舶用大型低速ディーゼル機関の CO2削減技術の研究開発 平成21年度成果

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舶用大型低速ディーゼル機関の CO2削減技術の研究開発 平成21年度成果 平成22年4月6日 三井造船株式会社 機械・システム事業本部 機械工場 ディーゼル設計部

図1 大型低速ディーゼル機関(MAN-B&W機関)の熱効率(燃費)の推移 1.事業概要 企業名:三井造船 1.目的: 大型低速ディーゼル機関の熱効率は最高50%を超えるまでに至ったが、熱効率向上の余地は少なく、その開発スピードは鈍っている。また、今後NOx排出規制は強化されるが、一般的にはNOx削減率と熱効率はトレードオフ関係にあり、CO2削減とは相反するのが実状である。 一方、排気エネルギは投入燃料発熱量の約25%を占める。そこで、燃料噴射あるいは排気弁駆動を電子制御化した機関を対象に、機関単体のみならず排熱回収も含め、総合熱効率を向上させるとともに、脱硝装置(EGR/SCR等)とも組合せ、NOx排出量を増やすことなく、CO2削減を図る技術を開発する。 従来技術の延長上 燃費 図3 NOxと燃費(CO2)の関係 NOx 50% 図2 大型低速機関の ヒートバランス図 図1 大型低速ディーゼル機関(MAN-B&W機関)の熱効率(燃費)の推移 西暦

2.開発内容 (1)部分負荷性能改善:2%削減 (2)総合熱効率改善(排熱回収):5% 負荷パターン全域でのCO2削減:2% ①THSによる動力回収   THS:Turbo Hydraulic System   安価・コンパクトな油圧での動力回収システム ②EGSによる回収率増加   EGS: Exhaust Gas Separation System   エンジン熱効率を変えずに回収率を増加させ、   過給機後流側へのコンパクトなSCRを装備する   ことが可能(NOx三次規制対応) ①可変機構の電子制御化  ・燃料噴射、排気弁開閉タイミング、EGR  可変弁、過給機可変ノズル(VTA)等の各負荷毎の最適な制御 ②低負荷域での燃焼最適化技術開発  ・可変噴孔噴射ノズル  ・複数燃料噴射弁のタイミング差設定  ・PCCI(予混合圧縮自着火)燃焼技術   部分負荷             排熱回収             (過給機可変ノズル:VTA)    (THS+EGS) 燃料噴射・排気弁開閉タイミング、EGR率 機械式 電子制御式 燃費 負荷 50% 75% 100% (3)低炭素燃料適用:                      __留出油適用技術開発:2%                __電子制御式ガスインジェクション機関検討:20% 低炭素燃料適用時の技術的課題の検証 ガスインジェクション機関の燃焼最適化基礎検討 VTA適用時(部分負荷)

2.1 THS(Turbo hydraulic System)開発 過給機余剰エネルギーを利用した、コンパクト・安価な油圧での動力回収システム 油圧ポンプにて発生した油圧により、クランク軸に装備した 油圧モータを駆動させ、動力回収を行なうシステム 減速機 油圧ポンプ 過給機           サイレンサ 減速機 ・コンパクト化               (過給機に装備)        _→共通台不要 ・クランク軸付モータ開発 ・油圧制御システム開発 油圧ポンプ(航空転用) 油圧モータ 単体試験完了済 共通台装備     →スペース大 THSイメージ

2.2 高低温排気分離システム:EGS(Exhaust Gas Separation System)開発 掃排気行程の前半では高温の燃焼ガスが、後半では燃焼ガスと空気が混合された低温のガスが、一つの排気管に排出されて混合し、中温の排ガスとなる。前半部を高温・高圧排ガスとして、後半部の低温排ガスと分離する。 ・排熱回収量増加:1~2% ・過給機出口温度の上昇:触媒劣化領域温度レベルより高温                  →SCRの過給機後への設置が容易  ・低温ガスの掃気への再循環:過給機容量コンパクト化 及び                         EGR効果によるNOx低減(若干) SCR       (&バーナー) SCR        現状 排ガス温度(11K98MC(Mk7)/ISO条件) 触媒劣化領域 EGS適用時

3.事業全体計画 平成21年度:試験機関での検証試験(平成23,24年度)に向けた基礎試験等の実施 ①燃焼最適化技術:基礎試験実施 平成21年度:試験機関での検証試験(平成23,24年度)に向けた基礎試験等の実施            ①燃焼最適化技術:基礎試験実施 ②THS:油圧ポンプ・モータ単体性能確認 ③EGS:単気筒試験機関での基礎試験実施 平成22年度:試験機関適用技術・システム仕様決定・試運転開始                              ①燃焼最適化技術:大型機関への適用指針確定 ②THS:油圧ポンプ・モータ総合試験による性能・耐久性評価 ③EGS:分離性能改善・試験機関用部品仕様決定 ④試験機関製作・試運転開始(基本性能確認) 平成23年度~平成24年度:試験機関による総合性能試験実施 電子制御エンジン・排熱回収システム(THS/EGS)及び脱硝装置(EGR/SCR)を 組合せた総合性能試験の実施  

4. 平成21年度実施内容 1.部分負荷性能改善(各負荷での燃焼最適化) 2.排気エネルギー動力回収システムの適用による機関総合熱効率の向上 4. 平成21年度実施内容 1.部分負荷性能改善(各負荷での燃焼最適化)    (1)燃料噴射パターン、排気弁開閉タイミング等の最適化による各負荷での燃焼最適化                             (2)電子制御式低速大型試験機関 ・・・ 本体設計及び補機設計・製作 2.排気エネルギー動力回収システムの適用による機関総合熱効率の向上    (1)THS設計・製作 ①油圧ポンプ設計・製作 ②クランク軸結合モータ設計・製作及びポンプ・モータ試運転開始    (2)EGS設計・製作 ①単気筒試験機関での基礎試験実施 ②試験機関用EGS基本設計実施 3.低炭素燃料への転換技術検討

5. 平成21年度成果 (1)THS 過給機 単体性能:90%以上 単体性能:90%以上 減速装置 油圧モータ(クランク軸付) 5. 平成21年度成果 (1)THS 過給機 減速装置 油圧モータ(クランク軸付) 航空転用油圧ポンプ(過給機付) 単体性能:90%以上 単体性能:90%以上 定格回転速度 5,000  rpm 入力軸動力 110  kW 定格回転速度 120  rpm 最大軸出力 400 kW

排気ガス量(Conventional=100%) 5. 平成21年度成果 (2)EGS:  単気筒試験結果             約80℃上昇           従来 高温側 低温側 電子制御による任意比率での分離確認 排気ガス温度 ガス量60%まで減 排気ガス量(Conventional=100%)