【 R&D of MPPC 】 the basic performance of MPPC, and the plastic packages S.Gomi, T.Nakaya, M.Yokoyama, M.Taguchi, (Kyoto University) T.Nakadaira, K.Yoshimura, (KEK) for KEK-DTP photon sensor group Dec.7.2006 Hamamatsu
Contents Introduction Advancement of performance Connection with fiber GAIN noise rate Cross-talk rate Photon Detection Efficiency ( PDE ) Linearity LASER test Connection with fiber Screw type Cap type
【 Introduction 】
MPPCの持つ利点 T2K実験の前置検出器 優れたフォトンカウンティング能力を持つ コンパクトである 磁場に影響を受けない 低バイアス電圧、高ゲインで動作する 高いPDEを有する T2K実験の前置検出器
T2K 実験 MAIN GOAL νμ→ντ ニュートリノ振動の精密測定 νμ→νe ニュートリノ振動の世界初の観測
T2K 実験での MPPCの役割 MPPCはこれらの要請に応えることができる。 OffAxis detector 前置検出器のほとんどの部分では、シンチレーター+WLSファイバーで読み出しを行う。ファイバーを外まで引くのが困難な為、内部に置きたい。またその方が光量を得ることもできる。しかし空間は限られている。 コンパクト Off Axis 検出器は、0.2Tの磁場中に置かれる。 磁場中で動作 target OnAxis detector MPPCはこれらの要請に応えることができる。 SK
【 Advancement of performance 】 gain noise rate cross-talk rate Photon Detection Efficiency ( PDE ) Linearity
ゲインはADC分布の、1p.eピークとペデスタルのピークとの間の差分で定義される Gain MPPCのゲインは以下の式で与えられる。 ADC distribution * STATUS DATA * 400 pixel MPPC BIAS : 70.0V / VBD =68.8V V Vbd 1p.e signal 2p.e 3p.e pedestal set up 青のLEDからの微弱光をMPPCで観測する。 LED MPPC 4p.e … ゲインはADC分布の、1p.eピークとペデスタルのピークとの間の差分で定義される
Gain MPPCは高ゲインな検出器である 3×10^6 10^6 10^6 5×10^5 69.6 70 70.6 Gain 100pixel Gain 400pixel 3×10^6 10^6 10^6 5×10^5 69 69.5 69.8 69.6 70 70.6 Bias voltage [V] Bias voltage [V] MPPCは高ゲインな検出器である 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ このゲインとバイアス電圧との関係から、ブレイクダウン電圧を求めることができる ブレイクダウン電圧は、温度の関数である。
Gain ゲインはDVのみの関数である。 3×10^6 10^6 10^6 5×10^5 0.2 1 1.6 0.8 1 2 2.4 DV Gain 100pixel Gain 400pixel 3×10^6 10^6 10^6 5×10^5 0.2 1 1.6 0.8 1 2 2.4 DV DV 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ ゲインはDVのみの関数である。
100pixel MPPC (25℃)でのノイズのシグナル Noise rate 半導体光検出器であるMPPCでは、熱電子によるノイズが非常に多く現れてくる。熱電子起源の為、これらのノイズは一般的には1p.eと同じシグナルになる。 ここではスレッシュホルドを、0.5p.e・1.5p.eに設定し、光の進入の無い状態でそれを超えてくるものをノイズと定義し、測定を行った。 “ 1p.e noise ” 0.5 p.e = threshold “ 2p.e noise ” 1 p.e 100pixel MPPC (25℃)でのノイズのシグナル 1.5 p.e = threshold
Noise rate 1p.e ノイズは、約100~400 kHz. 2p.e ノイズは、約 0~200 kHz. 400kHz 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ Noise rate Noise rate [ MHz ] 100pixel Noise rate [ kHz ] 400pixel 500kHz 400kHz 1p.e 2p.e 1p.e noise 2p.e noise 100kHz 100kHz 69.1 69.5 70 69.2 70 70.4 Bias voltage [V] Bias voltage [V] 1p.e ノイズは、約100~400 kHz. 2p.e ノイズは、約 0~200 kHz.
Noise rate 1p.e ノイズは、温度とDVとの両方の関数である。 400kHz 500kHz 100kHz 100kHz Noise rate [ MHz ] 100pixel Noise rate [ kHz ] 400pixel 400kHz 500kHz 1p.e 2p.e 1p.e 2p.e 100kHz 100kHz 0.5 1 1.5 0.5 1 1.5 2 2.3 DV DV 1p.e ノイズは、温度とDVとの両方の関数である。 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ 2p.e ノイズは、DVのみの関数に見える。これには、 “Cross-talk”が関係している。
Advancement of noise rate 20℃ Noise rate [ MHz ] 100pixel Noise rate [ kHz ] 400pixel 05.Apr 06.Jan 06.Oct 0.5 1 1.5 2 1 2 3 4 5 6 7 ΔV 1MHz 青 緑 赤 ( 桃色 ) ノイズレートは順調に減ってきていることがわかる。特にT2K評価サンプルでは、1MHzという当初の目標設定をはるかに超えていることがわかる。
Advancement of gain 横軸=ノイズレート 20℃ Gain 100pixel Gain 400pixel 05.Apr 06.Jan 06.Oct 0 0.5 1 1.5 0 0.5 1 ノイズ [MHz] 10^6 青 緑 赤 ( 桃色 ) 時系列にしたがって、その性能が高まっていっている。
隣の、『外部からフォトンが侵入していないはずのAPD』も、シグナルを出してしまう。 Cross-talk rate クロストークとは、あるピクセルにフォトンが進入し電子雪崩を起こした際に放出されたフォトンが、隣のピクセルに侵入し、また別の電子雪崩を引き起こすことを意味している。 隣の、『外部からフォトンが侵入していないはずのAPD』も、シグナルを出してしまう。 となりの pixel Avalanche g “ Cross-talk “ g
Cross-talk rate の測定 クロストークレートは、得られたデータの1p.eの個数から計算される。 ペデスタルの個数はクロストークに因らない 測定 Poisson分布によることを仮定 1p.e の個数 : P(1) ( estimated by pedestal ) || cross-talk 含まない 1p.e の個数 : P(1) ( measured ) || cross-talk 含む この差がクロストークによる損失を表している。 The cross talk rateは、このように定義できる
Cross-talk rate HPK推奨電圧でのクロストークの値は、20℃の時で約20%。 50% 50% 10% 10% 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ Cross-talk rate Cross-talk rate 100pixel Cross-talk rate 400pixel 50% 50% 10% 10% 69 69.5 69.8 69.6 70 70.6 Bias voltage [V] Bias voltage [V] HPK推奨電圧でのクロストークの値は、20℃の時で約20%。
Cross-talk rate Cross-talkは、DVのみの関数である。 50% 50% 10% 10% Cross-talk rate 100pixel Cross-talk rate 400pixel 50% 50% 10% 10% 0.2 1 1.6 0.8 1 2 2.4 DV DV Cross-talkは、DVのみの関数である。 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃
Advancement of cross-talk rate 横軸=ノイズ 20℃ Cross-talk rate 100pixel Cross-talk rate 400pixel 50% 05.Apr 06.Jan 06.Oct 0 0.5 1 1.5 0 0.5 1 ノイズ [MHz] 青 緑 赤 ( 桃色 ) クロストークも、時系列にしたがって上がっていってしまっている。これは、有感領域の向上に伴うものなのか、それとも内的な要因が有るのか・・・。
Photon Detection Efficiency Photon Detection Efficiency ( = PDE )は、以下の式で定義される。PDEは3つの要素から成る。 Geometrical Efficiency. 全領域に対する有感領域の大きさ (50%~70%) 有感領域のQuantum Efficiency (60~80%) ガイガー放電を起こす確率(60~90%) MPPCの種類に依存 観測するフォトンの波長に依存 バイアス電圧に依存 MPPCは緑の光に対して高いQEを持つ。
relative PDE の測定 ・1mmφのスリットを通過してきた光のみを検出する。 set up 移動ステージ ・MPPCで観測された光電子数の、PMTで観測された光電子数に対する比を、『 relative PDE 』として定義する。 1mmφスリット PMT 青色LED MPPC ( 有感領域=1mm2) PMT = HPK製, type H8643
relative PDE MPPCは、PMTに比べ 2~3倍高いPDEを持っている。 3 2 2 1 1 69 69.5 69.8 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃ Relative PDE 100pixel Relative PDE 400pixel 3 2 2 1 1 69 69.5 69.8 69.6 70 70.6 Bias voltage [V] Bias voltage [V] MPPCは、PMTに比べ 2~3倍高いPDEを持っている。
relative PDE PDEは、ΔVの関数である。 3 2 2 1 1 0.2 1 1.6 0.8 1 2 2.4 DV DV Relative PDE 100pixel Relative PDE 400pixel 3 2 2 1 1 0.2 1 1.6 0.8 1 2 2.4 DV DV PDEは、ΔVの関数である。 青 : 15℃ 緑 : 20℃ 赤 : 25℃
Advancement of PDE 横軸=ノイズ 20℃ Relative PDE 100pixel Relative PDE 400pixel 05.Apr 06.Jan 06.Oct 0 0.5 1 0 0.5 1 ノイズ [MHz] 1 2 1 2 青 緑 赤 ( 桃色 ) 『進歩』が最もはっきり目に見える形で現れている。最新のサンプルでは、PMTの3倍程のPDEを誇る。
Summary of Advancement 今までのMPPCサンプルの持つ性能を、100ピクセル・400ピクセル、各々について時系列に従って並べてみる。 (20℃) 型番 時期 ΔV [V] ノイズ [MHz] ゲイン ×10^5 クロストーク PDE (PMT) 100 pixel 21-53-1A 05.Apr 0.6~1.2 0.2~0.8 8~30 0~40 0.4~1.3 311-53-1A-002 06.Jan 1.2~2.0 0.4~0.9 17~29 13~33 1.2~1.7 T2K-11-100C 06.Oct 0.6~1.4 0.1~0.3 13~30 11~51 1.0~2.2 T2K-11-100U-m 13~26 8~36 1.2~2.6 400 1-32 6.0~7.0 0.1~1.2 6~7 7~36 0.1~0.7 311-32A-002 06.Jun 1.1~1.9 6~10 7~23 T2K-11-050C 6~11 12~42 1.4~2.1
Linearity Linearityは以下の式で定義される。 set up MPPCは、そのピクセル数に上限を持つ ( 100pixel, 400pixel,… ) MPPCは、進入してくるフォトン数がピクセル数に対して大きくなってくると、線形なデバイスとしては動作しなくなる。 Linearityは以下の式で定義される。 set up MPPC MPPCに入るフォトン数はPMTを用いてモニターする。 PMT 紙 ( LEDの光をぼかす)
Linearity MPPC は以下の領域では線形に動作する。 緑色の線は、ピクセル数から計算した理論値を表している Linearity 100pixel Linearity 400pixel linear linear Fired pixel [ % ] Fired pixel [ % ] 25% 25% 青 : DATA plot 緑 : expectation 青 : DATA plot 緑 : expectation Injected photoelectron per pixel Injected photoelectron per pixel 緑色の線は、ピクセル数から計算した理論値を表している MPPC は以下の領域では線形に動作する。 ~25p.e 100pixel ~100p.e 400pixel
KEKでのレーザーテスト * 動機 * microscope 測定結果は HPKへ 顕微鏡を用いての写真 ・ MPPCの各ピクセルからの応答を測定する。 1ピクセル内でのばらつき ピクセル間でのばらつき microscope * 動機 * Laser source λ=825nm width 50ps レーザースポットサイズ ≒数μm MPPC ばらつき… gain 移動ステージ 0.2μm pitch (x , y) cross-talk rate efficiency 測定結果は HPKへ
1ピクセル内でのばらつき 1ピクセル内の応答は良く揃っている。 Efficiency, Gain (有感領域内) Cross-talk rate (有感領域内) RMS/mean=2% 100pixel 1ピクセル内の応答は良く揃っている。 有感領域の端で、中央よりも高くなっている もし電子雪崩が有感領域の端で起こった場合、生じたフォトンが隣のピクセルに入る確率は中央で起こった場合と比べ近い分高くなる。 (cross-talk) Cross talk rate GAIN 0.25 RMS/mean=2%
ピクセル間でのばらつき ピクセル間での応答は良く揃っている。 100pixel efficiency GAIN RMS/mean=3%
Summary 新しいMPPCは十分に高い性能を有している。(クロストークをもう少し減らせないだろうか) 100pixel 400pixel Gain Noise rate(1p.e) [ kHz ] Cross-talk rate PDE Uniformity within 1 pixel of each pixel Uniform(2~3%)
【 Connection with fiber 】 Test connector prototype screw model : type 1, and 2 Planning about cap model
Connection with fiber 前置検出器では、シンチレーターからの光をWLSファイバーを用いて読み出す。そのため、ファイバー端面とMPPC表面とを、「簡単に」「正確に」「個体差が無く」「完全に密着させて」接続する、「遮光性の高い」「コンパクトで」「丈夫な」コネクターが必要になる。 このコネクターについて、『ネジ式』・『キャップ式』の2種類を考案した。
ネジ式コネクター : Type 1 Type 1は2パーツで構成される。2つはネジによって固定される。 WLSファイバー ファイバーハウジング MPPC MPPCハウジング Type 1は2パーツで構成される。2つはネジによって固定される。
ネジ式コネクター : Type 2 Type 2は3つのパーツで構成される。 WLSファイバー 固定枠 ファイバーハウジング MPPC
利点と欠点 ネジ式の利点 … ネジ式の欠点 … 利点 欠点 ネジ式 Type 1 Type 2 ネジによって密着度は最大まで出る ファイバー中心とMPPC中心とは簡単に合わせることができる 構造が単純なために、耐久性が高く、またコストの面でも良い。 ネジ式の欠点 … 狭い所で10000個分もネジを回すのは面倒くさい。 利点 欠点 ネジ式 Type 1 再現性がより高い 両パーツとも固定すると接続不可 Type 2 両パーツとも固定しても接続可 再現性がType 1より悪い可能性有
再現性 Type 1は良い再現性を有している。 3% 15% RMS/Mean = 0.0175 RMS/Mean = 0.0956 Type 1は良い再現性を有している。 Type 2はType 1程は再現性が高くない。この違いは先に述べた理由によるものなのだろうか?
キャップ式コネクター 爪の部分が弾性力で締め付ける。 ファイバーハウジングを下に圧し付ける力が生まれる
Summary プラスチックパッケージは実験で用いるのに十分な再現性を有している。PDEの損失もごく小さいものと予想される。 しかし、ネジ式は狭い場所では接続が困難。 現在 cap typeを考え中。密着性・アライメントの面でネジ式に匹敵する性能を有するであろうと予想される。
【 Supplements 】
Multi-Pixel Photon Counter ( MPPC ) Multi-Pixel Photon Counter ( = MPPC ) は、浜松ホトニクス(HPK)で開発が進められている、新型の光検出器である。 MPPC は1mm×1mmの感受光領域に100~1600のAPDを持っている。これらが、光を『感知した』か『しない』かの2通りのシグナルを出すことで、MPPCはフォトン数に関して優れた分解能を持つ。 1pixel 6mm MPPC 400ピクセルMPPCの感受光領域
MPPCの1pixelの動作原理 APD (Avalanche Photo Diode)は、逆電圧をかけることで半導体のpn接合部に高電場領域を形成し、そこで電子雪崩を起こし信号を増幅するフォトダイオードである。 V+ 電子雪崩 による増幅率 γ p+ absorption region p n 印加電圧がある値VBDを超えると、僅かな光に対しても放電を起こすようになる。 この時の増幅率は106倍にもなり、シグナルの大きさは入射フォトン数によらない hole e- GND VBD = ブレイクダウン電圧 E 光が『入った』か、『入らなかった』か、だけが解る
cross-talk rate of MPPC : 横軸=ΔV Gain of MPPC : 横軸=ΔV cross-talk rate of MPPC : 横軸=ΔV
PDE of MPPC : 横軸=ΔV VBD [V] 100pixel 400pixel 25degree 68.80 68.83 68.52 68.51 15degree 68.25 68.20 VBDの 温度依存性
Uniformity within 1pixel efficiency Uniformity within 1pixel 400pixel RMS/mean=1.7% Cross talk rate GAIN 0.25 RMS/mean=1.6%
Uniformity of each pixel efficiency Uniformity of each pixel RMS/mean=3.4% 400pixel Cross talk rate GAIN 0.18 RMS/mean=2.9%
プラスチックパッケージについて、アライメントはこの5mm、もしくは6mmについて取る。 MPPCセラミックパッケージ プラスチックパッケージについて、アライメントはこの5mm、もしくは6mmについて取る。 このT2K用に用いられるはずのセラミックパッケージは、そのアライメントを外枠で取っている。
Type 1 Fiber housing Ceramic package housing Top View Top View 3mm 8mm 8mm Side View Side View 10mm 10mm 1mm 6mm (pitch = 1mm) 6mm (pitch = 1mm)
Type 2 Ceramic package housing Fixture Fiber housing [ mm ] 3 8 8 5 10 5.1 1 6 ( pitch 1mm ) 6 ( pitch 1mm ) [ mm ]
セットアップ WLSファイバーとファイバーハウジング部とはオプティカルセメントで接着する。 MPPCと密着させる面は、紙やすりで研磨し( #600~#3000 )、ファイバー端面をハウジングの面に合わせる。 fiber housing MPPC housing
Rough Draft - blueprint -
Future Plan プラスチックパッケージによるPDEの損失を測定する。 Capタイプの試作品を製作し、同様の試験を行う。 MPPC 1mmφslit Blue LED ( 感受光領域 = 1mm2 ) PMT 1mm fiber Measurement 1 Measurement 2 全PDE の測定 ファイバー端面からの光の広がりによる損失の測定 Measurement 3 プラスチックパッケージによる損失の測定 Capタイプの試作品を製作し、同様の試験を行う。