小林・益川理論とCP対称性 岡田安弘 第27回KEK素核研金茶会 2008年12月19日.

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小林・益川理論とCP対称性 岡田安弘 第27回KEK素核研金茶会 2008年12月19日

内容 ストックホルム報告 小林・益川ノーベル賞講演から CP対称性とこれからの物理

ノーベルウィーク ノーベル賞関係の行事の1週間 12/5(金) 受賞者到着 12/6(土)受賞者インタビュー 12/7(日) Press conference、Royal Swedish Academy of Sciencesでのレセプション 12/8(月) Nobel Lectures、ノーベルコンサート 12/9(火)TV-program Nobel Minds収録、ノーベル財団レセプション 12/10(水)(Alfred Nobel の命日)ノーベル賞授与式、晩餐会 12/11(木)王宮でのノーベル賞受賞者と配偶者の晩餐会 12/12(金)ノーベル賞受賞者と配偶者のノーベル財団レセプション 12/13(土)受賞者出発 などなど

プログラムの一部

Grand Hotel ノーベル賞受賞者の常宿

機構長主催昼食会 12/7

Reception at the Royal Swedish Academy of Sciences 12/7 夕方

Nobel Lectures in Physics 12/8朝, Stockholm University

http://nobelprize.org/

TV 番組収録 12/9朝 王宮図書室

ノーベル財団レセプション、 Nordic Museum, 12/9夕方

12月10日 ノーベル賞授賞式  16:30 ストックホルムコンサートホール ノーベル晩餐会    19:00 シティーホール 撮影禁止

授賞前 授賞後

翌日の新聞では

小林・益川理論 小林・益川論文(1972.9.1投稿)は、K中間子のCPの破れ(Fitch and Cronin, 1964)の謎を、電弱理論(Weinberg,1967)のくり込み可能性が証明された(’t Hooft, 1971)時に、 4クォーク模型で解決できるかどうかを調べた。そして、どうしてもだめだと言う結論を導いた。そこで、くり込み可能な模型でCPを説明するには新粒子が必要なこと、その一つの可能性が6クォーク模型であることを指摘した。     なぜこのような問題を考えられたのか。

益川さんの講演から

小林さんの講演から

CP対称性とこれからの物理 基本的な対称性 南部の自発的対称性の破れ、ゲージ対称性 役に立つ対称性 フレーバーSU(3)、CP対称性    南部の自発的対称性の破れ、ゲージ対称性  役に立つ対称性    フレーバーSU(3)、CP対称性 エネルギーが高いと回復する対称性、破れる対称性(菅原) CP 対称性の本当の意味は?

宇宙のバリオン数生成 小林・益川理論が解決したのは“実験室のCPの破れ”の問題であって、“宇宙のCPの破れ”の問題は未解決。 K中間子のCPの破れが標準模型の6クォークへ導いたように、宇宙のバリオン数も標準模型を超える物理の何かを導くはず。

重要な発展 ビッグバン宇宙 サハロフの3条件(1967) GUTバリオン数生成(吉村太彦1978) 高温でのアノーマリーによるバリオン数の破れ(Kuzmin Rubakov Shaposhnikov 1985) Leptogenesis (福来 柳田1986) Inflationary Universe

いろいろな可能性、いろいろなシグナル Other scenarios With and without SUSY? Eectroweak baryogenesis Leptogenesis Extended Higgs sector CPV in lepton sector 宇宙のバリオン数 CPV in the Higgs sector CPV in the top sector CPV in the tau sector Neutron EDM Lepton EDM CPV in the B/D/K sector Neutrino oscillation, Lepton flavor violation Lepton EDM Double beta decay Other scenarios With and without SUSY?

まとめ 南部先生、小林先生、益川先生ノーベル賞受賞おめでとうございます。 素粒子物理はLHC実験開始により新時代を迎える。小林・益川理論に匹敵する大きな理論的なアイデアが出たり、新しい実験の展開が起こるチャンス。