論文講読 Measurement of Neutrino Oscillations with the MINOS Detectors in the NuMI Beam 2009/11/17 Zenmei Suzuki
目次 イントロダクション ニュートリノ振動 NuMI Beamline MINOS Detector Neutrino interactions in the MINOS 解析 結果 まとめ
イントロダクション Main Infector Neutrino Oscillation Search フェルミラボからスーダン鉱 への長基線ニュートリノ実験 νμ→ντの精密測定 νμ→νeの探索
ニュートリノ振動 通常扱っているνe , νμ , ντという状態はe, μ, τとの対生成における、つまり弱い相互作用の固有状態である。 これは質量の固有状態と必ずしも一致する必要はない。 2種類の固有状態が一致していない場合、どちらかの純粋な固有状態といのは、もう片方の固有状態の混合状態になる。 固有状態 弱い相互作用να : νe , νμ , ντ 質量νi : ν1 , ν2 , ν3
簡単のために2世代間の混合を考える。 時間発展 エネルギーE(GeV)のναが距離L(km)飛んだ時の生存確率は
sin2(2θ) = 1, Δm2 = 2.43×10-3 (eV2), L = 735 (km) としてνμ → ντの生存確率を計算してみると、
NuMI Beamline
ターゲットとホーンの距離を変えることでニュートリノビームのエネルギーを変えることが出来る。
MINOS Detector MINOSの検出器はビームライン直下のNear Detectorと同じ構造をした735km下流のFar Detectorからなる。 Near Detector Far Detector NuMIのターゲット から1.04km下流 地下104m 総質量0.98kt NuMIのターゲット から735km下流 地下705m 総質量5.4kt (有効質量4.2kt)
Far Detector 厚さ2.5cmの鉄板と厚さ1cmのプラスチックシンチレータ のサンドイッチ構造。 のシンチレータと直交するように配置。 1.3Tの磁場。 上部には宇宙線VETOカウンターを設置。 Far Detector
Neutrino interactions in the MINOS シグナル バックグラウンド charged current neutral current
charged current(左)とneutral current(右)のモンテカルロシミュレーション
解析 データ収集期間は2005年5月〜2007年7月 (runⅠ& runⅡ) 3.36×1020 POT(proton on target) Low energy beam と High energy beam という2種類の設定のビームが使われているが、Low energy beam の方がよりニュートリノ振動に対する感度が高いので、95%以上はこちらの設定で稼働している。 図は2種類の設定でのNear Detectorにおけるνμの charged current 事象のエネルギースペクトル。
他にも、何種類かの設定で測定が行われ、Near Detectorのデータが系統誤差の研究に用いられている。 具体的には、NuMIターゲットの位置に応じて異なった運動量成分を持つ2次粒子が発生するが、そのモンテカルロシミュレーションと実際の測定を比較し、2次粒子生成スペクトルに補正が与えられている。 前頁の図のFLUKA05とは粒子の輸送、相互作用のモンテカルロシミュレーションであり、Tuned MCというのがそれに2次粒子生成の補正したものである。
イベントの選定 the track length the average pulse height per plane neutral current事象はνμ , ντの区別が出来ず、またνがエネルギーを持 ち去るためエネルギーの再構成が出来ないのでcharged current事象 のみを用いる。 μ+の事象は除外。 charged current事象の選定には、荷電粒子のトラックの 以下のパラメータを用いる。 the track length the average pulse height per plane the transverse energy deposition the fluctuation of the energy deposited in scintillator strips CC selection efficiency : 75.3% → 81.5% NC contamination : 1.8% → 0.6%
系統誤差 2つの同じ構造の検出器で測定し、その比較を元に解析をするため、 ニュートリノビームフラックス 検出器の性能 などの系統誤差を大幅に減らすことが可能。 ニュートリノビームフラックス 検出器の性能 相互作用の不定性
解析手法 Near Detectorで得られたスペクトルから元となるニュートリノフラックスを算出 転送行列を用いてFar Detectorでのフラックスに変換 変換されたニュートリノフラックスを元にFar Detectorでのエネルギースペクトルを計算 測定値と比較し、νμの生存率を算出 Fitして振動パラメータを計算、他のモデルでもFitして比較 decay decoherence
結果 振動がないとした場合の期待値と測定値の比 Far Detectorで検出されたνμ charged current事象のエネルギースペクトル 振動がないとした場合の期待値と測定値の比
(68% C.L.) runⅠ runⅡ Decay , decoherenceのモデルはそれぞれ3.7σ, 5.7σで否定される。
まとめ 特に|Δm2|の精度が向上 ニュートリノ振動以外のνμ欠損の可能性を 強く否定(decay: 3.7σ, decoherence: 5.7σ) (68% C.L.)
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