シミュレーション事例 界面不安定性を考慮した長期CO2挙動解析の例(地下水中のCO2溶解量)4)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
表紙 並列プログラミングを用いた RFグロー放電のPIC/MCシミュレーション 〇丸 篤 佐藤 孝紀 伊藤 秀範 田頭 博昭(室蘭工業大学)
Advertisements

SolidWorks Flow Simulation 教師用ガイド
到着時刻と燃料消費量を同時に最適化する船速・航路計画
Intel AVX命令を用いた並列FFTの実現と評価
全体ミーティング (4/25) 村田雅之.
研究集会 「超大規模行列の数理的諸問題とその高速解法」 2007 年 3 月 7 日 完全パイプライン化シフト QR 法による 実対称三重対角行列の 固有値並列計算 宮田 考史  山本 有作  張 紹良   名古屋大学 大学院工学研究科 計算理工学専攻.
P,Q比が変更可能なScaLAPACKの コスト見積もり関数の開発
分散遺伝的アルゴリズムによる各種クラスタのベンチマーク
Copyright (C) Siam Bee Technologies 2015
TCPデータ通信との公平性を考慮した 輻輳適応能力を有する MPEG動画像通信のための品質調整機構
異種センサを用いた人の行動検知 研究概要 研究の独自性 isi担当 高汐グループ成果 スライド到着待ち yasu担当.
PCクラスタ上での 連立一次方程式の解の精度保証
メッシュネットワークに関する研究 ーチャネル割り当ての一手法ー
MPIによる行列積計算 情報論理工学研究室 渡邉伊織 情報論理工学研究室 渡邉伊織です。
研究背景 研究目的 手法 研究計画 分散型プラズマアクチュエータと物体形状の統合最適設計による 仮想空力形状の実現 jh NAH
日本の電気エネルギーの ベストミックスはこれだ!
宇宙磁気流体・プラズマシミュレーション サマーセミナー ~三次元MHDコードの作成〜
圧力発展格子ボルツマン法による大規模気液二相流GPUコードの開発 ならびに多孔体浸潤液滴シミュレーション
現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに
計算機実験の計画 References 研究目的 囲碁・将棋での強化学習 高信頼性人工知能システムへの展望 大規模な強化学習技術の実証と応用
応用数理工学特論 第6回 計算理工学専攻 張研究室 山本有作.
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
AMR法フレームワークの様々なアーキテクチャへ向けた発展 研究背景と研究目的 Xeon Phi対応に向けた拡張
電磁流体力学乱流の高精度・高並列LESシミュレーションコード開発研究
半無限領域のスペクトル法による竜巻を模した渦の数値実験に向けた研究開発
磁気リコネクション (Craig-Henton解の安定性) ~シミュレーションサマースクール@千葉大より~
HLとEHLモデルでの圧力分布と軸受の変形分布
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(NlogN)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似法
アンテナ最適化技術と電波伝搬シミュレーション技術の高速化と高精度化
研究課題名 研究背景・目的 有機エレクトロニクス材料物質の基礎電子物性の理解 2. 理論 3. 計算方法、プログラムの現状
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
高汐 一紀 慶應義塾大学 新しい空間の創出:uPlatea 新しい道具の創出: u-Photo 思考する家具・部材: u-Texture
導電性高分子材料の電子状態計算に現れる連立一次方程式に対する 並列直接解法の高性能化
Environment Risk Analysis
AdaPrec (提案手法) の初回の通信精度選択
航空エンジンの翼列周り流れ解析のメニーコアシステム向け最適化
可視化用粒子データを用いたIn−Situ可視化システムのSIMD最適化
東京都のテナントビル向け省エネ支援策 ◆オーナーとテナントの協力により、ビルの付加価値を高める取組
プロピレン(約2ユニット)を1つのLJ球としてモデル化
ダイナミックシミュレーションの活用と課題
GW space-timeコードの大規模な有機-金属界面への適用に向けた高効率化
Bruciteの(001)面における真の接触面での摩擦特性
目的:高速QR分解ルーチンのGPUクラスタ実装
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
バリオン音響振動で探る ダークエネルギー ~非線形成長と赤方偏移歪みの影響~
岩澤全規 理化学研究所 計算科学研究機構 粒子系シミュレータ研究チーム 2015年7月22日 AICS/FOCUS共催 FDPS講習会
Data Clustering: A Review
研究背景・目的 研究組織 実施内容 適用手法 提案研究により期待されること
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
高精細計算を実現するAMR法フレームワークの高度化 研究背景と研究目的 複数GPU間での袖領域の交換と効率化
プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
社会の情報インフラストラクチャとして、高性能コンピュータおよびネットワークの重要性はますます増大しています。本研究室では、コンピュータおよびネットワークの高速化を狙いとする並列・分散情報処理の科学と技術に関する研究に取り組んでいます。効率のよいシステムの実現を目指して、下記の項目を追求しています。 ◇コンピュータアーキテクチャ.
ETPB: Extraction of Context from Pedestrians' Behavior
複雑流動場における物質移行過程の解明を目指した大規模数値計算 :実験計測データとの比較による数値モデルの構築
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター 河宮未知生 吉川知里 加藤知道
研究背景と目的 解析結果・グラフ 解析手法 今後の展望 太陽光模擬の高精度化 熱中症リスク評価シミュレータの開発と応用
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(Nlog2N)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似
■ 背景 ■ 目的と作業内容 分子動力学法とフェーズフィールド法の融合による 粒成長の高精度解析法の構築 jh NAH
東京都心1m解像度10km四方気流計算の可視化
ビデオデータベースを用いた 流体画像に基づくアニメーション生成
格子ボルツマン法によるリアルタイム物質拡散シミュレーション手法の開発
IPmigrate:複数ホストに分割されたVMの マイグレーション手法
分散メモリ型並列計算機上での行列演算の並列化
背景 粒子法(SPH・MPSなど)は大規模流体シミュレーションなどで幅広く利用.一方で,手法の数学的正当化(数値解析)が不十分
核融合プラズマ研究のための超並列粒子シミュレーションコード開発と その可視化
大規模粒子法による大型クルーズ船の浸水解析
実都市を対象とした初期マイクロデータの 推定手法の適用と検証
非線形システム解析とオブザーバ.
Presentation transcript:

シミュレーション事例 界面不安定性を考慮した長期CO2挙動解析の例(地下水中のCO2溶解量)4) jh170028-NAJC 課題代表者:山本 肇 (大成建設株式会社) ポストペタスケールシステムを目指した二酸化炭素地中貯留 シミュレーション技術の研究開発 1 研究目的   二酸化炭素地中貯留は,火力発電所などから排出されるCO2を地下深部の地層中に圧入する地球温暖化対策の切り札である。その実用化にあたっては,圧入後の二酸化炭素の地中挙動を正確にシミュレートする技術の確立が重要な課題となる。本共同研究では米国ローレンスバークレイ国立研究所で開発された有限体積法に基づく多相流体シミュレータ「TOUGH2-MP」を元に、ポストペタ/エクサスケールシステム上でより詳細な大規模シミュレーションを実施するために東京大学情報基盤センターを中心に開発された「ppOpen-HPC(自動チューニング機構を有するアプリケーション開発・実行環境)」を活用したTOUGH2-MPの高度化を実施し,大規模シミュレーション技術の確立を図る。更にエクサスケールシステムへ向けて,時空間並列化手法の適用を検討する。主たるターゲットシステムは東大Oakleaf-FXであるが,平成29年度はIntel Xeon Phi(Oakforest-PACS),GPUクラスタ(Reedbush-H)等のメニィコア環境も含めた検討を実施する。 2 研究計画  実施項目は次の通りである。①OpenMP/MPIハイブリッド並列化,②ppOpen-HPCによる高度化(疎行列ソルバー,並列可視化,並列メッシュ生成・領域分割),③自動チューニング,④時空間並列アルゴリズム,⑤メニィコアクラスタ向け検討,⑥実アプリケーションへの適用,⑦ ppOpen-HPC改良,最適化。H29年度は③~⑦を重点的に実施する。③については,H28年度成果に基づき,動的ループスケジューリング向けパラメータ自動設定機能を開発し,ppOpen-HPCに反映する。④については,H28年度に開発したプロトタイプの最適化を進める。また,時空間並列アルゴリズムは比較的小規模,中規模の問題の長時間シミュレーションとなる本課題に適している。⑤ではIntel Xeon Phi(Oakforest-PACS),GPU(Reedbush-H)向けの移植,最適化を実施する。以上の成果に基づき,⑥実アプリケーションによる機能検証,⑦ppOpen-HPC改良,最適化を実施する。 3 昨年度の研究 実施項目① TOUGH2-MPのハイブリッド並列化 図1は CO2地中貯留シミュレーションのOakleaf-FX上での計算時間の例で,コア数を増加させた場合のFlat MPIとハイブリッド(各ノード4 スレッド×4プロセス)の比較である(strong scaling)。ハイブリッドはノード数が少ない場合は,Flat MPIよりやや遅いが,ノード数が増えて各プロセス当りの問題規模が小さくなると性能が近づき,1,440ノード(23,040コア)ではほぼ同等かややハイブリッドが速い。 実施項目④ 時空間並列アルゴリズム MGRIT法(Multigrid Reduction in Time)に基づく時間方向並列化を非線形問題向けに拡張し,時空間並列アルゴリズムによる非定常多相流問題向けアプリケーションを開発中である。図2はメッシュ数約3万(自由度数約12万)のテスト例題を,MGRIT法に基づく改良版TOUGH2-MPによって Oakleaf-FX上で解いた事例である。従来型の逐次手法(Time-Stepping)と比較すると,MGRIT法はコア数が増加するとより有利となっていくことがわかる。現状では時間方向並列化部分の最適化が不十分でありH29年度も継続して実施する。本事例はMGRIT法を実用的な非線形問題に適用した最初の事例の一つである。 Flow + Geochemistry Only Flow Oakleaf-FX Average time for solving matrix for one time step Hybrid (4x4) Flat MPI 図-2 MGRIT法による改良版TOUGH2-MP計算例(総自由度数約12万),Oakleaf-FX使用,タイムステップ数1,025,時間方向並列化レベル=9,120/240-in-space:空間方向分割数120/240 図-1 Oakleaf-FX上での計算時間(30 million dof) 4) シミュレーション事例 界面不安定性を考慮した長期CO2挙動解析の例(地下水中のCO2溶解量)4) Time = 50 years Time = 100 years Time = 1000 years Time = 200 years Injection Well 200m 25m Vertical cross section Reservoir top Convective Fingers dx=1m CO2が溶解した地下水は密度が増加 拡散層がある厚さに達すると重力対流が起きる 対流混合は溶解を促進   → 安定性の高い貯留形態へ  Yamamoto, H. et al., International Journal of Greenhouse Gas Control, Vol. 3, pp.586-599, 2009. Audigane, P.D et al., CO2 injection modeling in large scale heterogeneous aquifers, Eos Trans. AGU, 92(51), Fall Meet. Suppl., Abstract H51H-1302, 2011. Pruess, K. and K. Zhang, LBNL Technical Report LBNL-1243E, Lawrence Berkeley Nat’l Lab., California, 2008. Yamamoto, H. et al., Proc. 12th Int. Conf. Greenhouse Gas Control Technologies (GHGT-12), 2014 Yamamoto, H. et al., Lecture Notes in Computer Science Vol. 7851, pp. 80-92, 2013. 通常の粗い格子のフィールドスケールシミュレーションでは、対流混合による溶解速度の増加を表現できない。