Micro Pixel Chamberにおける 電子ドリフトおよびガス増幅の シミュレーション

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Micro Pixel Chamberにおける 電子ドリフトおよびガス増幅の シミュレーション 放電に関する考察と電極構造の最適化 京都大学  永吉勉 Micro Pattern Gas Detector 研究会 2004年12月3日

Contents Micro Pixel Chamberとその現状 Maxwell / Garfieldについて 放電現象とその考察 電極構造最適化への試み 2004年12月3日

Micro Pixel Chamber (m-PIC) PCB technology Pixel electrode 2D readout 100mm 400m pitch electrodes 256 anodes and 256 cathodes 10cm 2004年12月3日 Detection area = 100cm2

Performance of m-PIC 0.5mm slits 104 103 position resolution σ=120mm Gas gain 400 Anode voltage [V] Ar / C2H6 (90 / 10) Ar / C2H6 (80 / 20) Max: 1.6×104 Length along the edge [mm] Max gas gain … limited by discharge position resolution σ=120mm Max: 1.6×104 Stable: ~6000 Gas gain 2004年12月3日

m-PICの現状 ガス増幅率は104を超えている MIP検出にはあと数倍高くしたい この条件での安定動作は厳しい proton ( ~1MeV) m-PICの現状 Gas gain 5000~10000のときのμ飛跡の図 ガス増幅率は104を超えている MIP検出にはあと数倍高くしたい この条件での安定動作は厳しい Gas gain 数万のときのμ飛跡の図 Anode[cm] Cathode[cm] DRIFT[clock] m track (Cosmic ray) CP + m-PIC gain ~ 104 ガス増幅率を制限しているのは放電 放電の原因を特定したい ガス増幅率105、放電なしで 数ヶ月以上の安定動作 目標 2004年12月3日

Simulation GARFIELD 3D simulation using MAXWELL and GARFIELD MAXWELL 3D structure Finite element method GARFIELD Electron drift Gas multiplication Field map Expected performance MAXWELL GARFIELD 2004年12月3日

Discharge Possible mechanism … High ionization (avalanche size >108 electrons) Malter effect (ポリマー膜の絶縁破壊) 絶縁層への電子の蓄積  帯電  沿面放電 カソード端からのField emission Damaged electrode (anode) Nagae et al., NIM A 323 (1992) 236 10mm (cathode) (anode) Damaged electrode of MSGC 電子収集効率 ~90% ~10% charging-up 2004年12月3日 電子ドリフト終端点分布

チタンコートm-PIC もともとはMSGCで陽イオン 蓄積を防ぐためのもの 電子蓄積を防ぐ  放電予防? 放電をなくす試み: チタンコーティング  効果なし Anode voltage [V] 460 560 103 104 Gas gain Ti-coat m-PIC Normal m-PIC チタンコートm-PIC もともとはMSGCで陽イオン 蓄積を防ぐためのもの 電子蓄積を防ぐ  放電予防? 有機チタンをコーティングしたm-PIC 10cm Gas gain ~ 3000で 動作不安定 電子蓄積は放電の 原因ではない? 2004年12月3日

Field emission I = a E2 exp( – b / E ) 強電場下で金属表面から 電子が放出される F -eEx E 電場がないとき 電場があるとき x -eEx F E 金属表面付近のポテンシャル I = a E2 exp( – b / E ) Field emission 強電場下で金属表面から 電子が放出される 入射粒子がなくても放電が おこる (E > 数百~千kV/cm) ~200kV/cm m-PIC電場強度マップ 100-200kV/cm 強電場のあるところ: 電気三重点(triple junction) metal (cathode) vacuum (gas) dielectric 2004年12月3日

Field emission E > 600kV/cm 強電場が生じる場所 エッチング残り? 100-150kV/cm cathode エッチング残りなどがあると強電場ができる 2004年12月3日

Emitted electrons ~ Case of the current m-PIC ~ 10 102 103 104 Townsend [1/cm] 基板表面に沿ったTownsend係数 基板表面に沿った電場強度 TJからField emission  基板表面を走りながら   ガス増幅 100 180 20 E field [kV/cm] 基板表面に沿って Townsend係数を積分 Triple junction Surface flashover “ガス増幅率” ~ 5×107 Raether limitに近い 2004年12月3日

放電の原因は? CP: 鉛の放射性同位体を含む m-PIC + capillary plate (CP) VCP [V] 104 103 Total gas gain (VmPIC = 520V) 1700 1800 m-PIC + capillary plate (CP) a particle  103-4 electrons/anode 2.2×104 1電極あたり~105個の 電子が蓄積するはず (for 1 a particle) 有機チタンコーティングは効果なし Capillary plate + m-PICではgas gain > 104で安定動作 ドリフト電子蓄積  放電 とはならない!! 放電の主要な原因は カソードからの電子放出? 2004年12月3日

Optimization 1 r anode cathode ~ Thick insulator m-PIC ~ 350 E field [kV/cm] 100 (GND) (600V) O Thickness 5mm 100mm 200mm Thick insulator  High field @ anode Low field @ cathode High gas gain ( > 105) Discharge-free operation 絶縁層が薄すぎると、ポリイミドの絶縁破壊も起こりうる (PIの絶縁破壊: ~180kV/cm) 2004年12月3日

Optimization 1 ~ Thick insulator m-PIC ~ 基板表面を走る電子の”ガス増幅” Triple junction 基板表面を走る電子の”ガス増幅” 沿面ガス増幅率の厚さ依存 (これは前頁?) Thickness [mm] 106 107 108 109 1010 Multiplication Raether limit 100 200 50 150 current m-PIC 薄い基板: 沿面放電の”ガス増幅率” がRaether limitを超える 沿面フラッシオーバ? 2004年12月3日

Optimization 1 ~ Thick insulator m-PIC ~ m-PICの絶縁層を厚くする カソード端の電場が弱い  Field emission起こりにくい Field emission による“ガス増幅率”が低い ドリフト電子を効率よく収集 5mm thick 200mm thick Efficiency ~ 40% Efficiency > 90% 絶縁層を厚くしたいが… アノードのアスペクト比 > 2  技術的に難しい 他の方法はないか? 2004年12月3日

Optimization 2 ~ Well-type m-PIC ~ レーザーで絶縁層を除去 電子収集効率 > 98% カソード端での電場が弱い  放電が起こりにくい 壁面での放電が問題  改善可能? 150-200kV/cm < 100kV/cm Maxwellによる 電場強度マップ 電子ドリフト終端点分布 well-type normal 2004年12月3日

Summary m-PICにおける放電の原因について 放電の原因はField emissionによる沿面放電 有機チタンコーティングでは放電を防げない 鉛ガラスCP + m-PICはgas gain > 104で安定動作 電場計算  沿面放電の“ガス増幅率” ~ Raether limit 放電の原因はField emissionによる沿面放電 対策 … カソード端での電場を弱くする 厚い絶縁層を作る 絶縁層をレーザーで掘り抜く …今のところ、技術的に困難 …GEMで可能ならm-PICでも 2004年12月3日