メッシュ付きm-PICの安定動作と 最適化に向けた研究

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メッシュ付きm-PICの安定動作と 最適化に向けた研究 神戸大学 小林正治,越智敦彦,加納英朗,齋藤俊介,清水優祐, 田辺晃,本間康浩,松田慎司,村上浩太,守谷健司,吉田圭一 2008年3月23日 於 近畿大学 

概要 はじめに メッシュ実装 Ar:C2H6=50:50 でのガス増幅率測定 長期動作安定性試験 イオンフィードバック測定 まとめ 今後の課題 第63回年次大会       近畿大学

はじめに m-PIC 図面 m-PIC 電場構造 micro pixel chamber :m-PIC マイクロメッシュ メッシュ付き 電場構造 m-PIC 電場構造 micro pixel chamber :m-PIC MPGDの一種で、アノード近傍の電場は強く、カソードでは弱くなる構造。 MSGCと比して放電しにくい。 メッシュ付きm-PIC 3次元電場構造を得られ、増幅領域を拡大することができる。 104を超える増幅率を得られる。 マイクロメッシュ Pitch:50mm 厚さ:5mm ミソは3次元電場の増幅過程である。これを良く伝えるべし。 第63回年次大会       近畿大学

メッシュ実装 実装治具の製作 ナイロン糸(f:165mm)を使ったサポーターでのメッシュ保持 4.1cm メッシュとm-PICとの面平行性実現 大面積m-PICへの対応 4.1cm 4.3cm 治具の寸法を書く。 第63回年次大会       近畿大学

メッシュ付きm-PICのセットアップ HV プリアンプ Drift plane 動作ガス Source: 55Fe アノード電圧 (Va) 600V~700V メッシュ電圧 (Vm)-100V~-300V ドリフト電圧 (Vd=Vm-300) プリアンプ ASD: 1V/pc 高ガス増幅率におけるサチレーション防止のため、5チャネルに信号分散 動作ガス Ar: C2H6 =50:50 プレミックスガス Source: 55Fe Drift plane 第63回年次大会       近畿大学

Ar:C2H6=50:50ガスでの増幅率曲線 最大ガス増幅率 約54000。 ○最大増幅率での波形 Va=700V, Vd=-600V, Vm=-300V Pre Amp :ASD 0.2V/pc 最大ガス増幅率 約54000。 第63回年次大会       近畿大学

長期動作安定性試験 増幅率10000付近にて24時間安定した動作を確認。 目視中での放電の計数情報はゼロ。 増幅率の最大値と最小値との変動は10%。 ナイロン糸へのチャージアップによる増幅率の大きな変動は見られない。 Count rate 測り始め 131Hz/cm2 終わり 138Hz/cm2 第63回年次大会       近畿大学

イオンフィードバック測定 イオンのドリフト領域への漏洩。 メッシュ付きm-PICの場合はイオンフィードバックは小さくできる。 “negative” イオンのドリフト領域への漏洩。 TPCとして使用した際、ドリフト電場に歪みが発生し、粒子飛跡がぼやける。 漏洩度は少ないほど良い。 メッシュ付きm-PICの場合はイオンフィードバックは小さくできる。 数値シミュレーションによれば1%程度。 ピコアンペアメータで実測。 “negative” “negative” 第63回年次大会       近畿大学

ピコアンペアメータの製作 高電圧系での微小電流測定を実現。 HV系統に直接接続する。 微小電流漏洩防止のため、各素子の絶縁特性を要求。 外界から隔離する。 微小電流漏洩防止のため、各素子の絶縁特性を要求。 支柱端子、コンデンサ… ノイズ遮蔽。 ○ドリフト電流測定 HV pA Drift plane ○アノード電流測定 ○空中配線 HV nA Anode electrode 第63回年次大会       近畿大学

測定結果 イオン収集率 =(ドリフト電流)/(アノード電流) 最小のイオン収集率は 0.8%程度であった。 電圧条件は drift-mesh=100V/cm Vm=-300V Va=362V ドリフト電場大 →イオン収集率大、 メッシュ電圧大 →イオン収集率小 700V/cm 500V/cm 300V/cm 100V/cm ガス増幅率~10000 第63回年次大会       近畿大学

まとめ メッシュを一様に配置したm-PIC を開発。 イオンフィードバック量の測定。 54000程度のガス増幅率を実現。 増幅率10000付近で24時間動作を確認。 イオンフィードバック量の測定。 ピコアンペアメータを製作し、ドリフト電流とアノード電流を測定。イオン収集率0.8%が求められた。 第63回年次大会       近畿大学

今後の予定 他の動作ガスの研究。 20000程度の増幅率下で、1ヶ月を超えるような長期安定試験。 高輝度状況下での動作試験。 イオンフィードバック量を更に減少させる条件を求める。 動作電圧条件。 厚さ20mmのマイクロメッシュでの試験。 メッシュの配置。 第63回年次大会       近畿大学