2.温暖化・大気組成変化相互作用モデル開発 温暖化-雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価

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2.温暖化・大気組成変化相互作用モデル開発 温暖化-雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価 共生課題2 2.温暖化・大気組成変化相互作用モデル開発 温暖化-雲・エアロゾル・放射フィードバック精密評価   久芳奈遠美 KUBA Naomi

項目 1.土壌粒子のCCNとしての振る舞いについて 2.NICAMの現状報告 3.CCSR/NIESへの雲物理パラメタリゼーションの導入 4.詳細雲微物理モデルの力学モデルへの搭載

項目 1.土壌粒子のCCNとしての振る舞いについて 2.NICAMの現状報告 3.CCSR/NIESへの雲物理パラメタリゼーションの導入 4.詳細雲微物理モデルの力学モデルへの搭載

SPRINTARS エアロゾル輸送モデル 雲物理パラメタリゼーション sea salt SO4 SO2 DMS BC OC soil dust CCSR/NIES AGCM

新村典子氏(東京理科大学) ・透過型電子顕微鏡により個々のエアロゾル粒子に含まれる水溶性  と非水溶性物質の割合を推定。 ・半径1から2ミクロンの土壌粒子を対象として、粒子採集後、シャド  ウイングし形態観察・元素組成分析する。水透析しさらにシャドウ  イングし、形態観察と元素組成分析をする。 ・昨年秋の黄砂に付着していた水溶性物質の割合を測定

観測結果 ・土壌粒子がCCNとして働くことは確か ・長距離輸送中、化学的変質(ガス反応により硫酸塩付着)および  物理的変質(衝突により海塩粒子付着)すると推定される。 ・鉱物の半分以上が海塩を付着していた。 ・海塩の多くが変質海塩(黄砂時には硫酸塩により、非黄砂時は  硝酸塩による変質)になっている。 ・付着している海塩成分はNaCl, Na2SO4, NaNO3 ・黄砂の土壌粒子に付着している水溶性物質(海塩)の体積割合は  半径によらず、10~90%。 ・土壌粒子単独ではCCNとしては働かない

方針 ・土壌粒子そのものは凝結核としての能力は無視でき、海塩および  硫酸塩が付着する事により凝結核として機能するようになると考  えると、土壌粒子は凝結核数に含めなくてもいいかもしれない。 ・海塩粒子、硫酸粒子を核とする雲粒が土壌粒子を捕獲して  その後乾燥して凝結核となると考えられるので(海塩粒子、硫酸  粒子と土壌粒子の衝突して併合する確率は極めて低い)、土壌粒  子により凝結核としての海塩粒子、硫酸粒子の総質量、数密度は  変わらない。 ・複数の海塩粒子、硫酸粒子を核とする雲粒が併合して粒径分布が  変わる効果は土壌粒子の存在とは関係なく検討されるべき課題。

項目 1.土壌粒子のCCNとしての振る舞いについて 2.NICAMの現状報告 3.CCSR/NIESへの雲物理パラメタリゼーションの導入 4.詳細雲微物理モデルの力学モデルへの搭載

NICAM ・水平格子  5km、鉛直格子 100m。 ・完全圧縮非静力学方程式系。有限体積法。 ・修正型正20面体格子。格子は三角形。 ・水物質のトレーサーと飽和調節過程は実装済み。 ・力学過程のみのテスト実験(波の伝播実験・温帯  低気圧ライフサイクル実験) ・スペクトル法との計算時間の比較(T1000以上、  すなわち30~40km以下の解像度の場合、格子法が有利)

物理過程実装の開発戦略 全球3.5km格子での試行錯誤は無理なので、一部集中格子 の使用(Schmidt 変換によるstretched grid) トレーサー移流の実装完了 飽和調節の実装(水蒸気から雲粒への相変化のみ) stretched grid 上で簡単なテストを行う 格子平均の上昇流から雲が作れるのは解像度が4km くらいまでか。 雲物理パラメタリゼーションをいれてみる

予定 ・冷たい雨を含めた雲物理バルクで(8,9月) ・積雲パラメタリゼーションの実装(中解像度用)(9・10月) ・乱流モデル、地表面過程の実装(9,10月) ・放射過程の実装(10、11月) Nakajima scheme テスト計算 Squall line 実験(10月~)warm rain で検討 水惑星実験(12月~) AMIP実験

項目 1.土壌粒子のCCNとしての振る舞いについて 2.NICAMの現状報告 3.CCSR/NIESへの雲物理パラメタリゼーションの導入 4.詳細雲微物理モデルの力学モデルへの搭載

CCSR/NIES + SPRINTARS ・間接放射強制力の評価には、従来は沼口さんの式からだした  有効半径や降水形成率を使っている。 ・新スキームでは、雲粒数密度の式は  Abdul-Razzak et al.,  1998により出す。 ・新スキームにして改善がみられたのか?:はっきりしない ・衛星データの信頼性とGCM、SPRINTAERSの入力値が妥当性の       問題か?       陸上のエアロゾルを過小評価しているのでは?       (オーストラリアと南米の雲粒数密度が過小評価されている:       自然起源CCN、土壌粒子のCCN性)     ・極域が重要だが観測値がないので検討課題

項目 1.土壌粒子のCCNとしての振る舞いについて 2.NICAMの現状報告 3.CCSR/NIESへの雲物理パラメタリゼーションの導入 4.詳細雲微物理モデルの力学モデルへの搭載

雲物理モデルの分類                [ カテゴリー分け:水粒子(雲粒、雨粒)   氷粒子(氷晶、雪、あられ)] 1) 粒子法     変数   :粒子の質量(半径)       入力値 :CCNスペクトル、氷晶核数密度 クラス分け : CCNの溶質量基準              (1つのクラスに属するCCN数密度は雲粒数密度に対して              充分小さくする) 2) ビン法     変数     : 1-moment 各ビンに属する粒子の数密度 2-moment 各ビンに属する粒子の数密度と総質量     入力     :初期分布     ビン構成   : m ( i ) = m ( 1 ) R i – 1 3) 基底関数展開法 4) バルク法     変数     : 1-moment 総質量 (混合比) 2-moment 総質量 (混合比)と数密度

計算法の分類 1) Lagrange 法    移流    : パーセル法    凝結成長 : 粒子法 2) Euler 法    移流    : 格子法    凝結成長 : ビン法

1モーメント ビン法   各ビン内の雲粒(雨粒)の総個数が変数 Bott, A., 1989: A positive definite advection scheme obtained by nonlinear renormalization of the advective fluxes. Mon. Wea. Rev., 117, 1006-1015.

2モーメント ビン法   各ビン内の雲粒(雨粒)の総個数と総質量が変数 Chen, J. –P. and D. Lamb, 1994: Simulation of cloud microphysics and chemical processes using a multicomponent framework. Part I Description of the microphysical model. J. Atmos. Sci. 51, 2613-2630.

S(t) ; x=xi y=yk S(x,y) ; t=tn S(x(t),y(t)) Lagrangian spatial CCN size distribution constituent Cloud Droplet Concentration Maximum value of super saturation Smax Updraft S(t) ; x=xi y=yk S(x,y) ; t=tn S(x(t),y(t)) Smax S Smax Smax t Lagrangian spatial temporal

Two schemes of cloud microphysics. Particle method in Parcel Bin method at each grid points Framework Lagrangian Eulerlian ri = r12(i-1)/3k (i = 1, 2,…,200) nj (j = 1, 2,…,200) Fixed values Number concentration of CCN Representative radius of included in each class droplets included in each bin. Variable values rj (t) ni (t) Radius of droplets forming Number concentration of on CCN included in each class. droplets included in each bin. Activation Takeda and Kuba (1982) not considered Condensation Takeda and Kuba (1982) modified Bott’s (1989) method Coalescence not considered Bott’s (1998) method D t 0.05 s 0.5 s

Parcel model is triggered Bin on the grid point When relative humidity at the grid point reaches 100% for the first time Initial cloud droplets size distribution When relative humidity at the grid point is larger than 100% and cloud water on the windward side of the point does not exist Influx of droplets from the windward

課題 ・簡易雲モデルへの1モーメントビン法雲物理モデル装着 :済み ・簡易雲モデルへの2モーメントビン法雲物理モデル装着:進行中 ・NHMへの2モーメントビン法雲物理モデル装着     :これから ・NHMへの雲物理パラメタリゼーションの導入      :これから ・NICAMへの雲物理パラメタリゼーションの導入     :これから ・NICAMへの基底関数雲物理モデル装着         :進行中