROM, DVD-ROM 記録(書き込み)可能なもの 追記型(1回だけ記録できるもの) CD-R, DVD-R 書換型(繰り返し消去・記録できるもの) 光相変化 CD-RW, DVD-RAM, DVD-RW, DVD+RW, DV-R, DV+R, Bluray, AOD 光磁気: MO, GIGAMO, MD, AS-MO, iD-Photo ホログラフィックメモリ、ホールバーニングメモリ

いろいろな光ディスク

CD-ROM ポリカーボネート基板:n=1.55 λ=780nm → 基板中の波長λ’=503nm ピットの深さ:110nm ~ ¼波長 反射光の位相差π:打ち消し http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/multimedia/cd.html

CD-ROMドライブ フォーカスサーボ トラッキングサーボ 光ピックアップ http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/multimedia/cd.html

CD-RW 光相変化ディスク 結晶とアモルファスの 間の相変化を利用 http://www.cds21solutions.org/main/osj/j/cdrw/rw_phase.html

光相変化記録 アモルファス/結晶の相変化を利用 書換可能型 成膜初期状態のアモルファスを熱処理により結晶状態に初期化しておきレーザ光照射により融点Tm (600℃)以上に加熱後急冷させアモルファスとして記録。消去は結晶化温度Tcr(400℃)以下の加熱緩冷して結晶化。 Highレベル:Tm以上に加熱→急冷→アモルファス Lowレベル:Tcr以上に加熱→緩冷→結晶化 DVD-RAM: GeSbTe系 DVD±RW: Ag-InSbTe系

相変化ディスクの記録と消去 融点以上から急冷: アモルファス →低反射率 融点以下、結晶化 温度以上で徐冷: 結晶化 →高反射率 http://www.cds21solutions.org/main/osj/j/cdrw/rw_phase.html

相変化と反射率 初期状態:結晶状態 記録状態:アモルファス状態 R:大 R:小 記録 消去 レーザスポット 記録マーク

CD-R 有機色素を用いた光記録 光による熱で色素が分解 気体の圧力により加熱された基板が変形 ピットとして働く

DVDファミリー 105 103-104 0.6 0.65 DVD-ROM DVD-R DVD-RAM DVD-RW DVD+RW   DVD-ROM DVD-R DVD-RAM DVD-RW DVD+RW 容量(GB) 4.7 / 9.4 2層8.54 3.95 / 7.9 4.7/9.4 形状 disk cartridge マーク形成 材 料 ピット形成 1層 R=45-85 2層 R=18-30 熱変形型 有機色素 R=45-85% 相変化型 GeSbTe系 R=18-30% AgInSbTe系 レーザ波長 レンズNA 650/635 0.6 650 638/650 0.65 最短マーク長 1層:0.4 2層:0.44 0.4 0.41-0.43  0.4 トラック幅 0.74 0.8 Wobbled Land pre-bit 0.74 Wobbled L/G 0.74 HF Wobbled groove 書き換え可能回数 - 105 103-104

ディスプレイ

CRTの原理 電子銃からの電子ビームを20-30kVの高電圧で加速、シャドウマスクを通して、蛍光スクリーンの蛍光体を励起 CL(カソードルミネセンス)を利用 http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/pdp/3.htm

カラーCRTの原理 赤、緑、青の微小な領域に蛍光体が塗り分けられており、各発光色に対応して、3本の電子銃が用いられ、別々に電子ビーム強度が制御される。 小林洋志「発光の物理」(朝倉書店)より

アパーチャグリル方式CRT FDトリニトロン管を含むトリニトロンブラウン管は、R、G、Bの三原色からなるカラー画像を正しく再現するために、色選別機構(管面の蛍光体を発色させるため、R、G、Bの電子ビームを選別する小さな孔の開いたフィルター)に縦ストライプ状のアパチャーグリルを使用しています。画面の上下方向に電子ビームを遮るものがありませんので、ピッチを狭めても明るく輝度の高い画像を得られるという特長があります。また、グリルは上下方向にテンション(張力)を持たせていますので、ビーム照射による熱膨張を吸収し、色ズレや色ムラを起こしにくく、長時間安定した画質を維持することができます。 ソニーのホームページよりwww.sony.jp/.../Display/CRT/technology/ Images/tech_3_1.gif

カラーCRTの蛍光体 赤:Y2O2S:Eu 緑:ZnS:Cu,Al 青:ZnS:Ag 緑 青 赤 発光強度 400 500 600 800 波長[nm] 小林洋志「発光の物理」(朝倉書店)より

プラズマディスプレイ 微小電極間で放電 →気体原子が励起 →紫外線を放出 →蛍光体を励起 →可視光発光 予備放電→書き込み放電→維持放電→消去放電 カラーPDPの原理は蛍光灯とよく似ており、極小の蛍光ランプが無数に並んで1枚の画面を作っている、そんなイメージです。 ハイビジョン用 102cm(42型) 富士通日立プラズマディスプレイ㈱のHPより NECプラズマディスプレイ㈱のHPより

無機エレクトロルミネセンス 電子が電界により絶縁体/ZnS界面から放出される 電界で加速されホットエレクトロンとして移動 ホットエレクトロンがMnなど発光中心に衝突 発光中心の電子系が励起される 励起状態が放射遷移 TDKのHPより

有機エレクトロルミネセンス 有機ELは、有機発光層を金属電極と透明電極ではさんだ構造をとっている。 金属電極と透明電極との間に電圧を加えると、有機分子上を電荷が対向電極に向かって移動する。この移動中に、ホールと電子が出会うと、有機発光層の中で再結合し、この時エネルギーを放出する。このエネルギーによって有機発光層が発光する。 光産業技術振興協会のHPより 三洋電機のHPより

FED(電界放出型ディスプレイ) 真空中において電極から電子を電界放出 低速電子線が対抗電極上の蛍光体を励起 光産業技術協会HP pixtech社(2002.6破綻)

発光ダイオード(LED)と半導体レーザ (LD)

交通信号機が変わった

半導体pn接合 E P形 N形 P形とN形を接合するとキャリア拡散が起きる - 拡散電位差 - + + 拡散電位差

LEDの原理 再結合 - + p型 n型 pn接合を順バイアス 電子は、p層に注入 ホールはn層に注入 界面付近で再結合 空間電荷層

光電変換 光エネルギーを電気エネルギーに変換 光伝導(街灯点灯用光スイッチ) 光電子放出(フォトマル) 光起電力効果(太陽電池、フォトダイオード)

光伝導 光によってキャリア生成 電界によって移動する 再結合するまで伝導に寄与 トラップ準位があると、キャリアはいったん捕捉され、熱的に解放されて再度伝導に寄与

街灯の自動点灯 夕方になると街灯がひとりでに点灯しますが、光導電素子を使って固体リレーを働かせ、電灯をオンオフしています CdS光導電セル モリリカのHPより 街灯自動点滅器(EEスイッチ) 松下電工のHPより

太陽電池について 太陽電池は光を電気に変える半導体の素子である。太陽光のエネルギーの10%程度を電気に変える。 太陽電池は乾電池や蓄電池と違って電気を貯める性質はない。光がないと全く発電しない。太陽光発電器というべきである。 太陽電池の出力は直流である。そのままでは、家庭用の電源(交流)として使えない。そのためインバータという仕掛けを使って交流に変換している。

太陽電池の仕組み - 太陽光 反射防止 コーティング 上部電極 + n型シリコン ここで 電子と ホールを生成 p型シリコン 下部電極

光起電力の原理 pn接合に光照射 バンドギャップを超える光によって電子とホールが生成される - + p型 n型 pn接合に光照射 バンドギャップを超える光によって電子とホールが生成される 空間電荷領域の拡散電位差によって、電子はn層に拡散、ホールはp層に拡散 空間電荷層

太陽電池の等価回路と特性 開放電圧 短絡電流 佐藤勝昭編著「応用物性」p.153

太陽電池の材料 シリコン系 化合物系 単結晶シリコン: 材料高コスト, 比較的高効率 多結晶シリコン: 材料低コスト, 中効率 薄膜アモルファスシリコン: 省資源, 劣化が問題 薄膜多結晶シリコン: 省資源, 中効率 化合物系 単結晶GaAs: 超高効率, 高コスト, As含有→宇宙  薄膜多結晶CdTe: 高効率, 低コスト, Cd含有  薄膜多結晶CuInSe2系: 高効率, 低コスト

同じシリコンでも 分類 不純物濃度 用途 金属級シリコン 10-2 (原料) 太陽電池級シリコン 10-6 * 多結晶太陽電池     分類       不純物濃度   用途 金属級シリコン    10-2  (原料)   太陽電池級シリコン 10-6 *  多結晶太陽電池 半導体級シリコン   <10-9   LSI, 単結晶太陽電池 *Ti, Vについては10-9以下にする必要あり 金属級シリコンに含まれる主な不純物  Al 1500-4000ppm, B 40-80ppm, P 20-50ppm  Ti 160-250ppm, V 80-200ppm Cr 50-200ppm, Ni 30-90ppm, Fe 2000-3000ppm

フォトダイオード 佐藤勝昭編著「応用物性」p.152

フォトダイオードの動作 フォトダイオードは、通常、pn接合に逆バイアスを印加した状態で使用される。空乏層でキャリア生成、拡散電位差 により分離。 pinフォトダイオード 高速動作 アバランシェ・ダイ オード:電子雪崩 現象で増倍。 浜松ホトニクスのHPよりhttp://www.hpk.co.jp/Jpn/products/ssd/Si_PD/Si_PD.htm

フォトダイオード材料 IV族 III-V族材料:例) GaInSbAs:光通信用 II-VI族材料:例) CdHgTe:赤外線計測用 Ge(近赤外線) III-V族材料:例) GaInSbAs:光通信用 II-VI族材料:例) CdHgTe:赤外線計測用

撮像デバイス 静止画像 動画像 CCD (charge coupled device) の動作 CMOS センサー ニコンのサイトより キャノンのサイトより