岡田安弘(KEK/総合研究大学院大学) 札幌Winter School 2011 2011年2月7日 北海道大学 Super KEKB への期待 岡田安弘(KEK/総合研究大学院大学) 札幌Winter School 2011 2011年2月7日 北海道大学
2010年6月 KEKBファクトリー第2期ヘ 2010年6月30日現行KEKB運転止
そもそも Bファクトリーとは 1999年からKEK とSLACで開始された電子・陽電子衝突型加速器実験。 非対称なエネルギーのコライダーによりB中間子・反B中間子対を大量生成。 B中間子崩壊におけるCPの破れを発見し、小林・益川理論を検証した。 fb-1 1000fb-1 ~109 B・反B対
粒子・反粒子の対称性 1928年 Dirac 方程式、 反粒子の存在。 C変換 粒子と反粒子は対称的なものと考えられ ていた。 1956年 パリティー非保存 (T.D.Lee, C.N.Yang) 自然界の基本的な対称性と思われていることで も破れる。 粒子・反粒子の対称性はC変換の代わりのCP変 換を考えれば良い。
K中間子のCP破れ(1964) KS はCP even で2p崩壊する KLは CP oddで 2pに崩壊しない James Cronin and Val Fitch このCP破れの原因がどこにあるのかが素粒子物理の大きな謎だった。
小林・益川理論 3世代模型 u d s u c d s b u c t 1974年 J/y 発見 1977年 ボトムクォークの発見 小林・益川理論 3世代模型 u d s u c d s b u c t 1974年 J/y 発見 1977年 ボトムクォークの発見 1995年 トップクォークの発見 1960年代 ゲルマン クォーク模型 1960年代終わりから70年代初頭に 登場した電弱理論ではクォークを3世代 導入するとK中間子系のCPの破れを説明できる 1973年 小林・益川理論
小林・益川理論の検証 B中間子崩壊に注目 特にB->J/y Ks 崩壊モードの時間依存CP非対称性に大きな効 果が期待できる(Carter, Sanda; Bigi, Sanda) そのためには、エネルギー非対称な電子・陽電子コライダー が必要。 最初にB中間子であった か反B中間子であったかに よって崩壊の時間変化が違う
より一般には、Cabbibo-Kobayashi-Maskawa 行列でK中間子崩壊や CKM 行列は大体うまくいっている。 まだ数十%のNew Physics の効果は あるかもしれない。
Super KEKB 現行のBファクトリーの50倍ぐらい増強 LHC実験で期待されている、TeV領域の新しい 物理の探索に、フレーバー物理の面から寄与す る。
次世代Bファクトリーの物理の特徴 新しいCP位相 Chiral structure 様々な物理量により新しい相互作用の性質を探ることができる。 新しいCP位相 SCP(B->fKs)-SCP(B->J/yKs) ACP(B->pK) ACP(b->sg) DD mixing Chiral structure SCP(B-> Ksg) AFB(B->K*ll) レプトンフレーバーの破れ t->mg, t->eg, t->mmm, t->mme, t->mee, t->eee, t->mh, t->mp, t->mK ………. 新しい”Weak Interaction” B-> tn B->Dtn 様々な観測量を現行の実験から大体一桁改善することが期待されている。
Lepton Flavor Violation m->eg や t->mg はクォークの b->sgに対応する過程。 ニュートリノ振動の確立後は これらのLFV過程は起こるは ずと思われている。どのぐら いの大きさの分岐比になるか は、ニュートリノ質量生成の 物理の詳細による。単純な Dirac 質量やSeesaw 模型で はほとんど無視できるぐらい の分岐比。 超対称模型では実験の上限値 の近くまで大きくなりうる。 ニュートリノ質量生成 SUSY seesaw model LR symmetric model Triplet-Higgs model Extra-dimension model m LFV tLFV
Process Current Future tau LFV (Ti) ミュー粒子とタウ粒子のLFVの関係は新しい物理の模型による。 MEGでLFVが発見されたらタウ崩壊でLFVを探すことは緊急性が高い。
New physics examples SUSY Charged Higgs boson Little Higgs model Extra-dimension 次世代Bファクトリーが動き出すころは LHCの初 期の成果は出そろっているはず。
LHC でSUSY が見つかったら 大統一があるか、ニュートリノの質量はシー ソー機構によるのか、新たなCPの破れの原因は あるか、などの問題が重要となる。 クォークおよび荷電レプトンのLFVに様々なシ グナルが見える可能性がある。
Bd->K*g モードのTime-dependent CP asymmetry B->fKs とB->J/yKsのTime-dependent CP asymmetry の差 Super B Super B Right-handed sdown sector の フレーバー混合の効果 (Seesaw+GUT) 新しいCPを破る位相の効果 (T.Moroi, 2000) T.Goto,Y.O., T.Shindou,M.Tanaka, 2007
新物理の識別 SU(5) + R 標準模型 U(2) FS ACP(bs) S(BK*) S(B) degenerate R nondegenerate R U(2) FS NH IH D (I) NH (II) NH 新物理の識別 0.02 ACP(bs) −0.02 0.2 S(BK*) −0.2 0.1 S(B) −0.1 0.2 S(KS) − S(J/KS) −0.2 ~ [TeV] 3 [TeV] 3 [TeV] 3 holizontal axis = m(d1) T.Goto,Y.O., T.Shindou,M.Tanaka, 2007
Lepton Flavor Violation t->mg, t->eg vs. m->eg B(t->mg) B(m->eg) m->eg t->eg T.Goto,Y.O., T.Shindou,M.Tanaka, 2007
LHC で荷電ヒッグスボソンがみつかったら LHC charged Higgs search とB factory はMSSM の同じパラメター領域に敏感。 Bの崩壊と比較してCharged Higgs coupling universality のテストができる。
LHC charged Higgs production における tanbと tbH coupliing determination MH=300 GeV LHC charged Higgs production における tanbと tbH coupliing determination B->tn, B->DtnにおけるcbH, ubH coupling determination A.Cornell, A.Deandrea, N.Gaur, M.Klasen, H.Itoh, Y.O. 2009
LHCでLittle Higgs with T parityの新粒子が見つかったら SU(5)/SO(5) non-linear sigma model At ~10 TeV, UV completion theory l lH WH,ZH,AH VHl At f ~ O(1) TeV T-odd bosons: WH, ZH, fij, T-odd fermions: uH,dH,lH Top partners T+, T- New flavor mixing in heavy lepton/quark sectors. Less than ~200 GeV T-odd heavy photon AH SM particles FCNC やLFV過程に効く
LFV signals はLHT とSUSYでは違う特徴をもつ。 FCNC and LFV in the Littlest Higgs Model with T-parity M.Blanke,et.al. 2006-2009 T.Goto, Y.Okada, Y.Yamamoto, 2009 F.del Aguila, J.I.Illana, M.D.Jenkins,2009,2010 LFV signals はLHT とSUSYでは違う特徴をもつ。 T.Goto, Y.Okada, Y.Yamamoto, 2010
LHC で余次元が見つかったら LHC reach on extra-dim models m g GKK Warped extra dim, GKK-> mm Flat extra dim, KK graviton exchange to mm CMS TDR 2006
KK graviton exchange T.Rizzo in SLAC WS Proc. KK graviton exchange can induce tree-level FCNC coupling. Differential branching ratio of b->sll processes mKK1=600 GeV Lepton FB asymmetry: AFB(s) mKK1=700 GeV Flat Extra Dim Warped extra dim M=1.5 TeV M=1TeV
標準模型の予言からのずれのパターンは模型によって違う Examples of New Physics Models and flavor signals 2003 SLAC WS Proceedings, hep-ph/0503261 MFV SUSY MFV Extra Dimension models MFV 標準模型の予言からのずれのパターンは模型によって違う
まとめ TeV の物理を解明するには直接探索と間接探索の両 面が必要。 間接探索の役割は新しい相互作用の性質を探ること。 Bファクトリーの特徴は様々な過程のいろいろな観 測量により、たくさんの質的に違った情報を得るこ とができる点。 KEKでは現行のBファクトリー実験の様々な物理量 の測定精度を一桁挙げることを目指して、アップグ レードが開始された。2014年頃実験再開を計画 している。