日本の通信産業の課題 2003年10月28日 (株)情報通信総合研究所 小澤 隆弘
1.通信市場の規模 (2002年度 売上高ベース) 地域通信 移動 16兆8,280億円 長距離・国際通信 衛星通信 5兆805億円 1.通信市場の規模 (2002年度 売上高ベース) 地域通信 5兆805億円 移動 (30.2%) 9兆3,674億円 16兆8,280億円 (55.7%) 長距離・国際通信 2兆3,118億円 (13.7%) 衛星通信 682億円 (0.4%) 出所:総務省「第一種電気通信事業の動向(平成15年9月)」 (注) (%)は構成比
2.カテゴリー別市場規模の推移 1997 1998 1999 2000(推計) 2001(推計) 2002年度(推計) (億円) 160,000 14,468 15,503 140,000 13,751 9,188 10,465 601 5,144 13,081 120,000 第二種 9,687 8,189 1,254 2,131 100,000 53,374 52,081 第二種 55,673 移動 56,786 移動(データ) 35,905 43,454 移動(音声) 80,000 固定(その他) 4,536 4,441 4,517 固定(専用) 5,444 7,383 10,514 4,557 11,275 固定(データ) 60,000 855 4,121 7,994 11,430 固定(音声) 1,538 3,000 4,537 11,087 6,426 7,968 40,000 固定 60,099 54,923 56,657 53,581 47,180 20,000 41,518 1997 1998 1999 2000(推計) 2001(推計) 2002年度(推計) 出所:総務省「通信産業実態調査報告書」、電気通信事業者協会年報、事業者公表資料をもとに情総研が作成 (注)1. 固定網の音声伝送にはISDN、データ伝送にはインターネット接続、その他には電報等を含む。 2. 移動の音声伝送は携帯電話、PHSによる。データ伝送にはインターネット接続、無線呼出しを含む。 3. 附帯事業収益は含まれていない。
3.主要事業者のシェア(2002年度売上ベース) 固定 移動 7兆4,606億円 9兆3,674億円 TTNet 1.9% 2.6% その他 ツーカー その他 3.4% 日本 テレコム 8.8% Jフォン 4.6% 15.6% KDDI 8.1% NTT東西 7兆4,606億円 9兆3,674億円 ドコモ 61.2% au NTTコム (東 31.5%) 17.4% 61.0% 15.4% (西 29.7%) 出所:総務省「第一種電気通信事業の動向(平成15年9月)」 (注) (%)は構成比
4.通信回線数の推移 加入電話 携帯電話 ISDN (万回線) 8,000 6,000 4,000 2,000 1996年3月末 1996年3月末 1997年3月末 1998年3月末 1999年3月末 2000年3月末 2001年3月末 2002年3月末 2003年3月末 加入電話 6,104 6,146 6,038 5,847 5,544 5,208 5,074 5,071 ISDN 61 125 262 443 742 1,083 1,115 1,013 携帯電話 1,020 2,088 3,153 4,153 5,114 6,094 6,912 7,566 出所:NTT及び総務省資料 (注) 加入電話、ISDNはNTT(東西)の数値。ISDN NET1500はNET64の10倍で換算。
5.電話トラヒック(通信回数)の推移 固定→固定 移動→移動 移動→固定 固定→移動 (億回) 1,000 800 600 400 200 1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 固定発固定着 882.3 943.1 866.5 858.0 861.1 803.7 固定発移動着 64.6 90.6 104.9 105.1 112.2 101.6 移動発固定着 88.5 119.0 128.6 135.5 149.0 154.6 移動発移動着 40.3 94.1 170.0 244.5 325.3 324.0 合計 1,075.6 1,246.8 1,270.0 1,343.9 1,447.5 1,384.0 出所:総務省「トラヒックからみた我が国の通信利用状況」
6.移動通信の発展 (加入数の推移) 携帯電話加入数 モバイル・インターネット 加入数 (万加入) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 モバイル・インターネット 加入数 2,000 1,000 1992年度末 1993年度末 1994年度末 1995年度末 1996年度末 1997年度末 1998年度末 1999年度末 2000年度末 2001年度末 2002年度末 携帯電話加入数 171 213 433 1,020 2,088 3,153 4,153 5,114 6,094 6,912 7,566 モバイル・インターネット加入数 - - - - - - 4.8 732 3,457 5,193 6,246 出所:総務省資料
新インフラとしてのブロードバンド網をどう構築するか 課題 1 利用が激減する電話網をどうするか 新インフラとしてのブロードバンド網をどう構築するか 技術革新とネットワークの更改 投資インセンティブ 資金調達 更改速度 競争と独占 陳腐化した網の処理 ADSLの扱い ユニバーサルサービス 過疎地、ローカルの扱い 携帯電話
7.インターネット利用人口及び人口普及率の推移 (万人) (%) 10,000 60 54.5 50 8,000 44.0 37.1 40 6,000 30 4,000 21.4 6,942 20 13.4 5,593 4,708 2,000 9.2 10 2,706 1,694 1,155 1997年末 1998年末 1999年末 2000年末 2001年末 2002年末 利用人口 人口普及率 出所:「情報通信白書(平成15年版)」
8.インターネット人口普及率50%以上の国及び地域 (%) 69.8 アイスランド スウェーデン 67.8 デンマーク 62.7 オランダ 60.8 香港 59.6 ノルウェー 59.2 米国 59.1 イギリス 57.2 韓国 56.2 日本 54.5 オーストラリア 54.4 カナダ 52.8 52.7 ニュージーランド スイス 52.7 フィンランド 51.9 51.9 台湾 シンガポール 51.9 出所:総務省「平成14年通信利用動向調査」、NUA社調べ(平成15年3月)等により作成
9.ブロードバンド・インターネットの普及 (契約数の推移) ADSL CATV FTTH 800 700 702.3 600 500 (万加入) 800 700 702.3 600 ADSL 500 422.3 400 300 CATV 237.9 206.9 200 115.1 180.0 145.6 78.4 100 46.3 21.6 65.1 FTTH 11.5 0.3 2.6 30.5 7.1 0.0 2000.3 2000.9 2001.3 2001.9 2002.3 2002.9 2003.3 出所:総務省総合通信基盤局「インターネット接続サービスの利用者等の推移」
10 ブロードバンド料金の国際比較 (100kbps当たりの料金、2002年度末) 2.86 2.17 2.19 1.70 1.27 (ドル) 4 2.86 3 2.17 2.19 2 1.70 1.27 1.09 1 0.29 0.18 日本 韓国 ベルギー 香港 台湾 ニュージーランド シンガポール 米国 各国のDSL及びケーブルインターネットの提供速度及び提供料金を基に、100kbps当たりの料金に換算し比較 出所:ITU「Strategic Planning Workshop on Promoting Broadband Background Paper」により作成
11.主要国のブロードバンド料金の比較(家計比率) <家計に占めるブロードバンド料金の割合> 11.主要国のブロードバンド料金の比較(家計比率) <家計に占めるブロードバンド料金の割合> 1 2 3 4 (%) 日本 0.8 スイス 1.3 アイスランド 1.3 ニュージーランド 1.4 米国 1.4 ノルウェー 1.5 カナダ 1.6 デンマーク 1.6 オランダ 1.8 1.8 ベルギー 1.9 英国 香港 1.9 シンガポール 1.9 スウェーデン 2.1 台湾 2.4 オーストリア 2.7 フィンランド 2.8 韓国 3 豪州 3.4 ※代表的なブロードバンド通信料金の月額家計収入に占める割合 ※単位は% ※2003年4月現在 出所:ITU Research
12.ブロードバンド世帯普及率の国際比較(2002年末) (%) 韓国 67.6 47.6 香港 30.3 カナダ 台湾 26.8 アイスランド 24.5 シンガポール 23.4 ベルギー 20.3 デンマーク 18.9 米国 17.5 日本 16.3 16.3 スウェーデン オーストリア 16.3 オランダ 15.0 11.4 フィンランド スイス 11.0 出所:ITU「Strategic Planning Workshop on Promoting Broadband Background Paper」、「Year book of Statistics Telecommunication Services 1992-2001」により作成
課題2 電話に代わる収益源をどこに求めるか 安すぎる?インターネット接続サービス 立ち上がらないインターネットビジネス 電子商取引 電話に代わる収益源をどこに求めるか 安すぎる?インターネット接続サービス 立ち上がらないインターネットビジネス 電子商取引 ブロードバンドコンテンツビジネス 企業通信ビジネス
13.電子商取引の市場規模 B to C 市場の推移 単位 10億円 B to B 市場の推移 単位 兆円 出所 平成15年版 情報通信白書
14.電子商取引 電子商取引の魅力 販売、流通チャネルの効率化による低廉な価格 24時間取引 在宅注文、配達サービス 選択の幅の拡大 電子商取引の魅力 販売、流通チャネルの効率化による低廉な価格 24時間取引 在宅注文、配達サービス 選択の幅の拡大 ネットでしか買えない商品 TV通販、ネット通販、ネットオークションの伸び アメリカとの対比
15. ブロードバンド・ビジネス 放送、通信の融合 コンテンツ・ビジネス 知的所有権の問題 ヤフーBBケーブルのサービス 15. ブロードバンド・ビジネス 放送、通信の融合 ヤフーBBケーブルのサービス オプティキャストのサービス KDDIのサービス コンテンツ・ビジネス 知的所有権の問題 通信品質の問題 ビジネスモデルの問題
16.新しい通信サービス IP電話 通話品質 無線LAN(ホットスポット) 通話範囲の拡大 ISPの提携 緊急通話 フルサービスのIP電話 緊急通話 フルサービスのIP電話 無線LAN(ホットスポット) ユーザ数の伸び悩み 拠点数の伸び悩み ローミング セキュリティ ビジネスモデル