μ-TPCの 重イオン照射に対する応答 京都大学宇宙線研究室 西村広展 早稲田大学理工総研a、KEKb、JAXAc

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μ-TPCの 重イオン照射に対する応答 京都大学宇宙線研究室 西村広展 早稲田大学理工総研a、KEKb、JAXAc 京都大学宇宙線研究室 西村広展 早稲田大学理工総研a、KEKb、JAXAc 道家忠義a 、谷森達、佐々木慎一b、寺沢和洋a 、俵裕子b、窪秀利、身内賢太朗、永吉勉a 、松本晴久c、高田淳史、岡田葉子、服部香里、上野一樹、藤田康信a 2006 年3月28日

Contents 目的 位置敏感型線量計 μ-PIC、μ-TPC μ-TPCの重イオンにたいする応答 Summary 話の流れ: 目的 位置敏感型線量計 μ-PIC、μ-TPC μ-TPCの重イオンにたいする応答 Summary 話の流れ: 1:m-PICについて 2:8号機系の概要 (電極構造の特徴とか) 3:8号機で得られた性能   (ガス増幅率、時間変化とか前回の学会で話さなかったことを中心に) 4:次のステップ … 最適な電極を探す 5:シミュレーションの概要 6:シミュレーションの内容 (電子収集効率、電場強さ) 7:最高ガス増幅率 8:大面積m-PIC 9:まとめ

宇宙放射線計測 有人宇宙開発 線量当量[Sv] = 線質係数(QF)×吸収線量[Gy] 常に宇宙放射線に曝される (高エネルギー陽子、重イオン) 被曝線量は ~1mSv/day (2.4mSv/year @地上自然放射線) 長期のミッションで飛行士の健康を管理するためには、 被曝線量を正確に測定する必要がある 線量当量[Sv] = 線質係数(QF)×吸収線量[Gy] LET (Linear Energy Transfer, dE/dXと同じ)のみの関数 宇宙線(陽子・重粒子・電子・中性子等)の LETは様々 イベントごとの測定が必要

これまでの線量計 球形生体等価比例計数管(TEPC) RRMD-III (3枚の位置有感Si検出器) 中性子の評価が可能 飛跡長さが一定でない⇒LET測定不可。 RRMD-III (3枚の位置有感Si検出器) LET直接測定可能 生体組織等価でないので 中性子に対する評価ができない RRMD-III 生体組織等価でLETを直接計測できる検出器はないか 位置有感なTEPC KEK+早稲田理工総研が京都大学のμ-PICに着目

Micro Pixel Chamber (m-PIC)の利用 微細構造電極比例計数管 400m pitch ガス利得(max) > 104 Uniformity (s) ~ 4% 400μm 100mm 位置分解能 ~120μm 長期安定性 ~数百時間(ガス利得~6000) 10cm Detection area = 100cm2

μ-TPC(Time Projection Chamber) m-PICを読み出しにもちいたTime Projection Chamber (TPC) 二次元情報 + 時間情報 粒子の飛跡 飛跡とエネルギーの 同時測定 dE/dXの測定 μ-TPCで得られた反跳陽子や 反跳電子の飛跡およびエネルギー 電子やμ粒子 陽子(ビーム・中性子反跳) など検出済み 重粒子線が測定できればOK Digital 256本 Analog sum Flash ADC

HIMAC重イオン照射実験 宇宙線 = 陽子、重イオン(C、Si、Fe)  μ-TPCの重イオンに対する応答の確認    LET (dE/dX)直接測定の原理検証 2005年6月(C)、8月(Si、Fe)に放射線医学総合研究所において重粒子線ビーム照射実験 Plastic scintilator m-TPC容器 ビームパイプ 二つのシンチレータの コインシデンスで トリガー μ-PIC検出面

実験の概要 使用したビーム ガス (封じ切り) Cイオン (400MeV/n) Siイオン (800MeV/n) Feイオン (500MeV/n) キャリブレーション線源としてa線源(5.4MeV)を封入 ガス (封じ切り) Ar/C2H6 (90/10)  W値 = 26eV, 電子ドリフト速度 = 4cm/msec (@0.2kV/cm) 生体組織等価ガス (C3H8 55%, CO2 39.6%, N2 5.4%) W値 = 28eV, 電子ドリフト速度 = 0.9cm/msec (@0.8kV/cm) ガス増幅率101-2で動作 (ビームごとに調整)

実験結果(Siビーム800MeV /n) Ar/C2H6 (90/10)混合ガス ガス増幅率 200 Ar-based gas Cathode [cm] Anode [cm] Z [cm] ビーム方向 Ar-based gas Cathode [cm] Anode [cm] Z [cm] ビーム方向 Ar/C2H6 (90/10)混合ガス ガス増幅率 200 飛跡取得成功!!

C Si a C Fe Si Fe a C Si Fe a 全エネルギー損失 dE/dX [MeV/cm] エネルギー損失 10 4 2 6 Ar-based gasにおける各ビーム照射に対する 左上)全エネルギー損失(検出器内) 左下)飛跡長さ 右)単位長さあたりエネルギー損失 C 全エネルギー損失 Si a C (0.2MeV/cm) dE/dX [MeV/cm] Fe エネルギー損失 0 5 10 15 20 25 30 Si (0.49MeV/cm) Fe (2.5MeV/cm) [MeV] 10 4 2 6 8 a C Si 飛跡長さ Fe 0  0.5  1     2      3 SRIMの計算では [MeV/cm] a C(400MeV/n) 0.26 MeV/cm Si(800MeV/n) 0.59 MeV/cm Fe(500MeV/n) 2.42 MeV/cm 最適化による精度向上と 正確なキャリブレーションが必要 [cm]

実験結果2 生体組織等価ガス a 全Energy損失 alpha Si Si Fe Fe Siビーム (800MeV/n) 実験結果2   生体組織等価ガス 生体組織等価ガス Cathode [cm] Anode [cm] Z [cm] a 全Energy損失 alpha Si Si Fe Fe 0 5 10 15 20 25 30 35 Siビーム (800MeV/n) ドリフト電場 0.8kV/cm ガス増幅率 ~ 100 生体組織等価ガスにおいても エネルギー損失測定可能 [MeV]

PS-TEPC計画 2004年度 スタート 2.5cm角程度の小型m-PIC 密封容器に生体組織等価物質を使用 検出部とFront-end DAQの設計・試作を開始 m-PIC Front-end DAQ VME Memory & CPU

Summary 現在線量計モデルとして2cm角の製作・試験中 Micro Pixel Chamber (m-PIC) 微細電極構造を持つガス検出器 新しい応用分野として、宇宙放射線計測 宇宙線被曝の評価にはLET (dE/dX)の測定が必須 m-PICをLET測定可能な位置有感TEPCへ応用 放医研重イオンビームラインにおいて照射実験 Arベースのガスおよび生体組織等価ガスで動作成功 ガス増幅率101-2で動作 C、Si、Feのビームを用いてdE/dX測定に成功  Arベースのガスに関してはほぼ予測通り    現在線量計モデルとして2cm角の製作・試験中

おわり