の歴史 絶対重力計の開発と最近の動向 国立天文台・RISE月惑星探査検討室 花田英夫.

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の歴史 絶対重力計の開発と最近の動向 国立天文台・RISE月惑星探査検討室 花田英夫

花田英夫 (国立天文台・RISE月惑星探査検討室) これまでの研究: 地球・月・惑星の内部構造の研究 これまでの研究: 地球・月・惑星の内部構造の研究  ■地球の回転・重力場の研究(測地学:Geodesy)    ☆絶対重力計の開発  ■月の回転・重力場の研究(測月学:Selenodesy)    ☆VLBIによる月の重力場の観測(かぐやのVRAD)          地球での技術の応用    ☆月面小型望遠鏡の開発

絶対重力計の歴史(世界と日本) 国立天文台(緯度観測所)での絶対重力計の開発           佐久間式    可搬型    真空筒回転式    ファブリペロー干渉計 絶対重力計の誤差要因    落体の回転    地盤振動 絶対重力計の国際比較 原子冷却の絶対重力計 超伝導重力計との比較 絶対重力計の観測例

絶対重力計の精度の向上の歴史 MicroG LaCoste

絶対重力計の精度の推移 MicroG LaCoste

絶対重力計の原理 レーザ

BIPMの絶対重力計 1960年代~ 佐久間章彦博士

現在世界中で使用されている絶対重力計 JILA→FG5 Drag Free Dropping Chamber Super Spring Faller博士(JILA) 落体 Drag Free Chamber

唯一の上昇落下式の絶対重力計 GA-60(JAEGER) ゴム紐による投げ上げ コーナーリフレクター BIPMの装置の小型化

日本の絶対重力計の歴史 計量研究所の重力加速度絶対測定 物差しを落とす 柿岡で実験 1960年代 測定装置の解体(柿岡、1985?) (井上他、1970)

佐久間式絶対重力計@緯度観測所 極運動による長周期の重力変化を観測する目的 国際度量衡局(BIPM)の佐久間博士の方式 1970年代

佐久間式絶対重力計@水沢 光路図 ゴム紐で投げ上げられるコーナーリフレクター 往復で4回現れる白色光の干渉信号

長さの基準のエタロン 全長約80cm、ゼロジュール製 エタロンの両端のマスク

可搬型絶対重力計@緯度観測所 東京大学地震研究所の1号機から引き継ぐ(1980年代)

可搬型絶対重力計の落下装置と落体 ピエゾ素子を用いた落下装置 落下中の回転が数10秒角/秒以下 落体はキャッツアイ 落下した光学素子を再び落下装置にセットするために、回転導入器を介して手動で持ち上げる。

真空筒回転式絶対重力計 真空筒内に複雑な機構を排す 測定間隔を短く

真空筒回転式絶対重力計(落下装置と落体)

真空等回転式絶対重力計の測定結果

落体が回転することによる誤差

光心と重心を一致させる方法 回転する光学素子との干渉縞(左:光心重心が合っている場合、右:合っていない場合)

異常な系統誤差

異常な系統誤差の原因

振動の影響 長周期(落下時間の約2倍の周期)の振動は、自由落下の加速度と分離することが困難 変位計(加速度計)で振動を観測し、後で補正する 参照用の反射鏡自体を除振する 絶対重力計全体を除振する 自由落下の加速度の測定データから分離する           (長時間の落下、連続上昇落下) 長周期の高精度の地震計が必要!

スーパースプリング Rinker & Faller., 1984)

ファブリペロー干渉計の絶対重力計への応用

コーナーリフレクターを用いたファブリペロー干渉計 ピエゾ素子による 微小投げ上げの実験

絶対重力計国際比較 国際度量衡局(BIPM) 1985 2004

絶対重力計国際比較

絶対重力計による重力潮汐の観測例 Fig. 4. The gravity tide as measured with the JILA absolute Gravimeter. (Zumberge et al., 1981)

冷却原子絶対重力計の例 Figure 1. Schematic diagram of the cold atom gravimeter chamber with magnetic shields partially removed (left). The free fall height is about 16 cm in a cylinder of diameter 40mm from the 3D-MOT (magneto-optical trap) to the detection area at the bottom. (A. L.-Chauvet et al., 2017)

冷却原子絶対重力計の測定結果の例 Figure 1. (a) Typical interference fringe used to measure the gravitational acceleration g. The data points show the relative population in one of the interferometer output states oscillating as the phase of the final beam splitter is scanned. The solid line is a sinusoidal least-squares fit to the data. (Altin et al., 2013) Figure 6. Gravity data taken over a 36 h period compared with a solid Earth tide model. Each data point represents the average of 38 individual measurements. (Altin et al., 2013)

超伝導重力計による重力潮汐の観測例 Figure 1 - 1-min data since the beginning of the superconducting gravimeter operations at 13 June 2009 until 22 February 2010. Fitting an empirical tidal model produces the blue curve as a residual. The tide model includes the effect of Polar Motion. Fitting the barometer recording with an empirical coefficient produces the purple curve as a residual. (Hans-Georg Scherneck, 2013)

超伝導重力計のドリフトの例 Figure 2 - The tides+baro residual from Figure 1 is repeated here. We fit a simple drift model (blue curve) consisting of an exponential and a straight line. The exponential has a start value of -372 nm/s and a relaxation constant (1/e-time) of 1,220 h (about 51 days). The linear drift is 0.74 nm/s per day. (Hans-Georg Scherneck, 2013)

絶対重力計で観測された重力の経年変化の例 (南極) 絶対重力計で観測された重力の経年変化の例                           (南極) 図2 : 昭和基地の絶対重力変化。東他(2013)

最新の絶対重力計(日本) 自由落下 レーザ干渉計 サイレントドロップ A. Araya et al., (2013)

予備

VLBIによる月の重力場の観測

かぐやの子衛星「おきな」と「おうな」

月面天測望遠鏡(ILOM)の開発 CCD time

BBMモデル開発 CCD 対物レンズ 口径0.1m、焦点距離1m 姿勢制御は2軸 水銀皿下の傾斜計信号を もとにモーターで制御 駆動機構   もとにモーターで制御 駆動機構 水銀皿 傾斜計 岩手大学 (岩手大学と共同開発)