GAMMA10セントラル部の低周波領域の揺動解析

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GAMMA10セントラル部の低周波領域の揺動解析 金中性粒子ビームプローブを用いた GAMMA10セントラル部の低周波領域の揺動解析 筑波大学プラズマ研究センター 水口正紀 米田良隆 1.背景と目的 2.GAMMA10概念図 3.GNBP概念図 4.実験結果1(スイープ計測及び固定計測の比較 ) 5.実験結果2(閉じ込め電位形成によるドリフト型揺動抑制 ) 6.結論

背景と目的 ・背景 タンデムミラー型プラズマ閉じ込め装置GAMMA10では、高周波加熱(ICRF)時間帯でドリフト型の静電揺動が様々な計測装置で観測されている。ドリフト型揺動は、異常輸送を引き起こす一因でもあり、径方向閉じ込めを改善するために理論的、実験的に研究が行われている。最近の実験では、電子サイクロトロン加熱(ECH)の入射パワーを制御することで、電位分布・径方向電場を容易に制御できるミラー装置の利点を生かし、プラズマ中の揺動が高電位生成によって抑制されることが分かってきた。 ・目的 GAMMA10主要閉じ込め部(セントラル部)の電位及び揺動を解析し、閉じ込め電位形成時における揺動減衰について知見を得ることを目的とした。金の中性粒子ビームプローブ法(GNBP)によってセントラル部プラズマの測定を行い、測定されたプラズマ電位及びビーム電流量をFFT解析し、電位揺動及び密度揺動スペクトルの解析を行った。

Tandem Mirror GAMMA10 ① ② ③ ① GNBP CC System(セントラル部ビームプローブ) Pancake Coils ② ① ECH ICRH ③ ① GNBP CC System(セントラル部ビームプローブ) ② GNBP EB System(東バリア部ビームプローブ) ③ Barrier-ECH:負の閉じ込め電位形成    Plug-ECH:正の閉じ込め電位形成

Gold Neutral Beam Probe アナライザー イオン源 GAMMA10本体 中性化セル 一次ビームエネルギー:11.781[keV] 偏向電圧:9.117[kV] 偏向電圧 イオン源:ビームの生成、加速・軌道調整 中性化セル:荷電交換反応によるビームの中性化 アナライザー:二次ビーム検出 MCP(Micro Channel Plate)

実験結果1 RF1:51–240[ms] RF2:53–240[ms] Barrier-ECH:155-205[ms] ・スイープ計測と固定計測によって得られたデータ、及びその解析結果を比較した。 RF1:51–240[ms] RF2:53–240[ms] Barrier-ECH:155-205[ms] Plug-ECH:160–190[ms]

径方向電位分布比較 左図は特定の時間帯における径方向電位分布をスイープ計測から算出したものであり、右図は固定計測から算出したものである。 両図の径方向電位分布を比較すると、各径方向位置において電位の値はほぼ一致している。以上から、電位解析に関してはスイープと固定計測に違いはない。

径方向電位揺動強度比較 スイープ、固定計測それぞれのデータをFFT解析し、径方向電位揺動分布を求めた。図中の揺動強度は1 - 20kHzの周波数帯で積算した数値である。ICRF時間帯及び閉じ込め電位形成時において両者を比較した。 両図を比較すると、各径方向位置における電位揺動強度の値・傾向は一致しない。

径方向密度揺動強度比較 前項と同様に、スイープ、固定計測それぞれのデータをFFT解析し、径方向密度揺動分布を求めた。 電位揺動と同様、各径方向位置における密度揺動強度の値・傾向は一致しない。以上より、スイープ計測による揺動解析は難しいと考えられる。以降の実験は固定計測結果を用いる。

実験結果2 RF1:51-240[ms] RF2:53-240[ms] Barrier-ECH:150-200[ms] 本研究で用いたプラズマショットを示す。この時GNBPでは1ショット毎にビームの入射位置をx方向に6cmずつずらして測定しており、径方向の電位、揺動分布の解析が可能である。 RF1:51-240[ms] RF2:53-240[ms] Barrier-ECH:150-200[ms] Plug-ECH:155-180[ms]

径方向電位分布 ・R=0cmの電位分布、及び径方向電位分布を以下に示す。 ICRF時間帯における電位分布は中心近傍が低く、外側が高くなっている。 Plug-ECH(正の閉じ込め電位形成)の印加によって、プラズマ電位は全体的に上昇し、特に中心近傍の高い電位分布が形成される。

電位・密度揺動積算値

電位スペクトル3次元プロット 各位置において測定された電位にFFTを用いて周波数解析を行った。一例として左図に、x = 0cm近傍における低周波領域の電位揺動強度を、縦軸を周波数、横軸を時間で示す。 ICRF時間帯において6-7kHzの領域に特徴的な揺動が発生している。静電プローブによるスペクトル解析の結果から、この揺動はm = 1のドリフト型揺動であることが分かった。

電位・密度揺動周波数変化 ・前項のm = 1のドリフト型揺動の周波数変化を示す。

スペクトル解析 m = 1 ドリフト型揺動

径方向揺動強度解析 各径方向位置でのICRF時間帯と閉じ込め電位形成時のドリフト型揺動強度の違いを示す。 図中の揺動強度は、120 – 145msの時間帯からドリフト型揺動強度のピーク値を取り、平均したものを使用した。電位・密度揺動共に径方向位置に依らず大きく減衰していた。

結論 ・スイープ・固定計測による解析を比較した結果、電位解析に関してはスイープ計  測でも可能だが、周期の速いスイープ計測の場合、揺動解析は難しいと考えられる。  よって、揺動の解析には固定計測のデータを用いた。 ・ICRF時間帯において、径方向電位分布は外側が高い分布をしているが、  Plug-ECHの印加によって全体的に上昇、さらに中心部が高い分布へ変化す  る。この時の電位・密度揺動の積算値を解析したところ、Plug-ECH印加と同時  に各径方向位置で減少が見られた。 ・電位・ビーム電流量をFFT解析し、電位・密度揺動を求めた。ICRF時間帯にお  いてm = 1のドリフト型揺動が確認され、閉じ込め電位形成時には、電位・密度  揺動共に径方向位置に依らず、バックグラウンドレベルまで減衰することが分  かった。

電位の時間変化 ディフレクター電圧に三角波を印加し、1ショットで径方向分布を計測(スイープ計測)したデータと、加熱系の出力・印加時間を固定し、数回に分けて各径方向位置を計測(固定計測)したデータを比較する。 左図がスイープ計測による電位、右図が固定計測による電位の時間変化の一例である。

BPCC較正実験概説 電位 加速エネルギー Fc E E 仮想電位400(V) 偏向電圧 仮想電位0(V) 32ch 18ch アナライザー  GAMMA10  イオン源 電位 加速エネルギー Fc E E 仮想電位 加速エネルギー アナライザー  GAMMA10  イオン源 通常実験時では、ビームの最終エネルギーは加速エネルギーと ポテンシャルエネルギーの和。 ここから加速エネルギーの分を 引いて、電位を算出している。 仮想電位400(V) 較正実験ではイオン源において、 通常実験時の加速電位に、予め 一定値の電位を加えておく。 この電位を仮想的なプラズマ電位 (仮想電位)として較正を行う。 偏向電圧 仮想電位0(V) 32ch  18ch 

電位計算式導出 仮想電位、径方向位置をそれぞれ変化させ、各々のピークチャンネルをとったものが下図。 図のフィッティング曲線から、仮想電位、径方向位置、ピークチャンネルの関係式(電位計算式)は以下のようになった。 Eb:仮想電位 R:径方向位置 Pch:ピークチャンネル フィッティング曲線とデータのずれは最大で約0.2ch。電位換算で10数V程度なので、十分測定に耐えうる範囲である。

アナライザー偏向電圧較正 仮想電位、径方向位置、さらにアナライザー偏向電圧Vaをそれぞれ変化させ、各々のピークチャンネルをとったものが下図。 Eb,Rによる変化は ほとんどない 以上より、得られたアナライザー偏向電圧依存性関係式は、 データからのずれは最大約0.1ch(許容範囲)

ノイズレベル 較正実験において、ビームが中性化していない時間帯、つまりビームがMCPに到達しない時間帯を取り、MCPが検出した電流量の標準偏差を求めた。 ビームが検出されない時間帯での電流量標準偏差なので、GNBP固有のノイズと考えることが出来る。 Average SD: ~0.015(V) Max SD:~0.025(V) すなわち、通常実験時の計測において、このノイズレベルを超える振幅のビーム電流量の変動は、揺動によるものであると言える。これより、GNBPによる揺動解析が可能であることが分かる。

揺動解析に用いたショットの電位分布 Barrier-ECH印加での電位の変化はほとんどなく、 Plug-ECHの印加時には電位が大きく上昇する。