21世紀 COE 出張報告会  宇宙物理学教室 D1 成本 拓朗.

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COBE/DIRBE による近赤外線 宇宙背景放射の再測定 東京大学, JAXA/ISAS D1 佐野 圭 コービー ダービー.
ガンマ線バースト (GRBs) 硬 X 線からガンマ線領域で明るい ( keV) スパイク状の光度曲線 継続時間の長い / 短い GRB Seconds since trigger Counts / s GRB GRB GRB 発見 1967年7月2日.
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ガンマ線バースト (GRBs) ガンマ線で明るい ( keV) スパイク状の強度変動 継続時間の長いもの短いもの click
エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測
WISHによる超遠方クエーサー探査 WISH Science Meeting (19 July 三鷹
すざく衛星によるTeV γ線天体HESS J の観測 --dark accelerator?--
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S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
宇宙γ線衛星GLASTで見る銀河系の高エネルギー現象
巨大電波銀河 3C 35 の 「すざく」による観測 磯部 直樹(京都大学,
GRBから期待される ガンマ線光度曲線 浅野勝晃(東工大).
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21世紀 COE 出張報告会  宇宙物理学教室 D1 成本 拓朗

THE MULTI-MESSENGER APPROACH TO UNIDENTIFIED GAMMA-RAY SOURCES 場所 : スペイン、バルセロナ(UNIVERSITAT DE BARCELONA) 開催期間 : 2006年07月04日~07日 会議構成 : 招待講演 14, 一般講演 32, ポスター講演 48 参加者 : スペイン 33, ドイツ 16, アメリカ 15, フランス 10, イタリア 10, 日本 8, ポーランド 5, アイルランド 4, ロシア 3, … 全115名

THE MULTI-MESSENGER APPROACH TO UNIDENTIFIED GAMMA-RAY SOURCES Topic : Gamma-Ray Sources (Blazars, Pulsars, PWN, Microquasars, SNRs, Dark Matter …) Session A : Global Properties of Gamma-Ray Sources Session B : Extragalactic Sources Session C : Pulsars, PWN, Interacting Neutron Stars Session D : Microquasars, Black Holes, Binaries Session E : Stars, SNRs, Molecular Clouds Session F : Multi-Messenger Connections Session G : Dark Matter, Gamma-Ray Horizon

T. Narumoto & T. Totani, ApJ, 643, 81 (2006) 発表タイトル Gamma-Ray Luminosity Function of Blazars and the Cosmic Gamma-Ray Background: Evidence for the Luminosity-Dependent Density Evolution T. Narumoto & T. Totani, ApJ, 643, 81 (2006) 発表内容 ・ ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化 ・ 宇宙ガンマ線背景放射に対するブレーザーの寄与

EGRET (Energetic Gamma Ray Experiment Telescope) ガンマ線 (30 MeV~20 GeV) での全天サーベイ 271個のガンマ線源を検出 (66個がブレーザーとして同定) 半分以上が未同定天体として残されている EGRET Allsky Intensity Map

ブレーザー Blazar 活動銀河中心核 (AGN) のジェットを正面から見た天体 Synchrotron Inverse Compton Kataoka et al. (1999)

宇宙ガンマ線背景放射 (EGRB) 起源が分かっていない!! 起源の候補 系外から等方的にやってきているガンマ線⇒EGRET によって存在が確認される フラックス EGRET 起源が分かっていない!! EGRET Strong et al. (2004) Strong et al. (2004) 起源の候補 エネルギー ブレーザー?? (e.g., Stecker & Salamon 1996; Chiang & Mukherjee 1998) 銀河団?? (e.g., Loeb & Waxman 2000; Totani & Kitayama 2000) 暗黒物質?? (e.g., Oda, Totani, & Nagashima 2005)

ブレーザーのガンマ線光度関数と 宇宙ガンマ線背景放射 EGRET で検出されている系外のガンマ線源のほとんどはブレーザー ⇒ブレーザーは EGRB の起源として最も有力な候補 しかし、ブレーザーのガンマ線光度関数(GLF)や宇宙論的進化は 分かっていない⇒EGRB に対する寄与の評価も不定性が大きい 過去の研究 SS96 (Stecker & Salamon 1996) ・ EGRB に対するブレーザーの寄与は100%であると主張 ・ 問題点 : 彼らの model は EGRET で検出されたブレーザーの赤方偏移分布と矛盾 CM98 (Chiang & Mukherjee 1998) ・ EGRB に対するブレーザーの寄与は25%であると主張 これまでの研究では、ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化を Pure Luminosity Evolution (PLE) として扱っていた

Pure Luminosity Evolution 形を変えずに左右に動く 個数密度 Croom et al. (2004) 光度

AGN の光度関数の宇宙論的進化 luminosity 小 luminosity の大きい AGN ほど high-redshift に density peak (e.g., Ueda et al. 2003; Hasinger et al. 2005; La Franca et al. 2005) Number density luminosity 大 Ueda et al. (2003) Redshift AGN の光度関数の宇宙論的進化は PLE ではなくLuminosity-Dependent Density Evolution (LDDE) で表されることが分かってきた

Luminosity-Dependent Density Evolution Ueda et al. (2003) 個数密度 形を変えながら進化する 光度

今回の研究で行ったこと ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化に LDDE を初めて導入し、EGRET blazars の赤方偏移分布と光度分布に関する likelihood analysis を行った 電波観測によるブレーザーの同定確率を likelihood analysisに導入(reasonable なガンマ線光度と電波光度を仮定) 宇宙ガンマ線背景放射に対するブレーザーの寄与の評価 次世代ガンマ線天文衛星 GLAST に対する予測

電波光度関数 (RLF) ⇒ ガンマ線光度関数 (GLF) PLE Model ブレーザーの電波光度とガンマ線光度の間に比例関係を仮定 電波光度関数 (RLF) ⇒ ガンマ線光度関数 (GLF) normalization factor ガンマ線光度関数 電波光度関数 光度関数の faint-end slope は free parameter とする likelihood analysis を用いて、 と を EGRET blazars の 赤方偏移分布と光度分布から制限する

AGN の X線光度関数 (XLF) ⇒ ブレーザーのガンマ線光度関数 LDDE Model AGN の X線光度とブレーザーのガンマ線光度の間に比例関係を仮定 AGN の X線光度関数 (XLF) ⇒ ブレーザーのガンマ線光度関数 X-ray luminosity of normal AGNs (not blazars) normalization factor « 1 ガンマ線光度関数 X線光度関数 光度関数の faint-end slope は free parameter とする likelihood analysis を用いて、 と を EGRET blazars の 赤方偏移分布と光度分布から制限する

Constraints from Likelihood Analysis PLE model

Constraints from Likelihood Analysis LDDE model faint-end slope of the AGN XLF

EGRET によって検出された ブレーザーの赤方偏移分布と光度分布 KS probability (光度分布) LDDE model : 99.3% PLE model : 27.0% PLE model に比べて、LDDE model の方が EGRET によって検出されたブレーザーの赤方偏移分布と光度分布をうまく説明できる KS probability (赤方偏移分布) LDDE model : 67.8% PLE model : 3.1%

Blazar Contribution to the EGRB (LDDE Model) faint-end slope of the AGN XLF

GLAST で期待されるブレーザーの検出数 ~ 3000 : LDDE model ~ 5250 : PLE model ~ 10000 : SS96 model モデルに強く依存する LDDE model は、過去の評価に比べて、かなり検出数が少なくなることを予測 GLAST によるブレーザーの検出数から、ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化に制限を加えられる

宇宙ガンマ線背景放射に対する GLAST Blazars の寄与 2つの peak を持つ 太線 : best-fit model 細線 : EGRB を100%説明可能な model GLAST blazars として分解可能な背景放射の割合 ~ 20% (best-fit LDDE) ~ 26% (EGRB を100%説明可能な LDDE model)

GLAST で検出されるブレーザーの 赤方偏移分布と光度分布

発表の成果 英語での発表は初めてだったので緊張したが、無事に終えることができ、多くの方に興味を持って頂けたと思う 発表後には数人の方から、質問や貴重なコメントを頂くことができた ポスターセッションの会場では 「EGRB はブレーザーで100%説明できる」 と主張している論文の著者の一人(イタリアの方)とお会いして 議論することができた(我々の論文も渡した) 課題 ・ 英語を聞き取れないことがあったこと 我々とは異なる結論!!