PRISM-FFAGの開発(Ⅴ) ー 電磁石開発 ー

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PRISM-FFAGの開発(Ⅴ) ー 電磁石開発 ー 大阪大学 理学研究科 久野研究室 M1 中丘末広 PRISM working group

目次 PRISM-FFAG電磁石への要求事項 異方性中間磁極を用いた電磁石デザイン 異方性中間磁極の説明 異方性中間磁極の効果 中間磁極なしの電磁石デザイン トリムコイル トラッキングによる比較 まとめ

PRISM-FFAG FFAGの利点 PRISM FFAG = Fixed Field Alternating Gradient 高輝度ミューオン     位相空間回転 大強度ミューオン    大アクセプタンス  FFAG = Fixed Field Alternating Gradient B(r) = B0(r / r0)k k : field index (定数) (radial sector 型)  FFAGの利点 シンクロトロン振動 サイクロトロンは等時性のため不可 運動量アクセプタンスが大きい シンクロトロンは小さい(数 %) 横方向アクセプタンスが大きい 強収束   10,000π mm mrad 以上@K値=5 PRISM-FFAGレイアウト

PRISM-FFAG電磁石の特徴 Radial sector型 DFD triplet 薄型 C型マグネット 大口径 k値・F/D比が可変 θ z ビーム Radial sector型 DFD triplet 薄型 C型マグネット 入射・取り出し 大口径 100cm x 30cm k値・F/D比が可変 収束 発散

異方性中間磁極型を用いた電磁石 磁場分布 通常型 異方性中間磁極型 トリムコイル使用 B(r) = B0(r / r0)k 問題点 k値が変えられない。 ギャップ間隔がrによるのでフリンジング磁場が一様でない。 磁場分布    B(r) = B0(r / r0)k 通常型 メインコイル 強磁性体 常磁性体 磁極形状によるフリンジング磁場のr依存性を抑える  →各rでの磁場の相似性をよくする。 トリムコイルによる磁場のがたつきを抑える。 異方性中間磁極型 問題点 ギャップ間隔がrによるのでフリンジング磁場が一様でない。 少ない数のトリムコイルではその近傍で磁場ががたつく。 トリムコイル トリムコイル使用

異方性中間磁極の効果1 -磁場相似性- 異方性中間磁極により磁場分布のr依存が解消される。 TOSCAによる三次元磁場計算結果 中間磁極なし 中間磁極あり 異方性中間磁極により磁場分布のr依存が解消される。

効果2 -トリムコイルの影響- PANDIRAによる二次元磁場計算結果 中間磁極なし 中間磁極あり トリムコイルでk値をディフォルトの状態から変えた場合のlocal kのふるまい。異方性中間磁極によってトリムコイルに近い領域での磁場振幅が大幅に減少できる。

4次元アクセプタンス(×107(mm・mmrad)2) 中間磁極板厚の検討 異方性中間磁極 異方性 中間磁極 μr = 2 , k値 = 4.7 の場合にtrackingを行って評価 中間磁極板厚(cm) 4次元アクセプタンス(×107(mm・mmrad)2) 無限小 12.2 2.2 12.0 3.3 8.94 板厚は2cm以下程度でよい

PRISM-FFAG電磁石デザイン1 異方性中間磁極を用いた場合 1セル内の配置図 D F I [Fメインコイル] 72800A・T フィールドクランプ 1セル内の配置図 D F D磁石断面図 F磁石断面図 I [Fメインコイル] 72800A・T I [Dメインコイル] 12300A・T ヨーク重量 19.7t/cell 中間磁極重量 1.4t/cell

中間磁極なしの電磁石 トリムコイルの影響の改善策 θ Z r トリムコイル本体 銅板 薄い銅板 中間磁極なし(z=12cm) 通常のトリムコイルの下に銅板を貼り付けることにより中間磁極がなくても、トリムコイルによる磁場のがたつきは抑えることができる。

PRISM-FFAG電磁石デザイン2 中間磁極なしの場合 1セル内の配置図 F D I [Fメインコイル] 68400A・T フィールドクランプ メインコイル D磁石断面図 F磁石断面図 I [Fメインコイル] 68400A・T I [Dメインコイル] 11200A・T ヨーク重量 18.7t/cell

磁場分布の比較 中間磁極なし 中間磁極あり

Zero Chromaticity 中間磁極有りの方がvertical tuneのバラつきが少ない。 磁場の相似性に起因するものと思われる。 中間磁極なし 中間磁極あり 中間磁極有りの方がvertical tuneのバラつきが少ない。 磁場の相似性に起因するものと思われる。

アクセプタンス 4次元の位相空間におけるアクセプタンスを評価して、その水平・垂直位相空間への射影をもって2次元のアクセプタンスの目標値との比較を行った。 目標値 中間磁極なし 中間磁極あり 四次元アクセプタンス(×106(πmm・mrad)2) 707.4 930.6 水平アクセプタンス(×103πmm・mrad) 20 27 37 垂直アクセプタンス(×103πmm・mrad) 2.0 8.5 8.0

まとめ 大アクセプタンスFFAGにおける異方性中間磁極型電磁石について検討した。 トラッキングの結果、中間磁極を用いることで4次元アクセプタンスが1.3倍になった。

目次 4.Tracking 5.まとめ 3.中間磁極型電磁石の検討 1.FFAG とは 2.PRISM-FFAG電磁石