弱電離気体プラズマの解析(XLVIII)

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弱電離気体プラズマの解析(XLVIII) 電気学会 全国大会 放電・放電化学(II) 1-091 工学院大学 29 March 2002 弱電離気体プラズマの解析(XLVIII) 直流グロー放電を用いたベンゼンの分解-発光分光・質量分析診断- 澤田 武志   林 押忍  佐藤 孝紀  伊藤 秀範  田頭 博昭  下妻 光夫      (   室   蘭   工   業   大   学   )     (北海道大学) Studies on weakly ionized gas plasma (XLVIII) Destruction of benzene using DC glow discharge -Emission and Mass spectroscopic diagnostics- T. Sawada, S. Hayashi, K. Satoh, H. Itoh and H. Tagashira (Muroran Institute of Technology) M.Shimozuma (Hokkaido University) Agenda Background and Objective Experimental Apparatus and Condition Results Conclusions

背景と目的 背景 目的 これまでの報告 今回の報告 有害大気汚染物質の生態系への影響が問題 放電プラズマによる 分解・除去が有効      分解・除去が有効 目的 ベンゼンを放電プラズマを用いて分解するとともに, 分解過程を明確にする これまでの報告 ベンゼン単体および窒素-ベンゼン混合ガス中で, 直流グロー放電を発生させ,ベンゼンの分解を行い, その過程において, 発光分光測定, ガス検知管によるベンゼン濃度測定, 堆積物の赤外吸収スペクトル測定を行った (ガス封じきり実験) 成果 分解生成物としてC2, CH, CN, H, HCNおよびNH3(?) が生成される 堆積物の赤外吸収スペクトル測定により, CH, NHおよびNH3(?)が確認できた 今回の報告 詳細に分解生成物を調査するために, これまでの測定方法に質量分析測定を加え, 質量分析測定と発光分光測定の同時測定を行った結果を報告する

実験装置の構成 GASTEC DC Power Supply B-A Gauge Quadrupole Mass Spectrometer 放電チェンバー (ステンレス製) 内径 : f155mm 高さ : 300mm 電極 (ステンレス製) 直径 : f60mm 厚さ : 10mm 平行平板 DC output range:Vmax±1000V, Imax±40mA KEPCO BOP 1000M GASTEC DC Power Supply B-A Gauge Quadrupole Mass Spectrometer Photonic Multi-Channel Analyzer Orifice f 0.1mm アネルバ株式会社製 質量数範囲  :1~200amu 最小検知分圧:1.5×10-12Pa以下 浜松ホトニクス製 測定波長範囲 : 200~950nm 波長分解能 : <2nm (FMHM) Turbo Molecular Pump Baratron Manometer Diffusion Pump Rotary Pump Rotary Pump Ar N2 C6H6 エア・ウォーター製 純度 : 99.999% 関東化学製 純度 : 99%

実験条件 全圧 : p1 = 13.3Pa, Flow 混合比 : N2 : C6H6 = 9 : 1 電極間隔 : d = 25mm 放電電流 : I = 1.0mA, 2.0mA, 放電OFF 放電電圧 : V = 722, 887V 四重極質量分析計の測定条件 分析管内圧力 : p2 = 8.59×10-3 ~ 9.17×10-3Pa イオン化電圧 : EE = 40V

放電前後の質量スペクトル (N2 : C6H6 = 9 : 1, 13.3Pa, I=1mA, EE=40V) HCN C2H3 C6H6 CN C2H2 H C2H5 50~52 (39) 74~77 NH3 NH CH3 C2H CH4 63 H3 38 CH C C2 (53) (49) 質量数 放電前 放電後 変化の割合 38 2.0×10-12 1.4×10-12 0.70 39 1.6×10-11 9.3×10-12 0.57 49 5.5×10-13 4.3×10-13 0.78 50 1.7×10-11 1.0×10-11 0.58 51 2.4×10-11 1.4×10-11 52 2.3×10-11 1.3×10-11 0.57 53 7.2×10-13 5.5×10-13 0.77 63 2.2×10-12 1.0×10-12 0.47 74 9.6×10-13 0.43 75 4.8×10-13 76 3.5×10-12 1.9×10-12 0.54 77 1.7×10-11 8.2×10-12 0.50 78 (C6H6) 7.2×10-11 3.7×10-11 0.51 ■ : ベンゼンがイオン化室で電子衝突により分解されて生じた分子 ■ : 放電による分解生成物と考えられる分子

放電前後の質量スペクトル (N2 : C6H6 = 9 : 1, 13.3Pa, I=1mA, EE=40V) HCN C2H3 CN C2H2 H C2H5 NH3 C2H CH4 H3 NH CH3 C CH C2 質量数 放電前 放電後 変化の 割合 1(H) ★ ★ 2.5×10-11 2.3×10-11 1.0 2(H2) 8.6×10-12 7.9×10-11 9.2 3(H3) 1.9×10-13 1.9×10-12 9.9 12(C) 4.8×10-14 1.2×10-12 25.0 13(CH) ★ ★ 5.3×10-13 1.3×10-12 2.5 15(NH,CH3) ★ 7.5×10-13 1.0×10-12 1.4 16(CH4) 2.1×10-12 2.7×10-12 1.3 17(NH3,OH) ★ ★ 2.5×10-12 4.8×10-12 1.9 24(C2) ★ 1.2×10-13 7.2×10-13 6.0 25(C2H) 2.4×10-14 3.7×10-12 152.0 26(CN,C2H2) ★ ★ ★ 2.4×10-11 8.9 27(HCN,C2H3) ★ 3.5×10-11 5.2×10-11 1.5 29(C2H5) 2.3×10-11 2.5×10-11 1.1 ★ : 同時測定で得られた発光スペクトル ★ : 以前のガス封じきり実験で観測された発光スペクトル ★ : 赤外吸収スペクトル測定で観測された堆積(分解生成物) H3+イオンの生成過程[1]      H2+ + H2 → H3+ + H [1] Phelps AV : 1990, J.Phys. Chem. Ref. Data, 19, 3, 653-75

放電時の発光スペクトル (N2 : C6H6 = 9 : 1, I=1mA, 13.3Pa) Ha : 686.28nm CN : 918.95nm NH3 : 791.90nm Hb : 486.02nm  分解生成物の発光として, Ha, Hb, NH3およびCNの発光が確認できる

放電電流による変化 (N2 : C6H6 = 9 : 1, 13.3Pa, I=1mA, 2mA, EE=40V) HCN C2H3 HCN C2H3 C6H6 H2 C6H6 CN C2H2 CN C2H2 H H NH3 NH3 CH4 NH CH3 NH CH3 C2H H3 C2H C CH4 CH H3 CH C2 C C2 78 78 P=726mW P=1777mW 放電電流を変化させた時 変化量が大きい分子 2(H2), 3(H3), 12(C), 17(NH3), 24(C2), 27(HCN,C2H3) 変化量が小さい分子 1(H), 13(CH), 15(NH,CH3), 25(C2H), 26(CN,C2H2) 増加から減少に変わる分子 16(CH4)

M/Z = 1(H), 2(H2), 3(H3),12(C), 13(CH), 15(NH,CH3), まとめ 窒素-ベンゼン混合ガス中において質量分析測定と 発光分光測定の同時測定を行った 質量分析測定により, 分解生成物として以下の分子が確認できた M/Z = 1(H), 2(H2), 3(H3),12(C), 13(CH), 15(NH,CH3), 16(CH4), 17(NH3), 24(C2), 25(C2H), 26(CN,C2H2), 27(HCN,C2H3), 29(C2H5) 質量分析測定と発光分光測定の同時測定により, H(1amu), NH3(17amu)およびCN(26amu)が共通して観測された 放電電力を増加させることにより, ベンゼンの分解が促進され, 分解生成物が増加する。増加割合については一様でないこと   がわかった

赤外吸収スペクトル測定 ( N2 : C6H6 = 9 : 1, 13.3Pa, I=1mA, t = 3600s) NH CH CO2 HOH, NH3, CO CO A B C